Advanced Witcher   作:黒須 一騎

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再びゼムリアへ

 

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最初はゲートの検証から始まった。

何故ならサブリナでさえ大雅を送った後、昏倒したことから慎重に進められた。

「先ずは一度単独でトゥサンに飛んでみるわ、向こうで24時間後に戻って来るので良いかしら」

「シリ、十分気を付けて、何かあったらすぐ戻ってきていいし、問題があるなら暫く休んでても良い」

「大丈夫よ、まかせて」

 

時間軸はある程度自由が利くらしく、もしかしたら数時間で戻ってくることも可能だという。

ただ、細かな調整は難しいようで、やはり連続した時系列が楽らしい。

 

シリの背中と引手の付いた大型のカートには、レトルト食品や調味料、チョコレートや菓子類などが満載されている。

どれも半固定インベントリでは転送できない物ばかりだ。

 

 

ドンッという空振と共に紫色のゲートが開きシリは手を振りなが以外にゆっくりと散歩でもする様に歩いて消えていった。

 

「さて、我々も仕事に戻りましょうか」

ゲートの為だけに、広くは無いが20平方メートルほどの部屋が引き当てられた。

シリが判り安い様に、大きなティディベアが置かれている。

彼女のお気に入りのぬいぐるみだ。

こうした物が有る事で、場所をイメージしやすくなるため、物は動かさないようにした。

 

 

ーーーーーーシリ視点ーーーーーー

 

ゲートを抜けると、そこはコルヴォ・ビアンコの見慣れた家の目の前だった。

 

「ふぅ、無事に戻れたわね。

 あ、BB丁度いいわ手を貸して」

「お帰りなさいませ、お嬢様」

「悪いけどこの荷物家の中に運んでおいてくれるかしら」

「かしこまりました」

 

「特段変わった事は無い?」

「はい、時折怪物退治でゲラルト様が数日留守にする以外は至って平和です」

「そう、あと異世界のお土産も有るから後で顔を出して」

「はい、ありがとうございます」

 

シリはドアを開けてゲラルトの家へと入っていった。

 

「ただいまぁ」

「あら、シリお帰り」

イェネファーと軽いハグを交わす。

 

「ゲラルトは?」

「地下のワイン倉庫よ、去年のワインの熟成具合を見に行ってるわ。

 もう戻ってくるはずよ、地下で酔っぱらって無ければね。

 で、どうしたの向こうではうまくやれてるの?」

「ええ、でも覚える事がいっぱいあって大変なのよ」

 

「タイガとはうまくやっていけそう?」

「まあ、女は一人増えたけど、その娘とも仲良くやっているわよ」

急にイェネファーの視線が厳しい目になった。

 

「ああ、勘違いしないでね。

 私からタイガに頼んだのよ、とっても一途な娘でね。

 生い立ちが私と似ているというか、まあほっとけないのよ。

 あの娘にはタイガしか居ないしタイガを取り上げるのもかわいそうで。

 それにちゃんと私も立ててくれるし、タイガの側に居られるだけで幸せだって。

 そんな娘、無下にできないわ」

 

「ふぅ・・・変わって無いわねシリ。

 話によっては燃やしてあげようかと思ったけど」

「止めてよ、やるなら私だわ」

「貴方がやったら消し炭も残らないでしょうに」

二人は笑った。

 

「随分楽しそうに話をしているんだな。

 お帰りシリ」

「ただいま、ゲラルト」

 

「なんだ、里帰りにしては早いようだが」

「門のテストのような物よ。

 明日には帰る予定」

「なんだ、もっとゆっくりしていけばいいのに」

「そうもいかないのよ、いろいろやる事が有って。

 パスポート作ったり在留資格とか住民票とか手続きが一杯なの」

 

「言葉も違うんだろう?」

「もちろんよ、頭のいい民族みたいでね、あっちの世界でも一番難しい言語だらしいわ。

 信じられる? 最低でも3種類、普通に4種類状の文字を駆使して会話しているのよ。

 今は日本語学校に通う前にサブリナから教えて貰ってる所よ。

 手紙で来ていない?」

 

「ええ、知っているわ。

 でも気を付けてね、ゲラルトみたいにモテるみたいだから女が増えそうなら燃やしちゃえば良いのよ。もちろん相手を」

「なんだ? シリが居るのに女が増えただとっ」

「ゲ・ラ・ル・ト、貴方はそれを批判する立場に無いわねぇ」

早々にイェネファーに釘をさされる。

 

「ホントに、お前が言うなって世界よねぇ」

すごく悔しそうな顔で横を向くゲラルトを他所に、再び二人は笑った。

 

「そうだ、ゲラルト。

 葡萄の栽培や種類について書いた本と苗木を貰って来たわ。

 それとこっちのワインとは全然違う種類の葡萄から作ったワインよ。

 2本だけ持って来たけど、1本はアンナ叔母さまにって」

「丁度いい、今夜宮殿に呼ばれているんだ、シリも行けるだろう?」

 

「・・・そうね、丁度話も出来るしいいわ」

「面倒なことだがな、ただワインに関しては公爵は厳しい目をお持ちだ、向こうのワインがどのように評価されるのか見ものだな」

 

三塚が選んだワインは、ゲーム機器メーカーの創業者が個人事業として立ち上げたブランドワインだ。

1本40万円を超えることもある「カルトワイン」並みの品質でありながら、数万に価格を抑えたワインはカリフォルニアで栽培され、その為に土迄入れ替えるという拘ったもので、栽培家は彼の畑を見た途端すでに育っていた14万本の葡萄樹をすべて引き抜き、畑を掘り返して、一から土壌を作り直すことを提案した。

そして醸造家は女性ではあるがロバート・パーカーが「ワインのファーストレディ」と呼び、タイム誌は「ナパ・ヴァレーワインの女神」と称えるほどだ。

その評価はパーカーポイントで満点を取る程である。

 

希少価値だけが売りのワインや、博打の様な特定の製造年だけがもてはやされる所謂高級ワインと違って、「買う気になればいつでも手に入る高級ワイン」を行くワインだった。

 

「お呼びでしたので参りました。お荷物はひとまず食堂のテーブルへ置いておきました」

そこへ丁度バーナバス・バジル・フォルティがやってきた。

「あ、BB忙しいのにありがとう、はいこれは向こうのサングラスよ。

 何種類か持って来たから好きなのを使ってちょうだい。

 中には太陽の光で濃さが変わるのも有るから」

 

「これはこれは、ありがとうございます。

 丁度痛んできていましたので助かります。

 ほお・・・素晴らしい作りですな、それに軽い」

「説明書は知り合いが訳してくれたわ、これよ」

 

こちらの世界ではメガネやサングラスは貴重品で有り、一つ一つ手作業で作られている。

なので結構な値段がするし、眼の矯正用メガネはさらに高い。

しかも武骨な木のフレームで有ってもだ。

 

「なんと掛け心地が軽い事か・・・これが異世界の・・・」

「それは何でもチタンという希少な金属らしいわ、軽くて丈夫らしいわよ」

「見たことも無い金属ですな」

「こっちじゃ作れない金属らしいわ、あ、そうだちょっとまってて」

 

