そうして僕は決めた
霊視ニキを筆頭にガイア連合山梨支部の転生者達がデビルバスターとして各地で活躍する中、彼もまた本部での修行用異界でのレベル上げを終え参加していた。
これは、そんな活動の一幕である。
「「【突撃の狼煙】*1」」
自身の【チャージ】*2と地方の村からの依頼に伴い、共に異界攻略に参加している現地民のカジャ系スキルとの組み合わせで発動したリンケージスキル*3を発動、悪魔体であるサーガラに変身している総士の身体を立ち上る淡い光が照らし、能力を強化した。
これにより異界攻略に参加している戦闘メンバー11名の強化が完了、改めて異界の主に対峙する。
「な、何じゃワレェ!?妙な呪い使いよってからにぃ!!」
見たことも聞いたこともないスキルを発動され、それにより取るに足りない有象無象が強化される。そんな異常事態とそれを齎した凄まじい威圧感を放つ自身よりも巨体かつ強大な存在を前に異界の主である【妖鬼 オニ Lv23】は喚き散らす。
「総員、攻撃開始!こちらで注意を引くので後衛はジオや破魔矢を中心に攻撃、前衛は敵の隙を突いて一撃離脱を心掛けろ!!」
「「「「「「「「「「了解/はい/応/押忍!!!!」」」」」」」」」」
総士の号令に全員が応え、この異界最後の戦闘が開始された。
彼等の戦意は最高潮に達していた。
長きに渡り友人、親家族、知人の命を奪ってきた怨敵を討ち滅ぼす絶好の機会が巡ってきた。
それも地方であるが故に根願寺に見放されてきた自分達に潤沢な物資・戦力と至れり尽くせりの支援を受けた上でだ。
これで戦わなかったら嘘だ、絶対に勝つと気炎を吐きながら彼等は力の限り、命の限り攻め立てる。
その怨敵であるオニもされるがままという訳ではなく、当然自分に集る蝿を払わんと攻撃に転じようとするが……
「どこを見ている」
「グエッ!!」
その手に持った得物を振るわんとする度、オニは総士の巨腕で殴られ行動を中断させられ続けていた。
戦端が開かれてから終始、総士はオニの行動を潰し続けていた。
圧倒的格下の攻撃なれど、リンケージスキルによる強化と徹底した弱点攻撃の積み重ね、そして総士による妨害の攻撃によってオニは満身創痍となっていた。
攻撃を加え続けていた現地民達も皆が皆肩で息をしており、限界を超えて戦っているのは明白であった。
しかし、それでも彼等の悲願はもうすぐそこにあった。
終わりは近い。
「ケケケケケケケケェェェェェッ!!!!【ブフ】*4」
そこに、思わぬ乱入者が現れた。
前日に現地民のレベルアップも兼ねて行われた異界内の悪魔の討伐を行ったのだが、どうやら討ち漏らしたであろう【幽鬼 ガキ Lv3】からの横槍が入れられたのだ。
その攻撃は後衛で最も苛烈にオニを攻め立てていた女性目掛けて放たれていた。
本来ならばレベルアップしたこともあり、対処も容易いのだが怨敵を前にして気が逸りペース配分を失念、疲弊しきった身では対処不可能な一撃であった。
そんな彼女の周囲に冷気が立ち込める。
「香織ィィィィィィ!!!!!!!!」
そんな彼女の恋人であろう男性の叫び声が木霊する。
前衛はオニの周囲を囲んでおり、後衛も背後からの攻撃だった為に誰も対処が出来ない。
避けられない死。
思わぬ幸運に、オニの口元が吊り上がる。
――――だが、
「【調律の心得】発動」
【調律の心得】
喰人は基本的に戦闘技能習得プログラム「マントラ」を解放し情報因子であるAPを蓄積しマスターすることでのみスキルを習得していく。
しかし、例外として飛行能力を持つことを表す【飛行】といった特殊スキルに関しては条件さえ満たせばマントラに関係なく習得することが可能である。
本来ならば非戦闘状態時に集中、マントラにアクセスしなければスキルのセットが出来ないのだが、ガイア連合に合流するまでの間、天使の部隊や潜伏していた異界に生息する悪魔達との長期的な単独戦闘の経験により習得したスキルであり、このスキルの効果により戦闘中でもスキルのセットを可能としている。*5
