「ジャンゴウ事、ジャマイカからやってきた金剛型1番艦ただ今戻りました!!深く、深ぁ~く反省しております!!」
司令室に入ったら、先ほど自身を転生者だと言っていたジャマイカからやってきた金剛型1番艦...長いのでジャンゴウ...が武明提督に深々と頭を下げていた。所謂土下座で...
「...これはどう言う状況ですか?」
「ククク、アイツ提督が大切にしている菜園を壊しちまったんだ。んで、提督の怒りに触れちまって鎮守府から今まで追い出せれていたんだ。...提督の菜園の近くでどっかから拾った金剛改二の41cm連装砲をブッ発なすからだ。どう考えても菜園に影響が出るのに...アイツどこか抜けてるからな~。それで、その放った弾が提督が大事に育てていたゴーヤのツルを焦がし、収穫寸前の実5個を黒焦げにした。お前も提督の菜園に近づく時は気を付けろよ~。」
私の疑問に答えてくれたのは武明提督にジャンゴウの事を伝えた天龍様でした。最後には提督の菜園への注意も教えて下さいました。天龍様はここに着艦して日の浅い私に気を配って下さる事が多々あります。天龍様は困っている者を放って置けない、面倒見が良い方ですね。この間も入渠場所が分からなかった私に入渠場所を教えて下さいましたし、入渠作製時の苦労話?も教えて下さいました。その話ですが、私達艦娘が回復に使用する入渠を露天風呂風にしてほしいと電様が言ったそうなのです。が、入渠を建造予定していた場所は大きな重機が入れず、あわや中止になりかけていたそうです。しかし、あの武明提督は馬鹿力の持ち主だったそうで、入渠建造の要である鋼鉄の柱を自身の両手で支え建造の文字通り手伝いをなさったそうです。...どんな馬鹿力ですか!?他にも経費削減という名目で鎮守府建造の際、クレーン等の重機を使用せず武明提督自らが重機の代わりをしていたそうです。...これは武明提督の追調査が必要ですね。
「今回だけは許してやる!!今度同じことやってみろ...俺が直々に解体して弾丸の代わりに敵に打ち出してやる!!」
「ひぃぃぃぃ!!わ、分かりました!!この転生した魂に刻みつけ二度と、二度と致しません!!」
「では、最後の罰だ。今日から3日間メシ抜き!!」
「嘘ぉ!?兄z...て、提督慈悲を!!せめて2日に!!」
「ほほぅ、この俺の寛大な処置に意見するのか?」
「い、いえ!!」
「...お前は忘れているようだな。この鎮守府はお前がいた呉や岡山、横須賀、舞鶴等政府公認の鎮守府とは違い...配給が無いんだよ!!分かるか?無いの!!明日食べる物を山や川、海で探し、お前ら艦娘のボーキサイトや資材を戦闘があった海域で沈んでいるのをサルベージしてんだよ!!この鎮守府は万年ボーキ・資材不足なんだよ!!それも、俺の菜園を一部破壊した理由が拾ってきた連装砲を撃った事だと!?弾薬や弾を無駄にするな!!」
「も、申し訳ありませんでした!!」
ジャンゴウは土下座のまま一度顔を上げ、その言葉と共に深々と頭を再び司令室の床に付けた。
「と、言う事でテメェは3日間メシ抜き!!」
しかし、その誠意を目の当たりにしながら武明は土下座のジャンゴウに無慈悲な言葉を掛けた。
「そ、そんな!?」
