テラフォーマーズVS東京喰種(凍結)   作:翔馬

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新年明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願いいたします。
今年初投稿です。
良かったらお暇つぶしにどうぞ


交渉

 (何がどうなってるの?)

 

ヨツメこと、元アオギリの樹の幹部である、笛口雛実は机の上にあるコーヒーを覗き見る。

 

 どこから見てもコーヒーである。

 

でもそれはここにあるはずのないもの。

何故なら彼女がいる、ここは監獄の中。

食事は決められた物しかでない。

それも何日かおきに一食のみだ

当然コーヒーはメニューにない。

 

なのにないものがあるのは出されたからだ。

 

 

 

 1

 

「飲まないのかね?」

 

雛実の反対側に座る総司が声をかける。

 

 総司は雛実が本を置いてる机の反対側に腰を下ろしており2人は対面している。

総司の手元にも雛実と同じコーヒーが置いてある。 

砂糖入りという違いはあるが。

(雛実は当然ブラック)

この2つのコーヒーは、総司の後から入ってきた雷が用意したものだ。

どこに持っていたのか、豆を挽く道具等を取り出しブレンドから、豆を挽くという手間を掛けて入れたのだ。

入れ終わった雷は、後片付けをしている。

手元には自分の分のコーヒーも入れて置いてある。

 

これも当然のこと中味はブラックだ。

 

「いただきます」

 

覗き見ていたコーヒーに雛実が手を伸ばしカップを持つ。

 

 

 

「この香りは」

 

カップの中から漂ってくる香りに、雛実は 

懐かしさを覚える。

より香りを敏感に感じようと、雛実は目を閉じる

 

目を閉じる事によって、グールの人より優れた

嗅覚がより鋭敏になり、香りをより強く感じる。

 

 

 

「気づいたようだね。

豆はアンティークで使っていた物だよ」

 

 

独り言で呟いた小声だったが、聞こえていた

ようで、総司が答える。

 

 

「最も淹れたのは、芳村氏程の腕利きでは

ないから、味も同じとはいかないがね」 

 

 

「いえ、美味しいです」

 

そう言って雛実は、カップの中味に口をつけ、飲む。

 

 

 

 

コーヒーを飲んでいる、雛実を総司は満足げに

見ている。

 

 

 

 

「それは良かった。

 弟もコーヒーにはこだわりがあってね。

芳村氏のレベルには達していないが、なかなかのものだろう」

 

「はい」

 

 

全部飲み終えた雛実が、笑みを浮かべて言う。

 

 

それを聞いた、雷が口元を緩め微かに笑う。

 

 

(うむ、わざわざ探して豆を取り寄せたかいが

あったようだな)

 

雛実と面会するとき手土産が必要だと、思った総司は、いくつかの手土産を用意していた。

このコーヒーはそのうちの1つ。

コーヒーを差し入れると決めた総司に、雷が

どうせなら豆にも拘ろうといって、アンティークで使っている豆を使ったのだ。

最初はそこまでしなくてもと思った、総司だったが、反対しなかったのは正解だったようだ。

 

(さて、お姫様がご機嫌なうちに話を詰めるか)

 

 

わざわざコクリアに来たのは、コーヒーを

振る舞うためでもなければ、口説くためでもない

助力をえるためなのだ。

 

総司は、コーヒーを飲み終えた雛実との、交渉を始める為の第一声を放つ。

 

 

「ところで、ヨツメ様にお願いあるのだけど聞いてもらえるかね?」

 

 

「お願いですか?」

 

飲み終えたカップを雷に手渡しながら、雛実が  首を傾げる。

 

 

「そうだ、お願いだよ。

何そんなに難しい事でもないし、君に取っても

悪い話ではないと思う」

 

 

そこで一旦話を区切った総司は、持ってきていた

荷物から一つの書籍を取り出す。

 

 

「おっと忘れていた。

ハイセ君から預かっていたんだ。 

ヨツメ様君へのプレゼントだ」

 

総司は、そう言って持っている書籍を雛実が

さっきまでコーヒーカップを置いていたところに置く。

それは一冊の本。

 