シリは台所のテーブルから木箱を取上げ持って来た。

「はい、これイェネファーにお土産、錆びにくい金属で出来た包丁セット。

 研ぐときはこの専用の砥石を使ってね、これじゃ無いと研げないみたいよ」

 

「これも見た事の無い金属だな」

ゲラルトがイェネファーから借りて見ている。

「えっと・・特殊超合金だったかな・・ニッケルとタングステンなんとか・・・ごめん聞いたけど良く解らなかったの。

 まあ、とにかくこっちには無い金属ね。」

「これで剣を作れば凄い物が出来るだろうな」

 

「こっちじゃ無理らしいわよ。物凄く硬くて強靭な金属だからこの砥石じゃ無いと研げないらしいの。

 だって其の砥石、金剛石で出来ているらしいから」

「なにっ・・・金剛石だと・・」

ゲラルトが砥石を取上げて見ている。

「目に見えないくらい細かな金剛石を、軽い金属の表面にくっつけてあるらしいの、作り方は判らないわ」

 

「あらゲラルト、そろそろ出ないと宮殿に間に合わないわよ、それとも門で送りましょうか?」

「いや、馬で行くよ、ローチはそうでもないがナジャムが乗ってやらんと臍を曲げるしな」

 

二人はローチとナジャムに分乗し宮殿の有るボークレールへと向かった。

 

 

 

「良く来てくれました、ゲラルトそしてシリラ」

「ご壮健で何より」

「お久しぶりですアンナ叔母さま」

「ええ、美しくなったわね。 身を固めたと聞いたのだけれど?」

 

「すまんシリ、話しの中でついな」

「ええ叔母さまも知っている人です、タイガよ」

「ほう、ほうほう・・・あの者とか。

 して子爵は何処に?」

 

「タイガなら向こうの世界よ、今回は仕事が有ってこられないのよ」

「ならば仕方ないですか。 偶には顔を見せて欲しい物なのですが。

 彼がもたらした物は素晴らしい物ばかり、茶も収穫が始まり紅茶の生産もやっと始まりました。

 ワインに次ぐ名産になりそうですのに、既に価格は金と同じ値段で取引されていますよ」

 

「それですが、葡萄の苗木が向こうの世界からいくつかもたらされました。

 コルヴォ・ビアンコで栽培しようと思っています」

「ええ、栽培と醸造に長けたバーナバス・バジルが居れば難しくは無いでしょう。

 ただ、この土地でうまく育ってくれるかどうかですが」

 

「それと向こうの地で造られたワインです。

 1本だけですが、ご入用なら購入となるでしょうが手配は可能でしょう」

「そなた、ソムリエのヴェノワにカステル・ラヴェロのサングリールを1本持って来るよう伝えて頂戴、今すぐよ」

侍女が頭を下げ出て行った。

 

暫くすると宮廷お抱えのソムリエであるヴェノワがカートを押して入ってきた。

「閣下、サングリールをお持ちしました」

 

「せっかくだから飲み比べて見ましょう」

タイガからもたらされたワイングラスに注がれたワインが2つづつ前に置かれた。

 

「ヴェノワ貴方も飲み比べてみなさい、忌憚のない評価を」

公爵はリリースしたヴェノワに席を勧めた。

「では御前失礼して」

 

「色は濃いガーネット・・・だが見たことも無い程透き通っていますな」

「ええ、これほどまでとは・・」

「香りはベリー系の複数の香り・・・それに見え隠れするペッパーや甘い香り、まるで香りが複雑に積み重なった様ですな」

「これが向こうの世界のワイン・・素晴らしいわ・・・」

 

ヴェノワは一口飲み口の中で遊ばせ飲み込んだ。

「なんというリッチな味わいでしょう、重厚なだけでなく・・・伸びのある酸味と軽やかな渋み、豊かな果実味・・・後から来る厚みのある甘みのような味わい・・どれも一級・・・いえ、特級品と言えます」

「これほど素晴らしいとは・・・・」

 

「しかし、食卓のワインとはなりませんな」

ヴェノワは首を振りながら答えた。

「そうかしら、こんなに素晴らしいワインなのに?」

 

「はい公爵様、これに勝てる食事や摘まむ物が有りません。

 このワインはコレだけで一つの芸術ともいえるワインです。

 しいて言えば、肉系のそれもかなりコクのある物程度でしょう。

 このワインは料理を選びます、普通の食事では太刀打ちできませんな」

 

「確かにサングレールと飲み比べて見るとはっきりとするわね。

 ワインの専門家としてこのワインに値段を付けるとすればどのくらいですか」

公爵は執事に尋ねた。

「そうですね、サングリールは年度にもよりますが売るとすれば1本あたり金貨数枚、このワインならば少なくとも1本金貨10枚はくだらないでしょう。

 一度口にしたら忘れられなくなる味です。

 貴族達はこの味を知ったなら金貨20枚でも出すでしょうな」

 

ワインも飲み比べて見ると良く解る。

ホークレールも美味しいが、どちらかというと口の中の脂分を流す為に酸味が強い。

比べてシリが持って来たワインは、シンプルにパンにオリーブオイルを掛けたものや、シュガーラスク様なシンプルな物がよく合う。

つまり、ワインの味が強すぎて食事が負けてしまうのだ。

 

「どちらかというと食後にゆったりと香りを楽しみながら飲むワインと言えるでしょう」

4人で飲むとワイン1本なぞすぐに消えてしまう。

 

「ゲラルト、何としてももたらされた葡萄の苗木をモノにしてください。

 必要な援助は望みのままに」

「はっ、判りました」

「それとシリラ、これはまだ手に入りますか?」

 

「ええ、まったく同じものではないでしょうが、同じ銘柄なら」

「次回来る時で結構です、12本ほど・・いえ・・24本ほど仕入れてください」

「はい、ですがいつとは約束できませんが」

公爵はヴェノワに耳打ちすると下がらせた。

 

少しすると執事がずっしりとした革袋を持って来た。

「これはその費用です」

中にはびっしりと金貨が詰まっている。

シリは少し考えると言った。

 

「叔母様、代金は次に持って来た時で良いわ。

 向こうでの値段も聞いていないし。

 あと少しばかり忙しくなるので、ワインについてはゲラルトからで良いかしら」

「判りました、では代金はワインと引き換えという事で」

 

「実は叔母様、折り入って相談が有ります。

 これからのこの世界の有り様について」

「しっ、ここにはエムヒルの耳が有ります。

 追ってゲラルトに伝えますからコルヴォ・ビアンコで話しましょう」

アンナは小声でシリに耳打ちした。

 

「はい、ただ私は明日一度向こうに帰ります。

 なので少し時間を空けてからが宜しいかと。

 私とゲラルトの所は手紙ですが1日程度で連絡が取れますので」

「わかりました、その様に致しましょう」

 