...ここまで誠意を見せても武明提督の怒りは収まりそうにないです。そう言えば最初この鎮守府への着艦時、確か武明提督は植物に水を与えていました。あれは武明提督の菜園だったのですね。近寄る時は細心の注意を払いましょう。
「...あのゴーヤを育てるのに費やした俺の時間を返しやがれ!!近所の千代婆さんにイノシシ退治の報酬で種を貰って、牛を飼っている太郎さんの牛小屋の改築工事の手伝いに牛の良い肥を譲って貰い、それをせっせと裏の畑に肥を敷いて種を蒔き...そうして1ヶ月!!1ヶ月だぞ!!その1ヶ月どうしてくれるんだ!!」
憤怒の武明は今にもジャンゴウに襲い掛かりそうだ。
「どうどう、落ち着け武明。この前貰った、取って置きの茶がある。それ飲んで落ち着けよ。」
それを制したのは天龍だった。
「後で貰う。こいつにはもう少しお灸をすえんと気が済まん!!モノを大切にしないヤツは「武明!!もぅ、それで許してやれ!!」...どうした天龍?」
「もう、いいだろ。コイツを鉄柱に括りつけてぶん投げて星にしたじゃねぇか。それに、3日間はメシ抜きだろ。コイツも反省してるみてぇだし。なぁ、もういいじゃねぇか許してやれよ。」
「...済まん。怒りがぶり返したようだ。ジャンゴウも悪かった。必要以上に怒ってしまったな。メシ抜きは明日から2日間だ。今日はメシ食って、風呂入ってゆっくり休んでくれ。」
「寛大な処置、感謝致します!!では!!」
ジャンゴウはそう言うと司令室から出て行った。
「天龍先輩は優しいのですね。」
「や、優しくないぞ!!でも、まぁ、あれは止めないとな...」
「...ええ、ジャンゴウさん半泣きでしたし...見てて可哀想でしたね。」
「...だろ。」
◇◆
「提督少し宜しいでしょうか?」
「ん?どうした大鳳?」
「いえ、ここ最近...と云うより私が着艦した日以外木曾様が見えないのですが、何処に行かれたのですか?」
私は意を決して木曾様の行方を武明提督に伺ってみました。
「あぁ、木曾は大鳳達が遠征に行っている時は俺と出撃。その後今は京都の茶摘みの手伝いに行ってもらっていて、あわよくば茶葉を少し貰ってもらおうと...」
「・・・」
「ど、どうした大鳳?」
「提督の鬼!!悪魔!!鬼畜!!」
「は?へ?ど、どうした!?」
「提督なんて机の角に小指をぶつけて、悶絶ししながら棚にぶつかってその棚に押しつぶされて死んじゃえ!!」
「お、俺何か悪いことした!?」
「うわぁぁぁぁぁん!!」
大鳳は言いたいことを武明に一方的に言い、司令室を走って出て行ってしまった。
提督のアホ!間抜け!!頓珍漢!!...提督には、この私の潜入調査の根幹を揺るがす暴挙を行った事を後悔させてやります!!
「この怨み、どう晴らさせてやりましょうか...キャ!!」
「お!?わりぃ。避けると思ってたんで反応が遅れちまった。」
「こ、こちらこそ済みませんでした。狭い廊下を走るなど危険極まりなかったです。」
考えながら走っていたのが悪かったようですね。誰かにぶつかってしまいました。
「まぁ、気にすんな。そう言えば、えらく慌てていたようだがどうした?」
「ええ、チョット聞いてくださいよ天龍先輩。...え゛、天龍先輩?」
ま、まさか私は...
「ん?どうした大鳳?」
私は恐る恐る違って欲しいと祈りながら、ぶつかった相手をみました。...本物だー!!ホンマもんの天龍様だー!!
