噂の"姫神部隊"(本編完結)   作:小此木

13 / 34
第12話 サルベージ、サルベージ、さぁるべぇーじ!!

 

 

青い空、白い漣(さざなみ)、それを眺めながら鎮守府と海の間に敷かれているレンガの道を歩き、今日も私はこの鎮守府の情報を集めて回っています。なのですが...

 

「見つけたわよ~。今日こそ天龍おね...天龍ちゃんを返してもらうわ~。」

 

「見ツケタゾ人間!!今日コソヲ級オ姉様ヲ開放シテモラウ!!」

 

なのですが、私の目の前では何故か軽巡洋艦の龍田と深海棲艦のル級が肩を並べ、

 

「え?何時も言ってるけど勘違いじゃ...「「黙れ(レ)」」ちょ!!」

 

武明提督を襲っています。龍田が自慢の槍を振り回し、ル級は槍が通った後に単発入れず16inch三連装砲をぶち込んでいます。...とっても息が合っている連携攻撃ですね。そして、それを躱す提督。アンタホントに人間!?

 

「おぉ!やってる、やってる!!」

 

ん?この声は天龍様ですね。

 

「天龍先輩どうもです。あと、この状況を説明して欲しいのですが、宜しいですか?」

 

「あぁ、いいぜ。武明を追っかけてる龍田は...お!あれを躱すか~...っと、わりぃ、わりぃ。あの龍田は俺の妹で、今は岡山鎮守府の第二艦隊の旗艦をやってる。あと、あのル級とは腐れ縁だが、ここのヲ級さんの事を前から慕っている奴だ。あぁやって時々ここに来て、二人は提督に鍛えてもらってんだ。」

 

「そ、そう「死ねぇぇぇぇ!!!」なん「私ノ砲撃デクタバレ!!」ですか...(絶対、絶ぇぇぇぇ対違います!!あれは"リリ刈る本気(マジ)狩る"ですよ!!提督の命狙ってますよ!!)」

 

「あいつら前より動きが良いな。そろそろ提督に当たるかもしれんぜ!」

 

天龍様は何を呑気に笑っているのですか!?どう見ても御二方は提督の命を狙っているのですよ!?

 

 

 

 

 

 

「おっ、やっと終わったか。」

 

「天龍先輩お帰りなさいです。」

 

「よう!最後まで見たか?今後の戦闘の為になるもんばっか見えただろう!!」

 

3時間死の追い駆けっこ(デスマーチ)で疲れた二人(艦)?は諦めて、それぞれ海と鎮守府へ向け帰って行きました。天龍様は早々に何処かに行ってしまいましたが、今帰ってこられました。そして、私は私自身の戦闘技術への応用が効く様々な連携と技が見えてちょっと得をした気分です。...あと、完全に御二人の背にデカデカと『殺』の文字が出ていた気もしますが、気のせいでしょう。全ての攻撃を余裕を持って避けていた提督を見ていると何故か被弾...人にこの言葉を使っていいものでしょうか?...するビジョンが浮かびません。なる程、天龍様は提督に御二人の攻撃が当たらない事を知っていたのですね。...私には御二人が鍛えてもらっている様には見えませんでしたけど...

 

「そう言えば、天龍先輩はどういった経緯でこの鎮守府に?」

 

「俺は最初、龍田と一緒に岡山鎮守府へ着艦して、その後こっちに来たんだ。...まぁ、多少強引な手段を取ったがな。」

 

「ご、強引って...そ、それはどうしてですか?」

 

「えぇ゛!?そ、それは...い...つに...」

 

「い?...あっ!!"電"先輩が気"に"なってこちらに来たんですね!!この前電先輩に聞いたんですよ!天龍先輩と電先輩は同じ養成施設で姉妹のように生活していたんですよね!!」

 

「じ、実はそうなんだよ!!アイツ昔っからちょっとドジでな。ア、アハハハハハハ...(...わりぃ電。今回はお前を口実にここを乗り切らせてくれ。それに、本当は"あの時"のアイツに一目惚れしてこっちに来たって恥ずかしくて死んでも言えねぇし!!)」

 

「お~い、提督~!!帰ったぞー!!」

 

「おっ!帰ってきたか。」

 

「こ、この美声は!?」

 

この美声を私が忘れるはずがないのです!!

 

「よう、お帰り。戦果は?」

 

武明はその声のする方に振り向くと、

 

「上々だぜ!!」

 

普段は見せない輝く笑顔で大きな風呂敷を抱えた木曾を「違います!!木曾様です!!」...訂正、木曾"様"を迎えた。

 

「よし、今日は木曾が持ち帰った茶で「なんと神々しい笑顔でしょう。木曾様は神にも悪魔にもなれるのですね!!今は女神様になられております!!」...だそうだ。」

 

あぁ、目の前に女神様が...三面六臂の阿修羅神、特に興福寺阿修羅像は中性的な顔で女性だと言われる事がありますが...木曾様のこの笑顔で納得です!!あの阿修羅像は木曾様をモデルに造られたのですね!!