 

「お兄ちゃんから?」

 

雛実は顔を綻ばして満面の笑みを浮かべると

目の前に置かれた本を手に取る。

 

「これ高槻先生の新作ですね」

 

 

「高槻せんが好きなのかい?」

 

 

「はい」

 

「そうかい。

優れた作家だが、私の趣味ではないから読まないが、よいことだよ。

賢き者は先人の知識から学び、愚かな者は

己の経験から物事を学ぶ。

ヨツメ様はどうみても前者だから、その本は

君の為になるだろう」

 

総司は、両手を重ね支えにすると、その上に顎を乗せる。

 

「先人の知識とは、書物だからね」

 

 

「そんな大層な理由じゃありません。

まぁ、昔は字を覚えるのに読んだりしてましたけど、今はそれだけじゃなくて、本の内容が面白いからです」 

 

雛実は大事そうにハイセからの贈り物を

両手で持って胸に抱える。

 

 

「ふむ佐々木君を連れて来れなかったのが悔やまれるなぁ。

本来は彼に付き添ってもらいたかったのだが

重要な任務が入ってしまってね。

後ろで洗い物してる弟はそのピンチヒッターと言うわけだ」

 

 

 コーヒーカップを洗っている、雷を首だけ振り返って見た後、総司は再び雛実を視界に入れる。

 

 

「重要な任務ですか?」

 

 

「彼の率いるクインクス班は、CCGの上層部も

期待していてね。

 結構な大物一族の殲滅作戦をするそうだよ」

 

 

 

 

「大物一族ですか?」

 

 

「心配しなくても、アオギリの樹でもないし、

新しいアンティークでもないので、安心したまえ」

 

 

「そうですか」

 

 かつての仲間達に危機が迫っていないのを

知り、ほっとする雛実。

 

 

(まぁ狙われてるのは、月山一族なんだが

これはオフレコにしとかないとな)

 

 

 

「なぁ兄貴」

 

「なんだ?」

 

雛実と楽しいおしゃべりをしているのに、

横から耳元に話しかけられた、総司は

少し不機嫌そうに、顔をしかめて返事を返す。

 

 

 

返事を返された雷は、雛実に聞こえないぐらいの小さな声で喋り出す。

小さすぎる微かな声だが、総司は耳もいいし

最悪読唇術で唇を読めるので、支障はない。

 

 

 

「面会時間も決まってるんだ。

早く要件を言って連れ出そうぜ」

 

「面会時間など、一時間でも五時間でも

十時間でもいくらでも伸ばせる」

 

何の問題もないと総司は返す。

 

 

「それぐらいあんたには訳ないんだろうけどな。

俺が嫌なんだよ、こんな辛気くさいところ」

 

 

周りを見渡して、うんざりした顔で雷は

呟く。

 

その顔には疲労が見えていた。

肉体疲労ではない精神的な疲労だ。

 

さっきからずっと聞こえている、同胞たちの

嘆き声に雷は参っていた。

 

(次からは例え兄貴の命令でも、断ろう。

二度とここへは来たくねぇ)

 

 

そんな弟の辛い気持ちが、表情や雰囲気でわかったのか、総司はわかった本題に入ると伝えると

雛実との交渉にはいる。

 

 

「私の話しを聞いてくれるかなヨツメ様?」

 

 

「はい何でしょう。

私と世間話やお兄ちゃんからの、本を渡しに来ただけではないんですよね」

 

 

聡明な雛実は、何か別の目的があるのではと

よんでいた。

 

 

「その通りだよ。ハイセ君からのプレゼントを

渡しに来たのはついでだよ。

先ほど自己紹介の時に言ったと思うが、私に

ヨツメ様、君の力を貸してほしいのだ。

わかりやすくいうと、私が所属するUNASA

の火星探索チームの特殊部隊に入って欲しい」

 

 

 

 

 「私はここから死ぬまで出ることはできませんが」

 

 

いつ処分されるかわからない自分にこのひと

は何を無茶な事を言ってるのだろうと

雛実は思う。

 

 

