今回も難産(笑)
「ほう~雷の奴、本気だな」
空中で二匹のテラフォーマーと対峙しながらも、総司 には地上の弟の戦いを見る
余裕があった。
地上の雷はかぐねが先ほどの倍以上にもなって体を完全に覆い、その羽赫から炎が迸り、さながら炎を纏った鎧だ。
明らかに普通とは違う赫子 だが総司はそれに驚かない
何故なら彼は知ってるから
「たいしたものだ。
マメに共食いしてるだけは ある」
弟が赫者であることを。
2
「はぁーはっはぁー……光 栄に思えよゴキブリど も!!俺の本気は、ハトの特等 捜査官や凄腕喰種でも めったにみれない ぜぇー」
鎧のように纏った赫者のかぐ ねから迸る、炎をうっとり見ながら雷は悦に入る。
若くして赫者それが、かつ て東京三区で風神または雷 神と恐れられたSS~レート
の喰種の真骨頂。
雷の父親は、総司の父親の
ボディガードをやっていた。
無論喰種であることを隠してだ。
だが雷が15の時CCGに
見つかり、父と母、姉は駆除された。
父はクインケを作るため
体を抉られ赫胞を取り出され
腹にどでかい穴があき、抵抗したため手足は壊れた人形のような有り得ない方向に曲がっていた。
母と姉は、もっと酷かった。
手と足を斬りとばされ、散々陵辱された後、殺されていた。
喰種はなるべく苦しませないで仕留める事と喰種対策法にはあるが、悪である喰種を滅ぼせばいいだろうと、特に
守っていなかった。
まぁ人の歴史を紐解けばわかるが、十字軍、アヘン戦争
アウシュビッツ、正義を掲げた人間はろくな事をしない。
たまたま出かけていた雷は
家に帰る途中でCCGが家に
強襲をかけたのを知り、あてがなかったので、風神の家に
逃げ込んだ。
本来ならすぐに引き渡されるのだが、総司の父りつおは
CCGに協力するより、喰種を
配下にする方がメリットがあると判断し。
雷の家族を処理した捜査官達に金を渡し、雷を死んだことにしてもらった。
(若干1名拒否したが
次の日にはこの世に別れを告 げた)
総司と同じく父りつおも喰種の高い戦闘力を火星での任務に使えるとかんがえていたのだ。
似たもの親子である。
さらにりつおは、戸籍を偽造し雷を自分の養子とし、家庭教師を雇い、最低限の教育まで施した。
りつお亡き後も総司は雷を弟として扱ってくれる。
利用されていると言えども
雷にとって風神家は大恩ある
恩人なのだ。
だから彼は総司の義弟に
して忠実な部下なのだ。
「じ~じじっ……」
さっきまでと明らかに違う雰囲気を纏い、鎧から炎を吹き出してる、雷を斧を持ったテラフォーマーは注意深く見ている。
テラフォーマーに恐怖はな い。
だが食事をしただけで
力を増している、雷を
警戒している。
とはいえ、食事してパワーアップするのは、雷だけではない。
テラフォーマーもそうだ。
カイコガ食べてムキムキになり、アシカ食べて筋肉が
喜ぶ。
「じっじじ」
どうしたものかと、思案するテラフォーマーを突如、赤い
線が貫く。
「じっ……」
赤い線の元を辿るとそこに は指先をテラフォーマーに
向けてる雷が立っている。
雷が赫子から放出している
炎を一直線に放ったのだが
急所食道下神経節を貫かれた
テラフォーマーには何をされたかもわからず無言で、俯けに倒れるしかない。
「いくら、人間大に進化し たゴキブリとはいえ、急所
ぶち抜かれたら一発か」
地響きと埃を撒き散らし倒れた斧持ちテラフォーマーを満足げに見た雷は次の獲物を
探すため、周りを見渡した。
3
「なんだ……?」
生き残りのテラフォーマー がいないかと、見回してい た雷は、空から液体のよう なものが、降っているの に気づく。
その液体が、降り注ぎ雷の
肩に付く。
自分の肩に付いた、液体を
雷は手に取り確認する。
その直後、地面に何かがぶつかったような音が鳴り響き
その音は三回続いた。
やがて、音が鳴り終わった
後、雷はその物体が落ちた
着地点に歩いていく。 歩を進める雷に、警戒心は
ない。
何故なら彼のグールとしての優れた感覚が、着地点に 彼の信頼する家族がいると
教えてくれるから。
着地点に着くと、そこには
落下の衝撃で液体をぶちまけ
たテラフォーマーが3体
一体は胸の急所食道下神経 節に棒手裏剣のようなも のが突き刺さっており、テ ラフォーマーの瞳孔が開ききっているのが、その死亡を 物語っている。
(俺の羽赫の欠片でしとめる か。
さすがは兄貴ハトでも
これほどの芸当が出来る者は 少ないだろうな)
テラフォーマーを仕留めた、 得物の正体を看破した雷は
兄の手際に感心する。
アメリカで開発された
新技術LMO手術を施された 総司の戦闘力はSS~レート
の雷をもってしても、近接 戦ではかなわない。
(まぁ空中戦と遠距離戦な ら雷に分があるが)
二匹目は、頭から尻まで
脳天唐竹割に、斬られて
死んでいる。
確認するまでもない即死だ。
残る最後の一匹は
「座り心地の悪そうな椅子だなぁ」
「こんな不気味な椅子は
タダでもいらんがな」
三匹のテラフォーマーを片付けた総司が、最後の三匹目の腹の上に座りながら、弟を見上げ苦笑した。
羽赫の欠片が食道下神経節と両目に、計三本突き刺さっている。
「これで全部片付いたか?