ガキの存在を認めた総士は即座にこのスキルを発動、今この場で最適なスキルをセットし続け様に発動した。
「【氷結ブレイク】*6」
喰人の固有スキルであるウェイトスキル*7の一つである【氷結ブレイク】を発動、展開された氷結無効シールドによって香織と呼ばれた女性は難を免れた。
まさかの展開に呆ける下手人であるガキと眺めていたオニ。
そして知能は低いがガキは本能的にたった今目の前で起こった出来事を起こした総士に対し、怯えた。*8
「【喰いちぎり】*9」
そんなガキに対して総士はハントスキルを発動。
放たれた1本の尾は空気を切り裂きながら突き進み、そのままガキを貫くと発生した衝撃波でその肉体を消し飛ばす。
ガキの肉体が消滅し、後に残された最高率で取り出された生体マグネタイトと情報因子の集合体である赤いエネルギーはそのまま総士の肉体へと取り込まれた。
「【ハードヒット】ォォォォォッ!!!!!!!!*10」
自身から注意が逸らされた一瞬を見逃さず、徹底して自分の邪魔をしてきた憎い相手目掛けてオニは全力の一撃を放った。
その一撃は狙い能わず総士の頭部へと叩き込まれた。
渾身の一撃が決まり笑みを浮かべるオニと絶望に染まる現地民達。
一瞬にして沈黙が広がる…………
「【反撃】*11」
「あペッ?」
静寂の中、肉の弾ける音が響き渡る。
総士がセットしていた自動効果スキル【反撃】が発動し、無造作に振り抜かれた剛腕の裏拳がオニの頭部を叩き潰していた。
頭部の左半分が潰れ、思考能力を奪われゆっくりと崩れ落ちるオニの肉体。
――――だが、
「【調律の心得】…………武君!!」
「ッ!?ハイッ!!」
再び【調律の心得】を発動しスキルをセットすると先程叫んだ香織という女性の恋人である男性に向けて叫ぶ総士。
それを受けた彼は返事を返し、手にした刀を構えると倒れ行くオニへ向けて疾走する。
―――――今こそ、長きに渡る苦難に終焉を!!!!
「ウオォォォォォォォォォォッ!!!!「「【光霊魔法斬】ッ!!!!!!!!*12」」
セットしたスキルである【破魔ブレイク】*13によって破邪の力を帯びたその一刀は、見事オニの首を跳ね飛ばした。
オニの肉体と共に主を失った異界が崩れ、空が割れる。
彼等を出迎える明け空の下、声が響き渡る。
「「「「「「「「「「ワァァァァァァァァァァッ!!!!」」」」」」」」」」
ある者は喜びのままに叫び、ある者は顔を押さえながら大粒の涙を流し、またある者は近くに居る者と抱き合い喜びを分かち合う。
ガイア連合が参加した異界攻略では見慣れた光景であり、終末を前にすれば取るに足りない光景ではある。
しかし、彼等にとっては長年待ち望んだ悲願成就の時である。
失われた命に報いることが出来た、仇を討つことが出来た、長い夜を越えて夜明けを迎えることが出来た彼等は思い思いにこの瞬間を味わっている。
万感の思い込められた声が、暁の空に響き渡る。
そんな光景を、そんな彼等を変身を解除した総士は静かに見つめていた…………
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「では、私はこれで失礼します」
「総士殿、この度は本当にありがとうございました!!」
「「「「「「「「「「ありがとうございました!!」」」」」」」」」」
異界跡地から村に戻り、是非にという村総出の大宴会に参加し持て成された翌日、総士は村人達に見送られながら旅立とうとしていた。
「いえ、私はあくまで依頼を果たしただけですので。それに、皆さんの長年の悲願達成の手助けが出来て良かったです」
「手助けなんてそんな!!貴方が来てくれなかったらこの村は滅びを待つだけかあの鬼に飼い殺しにされるしか無かったのですぞ!!それを貴方は力を貸してくれただけでなく、これぼどの武器や装備まで用立ててくれたばかりか全ていただけるとは……………しかし、本当によろしいので?」
恐る恐るといった形で村長は訪ねてくるが、総士はなんてこと無い様に返答した。