「その点は心配いらない。

CCGとは話がついてる。UNASAの火星探索チームに入ってくれるのならば、君は釈放だよ」

 

 

雛実の疑問にたいし、総司は信じられないような夢のような話しをする。

 

 

「そんなCCGが捕らえたグールを釈放するなんて、そんな事するわけが」

 

雛実は信じられないと、首を左右に振る。

 

「CCGは関係ないよ。

君の力が必要だから、私は君を釈放させるんだ」

 

 

総司は、左足の上に右足を乗せて組む。

 

 

「これはドッキリでもないし、幻でもない現実だ。

君さえ了承してくれるなら、今すぐここから出られる。

それだけじゃない、お母さんのリョーコさんが

CCGに殺されて使えなくなった戸籍も、新しく作る事もできる。

字さえ我慢してくれるのなら、違う字を当てて

笛口の戸籍を作ったって構わない」

 

「ヨツメ様、君は勉強も好きだよね

UNASAに来てくれるなら、UNASA内にある

学校で勉強もできる。

最高で大卒の資格も手に入れられるよ」

 

総司は、雛実に取って夢としか思えない

話を続ける。

 

「UNASAの火星探索チームに入れば

莫大なお金が支度金として出される。

都会なら家を一括で買えるし、田舎なら

一生楽に暮らせるよ」

 

総司の説明を聞いた雛実は、自分の頭の中で整理してから、返答する。

 

 

 

 

 

 

 

「話が上手すぎですね。

それだけの好待遇なら、当然それに見合う

代償があるはず。

私に何を求めるのですか?

といっても私が与えられるものなんて

アオギリの樹の情報か、……この身ぐらいですけど」

 

 

少し自嘲するような口調で雛実が返答する。

 

 

 

そんな雛実の返答を聞いた総司が、笑みを浮かべる。

 

 

「相手が頭がいいと会話が楽しいね。

君の懸念はもっともだヨツメ様。

まぁこの身が正解かな。

UNASAの火星探索チームは来年火星探索に行くからね、ヨツメ様には火星に行ってもらうことになる」

 

 

「火星ですか。

確かテレビでちょっと見ました。

火星を人類が住めるようにするって計画が

もう何十年も前から行われていると」

 

 

「正しくは何百年も前からだ。

人類は増えすぎてねぇ。

このまま地球に今の人口で住み続けると、いずれエネルギー不足や食料不足の危機に陥ってしまうのだ。

そうならない為に人類には新たな資源がそう

新たな地フロンティアが必要なのだよ。

そのフロンティアとなるのが、火星だ」

 

 

「でも火星探索は上手くいってないって

テレビでは言ってました」

 

「人は何とか住める事は住めるんだが。

とはいえ、標高八千メートルにいてるのと

変わらない環境だから、もう少し改良は必要だが

それよりもっと厄介な問題があってね。

火星探索チームはその厄介な問題を何とかするために行くんだよ」

 

 

「厄介な問題ですか?」

 

雛実はあまりのスケールの大きな話に、困惑する。

 

頭がいいとはいえ、カネキやとうか達に、最低限の勉強を教えて貰っているだけで、学校には

行ってないので、それは無理もない。

 

 

「表沙汰にはされてはいないが、火星には

グールとは違うもう一つの人類の天敵いや

宿敵がいるのだよ」

 

 

「宿敵?」

 

 

「その名はテラフォーマーズ。

その正体はかつて人類が火星を人が住める

地にするための計画テラフォーミング計画に使われたゴキブリが人型の大きさにまで進化した

巨大ゴキブリ。

それこそが人類のもう一つ宿敵のだよ」

 

 

「人型の大きさのゴキブリですか?」

 

 

スケールの大きい話にさらに、突拍子もない

事を言われ雛実は何の事かさっぱりわからなくなった。

 

 

 

 

「……わかりました。

現在地球は未知のウィルスが、蔓延していて

そのウィルスが火星から来たもので、そのウィルスに感染している人たちを救うために火星に行ってそのウィルスを手に入れてワクチンを作らないといけないと」

 

 