「も、申し訳ありませんでした!!天龍様にぶつかるなど、この大鳳一生の不覚!!どうぞ煮るなり、焼くなり、解体するなり好きにしてください!!覚悟は出来ています!!」
「お、おい!落ち着け、落ち着け!!そ、そうだ食堂に行こうあそこなら誰も居ない。」
「分かりました!!お口汚しになるかも知れませんが、どうぞ煮込み大鳳をご賞味ください!!」
「は、早まるな大鳳!!」
「で、では焼き大鳳を...」
「た、大鳳しっかりしろ!!」
◇◆
この鎮守府には、食堂はありますが給食のおばちゃ...オホン。鎮守府のお母さんこと間宮さんはいません。なので、ここでは料理の出来る者が当番制で食事を作っています。そして今ここ食堂には、私と天龍様だけの状態です。...それにしても、こんなに取り乱したのは初めてかもしれません。天龍様には多大なご迷惑をかけてしましました。
「す、済みませんでした。」
「いやいや、もういいから。...まさか木曾を探して走っていたとは。」
「ハ、ハハハ。ソ、ソウナンデスヨ!木曾様、鎮守府の中に全然いなくて探していたんです。(...本当は木曾様がいないと提督から聞いて、取り乱して走っていたなんて言えないです。)」
「まぁ、今は京都にいるから鎮守府の中にはいないぜ。」
「ソ、ソウナンデスカ。(...知っています。先ほど提督から聞きました。)」
「それで、木曾の奴に何か用があったのか?」
「い、いえ。...え、え~っと。ど、どうしてこの鎮守府に着艦したかを聞きたかったのですが...」
「あぁ、アイツの事情はチョット他とは違うからな。アイツが帰ってきた時アイツ自身に聞いてみな。話してくれるかは分からんが...」
「そ、そうですか...で、では!!天龍先輩の噂。"泊地棲姫率いるタ級20隻の敵艦隊に単身で突貫し、大破寸前の状態で勝利した"とは本当なのですか?」
「いや、チョット違うな。」
「え?でしたらタ級20隻ではなく2隻とか?」
「いいや。俺が相手したのは泊地棲姫率いる"Flagshipのタ級30隻"だ。」
「え゛ぇ゛!?」
■□■□■□■□
俺は何時もの様にあのいけ好かない奴がいる鎮守府に来ている。何故いけ好かない奴がいるのに来ているかと言うと...
「あっ!!天龍お姉ちゃん今日も来たの!?」
「おう!お姉ちゃんは電のお姉ちゃんだからな。...それよりも今日もあの馬鹿の訓練を受けるのか?」
「はい、なのです!!」
「...そうか。」
ここ瀬戸内鎮守府(仮)に電が着艦してから俺は良くこの鎮守府に来るようになった。最初はただ心配で来ていたんだが...
「コンマ2秒反応が遅れた。今の攻撃が当たっていたらお前は死んで...いや、撃沈していたぞ。」
「・・・」
「...今日はここまでに「ま、まだなのです!!」...いいのか?」
「私が提督に頼んだのです!!こんな所で音を上げていたら誰も...誰も私は助けられないのです!!」
俺の目の前には満身創痍の電。それに対峙するいけ好かない奴...ここの提督三宅武明。最初俺はただ電の事が心配で心配でここに来ていた。来ているうちに二人がコソコソ人気の無い離島に出掛けているのを見つけた俺は"電に何かあってはいけない"と思い二人を付け、今と同じような光景に出くわした。最初電がボロボロになっている光景を見た俺は気付いた時既に武明に斬りかかっていた。そして、"殺っちまった"と思った瞬間俺は愛用の刀をへし折られ、右腕を決められ海面に伏していた。直ぐに電が俺だと気付き、武明に静止を叫んでいなければ俺の片腕は無くなっていただろう。俺たち艦娘は普通の人間に遅れを取るような事は全く無い。しかし、目の前の男はソレをいとも簡単に覆して見せた。俺の目の前で、海面を簡単に歩いたり走ったりしていたし...
「じゃあ、実戦訓練を再開するぞ。上手く回避が出来るようになれば相手の攻撃の隙を付いて様々な場所に攻撃ができる。相手の目や首と言った急所、それに怪我をしている場所なんかも有効だ。」
「はい、なのです!!」
今電は回避とその後の攻撃の仕方について武明から教わっている。流石最前線から戻ってきた軍人だ。人体の急所や隙の付き方などの戦い方。絶体絶命の中、生き残る術なんかも電や俺に教えてくれている。
「ソラ、ソラ、ソラ!!」
「きゃ!!やっ!!とう!!なのです!!」
今やっている回避訓練は、武明が何処からか持ってきたボロ鉄を小石程度に砕き、それを指で弾いて電はそれを回避というものだ。そして、ボロ鉄の弾丸が当たった岩には小さな穴が幾つも空いていた。...いつも思うがこいつホントに人間か?
あれから数ヶ月、俺は今もここに来ることをやめていない。というのも...