その夜、ゲラルトとイェネファーにも帝国の衰退手段について話し合った。

トゥサン公国は北側はシントラ、テメリアから入りやすい物の、南側はやっと人一人が崖にへばりついて進める渓谷が続き、兵を進められるような地形では無い事。

トゥサンの事実上最南端の町フランコラーツ以南は町どころか村も存在していない事だった。

紛争さえなければ日本としてはどの国とも国交は結ぶ気になればできる。

しかし、紛争真っただ中の国と国交を結ぶにはリスクが大きすぎた。

 

 

「だとすると、トゥサンの南側は警戒する必要が無い訳ね」

「そうだシリ、南側からトゥサンに入るには例えウィッチャーや魔術師で有っても難しいだろう。

 ただ、魔術師が宮殿などへ転移してくれば別だが、そんな魔術師は限られる。

 東側経由で進軍してくるのは現実的ではないだろう。

 度重なる戦闘でニルフガードも大きな痛手を受けている。

 東側経由で本国から進軍するとすれば2か月は多くかかる、とても即応できるような進軍路ではないな、来たとしてもクルゼイあたりに居る精々百人程度が良い所だ。

 それよりシントラの守りはどうするつもりなのだ?」

 

「シントラの最南端のアッテレを押さえれば簡単に侵攻は防ぐことは出来るわ。

 問題は北方の上納金や物資をどうやって止めるかよね」

「向こうの世界に協力を仰ぐことは出来ないのか」

 

「兵を派遣する事は難しいかもしれないわ。

 色々な事が絡んでいて、PKOという派兵はあるけどそれはあくまで向こうの世界の中での話なの。

 こっちの世界はそういった国際の機構や日本の法の範囲外なのよ」

「いっそ、タイガの上司にでも来てもらおうか? その方が話が早いだろうし。

 でも本来ならこちらから出向いていくべきなのかも」

 

「それは判るし本来ならそうすべきだろう・・・だが・・・」

「門は嫌いなのよねぇ・・ゲラルトは。

 いっそ、私が行きましょうか?

 私ならニルフガードについても詳しいし、ここらへんの地理についても詳しいわ。

 一肌脱ぐわよシリの為だもの。

 でも良いの?

 貴方が嫌いだった国を治める為政者にならなきゃならないし、下手すればニルフガードさえ治めなきゃならなくなるかもよ」

 

「もともと父は私を為政者にしたいみたいだったわよ。

 おかげで皇帝学とか散々叩き込まれたし、あれで嫌になっちゃったのよね。

 大体、よく考えればニルフガードなんてバカでかい盗賊みたいな物じゃない。

 あんな国は大嫌いよ」

「でも今回はそれに足を踏み入れないわけにはいかないわよ」

「覚悟はしてるわ」

 

シリが考えているのはこっちの世界情勢のスクラップアンドビルドだ。

それもできるだけ民の血を流さずに。

 

 

翌日シリは日本へと戻ってきた。

そして、報告と度重なる協議が続けられた。

 

「先ずは情報の取得が最優先です。

 そのヴァル・アトレ元大使ですか、彼にニルフガードの詳しい情報を提供してもらいましょう。

 あと、トゥサンの公爵は味方になる可能性は有るのですか?」

 

「アンナ叔母さまなら大丈夫よ。

 ただ、一人息子のピエールは神学校に入れられているわ、体の良い人質ね。

 だからアンナ叔母さまも仲の良かったパヴェッタ王女、つまり私の実の母親なんだけど死に追いやった事を悔やんでいるし、エムヒルの事は嫌いなのよ」

 

「それと、半固定インベントリについても大分わかってきました。

 転送できる大きさの仕様は変わりませんが、転送重量が170kg程度と制限を受けるのには魔石のパワーが原因な様です。

 なので、第一段階としてこの魔石の入手が再優先となります。

 なにをするにしてもこちらの物資が送れないでは話になりませんから」

 

「その魔石って言うのはどんな物なの?」

「ちょっと待ってください、丁度サブリナに魔力を入れて貰おうとしている予備がここにありますから・・・・えっと・・・ああ、これです」

 

タイガとシリはマジマジと魔石を見る。

「なあ・・これって・・・」

「そうよ、エルフの遺跡にある門についている魔石の欠片ね。

 多分、砕けた物か割ったものかしら・・・うんっ!」

 

シリは掌を合わせる様にして軽くアードを撃った。

ボフンッと音がして両手が弾かれる様に開いたが、魔石は光りながら床にコロンと落ちる。

それを取り上げてシリは言った。

「ほら、あの魔石と同じく光ったわ、全く同じ物よ。

 これがいくつあるの?」

 

「同じ大きさが3つほどです。

 サブリナが持っていたのはその1カラット程度の魔石でした。

 ただ、タイガに渡したインベントリにもそれが使われていますので、現在こちらに有るのは2つだけです」

「そう言えばカランシールもこの魔石を付けた杖を持っていたわ、私が粉々にしちゃったけど」

 

「カランシール?」

「スケリッジに攻めてきたクソエルフのナビケーターよ。

 私と戦ったのよ、いい線行ってたけど勝てなくって転移で逃げたの。

 後でゲラルトに聞いたらゲラルトが仕留めたらしいわ。

 ナビケーターが居ないと大型の船や物資は運べないもの。

 私が狙われていたのもその理由よ。

 だって魔石なしでそれが出来る可能性が有るから」

 

「それってどのくらいの大きさでした?」

「この位かしら」

シリは両手で丸く形作った、その大きさは精々ソフトボール程度だ。

 

「それで、どの位の物を一度に転移させていましたか? ああ、推測でも良いですよ」

「何度か見たけど、50mほどの船が2艘から3艘ほどね、もちろん兵員や武器、物資は満載よ」

「15世紀あたりだとするとキャラベル船程度でしょうね。

 だとすると、排水量は200トンから1500トン、2艘から3艘だとすると最低600トンから4500トンでしょうか」

「現在の我々とは桁が違いますね、十分に兵力を送れます」

 

「ニルフガードを戦争が出来ない程弱体化させるには、経済的に破綻させる方法が有ります。

 それにはテメリア、エイダーン、シントラ、トゥサンから以南を封鎖するにはシントラの南と元ソドンを押さえてしまえば可能でしょう。

 心配はゼリカニアからリビア方面のルートですが」

 

「それは無理ね。

 広大なコラス砂漠を超えるなんてゼリカニアの民でさえしないわ。

 それに最大の問題は水よ、ニルフガードから大きな部隊を動かしても超える事は不可能よ」

 

「まあ、いずれにしてもヴァル・アトレ元大使からニルフガードの状況を詳しく聞くのが先決ですね。

 拝戸君、すみませんが向こうへ跳んでください、目的は魔石それも大きな物の回収です。

 後はヴァル・アトレ元大使との接触、協力の依頼ですね」

 

「私とタイガで組めば大抵の事は出来るわ、移動に関してもその方が良いでしょう。

 あと元大使は家族持ちなの、トゥサンもエムヒルの目が有るから絶対に安全とは言えないし」

「家族構成は?」

 

「婦人一人、子供が二人ね。

まあ子供とは言っても既に成人した良い大人よ。

 ほぼ着の身着のままで逃げたけど、私も少しばかりお金を置いてきたわ、其の後がどうなったか接触して居ないから状況は不明よ」

 

