「ホシノの野郎気取りやがって……!」
ホシノの野郎、退学届出してどっか行ったらしい。何したかは大体わかる。この感じには覚えがあるからだ。大方黒服辺りに実験材料か何かにしてもらう代わりに借金を……とかいう奴だろ
「……全員集めろ。行くぞ」
『……よろしいのですか?』
「当たり前だ。畜生、せっかく先生にバレないようにやってきたってのに……そうだ、シロコには確認取らないとな」
「私も行く」
確認、取るまでもなかったらしい
「良いのか?」
「うん。思う事がない訳じゃないけど……リンネ先輩の役に立つ為に、私はここにいるから」
「……ありがとう」
本当、いい後輩を持ったよ。俺
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既にホシノの救出には現アビドス組が向かっている筈だ。俺たちのやることはそれのサポート。あいつらの邪魔に向かうカイザーの部隊をボコボコにする事だ
カヨコはあいつ自身の所属……便利屋?ってところと一緒に動いてる。囚人組はそれぞれ単独で動いてもらってる。あいつらはそっちの方が輝くタイプだし、そもそもカイザーの部隊が多すぎて固まってたらカバーしきれない。つまり俺のところはプラナとシロコ。充分だ
「……リンネ先輩」
「ん?」
「大丈夫だと思うけど、死なないでね」
「あぁ、わかってる」
時を止められる俺と、その時間を二秒動けるシロコは相性が良い。シロコは瞬間移動っぽい事できるし、銃弾に関してはそもそもプラナが弾いてくれる。死ぬ事に関してはよっぽど……いや、ホシノの状態によってはあり得るか
それよりも、銃を撃つのは数ヶ月ぶりだ。俺のために作られたのかって思うぐらい手に馴染む銃を握り締める
「見つけた」
「ん、やる」
基本はシロコの瞬間移動と時間停止による奇襲だ。止まった五秒間の間に全てを終わらせるのは、俺とシロコにとってはそれほど難しい事ではない。戦車やヘリは骨の戻ろうとする力で破壊する
「次……」
『付近にゲヘナ風紀委員会の勢力を確認。距離を取ることを推奨します』
「……わかった」
シッテムの箱に表示された位置情報を元に、俺たちはその場を離れる。同じようにしていくつか部隊を仕留めていった
『現アビドスの勢力の動きが止まりました。何かしらのトラブルに遭遇中と思われます』
「行くぞ」
『……本当にバレますよ』
「承知の上だ。シロコ、アビドスの奴らの所に向かう。いいか?」
「……覚悟は、できてる」
俺の手を握るシロコの力が強くなる。強く手を握り返しながら、シロコの力で移動するのを待つ。会話をする時間は無いだろう。敵を片付けて、先に進むよう伝えるだけだ
時を止め、同じようにしてアビドス組の援護に入る。一人、雰囲気が違うのがいる。恐らくはカイザーPMCの理事あたりだろう
「君は───」
「……早く行け」
プラナの記録で見たあの人と瓜二つだ。声も同じだし間違いないだろう
「皆!行くよ!」
ユメ先輩が全員を引き連れて走り出す。それでいい、今はゆっくり話してる時間はないんだ
「骨崎リンネ……?何故生きている?」
「……さぁな」
「……まぁいい。たかが二人で何ができると言うのだ」
戦車に、ヘリに、大規模な部隊が俺たち二人のもとに集まる。問題は無い。俺たちならこの程度簡単に潰せる
「……やるぞ、シロコ」
「ん、潰す」
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「これで終わり……もうお前を守る奴は居なくなった」
「クソッ……!」
当然と言うべきか、プラナとシロコがいる以上どうやっても負けようがない訳で。向かってきた奴らは全員仕留め、残るは戦えない理事一人のみ
「……ホシノと俺、どうもすれ違ったまま死に別れたらしいんだわ」
「……何の話だ」
「徹夜でバイトしてたのを、どうせゲームでもやってるんだろってホシノは思ったらしいんだよ。でもさ、そういう勘違いが起きたのが何故かって元を辿っていくとさ……」
「借金があったからなんだよな」
黒い盾を手にしたシロコと共に、少しづつ理事に近づいていく
「き、貴様!一体何をするつもりだ!」
「アビドスの奴らも、先生も駄目だ。立場があるからな。お前個人をぶん殴ってやる事はできない」
「でも、俺はどこにも所属してないただの骨崎リンネだ。立場なんてどこにも無い」
「俺とホシノがすれ違ったのも、今回こんな事が起きたのも、元を辿れば全部……」
「お前のせいじゃねぇか!」
理事の顔面を、シロコと挟み込むように殴りつけた。俺は拳で、シロコは黒い盾で
「病院送りだ、ざまあみろ」
「……ん、スッキリ」
囚人組もこっちに向かっているらしいから、後は皆で帰るだけ────
「───あ、いた!リンネくーん!」
「あ、ユメ先輩!……とホシノ、無事だったのか」
ホシノの救出を終えたアビドス組と合流できた。皆所々傷だらけになってるけど、とりあえずは全員無事みたいだ
「……リンネ、先輩」
「……大丈夫だよ」
シロコの手を強く握る。別の世界だとしても、彼女にとっては死んだはずの同じ学校の生徒だ
「……あの人、誰?それにあれは…私?」
「色々説明が面倒だな……ホシノ!」
「あ、え、私?」
「俺がとやかく言えた事じゃないけど……一つ言えるなら、俺は助けが来なかったお前だ。二度とこんな事するなよ。……説得力無いけど」
これからも、色々あるだろうけど──きっと、この人達なら乗り越えていけるだろう。そんな気がした
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「クックックッ、貴方の方から連絡をいただけるとは思いませんでしたよ、先生。あぁ、要件はわかっておりますよ、リンネさんの事でしょう?」
「……あの子は何?何でシッテムの箱を持ってるの?それに───」
「何故色んな学園で彼の痕跡が見つかるのか、ですか?」
どこかの建物の一室、黒いスーツに身を包んだ燃えるような黒い顔の男と、華奢な一人の女性が向かい合っていた
「……あの子に何をしたの」
「我々の実験の成果だと考えているなら、それは間違いですよ。彼は──たまたま、そういう風に生まれてしまっただけ。確かに最初は色々しましたが……今では私の方がこき使われている始末です。ホシノさんの事も、少し怒られましたからね」
「……」
「……そう睨まないでください。彼は平穏に暮らしているだけ。ちょっとおかしくなってしまうくらい──というより、あれが素なんでしょうね。私もそれに一役買っているんですよ」
黒服の言葉に疑念を抱きつつも、先生は骨崎リンネという生徒の事をよく知らない。その状態では、言える事はそれほど多くない
「一つ警告を。彼のことを誰かに喋ってはいけませんよ。彼はそれを嫌います。私が彼について言えるのはこの程度ですね。あとはご自身で確かめてみてはいかがでしょうか」
「………言われなくても」
「──あぁ、そうだ。これを言っておかなくては」
「骨崎リンネという無数の屍の元、このキヴォトスは存続してきた。先生、貴方は彼に感謝すべきですよ」
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「……何故、ワカモと共に生きている。リンネ」
書いてて思いついてしまったのだけれども
この世界のアリスは一部黒く染まった"誰か"の上着を持ってるわけですよ