「では、二人がかりで掛かってこい!!」
「叩き切ってやる!!」
「電の本気を見るのです!!」
電に良いところを見せてやろうと俺もこの訓練に参加しているからだ。武明にへし折られた愛用の刀は...今私の手にある。刀をへし折った武明は直様土下座で謝罪し、新しいモノを用意するとまで言ったが、俺はこの刀が気に入っていたのでそれを断った。そこで、武明は折れた刀を打ち直すと言ってきたのだ。まぁ、直るのならと了承したんだが...
「おりゃ!!」
「お姉ちゃん直伝!!」
「ホイ!ホイ!」
俺の刀の切れ味は驚く程上がり、今では斬撃を飛ばせるようになった。少し海を斬れる程度だがな。だがアイツは当たり前の様にその斬撃を躱している。...ちっ、殺す気でやってんのに一発も当たんねー。あと、電。俺は錨を振ったらハートマークが出る技なんぞ教えた覚えはないんだが...
「って電!?お前のソレは何なんだ!?」
...俺もさっき思った。
「フッフッフ、天龍お姉ちゃんの真似なのです!!」
「「真似て出来るか!!ってか何か違う!!」」
最近、電がコイツに...常識という物をそのへんのドブに捨てている武明に毒され出している。まぁ、俺も人(艦)のことは言えないけどな。
「よしっ!今日の訓練はこれくらいにしよう。あと、天龍さん。」
「ん?俺に何か用か?」
「えぇ。貴女の刀専用の鞘が出来た。様々なギミックが付いているので説明しよう。」
「漸くか...頼んだ機能は入れているだろうな?」
「貴女が依頼したものを全て入っている。じゃあ、あっちで説明する。」
「あぁ、頼む。」
漸くこの刀の鞘が出来たようだ。武明に頼んで打ち直してもらった刀は...へし折られたおかげでって言う表現になるから尺だが、依然とは比べ物にならない物になった。しかし、以前の鞘に入れてみたんだが、あろう事かあの刀入れた表紙に鞘を真っ二つに分断しやがった。鞘に仕舞えない愛用の刀はいつもこの瀬戸内鎮守府に預けていて、何時も帯刀している刀は別の天龍の予備の刀だ。それで、次はあの刀でも切れない鞘を注文したわけだが、今日やっと出来たらしい。
「第三艦隊...っと言っても俺と龍田だけだが、抜錨だ!!」
今日は俺の腰には久しぶりに愛刀がぶら下がっている。
「あら~、その刀やっと直ったのね~。」
「おう!今日の俺は一味違うぜ!!」
「フフフ、この頃天龍ちゃんは戦果を多く上げているから頼もしいわ~。」
「おぅ!大船に乗った気で任せろ!!」
「しゃらぁ!!一刀!!」
「...天龍ちゃん一体どうしちゃったの?」
「ん?どうした龍田?」
どうしたんだ?俺はアイツとの訓練の時と同じように殺ってるだけなんだが?