「はい、問題ありません。その装備は連合からの支給ではなく私個人で用意した物でどうするかに関しても個人に一任されていますので。それに、私自身趣味といった金銭の使い道があまり無く、ただ貯め込むだけになるよりはこうして皆さんの力になった方が良いですし」
「そうですか…………総士殿、依頼に応えて来てくださったばかりか、我々にこれほどまで手を尽くしてくださった事、感謝致します」
村長の言葉に合わせ、村人全員が総士へ向けて頭を下げた。
「皆さん、頭を上げてください。あの異界を攻略はしましたが、また異界が出来るかもしれませんし、異界が無くとも悪魔による被害を受けるかもしれません。むしろこれからが皆さんの正念場です。私も依頼さえあれば駆け付けますが必ず来れるとも、間に合うとも言い切れないので」
「えぇ、分かっておりますとも。貴方が切り拓いて下さった夜明けを私達自身でも守り抜く為、出来る事をしていこうと思いますじゃ」
「そうですか、頑張ってください。私も陰ながら応援しています。では、お元気で。また会いましょう」
「「「「「「「「「「さようならー!!」」」」」」」」」」
村人達に見送られ、総士は帰路に就いた。
山道を歩きながら、彼は今回の依頼を振り返っていた。
普通のガイア連合所属のデビルバスターならば現地に到着後、速やかに依頼を達成し帰還するのだが彼は今回の依頼で1週間滞在していた。
その気になれば己のみでこの異界に存在していた悪魔全てを根絶やしにしてしまえるにも関わらず、剰え足手まといとしか言いようの無い現地民を伴って石橋を叩いて渡るが如く慎重な歩みでだ。
これが他の面々ならば自身とシキガミのみで攻略してしまうし、成長限界の観点から現地民を軽視する転生者ならば馬鹿のすることと嗤う者も居るだろう。*14
しかし、それでも総士はこのやり方を変える気は毛頭無かった。
(彼等にとってこの異界の攻略は悲願であり、自分達の手で成し遂げたいという意志もある…………ならば、手助けしたいと思うのが人情じゃないか)
そう、つまりはそういうことだった。
稀人来たりて全てを丸く治める、それでも確かに彼等は救われるのだろう。
しかし、今の今まで戦ってきた彼等の想いが、悲嘆が、苦闘が真に報われ救われるには、彼等自身の手で幕を引くのが最上であるのもまた事実だ。
当然、あまりにも危険であるならば自身のみで攻略するつもりであったが前情報で異界の主がオニであり、自分が行動を潰すのであるならば問題無いと判断し今回の行軍に踏み切ったのであった。
甘いのだろう、非効率的なのだろう、偽善的なのだろう、全て事実だ。
しかし……………しかし、それでも。
(頑張ってきた人が報われてほしいと思うのは絶対に間違いじゃない。それを手助けする。それが、俺の決めた『命の使い方』なのだから)
【阿修羅 ■■総士/サーガラ】
年齢:20歳 転生者
ステータスタイプ:力中心のバランス型
レベル:26
HP:214
MP:172
力28 体25 魔15 速15 運14
得意属性:万能属性*15
防御相性:なし
スキル:喰いちぎり*16
:ヒートウェイブ*17
:氷結ブレイク*18
:破魔ブレイク*19
:メディア*20
:チャージ*21
:反撃*22
:リストア*23
特殊スキル:飛行、調律の心得*24、指揮官適性
というわけで今回は任務回という名のアバタール・チューナーに於ける戦い方を自分なりに小説に落とし込んだ(つもりの)回でした。
こんな感じに遅筆かつ不定期更新ですがお付き合いいただければ幸いです。
そういえば自分用にマントラの置き変えとExcelでマントラ・ヘキサ・ドライブ作ったけど各話ごとのマスター状況と習得スキルの一覧って需要あるんだろうか?
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是非!!
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別にいらん