死人の二度目   作:かゆ、うま2世

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うおおおお遅れてごめん………


中身

「……………」

 

 

小さな少女が一人、狭いリビングの中で目を覚ました。ソファの上に一人寝転んだ少女は、小さくため息をついて部屋全体を見渡した

少女──竜華キサキの脳裏に浮かぶのは、この部屋の本来の持ち主が生きていた頃の記憶。この狭い部屋の中には、収まりきらない程多くの思い出が詰め込まれていた

小さな身体に重くのしかかる思い出を、忘れる事も切り捨てる事もできなかった。だからこそ、彼女はこの部屋に住んで、日々を生きていた

 

 

「……なんじゃ」

 

 

唐突に鳴り出すスマホを耳に当て、端的に要件だけを聞く。要件が何であろうと、一秒だってこの時間を邪魔されたくはなかったのだ

 

 

『FOX小隊が、門主様との面会を希望しております』

「SRT……?何故……他に何か言っておったか?」

『一人の少年を連れています。名は───』

 

 

 

『───骨崎リンネ、と』

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

 

 

「……とりあえずは、理解した」

 

 

連絡の後、キサキはすぐにFOX小隊を自分の家に呼びつけた。確かに生きている骨崎リンネを見て、同時にずっと求めていた少年が変わってしまった事も理解した

 

 

「リンネの性質も、中身の事も、とりあえずは飲み込もう」

「手を貸してくれる、という事でいいのか?」

「当然じゃろう。玄龍門の全力を以てリンネを守り通す」

 

 

当然と言うべきか、話が進むのは早かった。全員の意思に違いは無く、これからの展望さえ、疑問を抱く事もなく全員一致だった

 

 

「リンネはこのままここに置く。ここは元々リンネの家じゃしな」

「我々もここを拠点にする。いいな?」

「あぁ。これ以上は何があっても死なせぬ」

 

 

骨崎リンネを殺した者を追っていたあの時間が全て無駄になった事など、キサキはもう気にもとめて居なかった。こうして、骨崎リンネは戻って来たのだから

同時に、怒りも湧いた。八度も骨崎リンネを死なせた者達、そして何より、そうなるまでリンネを見つけられなかった自分自身に

 

 

「……今度こそ守るからな、リンネ」

 

 

静かな決意を胸に、キサキはソファの上で眠る骨崎リンネの頭をそっと撫でた

 

 

 

──────────────────

 

 

 

「…………」

 

 

ベッドの上、砂狼シロコは静かに目覚めた。窓から見える空は暗雲で閉ざされ、この後の天気を示している

 

 

「……行かなきゃ」

 

 

簡単な支度を済ませ、傘も持たずにシロコは外に飛び出した

 

骨崎リンネが死んでからの彼女の生活は、ほとんどが骨崎リンネを探すことに費やされていた。朝から晩までキヴォトス中を駆け回り、夜遅く帰っては泥のように眠る。睡眠時間も食事も最低限で、今はまるで幽霊のようでさえあった

 

 

「……どこに居るの」

 

 

命をもらった。居場所をもらった。優しさをもらった。笑顔をもらった。幸せをもらった

だというのに、私は何も返せていない

 

それが、彼女の中にある全てだった

 

 

「私は……あなたに、何をしてあげられるの……」

 

 

ぽつぽつと、雨がシロコの体を伝う。瞬く間に勢いは強まり、やがて土砂降りに変わった

 

 

(……ちょうど、こんな雨の日だったな)

 

 

骨崎リンネを殺そうとしたあの日。骨崎リンネに救われたあの日。土砂降りの雨が、その日の情景を鮮明に思い起こさせる

 

 

「……先輩」

 

 

頬を伝う水の中に、比較的温度の高いものが混じる。骨崎リンネがどこで何をしているのか、無事なのか。何も分からないまま、ただ時間が過ぎていった。

雨粒一つ一つが体温を奪っていく。雨音以外の音は聞こえず、視界も最悪。人探しをする状況としては考えうる限り最も悪い環境と言えるだろう

 

 

(……雨は嫌い。冷たいし、汚れる)

 

 

思い出す、骨崎リンネの事を

何故だか感じる、骨崎リンネの事を

 

 

(……でも、この冷たさは、あったかい)

 

 

何かを探すように、骨崎リンネがしてくれたように。ただただひたすらに、シロコはあてもなく歩いた

 

 

(……先輩も、こんな気分だったのかな)

 

 

シロコの世界で、何もわからないまま当てもなく歩いて──リンネはアビドスに辿り着いた。そうして二人は出会って─────

 

 

 

 

たん、地面を踏みつける音がした

 

 

「…………え?」

 

 

辛うじて見える程の距離に、人影が見えた。見紛う事などある筈がなかった

 

 

「せん……ぱい?」

 

 

ざあざあと振り続ける雨の中、傘を差した人影は、シロコを一瞥すると路地裏へ姿を隠した

 

 

「……っ!待って!!」

 

 

シロコは即座に追った。少しの思考も挟まずに、ただ夢中で追いかけた。男は路地裏で立ち止まり、シロコはその前に飛び出した

 

 

「せんぱ──」

 

 

感じる、違和感。だらんと垂れた左腕。普段の彼からは考えられないほど鋭い目付き。そして──怪しい赤色に輝く瞳

 

 

「───誰ッ!」

 

 

怒りのままに叫んだ。確かに、そこにいるのは骨崎リンネだ。間違いない。けれど違う。絶対に、目の前の人物は骨崎リンネではない

 

 

「……砂狼シロコ。貴方に最後のチャンスをあげます」

 

 

ナニカは言う。無感情に、無機質な声で

 

 




キャラを学名で呼ぶアレやりたい
リンネ君は何だろ、キヴォトスリンネココロクダキとか?
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