 

「そうそう、提督。この茶に合う京菓子ももらったんだ、後で母さんと食べよう!」

 

「まぁ、後でな。それより疲れたろ。入渠して「木曾様!!聞きましたよ貴女様の武勇伝!!」...ふぅ、ゆっくり休んどけ。明日、明後日は休みだ。大鳳と仲良くな。」

 

そう言って武明は鎮守府へ歩いて行った。

 

「じゃ、俺はヲ級さんの夕飯作りを手伝いに行くぜ。あと、木曾お疲れさん。後でな~。」

 

「おう!天龍先輩夕飯期待してるぜ!」

 

「任せとけ!」

 

そう言って天龍は右腕の力こぶを左手で二回叩き笑いながら鎮守府へ入って行った。

 

「木曾様はやっぱり凄いですね!!」

 

「ん?何がだ?」

 

「聞きましたよ。ブラック鎮守府を沈め、武蔵達を保護したそうじゃないですか!!流石木曾様!!そこに痺れる!憧れる~です!!」

 

「あぁ、そっちは提督だ。俺は何もして「いえ!!そんなに謙遜しないで下さい!!」...いや、謙遜とかじゃなくて本当に俺は関わってないんだが...」

 

「では、百歩譲って提督が助け出したとします。さっきまで提督は龍田さんとル級...さん?からの攻撃を躱していました。ですが、避けるばかりで戦う意志を見せなかったです。本当は避ける事しか出来無いのでは無いですか?それか、攻撃しても私達艦娘や深海棲艦を倒すまでには至らない「黙れ!!」...へ?」

 

「黙れ!!俺達の事をなんにも知らない新参者が!!提督を...俺の父さんを侮辱するな!!そんな奴...大っ嫌いだ!!」

 

木曾は突然大鳳に怒鳴りつけその場を逃げるように鎮守府へ走り去った。

 

「・・・」

 

そして、その場には呆然と立ったまま動かない大鳳が一人(艦)残されていた。

 

 

 

 

■□■□■□■□

 

 

 

 

~3年前~

 

「よし!今日はこの辺でやるぞ!!お前ら準備はいいかー!!」

 

「「「「「イー!!」」」」」

 

それは異様な光景だった。軽巡洋艦の天龍が、敵である深海棲艦のイ級5隻に指示を出し、その指示にイ級達が素直に聞いているのだ。

 

「今回の海域はちょっと前に戦闘があった場所だ。戦闘時に取り落とした弾薬や資材、相手に被弾し落ちた弾薬なんかも要回収対象だ!!あと、轟沈した艦や大破した艦...これらは敵味方問わず動いている者がいれば俺に即報告しろ!!それと、ソイツらにはできるだけ応急処置をしとけよ!!」

 

「「「「「イー!!」」」」」

 

「じゃ、"ひ"と"ふ"は俺と近海の調査、"み"、"よ"、"いつ"はここいらに網を放ち引き上げてくれ。」

 

天龍の指示でそれぞれイ級達は動き出した。背中?に白い塗料で漢字の壱、弐の数字が書かれたイ級が天龍に付いて行き、参、肆、伍と書かれたイ級は船引き網を自身のスタン(船尾部)に付け近海を泳ぎだした。

 

 

 

 

「今日はあんま良いもん落ちてねぇな~。そろそろ、他の鎮守府の奴らがここを通るかもしんねぇし、引き上げるか...「イー!!」ん?どうした伍(いつ)?」

 

「イー!イ、イー!!(訳:隊長!!先程、艦娘を引き上げました!!撃沈していて、虫の息です!!)」

 

「よし、直ぐそこに連れて行け!!」

 

(本当にアイツの両親の技術には驚かされるぜ。今耳に付けているインカムはイ級達や動物の声まで俺らの言葉に翻訳してくれる代物...今度龍田とお揃いのケータイでも頼んでみようかな...)