「て、天龍ちゃんの刀から斬撃?が敵に飛んでいって、一刀両断していってる様に見えるんだけど...」
「あぁ、新しく打ち直されたこの刀の性能の一つだ。アイツとの訓練で大分自分のものに出来てきたけど、まだまだ狙いが甘い気がするよ。」
「そ、そうなの?あと、アイツって?」
「アイツってのは、電がいる瀬戸内の提督だ。今は電と一緒に訓練をしてる。」
「・・・」
「ん?どうした龍田?」
「い、いいえ。何でもないわ。さぁ、次の海域に行きましょう。早くここ一体の調査を終え、さっさと帰投してゆっくり間宮さん特性プリンでも食べましょう。(まさかここ最近姉さんが何処かに出かけているのは、あの男に会うため...あの男は得体の知れない存在。これ以上の接触は避けるべきね。)」
「おう、そうだな!!でも、提督から言われた10隻を超えるタ級なんてどこにも...龍田ぁ!!」
「え?「伏せろ!!」は、はい!!」
天龍の声に龍田はその場でしゃがんだ。
「ど、どうしたの?天龍ちゃ...え!?」
龍田はしゃがんだ状態で自身の後ろ側、天龍が睨んでいる場所を見た。
「クソッ、今お前を攻撃してきた2隻は撃沈出来たが...他にいた2隻を取り逃がしちまった。」
「ま、まさかFlagship!?」
二人が話しているところを見つけた敵タ級は4隻。全てFlagshipでその2隻が龍田目掛けて撃ってきたのだ。それをいち早く察知した天龍は龍田に伏せて回避させ、自身の刀でその中の2隻を両断。しかし、攻撃してこなかった2隻はその場から離脱していったのである。そして、
「おいおいおいおい、団体さんで大歓迎とは恐れ入るぜ!!」
「て、天龍ちゃん!!」
二人が見たのは敵深海棲艦の大艦隊。それも泊地棲姫1隻の白を除き他は黒のタ級が目測で20隻以上。それも全てFlagshipという大盤振る舞いだった。
「見られたからには沈んでもらう。殺れ!!」
「龍田!!」
天龍は龍田の肩を掴み叫ぶ。が、
「・・・」
呆然としたまま動かないでいた。敵のタ級艦隊はこちらに迫ってきている。
「おい!龍田!!」
「えっ!!な、何天龍ちゃん!!」
「いいか、よく聞け!!ここから一番近い鎮守府は瀬戸内だ。いけ好かねぇが、この事を知らせて応援を呼んでくれ!!」
「な、ならお姉ちゃんも!!」
「俺はコイツらをここで食い止めておく。心配すんな!危なくなったらさっさとここから逃げ出すさ。」
「で、でも!!」
「いいから!お前は行け!!お姉ちゃんを信じろ!!」
「ッ!!分かった!!」
龍田は敵に背を向け走り出す。
「ニガスナ!!打テ!!」
それを見ていたタ級1隻が他のタ級と龍田を狙い撃つ。
「させるかぁ!!」
その弾丸を天龍の斬撃が掻き消す。
「龍田は俺の妹だ!テメェらなんかに指一本触れさせねぇ!!そしてこの俺様が、テメェら一隻(人)残さずたたっ斬る!!」
先に動いたのは天龍。自身の愛刀の鞘に手を掛け仕掛けを作動させる。刀の柄部分に鞘の一部が覆いかぶさり、持ち手に銃のトリガーの様な物になった。そして、天龍はそのトリガーを抜刀と同時に引き、
「おりゃあ!!」
斬撃を飛ばした。その斬撃は最初2隻を沈めたものよりも大きく、範囲も広くなっており、龍田を狙った2隻以外の周りにいた4隻をも巻き込んでいった。
「死にたい艦がいるなら掛かって来やがれ!!」
「クソッ!1隻取り逃がしたか。逃げたヤツは放っておけ!今は目の前のコイツに集中しろ!!コイツは取り囲んで飛び道具で応戦しろ!!」
その言葉と同時にタ級達は動き出し、天龍を取り囲もうとしている。
「まだまだぁ!!この刀にはこんな使い方もあんだよ!!」
一方天龍は自身の愛刀にこれまた鞘の仕掛けを使う。鞘に付いているワイヤーを柄に空いていた穴に固定し、
「おりゃぁ!!」
タ級達の中心に投げ込んだ。
「何ダ?オ前コノ状況ニトチ狂ッタカ?」
「そしてぇ!りゃりゃ!!」
そして天龍は武明がよくやっていた指で弾を弾き刀のトリガー目掛けて打ち出した。
「フフフ、何処ヲ狙ッテ...ッ!?」