「イザとなれば、家族ごと日本に来ていただいても構いません。

 その条件で交渉してみてください」

「解ったわ」

 

「ロアナさんはどうしますか?」

「私も一度アレンウォードに戻って様子を見たいんですけど」

「許可しましょう。

 ただし、その村から出ないでください。

 拝戸君と合流するのを待っていてください」

「わかりました」

 

「ああ、あとアンナ叔母さまが今後の事について話をしたいと言ってるのだけど、どうしよう」

「それについては、転移までに決めましょう。

 元外交官であった人間が局内に一人います。

 調整に1週間ほどかかりますが、多分快く引き受けてくれるでしょう」

 

 

一強であるニルフガードの衰退によって吉と出るか凶と出るかは判らないが、日本にとって紛争が早期終結できる事は、メリットとなるが即急過ぎても困る。

ダイナミックな政変は国内だけなら未だしも、大国に発生するとその分影響は大きい。

下手をすると群雄割拠至る所で紛争が起き、今より悪化する事も考えられる。

 

ただ、情報が伝わるまではこの様な世界は現代地球と異なり時間が必要となる。

もっとも、やり易いのは秘密裏にトゥサンと国交を結び、シントラを同時に掌握する事だ。

ニルフガードとの関所となる二国が親日国となれば、北方を押さえる事は難しくない。

心配される東部からのニルフガードの侵攻は砂漠と山脈に遮られ大規模にで来る訳でもなく、北東部に残る現有勢力が有るくらいだ。

 

しかもこの勢力は長引く紛争により疲弊しきっていた。

脱走兵は相次ぎ、現地兵は日々少なくなり、補給も儘ならなかった。

紛争の激しさで言えば、戦線の西部つまりヴィジマの辺りに兵力を重点的に置かざる負えない上、エイダーンとケイドウェンの間にはポンター河の深い渓谷がニルフガードの大きな障害になっているため、テメリアはニルフガードに比べて少ない兵力でも抑え込めていた理由だ。

 

たとえ広大なコラス砂漠を乗り越えられたとしても、その先はアングレンに入るまで町と言える物が一つしか無く、大きな部隊を展開するのは不可能と言える。

特に中世ともいえるこの地では、兵站もままならず大部隊を移動させるには移動する町や村を喰いつぶさないとならない。

その次の部隊展開は不可能と言える、喰いつぶす村や町が滅亡しているからだ。

やるとすれば、部隊の80%を食料の輸送に当てるしか無く、そんな部隊を派遣しても戦力にはならない。

 

既にシントラ以南の地域からは多くの兵や税が供出されており、これ以上の徴兵や増税は反感どころか破れかぶれの反乱を招くことは必至だ。

 

だからエムヒルはレソと言う暗殺に長けたウィッチャーを使い、北方諸国の王の暗殺を企てていると言える。

現在もレソは何処に居るのかも要として居場所が判らなかった。

その間に日本は、この地の奸計とも言える準備を着々と進めていた。

 

地球でも米国は諸外国からの信頼を失い、同盟国でさえ良い顔を渋る様になっている。

大統領が変わっても一度失った信頼を取り戻せるわけでもなく、国際的な影響力は低迷したままだ。

当然、日本の資源輸入量も減り、待ったなしの状況になってきた。

唯一長年の付き合いでアラブは良心的に付き合ってくれている。

そしてカナダやEUは日本との協力関係に熱いコールを送ってきていた。

 

だが、省エネルギーが進んだことと、太陽光や洋上風力の増加により年々原油の輸入量は減っているため、価格の下落とアラブ諸国の関係省庁への日参は増加している。

日本としてもエネルギーとしてだけでなく、化成品の原材料としては欠かせない物の、その使用量は最盛期より減ってきていた。

 

チームに亀山 巽という若い男が加わった。

「亀山です、このチームに加われて光栄です。よろしく」

「彼は少し前まで外務省に居ましたが今回外交に対する案件を担当してもらう事となります」

 

「外交官だったんですか? そんな偉い人が何故内調に?」

大雅は忌憚なく尋ねた、疑問は出来るだけわかりやすく明確にしておいた方が良い。

「正しくは外交官補です。

 いゃー上司とソリが合わなくってですねぇ。

 気が付いたら窓際に追いやられてました、あはははっ」

 

「そう言うわけで彼は出向ではなく正式に庁内移動となり内調に入りました。

 ほかに外交に詳しい者も居ますが他の案件で動けないんですよ。

 こういった人材は少なくてね」

お互い紹介し合った後、ミーティングが重ねられる。

 

「トゥサンとは直ぐにでも国交の前準備に入れるでしょう。

 しかし、問題はやはり帝国と北部の紛争の影響ですね。

 あと、どれくらいの資源がトゥサンに有るのかも不明です。

 ソドンにある可燃性ガスが確認されていますから拝戸さんの送って来たガスの分析からも大規模なLNGのガス田となる可能性が有ります。

 もちろん、その下には石油も」

 

「クルックバック湿原でもよく見るあの燃える空気の事かしら」

「うんシリ、それがLNGだよ、この世界でも発電や都市ガスとして広く利用されているんだ。

 ほら、コルヴォ・ビアンコに在った発電機、あれを物凄く大きくした物と思えばいい」

「確かに電気は文明生活には必需品よねぇ、魔法の無い世界では科学が魔法の代わりをしているって訳ね」

 

「魔法と違って誰でも使えるって言うのが最大の利点だけれどね」

「そう言えば、こっちでの魔力の回復ってどうなの?」

「いや、シリが一番それを解っているのはシリだろう?」

「うーん、確かに減った気はするけどひっくり返る程じゃ無いわ」

 

「サブリナの場合は回復するまで1週間ほど掛ったようですよ。

 彼女曰く、魔力の回復が向こうより随分と遅いようなのです。

 ですから、門を開くのに適した場所と触媒を使ったにしてもほぼ全ての魔力を消費したと言ってました。

 シリさんも気を付けてください」

 

「タイガもね。イグニ撃った途端ひっくり返るなんてなったら致命傷よ」

「ちょっと待ってください。 拝戸君が魔法を? 報告にはありませんでしたが?」

 

「あー、出来た理由も判っていないんですが、向こうには魔術師と呼ばれる者の他にウイッチャーと言う魔法と剣を使う職業が有ります。

 簡単に言えば魔法剣士ですかね、怪物退治いわば有害生物の駆除をしている者たちの総称です。

 その中で偶然イグニという魔法が使えるようになったんです、すみません報告はしていませんでした。

 なにせ自分でもどうやって使うのか判らない状態でしたので」

 

「ここで試す・・・のは不味いですか・・・」

「やめといた方が良いですよ。

 自分のイグニは向こうのウイッチャーが使うのとはちょっと違う様で、予測が付きません」

「他には何か使えるんですか?」

 

「殆ど使えません、使えても精々宴会芸に使える程度ですね」

「判りました、その検証はおいおいするとしましょう。

 ただ、無暗にこちらでは使わない方が良いでしょうね」

「ええ、それについてはシリにも話してあります」

 