「火星にしかない、ウィルスでね

地球だと培養できないから、火星に取りにいかないといけないんだ。

致死率100%のウィルスだからね。

ほっとくわけにもいかないのさ、罹患者の中には

女子供もいるしねぇ」

 

 

(まぁ他にも、薄汚い裏事情もあるんだが、それは言わなくてもいいか)

 

 

テラフォーミング計画などの、壮大な話についていけなくなっていた雛実に、懇切丁寧に総司は説明した。

幸い雛実は理解力が高かったので、15分ほどで

火星探索チームがどういうものか、自分がどういう役目を負うのか理解してもらえた。

 

 

(聡明で美しい。また惚れた男のためなら

命すら賭けられる芯の強さ。

惜しいなぁ、ハイセ君がいないなら口説いているんだが)

 

 

「ハイセ君は幸せ者だな、トウカちゃんといい

ヨツメ様といい、とびっきりのいい女だ。

 

おっとリゼさんもいたな」

 

 

「何か言いましたか?」

 

雛実が、何か言ってる総司に声をかける。

 

 

「いやっ、大したことじゃない。

ちょっとした事を思い出してね」

 

 

(おっとつい声に出してしまっていたか

気をつけないと)

 

 

心の中で考えていたことを、無意識に口に出していた事に総司は気づき、注意する。

 

 

「それでヨツメ様。

返事を聞きたいのだがどうするね。  

私と一緒に来てUNASAの火星探索チームに入ってもらえるかな?」 

 

「もらえるとはどういう事ですか?

ここでただ死を待つだけの私に他に選択肢は  ないと思いますが」

 

「そんな事はないよ。

嫌なら、ここから出してアオギリの樹に返してもいいし、reに連れて行っても構わない

学校に行くのは無理だが、笛口の戸籍と

UNASAの支度金には劣るが出所祝い金は

出させてもらうよ」

 

 

「おい兄貴いいのかよ?!」

 

兄のとんでも発言に後方で雛実とのやり取りを

聞いていた雷が口をはさむ。 

 

アオギリの樹に返すか、reに連れて行く。

これはグールを1人野に解き放つということだ。

UNASAの火星探索に従事させ国家の為に働かせると言うから、CCGも許可を出してくれたのだ。

総司の言ってる事は、CCGへの裏切り行為としか言えない。

 

「構わん。

CCGなど所詮この東京せいぜい日本の治安を

守るだけだ。 

人類の未来の為に働いている俺に比べれば

どちらが優先されるかなど、火を見るより明らか」

 

心底どうでもいいと言った感じで、総司は

答える。

 

そんな兄の態度をみて雷は、寒気を感じる。

 

 

(自分の目的の為なら、法など関係無しか

情も周りも関係無し、全てを廃しただ

合理性と効率だけを考える。

恐ろしい人だぜ)

 

 

 

「……でそろそろ返事を貰えるかね、ヨツメ様

弟がここにあまり長居はしたくないらしくてね」

 

 

雷を黙らせた総司が、雛実の返事を求める。

 

 

「……わかりました」

 

よく考えるために目を瞑って思考にふけっていた

雛実が目を開ける。

 

「ここにいて、死を待つのが私の運命だと

思ってました。

そして私はその時がくるのがとても怖かった。

あなたについていけば、また戦いの日々になるんでしょうけど、それでもここで明日か1ヶ月後かと死に怯えて生きるよりは、ましだと思います。

UNASA火星探索チームの一員になります。

……私をここから連れっていって下さい」

 

 

雛実はそこまで言うと、総司に深々と頭を下げた。

 

 

「ヨツメ様ありがとう。UNASAは君を歓迎する

ようこそUNASAへ」

 

 

 

総司は、頭を下げる雛実の顔を上げさせた後

とても嬉しそうな笑みを浮かべた。

 

横で聞いていた雷も、聡明な同胞の参戦に

拳を握りしめて喜ぶのだった。

 

 

 

 

 




最後まで読んで頂きありがとうございました。
なるべく質を落とさず、それでも少しでも執筆スピードを上げて、読者の方に喜んで頂ける
作品を書いて行こうと頑張っていきます
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