そのタ級はそれ以上言葉は発しなかった。いや、発せなかった。気付いた時には天龍の刀で真っ二つになっていたからだ。
「ば、馬鹿な!?刀が飛んで来るだと!?」
天龍は自身の刀のトリガーを弾で弾いて引いた事により、推進力を持った。そして、繋がった特注のワイヤーでブーメランの様に回しながら敵の中を蹂躙させて行く。
「撃沈した奴に構うな!!撃って、撃って撃ちまくれ!!」
「上等だ!!掛かって来やがれ!!」
泊地棲姫の声で全タ級は天龍に集中砲火を掛ける。そこから天龍は肩、腕、膝、頬や脇腹に被弾しながら敵を斬って斬って斬りまくって行った。
「グハァ!!...お、お前本当に軽巡洋艦か?」
「ハァ、ハァ、さぁな。最近バケモノ相手に訓練やってっから戦艦並に強くなったんじゃねぇの?」
あれだけいたタ級は天龍の後ろに死屍累々の山になっており、敵の指揮官泊地棲姫は先程の天龍の一刀でもう喋ることしかできない状態である。そして天龍も軽口は叩いているが、満身創痍。愛刀は全くの無傷で刃こぼれ一つ無いが天龍自身には多くの被弾箇所が見て取れ、立っているのもやっとの状態である。
「ハハハ、バケモノ相手に?そりゃ私達が敵わない訳だ!!...良い事を一つだけ教えてあげる。私達は第三艦隊だ。」
「な、何!?」
その言葉に天龍は驚愕した。
「フフフ、その表情が見たかったのよ。まだ第二、第一艦隊が私達の後ろにいる。...轟沈したらまた会いましょう...」
そう言って泊地棲姫は海底深くに沈んでいった。
「ク、クソッタレ!!」
そう天龍がゴチルのも無理もない。あれだけいたタ級が第三艦隊。そこから第二、第一艦隊の規模を考えれば今まで戦っていた奴らは可愛いと言えるものだろう。
■□■□■□■□
「そ、それで天龍先輩はどうなったのですか?」
「それから俺は...そうだな、奥の手のブラックボックスGNドライヴの"トランザムシステム"を使用し戦った。"トランザムシステム"ってのはGNドライヴの各部に高濃度で圧縮・蓄積されているGN粒子を全面開放する事で、機体の出力を通常の約三倍に引き上げ、性能を一時的に向上させるもので、身体全体が赤くな「で、では、その後現れた"レッドデビル"は天龍先輩ですか!?」...るって物があれば良かったのにな。」
「は?」
「いや、そうだったら良かったな~、ってな。本当は俺が大破寸前だったところにお前の言う"レッドデビル"が突如現れ、その第二、第一艦隊を一人...一体で蹴散らして行ったんだ。」
「で、では"レッドデビル"は天龍先輩ではないのですか!?」
「あぁ、アイツの正体は俺にも分からねぇ。」
「そ、そうですか...」
...では"レッドデビル"とこの姫神部隊は無関係なのでしょうか?天龍様の"泊地棲姫率いるタ級20隻の敵艦隊に単身で突貫し、大破寸前の状態で勝利した"ではなく、"泊地棲姫率いるFlagshipのタ級30隻"と元帥に報告しておきましょう。しかし、"レッドデビル"に関してはまだまだ報告出来るモノにはなりませんでしたね。
天龍の眼前には海上を真っ黒にし黒く蠢く敵深海棲艦が迫ってきている。
「天龍お姉ちゃん!?」
「よ、よう電。カッコわりぃ所見せちまったな。」
満身創痍の天龍のもとに駆けつけたのは、電と
「て、天龍ちゃん!!」
それを知らせた龍田、
「よう、連れてきてくれたか...」
「天龍さん、貴女はそこで休んでいて下さい。後は俺が...」
それに瀬戸内鎮守府(仮)の武明提督だった。
「馬鹿言うんじゃねぇ!!お前にはあの大艦隊が見えねぇのか!?」
「見えてますよ。アレなら俺一人で対処できます。いや、一人じゃないと他を巻き込んでしまう。」
さも当然に言い放つ武明。
「「「は?」」」
そして理解できていない3隻。
「三人はそこに隠れていてくれ。じゃ、行ってくる。」
武明は3隻を少し離れた岩に隠れるよう指示し敵に向かってゆっくり歩いて行く。そして、
数時間後《ドゴーン!!》というけたたましい爆音と大きな爆炎を周りに振りまきながら敵大艦隊は全滅した。
文字数が多くなってしまいました。次回は木曾の話を予定しています。