「シリラさんの魔法の威力はどの程度なのですか?」

「ちょとした火力よ。

 小さな村なら焼け野原に出来るし、アードならバス程度なら吹き飛ばせるわ。

 アクスィーなら相手は廃人になっちゃうし、クエンだと自分も出れない程強力だから封印ねしてるわね。

 イヤーデンも出来るけど、範囲内にすさまじい雷が発生するの、自分も危なくって使えた物じゃ無いわ」

 

「こちらではその力は使わない様お願いしますね。

 至る所にガス配管や電力配線があって、大惨事になる可能性が有ります」

「わ、解ってるわよ。タイガにしっかり説明受けたから」

 

「拝戸君、その力ってコントロールは出来るんですか?」

「普通の間補法使いやウイッチャーは力の上限は別として大抵できるようです。

 自分もゲラルト氏に力のコントロールを教えて貰いましたが、未だに上手くできません。

 まあ、最大火力が半分になった程度です」

「もし、一般人に拝戸君が撃ったらどうなりますか?」

 

「生物に対してはまだ試して居ません。

 ただ、地面や対象物は消し炭になって一瞬で燃え尽きるか溶岩の様に溶けました」

「ふむ、検証は必要ですね・・・相手が火器を持っている場合は?」

「たぶん、こちらも無事では済まないでしょうね。

 特に手榴弾や爆発物を携行している相手の爆発物は間違いなく発火します。

 一瞬でどちらもお陀仏でしょうね」

 

「なんか、意外に使えそうにも無いですね」

亀山がポロリと言った。

「そんなものですよ、此方では兵士が火器を持っていないなんてありえませんから、使えません。

 向こうなら火器も無いし爆発物を持っているとしたらウイッチャーぐらいですから使えるでしょうが。

 自分が使えても火器の方が手っ取り早いし、周囲への影響も使い方によっては少なくできます」

 

「でも、魔法ってなんかワクワクしますよね」

「でも、ゲラルトもイェネファーも魔法使いとウイッチャーでは魔法の使い方が全然違うって言ってたわよ」

「俺の場合はその違いどころか使いどころさえ判らない状態だけどな」

「ま、使えないよりはいいでしょう」

 

そしてチームは人員が増えて良き結構な大所帯となった。

向こうの戦力分析や経済に関する事、魔法に関する調査とこちらには居ない非人間族に対する担当など多岐に渡る為だ。

そのため地下の暗い部屋から窓が有る広い場所へと移動した。

昔、会議室として使って居た所だが、そんな大きな会議の頻度が殆ど無い事や、ネットを利用した会議に変わってしまってい居る事などから殆ど使われなくなった大会議室を転用した形だ。

 

そして内調9班が発足した。

大雅の所属する部署は内閣情報調査室つまり内調と呼ばれる組織だ。

一番上のお偉いさんは内閣情報官といういわば官僚と呼ばれる人で、必用であれば国会なんかにも出で答弁するらしい。

その下に次長が居て実質的な実務を取り、内調全体を取り仕切っている。

同じような立場で内閣情報分析官と言うの居て国内から国際、経済なんかを専門とする部署の情報を分析し次長に伝える役目。

その中の国際部門は多岐にわたっていて、ヨーロッパやアメリカ、ロシアや東南アジアなどを班に分けられ担当している。

 

実際にはヨーロッパ班とかアジア班なんて呼ばれている訳では無く、第一班、第二班のように呼ばれ一見しただけでは何処を担当しているか判りにくい。

 

だから大雅の所属部署は内閣調査室国際部第9班となる。

名刺なんか無い、と言うか有っても下手に人に渡せるものでもない。

だから必要な部署、広報や外部対応をしている人しか持っていない。

 

デスクワークがひと段落しリフレッシュルームで缶コーヒーを飲んでいると、他の顔見知りがやってきた。

「拝戸さんは陸自からの出向ですか?」

「ええ、そうですね」

「9班ってどこ担当です?」

「あー、それについては三塚さんに聞いてくれます?

 結構微妙な所の案件なんで」

 

腹の探り合いでは無いが、結構いろんな人が根掘り葉掘り聞いてくる。

どうせ自分が抱えている案件にプラスにならないか聞いてるのは見え見えだ。

 

「そういや、荒っぽい事もされるんですよね」

「まあね、そういう所が担当なんで」

「やっぱりビルや建物からロープ無しで飛び降りたりするんですか?」

「いや、普通に怪我したり死ぬだろうよ、それ。

 俺は草薙素子じゃない、出来る訳ないだろう」

 

「持ってる銃はマテバじゃないんですか」

「だれが9課のトグサだ。あんな欠陥銃誰が使うか」

「え、あれって欠陥銃なんですか?」

「トリガーはクソ重いし、照準ちょっとでもズレたら着弾大ズレだし、デコックも無いしなにより砂塵や汚れに弱すぎ。

 それに会社潰れちゃってパーツも手に入らない」

 

意外に見なノリが良い。

こんなちょっとした息抜きがホッとさせる。

 

 

「来週からまた向こうね」

「そういや、随分と二人とも日本語が堪能になったな」

「そうでも無いわよ、まだ書くのは苦手。

 ロアナの方が凄いわよ、ついこの間は日本語検定がN4レベルだったのが今じゃN1じゃない。

 私より今じゃ堪能よ」

 

向こうの世界を担当する実働部隊も増えた。

1人は1等陸曹で特殊作戦群から出向の大槻昌光。

通称「マーさん」

爆薬と運転操縦のスペシャリストだ。

 

もう一人は女性唯一の特殊作戦群に所属する園田麗華陸曹長。

名前に似合わず身長189センチ体重98kg、ごつい筋肉体質で、あだ名は「メスゴリラ」。

WACで初のS徽章持ち。

可憐な女の子にこのあだ名ひどくない? とは彼女の弁。

確かに可愛い系に属するが、首から下は筋肉達磨だ。

空挺団員には何人かのWACが居るがS徽章持ちは彼女だけだ。

 

「あー、二人とも陸自の挨拶や受け答えは忘れる様に。

 今は二人とも内調の職員なんだから。

 あと、向こうでは一般民どころか下手すりゃスパイ扱いされるから気を付けるように。

 それと二人には向こうの言葉を覚えて貰う。

 読み書きは出来た方が良いが、最低限会話は出来る様にしてくれ。

 あと向こうでは身バレする可能性の有る火器は極力さける方向だ。

 かといって弾種が増えるのは余れ好ましくない。

 使用する弾は9パラ、7.62のカラシニコフ弾が中心だ。

 あと、12ゲージと.338Lapua Mag弾かな。

 予備的に12.7×99mmも使用する。

 質問は?」

 

「AK系のトレーニングは受けていますが、ラプアは撃ったことは無いかな。

 火器は何を使うんです?」

「普通にM24A3だよ」

「ああ、スナイプの連中が使ってるやつね」

「もちろん1か月ほどの習熟期間は取るつもりだ、特に園田君の方は習熟を」

 

「9ミリパラなら何でもいいんですか?」

「あまり突飛な物でなければな」

「じゃあ、MP-5使わせてください、あれ使い慣れてるんで、ハンドガンは?」

「9ミリパラなら好きなので良いよ、大抵朝霞に置いてあるから」

 

