飲めば透明人間になれる秘密のエッチな飲み薬、気が付けば異世界で巨乳剣士が目の前に!?~天才科学者と呼ばれたこの私が女剣士の召使を始めたら~   作:でぃくし

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死んだ女と忘れられた女

「……!?」

 

一瞬、ミチェリは何が起きたのかわからなかったようだが、

すぐに右手で杖を構え直す。

 

「お前ぇえッ!!?」

「……」

 

カリエンテは何も答えない。

ただ、右腕を振り下ろすと、今度はミチェリの右脚が斬り飛ばされた。

 

「……ッ!!」

 

ミチェリは歯ぎしりしながら後退すると、忌々しげに舌打ちする。

 

「……お前が最も強かった」

「ちょっ!やめっ……」

「鉄の鱗を持つミミズよりも、燃え上がる火山岩の大巨人よりも、白き八ツ目の狼たちよりも……」

「待て!」

「私に勝てる奴はいなかった。だから私は……この力を……」

 

全身全霊を込めた一撃だったのだろう。カリエンテが腕を振るうたびに、魔剣は唸り声を上げ、ミチェリの腕や足が弾け飛んでいく。

そして、猛烈な衝撃波に巻き込まれ、ミチェリの体は氷の破片をまき散らしながら地面を抉るように吹き飛んだ。

 

「あぐっ……あっ……は……」

 

やがて彼女は岩に叩きつけられると、そのまま仰向けに転がって動かなくなってしまった。

 

「ミ、ミチェリ……お、お嬢……様……」

 

私は思わず呟くと、震える足を何とか動かし、ミチェリのもとへと歩み寄った。

左肩はぐちゃぐちゃに粉砕され、右肘から下は切断されており、下半身にいたってはもはや完全に失われていた。

 

しかし、それでも彼女は死んでいなかった。

 

「はっ、はあっ、うっ、うぐっ、あぁ……はぁっ、はあっ、はぁっ……」

 

ミチェリは苦しそうに喘ぎ声を上げながら、何もない空を見上げている。一方でカリエンテも魔剣を地面に突き立て、肩で息を切らせていた。彼女の額には大量に脂汗が浮かび、足元には血溜まりができつつあった。

 

「はあ……はあ……ミチェリ、お前は……太祖の魔女の血を継いでいるな」

 

「うっ、ぐあっ……はぁ……」

「……それもかなり濃く、強いものだ。ここまで濃ければ……お前はほぼ不死なのだろう」

「ぐ……ぐ……はっ、はぁっ……」

 

カリエンテはしばらく黙っていたが、やがて魔剣を引き抜くと再び構える。しかし、その手は震えており体力の限界が近いように思われた。

 

「……はあ、はあ、ラ・フエンテ・デ・サングレは血に飢えた剣。ラ・フエンテ・デ・サングレは魔女の血の呪いを打ち破れる唯一無二の血の刃だ」

 

「………そ、それがどうした……?あたしが……命乞いするとでも?」

「いいや……お前は魔女から人へと戻り、そして人として死ぬことを教えておきたかっただけだ」

「……」

「ミチェリ……今までお前が命を奪って来た人々への懺悔の言葉はあるか?」

 

カリエンテはそう言うと、一歩ずつゆっくりと近づいていく。それでも、その足取りはふらついており今にも倒れてしまいそうだ。私とミチェリは同時に言葉を失い、しばらくの間、お互いを見つめ合っていた。

 

ミチェリの傷口は白く凍結し、彼女の体からは血の一滴も流れていない。

カリエンテの言う通り、彼女はほとんど不死身で身体の傷は修復されつつあるのかもしれない。だが、このまま攻撃されたら……?

 

「お、お嬢様……お許しください……この哀れな少女にどうかお慈悲を……」

 

私の懇願にカリエンテは一瞬だけ動きを止める。しかし、すぐに視線を逸らすと再び歩き出した。

 

「……カリエンテだ。物覚えの悪い奴め」

 

「……」

「……」

 

ミチェリが口を開く。

 

「……はっ、か、カリエンテさんよ。魔女から人に戻るだと……?だっ、だったら……て、てめぇも……人殺しじゃねえか……それで、偉そうに……あっ、あたしに……説教かよ……」

 

「ああ……お前の言う通り。私もただの人殺しだ。だから、私とお前が行きつく先は変わらない」

「……」

「またいつか地獄でやり合おう。何度でも相手になってやる」

 

苦しげに息を吐いていたカリエンテだったが、ミチェリを見る眼差しは優しく、その血に塗れた顔には女神のような慈悲深い笑顔が浮かんでいた。

 

「……へっ、てめぇみたいな奴、二度と見たくねえよ。地獄に行きたきゃ……一人で行けよ。この、腐れ……ブタマ〇コが……」

 

「……さよなら、ミチェリ。君は誰よりも強かった」

 

カリエンテはそう言い残すと、ミチェリの脳天を目掛けてラ・フエンテ・デ・サングレを振りかぶる。

しかし、魔剣は振り下ろされることなく、彼女はその腕を止めた。

 

「何のつもりだ……アズマーキラ……」

 

気が付いた時、私はミチェリの頭を守るように膝立ちになり、カリエンテの前で両手を広げていた。

 

「どけ」

「何卒!何卒!お許しを!!」

 

「……私はお前を殺したいわけではない」

 

「ミチェリお嬢様にお慈悲を!お願いします!」

「どけ!」

 

カリエンテは固く握りしめた拳を私の首筋に叩き込もうとしたが、寸前で手を止めると私の残り少なくなった毛髪をひっつかんで地面に投げ転がした。

 

「ぐえ!」

 

泥と血に塗れた汚い顔をしているのはわかっていた。

しかし、私は這いつくばりながらカリエンテの足にすがりつく。カリエンテは歯を食いしばりながら、苦痛に耐えるような表情を浮かべていた。

 

「お願いします!私には考えがあるのです!どうかお許し下さい!」

 

「黙れ」

 

「私は異世界から来ました!ここに来る方法があるのだからここから出て別の世界に行く方法だってあるはずです!私はあの子を別に世界に連れて行きます!それなら殺さずに済むはずでしょう?!」

 

「だめだ!」

 

「何故ですか?どうせこの世界からいなくなってしまうなら同じことではないですか!?」

 

「違う!黙れ!」

 

「教えてくださいよ!どうしてですか?魔女を殺すことと魔女がいなくなることとは何が違うんです!?エビデンスを!数字を……ぶばごげっ!!?」

 

鉄の塊のような平手で頭を打たれ、頸椎がへし折れるような衝撃と共に地面に叩きつけられる。頬を熱い液体が伝い、頭がガンガンと痛み、鼻の奥がツンとする。

 

目を開けるとミチェリの顔が見えた。

彼女はもう私に興味をなくしたらしく、ぼんやりと虚空を眺めていた。

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