」
腰掛けた極めて座り心地の
悪そうな椅子から、立ち上がった総司が弟に確認する。
「おれと兄貴合わせて四匹 だから後二匹だな」
「そうか。では残り二匹を
片付けるか」
手短な報告を受けた総司は
残った二匹を探すために
歩き出す。
雷は鼻を使い、テラフォーマーの位置を探す。
「兄貴、あっちだ二階の観客席の辺りから、テラフォーマーの匂いが2つと……まて
もう1つこれは人じゃない
喰種か、それにこの匂いは」
その時分析中の雷の頭上を、人間砲台よろしくテラフォーマーが2体飛んでいき、壁にぶち当たる。
飛んできた、テラフォーマー達の方向を見ると、野球のピッチャーが投球を終えたような、振りかぶった状態のままでいる、1人の男。
信じられないが、テラフォーマーの飛んできた方向を見る限り、この男がテラフォーマー2体を投げ飛ばしたしか思えない。
だとするなら、とてつもな い膂力の持ち主だ。
テラフォーマーを投げ飛ば し終えた男は、今度は走る体勢になると、全力で走り
助走をつけて、観客席から飛び降り、壁にめり込んだテ ラフォーマーの元に向かう。
テラフォーマー達は、観客 席の反対側の一番遠い壁に頭からめり込んでいる。
男が、ダッシュして壁の元に着くと、壁にめり込んだ2 体のうち一体が壁から抜け出て、男の前に立ちふさがる。
大きな男だった。二メート ル程あるテラフォーマーよ りも高い。
2メートル10センチは
あるだろう。
だが、ひょろいと言うわけでもない。
力士のようなごつい体に
猛獣のような獰猛な笑みを浮かべる。
白いスーツに黒のシャツを
着て、ゴツい眼鏡をかけている。
怪物テラフォーマーを見て も臆した様子はない。
「……まさか奴が来てるとはな。
兄貴俺たちの出番は終わっ たみたいだ」
テラフォーマーと対峙する、
男を遠くから見ながら、雷は
横にいる、総司に仕事は終わりと告げ、座り込む。
「どういう事だ?」
そう言いながら、雷の隣に腰を総司は下ろす。
「後は、あいつに任せとけば終わる。
壁にめり込んでるゴキブリが動かないのをみる限り、残りは今立ちふさがってる、1 匹だけだ。
たかが、人間大のゴキブリ1匹、ゴーレムの敵じゃない」
雷は、興味深そうな眼で
テラフォーマーと対峙する、自身がゴーレムと呼んだ男を見る。
その眼はゴーレムが負けるとは思っておらず、ただゴーレムがどうテラフォーマーを料理するのかと楽しみにする。
「ゴーレムだと!!」
総司はゴーレムという名に覚えがあり、驚く。
(確か、6年前まで一区で
大暴れしてたSS~レート
の喰種だったはず)
SS~レート、ゴーレム
は義弟総司と並ぶSS~レートの喰種。
一区で単独で暴れ回り
鯱と同じく赫子以外の格闘技術にもたけており、その格闘技術と堅固な甲赫で遠縁とはいえ、和修一族の者を殺して名を馳せた。
が六年前に急に活動を止め、
CCGでは、24区に雲隠れしたのではないかと、噂されていた。
「雷と並ぶ、SSレートか
これは見物だな」
総司も雷と同じく観客となって、観戦にまわった。
「じじっ……」
壁から抜け出たテラフォー マーは、ゴーレムをじっと見る。
ゴーレムはその様子をじっと見る。
しばらく2人は睨み合う。
「じじっじぃーじじっ!!」
睨み合っていた、テラフォーマーが突然うなり声を上げだす。
テラフォーマーは唸り声を上げながら、体を振るわせる。
すると人間で言う尾てい骨の辺りから、真っ赤な触手の ような物が二本生えてくる。
「じじっ!!」
尾赫を生やした、テラフォーマーの左目は真っ赤に輝いていた。
最後まで読んで頂きありがとうございました