「隊長はなに使ってるんですか?」

「今はP320だな、米軍仕様のM18ってやつだ。

 今度変わるらしいが」

「何になるんです?」

 

「SFP9」

「ああ、普通に今特殊作戦群に支給されてるやつですね」

「咄嗟の時には使い慣れている方が良いだろう。

 だが有害生物には9ミリなんて無力な場合が有るから気を付けてくれ」

 

「ヒグマでもいるんですか」

「もっとヤバいのもウヨウヨ」

「うへぇ」

 

「向こうはGPSって使えないっすよね」

「簡易なロランなら設置中だ」

「ネットも無いし電話回線も無いからページャーも使えないか・・・判りました。

 なにか使えそうなものを見繕ってみます」

 

 

そして、シリの火器の取り扱いトレーニングも始まった。

もちろん朝霞でだ。

 

「弾は1発だけ入っている。

 握り方は右手の親指と人差し指を除く4本でしっかり握る。

 人差し指は軽くフレームに伸ばして、そう。

 で、左手は右手を包むように包んで親指はフレームに付ける。

 これが基本のグリップだ」

「こうね」

 

 

シリは意外に筋か良い、サバケーで変な癖が付いているより余程教えやすい。

 

「それで、照準を合わせる、まだトリガーには指を掛けない。

 掛けるのは引金を引く時だけだ。

 そして連続して撃つとき以外は人差し指は必ずトリガーホールから外すこと」

 

ハンドガンの取り扱いは繰り返しの練習で基本を体に覚え込ませることだ。

弾が1発なのは、得てして初心者はマズルジャンプで銃口が自分の頭を向く、次に起こるのは暴発だ。

実際FBIの初期講習でもこの方法が採用されている。

 

「そう、グリップは強すぎず弱すぎずだ。

 脚はこう構えて軽く曲げる、肘も軽くまげる・・・そうだ。

 重心は少し前に・・・そう、そのくらいだ。

 トリガーに指を掛けて絞る様に引く」

 

パアン

 

スライドが後端でストップした。

的には当たらなかったが、下30センチくらいの所に当たっている。

後は、慣れだ。

もともと剣を握っていたためグリップには何の不安も無かった。

 

「いいかいシリ、今のは右手の握りが強すぎたため弾は下に向かった。

 右利きの場合、グリップの力は右手が3左手が7の割合だ。

 あと首は傾けないこと。

 頭を銃に合せるんじゃ無く、銃を目線の先に突き出す様な感じだ。

 今度は3発撃ったら一度胸元にガンを引き寄せる。

 ガンの向きはこうだ。

 常に銃口は安全な方向へ向けること、それが確保できない場合は下へ向けても良い。

 基本は仲間に絶対にいかなる時も銃口を向けない事だ。

 それは弾が装填されていようが無かろうが変わらない」

 

 

そして実技は段々と高度になっていく。

「実際に相手を倒す場合、心臓などの重要なバイタルパートに当たる事は稀だ。

 敵は数発受けても反撃してくると思った方が良い。

 最初は何処でも良いとにかく体に当てろ。

 その次に動きを止める為の一発、外した場合はもう一発撃つんだ。

 そして、次の弾は確実に仕留める為の一発だ。

 頭部を狙う、眼の瞳の間のゾーンで上下は額から鼻の所までだ」

 

 

「残弾数は必ず意識する事、後一発で終わりという前にマガジンを交換する事が重要だ。

 特に相手の数が判らない場合は早めに交換し常に最大の発数を確保する事が大切だ」

 

シリの覚えは早かった。

僅か1週間でこれらを覚えた。

あと少しで2m以内の超近接戦闘だけを残すのみとなった。

閉所での戦闘や近接戦闘はスタイルが全く異なってくる。

これは次への課題としよう。

 

 

向こうに渡る期日が近づいてきた。

渡る人数は総勢名。

大雅を含め3名の武装実働班、大雅は全体の指揮、大槻と園田は亀山の警護それにシリとロアナを加えて総勢6名のチームだ。

まあ、ロアナはアレンウォードで暫く留守番となるが。

 

大槻と園田は向こうの世界に慣れて貰う為と、亀山は外交の立場からトゥサンの公爵と予備折衝する為だ。

シリと大雅はその通訳となる。

 

 

事前にゲラルトとイェネファーの顔通しと簡単な説明を行うため、午後からの出発となる。

偶然な事に現地との時差は1時間ほど遅れた時差だ。

 

「時計を現地時間にセット、ヒトニイヒトマル時・・・5、4、3、2、1、セット」

皆で時計を合わせる。

「よし、門を開いてくれシリ」

「了解よ」

 

ドンッと何時もの空振が響きまずはアレンウォードへと飛んだ。

「うへぇ・・・きっしょ・・・」

「なんだこの感覚・・・」

「全員問題無いか?」

 

「も、問題無し」

「コピー」

ロアナもし越し顔色が悪いが慣れてきたようだ。

「この感覚・・なんともならないですよね。

 なんか胃袋がひっくり返った様な感じです」

大槻が居の辺りを擦っている。

 

「ここでロアナとは別行動となる、だが警戒を怠るなよ」

ロアナは工場の事務所の戸を叩いた。

 

「あら、誰かと思えば。もう戻ったんですか?」

「いえ、様子を見に来ただけよ。ひと月ほどお世話になるわ」

「それは助かります、丁度相談したい事が有りました」

 

「じゃ、ロアナ我々は次へ行くよ」

「はい、お気を付けて」

 

シリが再び門を開き5人はその門へ飛び込んだ。

 

「へえ、さっきはゆっくり見られなかったけど、綺麗な所ですね」

大槻が周囲を見回しながら言う。

「さっきの所から1000キロほど南だからな」

「公爵閣下がいらっしゃるのは何時頃です?」

 

 

「夕方と言う事だ。

 多分腹心の護衛を何名か連れて来るだろう」

万一に備えて大槻は隠れて周囲の警備を、俺と園田は密着護衛だが有事の際は。

 

「ダミエン、ここまでで結構です。

 城に戻りなさい、帰りは子爵がゲラルトに送ってもらいますから」

「しかし閣下・・」

「姪との懐かしい再会に家族でも無い者が加わるつもりですか、立場をわきまえなさい。

 それに此処にはゲラルトやイェネファーだけでなく子爵やその部下も居るようです。

 宮殿より安全でしょう」

「判りました」

 

護衛として付いてきていたダミエンは帰っていった。

出迎えたゲラルトと大雅は公爵の馬を厩に入れると聞いてみた。

「返して良かったんですか?」

「あの者はボークレールの事を真摯に考えてくれる忠臣ものですが、所詮ニルフガードの者です。

 今日の話には不向きですし、彼も知ったら皇帝に報告しない訳にも行かないでしょう」

 

 

《そなたが日本の外交担当ですか》

「はい、亀山と言います。

 正式な外交ではございませんが、ここでのお話は国交が結ばれれば正式な物となります。

 今日は今後この世界のあり様について、どのようにお考えかお話しを伺いたいと存じます閣下」

 

 

正念場が始まった、ニルフガードだけではない、トゥサンやシントラ、北方諸国にとっても大きな動きになる。

 

『隊長、客が来た。数6、剣と弓で武装。

 1人は杖を持っている』

暗視装置を付けた大槻がインカムで教えてきた。

 

「シリ、客の様だ。少し席を外す」

「解ったわ、何かあったら呼んで」

 

『園田、家の左サイドに回れ俺は右から回る。

 杖を持った者から無力化、銃は使うな魔術師は生かして捉えろ。』

『コピー』

 

真っ暗な闇の中でも赤外モードを持つタクティカルグラスを着けた大雅たちの敵ではなかった。

直ぐに6人を狙える後方に位置を取る。

 

コルヴォ・ビアンコは隠れる所が少ない。

精々厩の影や数件ある下働きの者たちの家が数件だけだ。

それ以外は見通しが良く隠れるも何もできない。

 

『園田、敵の後方へ回れ一人づつ排除』

『コピー』

特殊作戦群の現役だけあって短い指示で大雅の意図を組み、暗闇に紛れ敵の後方へ回った。

 

園田は足音を殺して敵の後方から一人づつ無力化していく。

まるで大型のネコ科の猛獣の様に静かにだが確実に無力化していった。

大雅も3人倒したところで立木の陰に隠れている杖を持った男にそっと近づく。

 

男がはっと気が付くと杖を向けて来たが、大雅はその腕をつかみそのまま背中の方へと捻り、同時に男の鳩尾へと膝がめり込んだ。

「げうっ!」

両手を背中に回し手首をケーブルタイでギッっと締め上げる。

そして下を噛んだり毒薬を飲み込まない様穴開きのゴルフボールを口に入れダクトテープで塞ぐ。

 

『敵残存無し、クリア』

周囲警戒していた大槻からも報告が入る。

 

園田が両手で二人の敵の襟首を掴みズルズルと引きずってきた。

 

「で、どうします?」

「盗賊でなければ締め上げて吐かせる、イェネファーに来てくれるようシリに伝えてくれ」

「了解」

 

その間、大雅は間者たちの武器や持ち物を全て取上げた。

「何事なのタイガ」

イェネファーが聞いた。

 

「なに、盗賊にしてはやけに統制が取れていたんで捕縛したところだ」

「あら、あなたは確かヴァンヘマーね」

「知り合いか?」

 

「知り合いという程の物じゃ無いわ。

 彼はニルフガード軍に所属する魔術師よ、なんで態々こんな所へ来たのかしら」

「絞め上げるか?」

大雅は男の口からベリッとテープをはがすとボールに付けてあった紐を引き外した。

 

「さて、所属と目的を話せ。

 素直に話した方が後々楽だぞ」

 

「タイガ、任せて。こういうのは得意なの」

イェネファーが魔術による自白をさせるため術を掛けようとすると、横からゲラルトがアクスィーを掛けた。

 

「言え、目的はなんだ」

「ん・・ぐ・・公爵の・・・暗殺・・だ・・・」

「誰が命じた」

「こ・・皇帝だ」

 

「なぜ皇帝が・・・」

 

「それは私が邪魔になったからでしょうね」

「公爵閣下」

騒ぎを聞きつけたアンナが庭に出て来た。

 

「長く続く戦争で戦費は莫大な物となっています。

 トゥサンはワインを北方諸国やニルフガードの各領に売り、それなりに利益を得ています。

 ですから、さらなる税と兵士の派遣要請が来ていました。

 しかし、その税は既に4割を超え、これ以上はとても民の生活が儘ならなくなります。

 ですから、断ったのですよ、その返事は来ていませんがエムヒルは私を殺し代官を立てる事を選んだのでしょう。

 タイガ、この者たちはどうしますか?」

 

「そうですね、逃げられない様厳重に幽閉でしょうが魔術師だけは幽閉が難しいでしょうね」

大雅は懸念点を言った。

「でもこちらには魔術師の逃走を阻止する道具が有るんですよ、ディメティリウムの手錠や足枷です」

アンナは答えた。

 

「それはどのようなものですか?」

「ディメティリウムの粉末なら持っているから後で提供しよう。

 魔法生物の動きを遅くしたり制限したりできる。

 魔術師に使えば一時的に魔術が使えなくなったりするな」

ゲラルトは言う。

「それは是非お願いします」

 

「それより、此処に来ることを知って居る者は?」

「ダミエンと侍女頭だけですね、ただ伝える時に誰か聞いていたかもしれません」

「その線は薄いだろうな、どう見ても長い旅支度が馬にしてある。

 ボークレールに潜んでダミエンの指示で動いた可能性は少ないだろう。

 有るとすれば、次女頭に聞いた方が良いかもしれない」

 

「そうですね、ゲラルトすみませんがこの件の調査を。

 ダミエン・デ・ラ・トゥールの動き、そして無いとは思いますが侍女頭を調べてください」

そう言ってアンナは宝石で飾られた短剣を渡した。

「これは私の代理という事を示すものです。

 宮殿の何処であろうと入れますし、調べる事が出来ます」

「判りました」

 

直ぐにゲラルトはローチに乗りダミエンの後を追った。

 

 

翌日の夕方ゲラルトは帰ってきた。

「概要は掴めた。

 昨日公爵が出た後だが会談を求めで6人のニルフガード兵が来たらしい。

 侍女長が対応し不在であること。

 現在はコルヴォ・ビアンコに行っていて戻りは判らないと話したらしい」

 

「確かに行先の口止めはしていませんでしたからね」

「ならば、疑いは晴れたわけではありませんが、此処への手引きをしたと言う嫌疑は晴れたわけですね」

「そうとも言えません。

 いずれにしても警戒は緩めるわけには・・・そうですね。

 ゲラルト、一つお願いを聞いてもらっても良いでしょうか」

 

「私に出来る事であれば」

「離宮とまでは言いませんが、せめて部屋の一つを此処に求める事は可能ですか?」

「部屋・・・ですか?」

「ええ、此処の生活は風呂と言いベットも素晴らしい物ばかりです。

 もちろんそれに対する費用を支払います。

 宮殿では気が休まる所が無いのですよ。

 せめて月に一日くらいは何もしない日が欲しいのです。

 費用はこちらで持ちます」

 

「何とかしてみましょう。

 向こうとの交渉の方は如何ですか」

「難航しています。

 なにせ此方には足りない物ばかりです。

 法の整備しかり、機密保持、有事の際の備え、相手が求める資源の有無の調査など時間のかかる物ばかり。

 しかもほぼ公国の扱いとは言え現実はニルフガードの属国扱い反旗を翳した時民を守れるのは難しいでしょう」

 

「そう言えばシントラの調査の回答は?」

「いいえ、まだです」

「ならば、シントラを併合してしまいましょう叔母様」

「しかし、南も北もニルフガードが押さえている。

 どうやって事を構えるつもりだ?」

PP紙で出来た地図を目の前にしてゲラルトは言う。

 

「シントラの最南端のアッレの町は南に向かう細い道が1本だけ。

 それに海はスケリッジと同じで鋭利な岩が林立しているわ。

 とても軍を動かせるような場所じゃないの。

 シントラの北は殆どニルフガードの力は及んでいないわ、精々ヴィジマの辺りだけよ。

 問題はヴィジマとエイダーンに展開しているニルフガードの部隊ね」

 

「それなら、武器を供与する条件で・・・・待てよ、いっそロッシュを撒き込もう。

 今はテメリアで潜伏しているがテメリアを取り戻せるなら協力してくれるはずだ。

 それとドルブラサンナとライリアで活動しているエルフを引き込めばアングレンからの侵攻は阻止できる」

ゲラルトは言う。

 

「我々が持っている銃などの武器の供与は難しいだろうな、だが強力な機械弓なら可能だ。

 あれは向こうじゃ武器とはみなされていないから誰でも普通に手に入る。

 あと、無線やドローンは軍で使われはするが一般民生用なら提供可能だ。

 ただ問題が一つある」

 

「タイガ、その問題って?」

「レダニアがいつまで持ってくれるかだよ。

 既に経済的には破綻しかかっている。

 戦線は辛うじて地の利で持っている状態だ。

 レダニアが弱体化すればニルフガードは一気に北方へと攻勢をしかけるだろう。

 そうなれば、レダニアもケイドウェンも落ちる。

 大きな兵力を持たない北の諸国も恭順を示すだろうな」

 

「確かにレダニアのラトヴィット5世が殺されれば一気に戦況は傾くわね」

「タイガ、あれは厳王などではなく完全に狂っている。

 目にはニルフガードと魔術師を殺す事しか映っていない」

大雅はラトヴィット5世について詳しく話を聞いた。

 

「話を聞けば聞くほど狂ってるか居ないかは別として独裁の為政者としては正しい動きと思えるな。

 言動は逝かれているが」

 

「だが民迄平気で手を掛けるのがニルフガード、いやエムヒルの常とう手段だ。

 実際、兵だか諜報員を匿ったとの事でヴェレンの一つの村を襲撃している。

 ロッシュに頼まれ加勢に入ったが多くの村人が殺された。

 奴は確証なんか必要ない、噂や小さな動向で簡単に村を亡ぼす」

 

「なんか聞いてるとラトヴィット5世といい勝負だな。

 ふうむ、だとすると一度征服させてから北方諸国が食い物にされる前に物資と兵の流通を絶つというのが最もこっちにとっては痛手が少ないか」

 

「ラトヴィット5世の暗殺なんて俺も加担したことが有るが無理だ。

 奴は精鋭豚を数百人持っている。

 多勢に無勢ではウイッチャーでさえ勝てんよ」

「ま、これに関しては上の方で考えてくれるだろうさ」

 

「ところで公爵との交渉は?」

「なんとか形になって来ました。

 初期は軽いインフラの整備、そして秘密裏にニルフガードの力が落ちたら蜂起できるよう準備を行う計画です。

 ただ、そのためにはご子息をゴールデンタワーから奪還する事が必須です。

 あと、問題はシントラをどうやって手に入れるかですね。

 いずれにしても持ち帰って検討が必要です」

亀山は答えた。

 

「いっそ、シントラを占領しちゃう?

 タイガの国の兵器なら簡単でしょ?」

「そりゃ無茶というもんだよシリ、たとえ占拠できてもそこから動けなくなってしまう。

 シントラの防衛だけでも最低100人以上の自衛官が必要になるぞ、それも特殊作戦群クラスのだ。

 しかも、動員する大義名分が無い」

 

「うーーっ! じゃあどうするのよ」

「焦るなシリ、数年どころか数か月でレダニアは干上がるかもしれん。

 そうなれば事態は動くだろう。

 我々にとっても動きやすくなる。

 先ずは魔石の入手、そしてヘンリー・ヴァル・アトレの保護、後はこの世界の協力者の確保だな。

 特にニルフガードへの潜入とエムヒルの動向を探らなきゃならん」

 

「やる事山積みね」

「計画はきっちり練る必要が有る。

 俺の所は法治国家なんだ民主政治のな。

 世界は違えど奸計や侵略なんかバレたら国家元首どころか議員の大部分の首が飛ぶぞ。

 それ以上に大事になる、下手すりゃ無関係な国も利益の為に攻めてくるくらいの事は起こりかねない」

 

「いっそ、子供が出来ればその子をダシにシントラの継承を取るという手も有るわね」

「シリ、子供を撒き込むのはあまり感心しないよ。

 シリだって利用されるのが嫌で飛び出したような物だろう。

 経緯はどうあれさ」

 

「それはそうなんだけど・・・・」

「それに子供が出来たら少なくとも3年は身動きが取れないよ」

「もしよ、レダニアが負けてニルフガードが勝った場合はどうなるのかしら」

「北方諸国まで完全に染まる可能性は有るが、レジスタンスは残るだろうね。

 そんな国も多く地球にも存在するよ。

 そして偶にレジスタンスが勝っちまうんだ。

 言わばクーデターだな」

 

「やっぱりあるんだ」

「異世界もあまり変わりないさ。

 同じ人間だもの。

 ただ、向こうのクーデターは大抵武力を持った軍が蜂起する事が多い。

 地下に潜った組織やレジスタンスは大抵政府にテロ組織とされるからな。

 少し規模が大きくなると反政府軍とか、いずれにしても武力が無い地下組織は厳しい状況に置かれることが多いよ」

 

「だから下準備が必要なわけね」

「そ、それとタイミングだ。

 始まったら一気に進めないとならなくなる、相手に息もつかせない程の速さでな」

 

「なるほど、だとするとロッシュは地下に潜ったレジスタンスと言えるな」

ゲラルトが言った。

 

「さっきから出て来るそのロッシュというのは?」

「名をヴァーノン・ロッシュといいニルフガードに攻め滅ぼされたテメリア王の直属の戦闘部隊の隊長だ。

 国が無くなり、未だにパルチザン活動をしている。

 いつも口をついて出て来るのは″金が無い″だ。

 テメリアの重鎮も国外へと逃げ、協力者にも余裕が無いのが現実だ」

 

「それって、賛同する可能性は?」

「テメリアさえ取り戻せればなんだってするだろう。

 あれはそう言う男だ。

 だが、ニルフガードが北方諸国まで手に入れれば属国としてなるやもしれん。

 それをロッシュが許せばだが」

 

「そのロッシュの現有戦力は?」

「俺が見た最後は大体50~80人という所だ。

 ただ、もしかしたら潜伏や諜報員として潜り込んでいる者の数までは知らん」

「一度当ってみる必要はありそうだな」

 

「もし必要なら俺が話しをしてみよう」

「ああ、その時は頼むよゲラルト」

 

「さて、ひとまずは亀山とロアナを日本へ帰そう。

 装備を整え再びこちらに飛ぶ」

「いやー、少しはこっちの街も見て回りたかったですけどねぇ」

亀山がぼやく。

「なに、これから嫌というほど有るさ」

 

大雅たちは一度アレンウォードに飛び、そしてそのまま日本へと飛んだ。

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