 

そんな事を考えながら天龍は伍と背中に書かれたイ級を追って行った。

 

「こっちか?」

 

「イー!(訳:そうです!!)」

 

天龍の質問にイ級が答える。そして、その引き上げられた艦娘がいる場所へイ級は天龍を先導して行った。

 

「...こいつは!!」

 

「イ?」

 

「伍(いつ)、他の奴らを直ちに呼び戻せ!!コイツを連れて即帰投する!!コイツの状態は一刻を争う!武明には俺が緊急回線で連絡する!!」

 

「イー!!」

 

イ級伍は急いで他のイ級達を呼び戻しに行った。

 

『こちら天龍!こちら天龍!!武明聞こえるか!?』

 

天龍は自身の耳辺りに人差し指と中指を当てた。その当てた場所には良く言う赤い魔法陣の様なものが浮き上がっていた。そしてそこに鎮守府にいるであろう提督、武明に呼びかけている。

 

『どうした天龍!!緊急回線ってことは何かあったのか!?』

 

その赤い魔法陣から武明の声が聞こえてきた。

 

『ああ、即入渠の準備してくれ!!撃沈寸前の奴をサルベージした!!』

 

天龍の傍に引き上げられている艦娘の状態は酷いものだった。着ていた制服は大切な部分以外ビリビリに破れており、その間から見える肌には痛々しい傷が見えている。そして、艦娘達が身に付けている艤装に至っては背中にある装着部分が少し残っているだけだった。

 

『なにぃ入渠の準備だと!?そんなに重症なのか!?』

 

『ああ!本当に虫の息って感じだ!!急いでそっちに戻るか『いいや!!そこにいろ!!』何故!!』

 

『そんな状態でここまで持つか!!お袋に連絡してそっちまで行ってもらう!!そっちの方が早いし、助かる見込みも上がる!!』

 

『愛姐さんに!?で、でもここの位置はどう連絡すれば『大丈夫だ!!その緊急連絡用の奴はお袋が作ったもんだ!!GPS機能も実装済みだから安心しろ!!』...了ぉ解!!』

 

そして、イ級が全員集まった時

 

「よし!全員集まったな。愛姐さんがこっちに来るらし「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ!!助けてくれと私を呼ぶ!!」...いや、来た。」

 

愛姐さんと呼ばれたその人物は大きなカプセルを空中の傍らに浮かべ、こちらに文字通り飛んできた。

 

「やっ!天龍ちゃんお久~。元気にしてた~?」

 

その人物は見た目20代後半から30代で赤い短髪。出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいるスタイル抜群の女性だった。女性は白衣を羽織っていて見る者に医者か研究者を思わせる。

 

「ご無沙汰してます愛姐さん!!俺は元気です!!それに、姐さんに打ち直して頂いた刀の調子がいいもんで、今では俺の一部と言っても過言では無いです!!」

 

「よれは良かったわ。」

 

「・・・あれ?姐さん何かの研究中でしてたか?」

 

天龍は愛の白衣を見てそう聞いたが、

 

「いいえ。...あぁ、これは白衣ではないわ。後ろ見て後ろ!!」

 

「後ろ?・・・って、え゛ぇ゛!?」

 

「フフフ、いいでしょう。ちょっと昔の子が着ていたものらしいの。あの人が着てみろって言うから着てみちゃった!!」

 

「き、着てみちゃったって...」

 

愛の羽織っている物は白衣ではなく、背中に"夜露死苦"と達筆な筆の文字で書かれており、昔の暴走族やレディース達が羽織っていた特攻服だった。

 

「...っと、こんな話してる場合じゃなかったわ。死にそうな娘(こ)は何処?」

 

「そ、そうでした!!ここに寝かせている奴..."軽巡洋艦の木曾"なんですが、助かりそうですか?」

 

「大丈夫よ!!でも、ここに来るのがちょっとでも遅かったら危なかったわね。さぁ、服を全部脱がせてこのカプセルに入れてちょうだい。」

 

「分かった!」

 

そう言うと天龍は木曾の装備を全て外し、ゆっくりとカプセルに入れた。

 

「じゃあ、私は先にこの娘と一緒に息子の所に帰るから。天龍ちゃん達、気を付けて帰るのよ~。」

 

「はい!ソイツの事宜しくお願いします!!」

 

「私に任せなさい!!じゃ!!」

 

そう言うと愛とカプセルはシュッと足元から消えていった。

 

「さぁ!俺たちも回収した多くの資材を持って帰って、武明と電を喜ばせてやろう!!」

 

「「「「「イー!!」」」」」

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

ここは瀬戸内鎮守府の一室。コンコンとドアに誰かがノックをし入って来た。

 

「よう、ヲ級。まだ目を覚まさないのか?」

 

「...武明カ。マダ覚マサナイ。外傷ハ消エテイルケド、多分心ノ傷ネ。」

 

ベッドには助けた木曾が静かに横たわっており、服は患者が着る物に着替えさせられていた。木曾の外相と内蔵の損傷はカプセルでの治療の結果、5日間程で全て消えた。しかし、傷は消えてもサルベージしてから一週間経っても木曾はまだ起きない。

 

「心の傷?」

 

「ソウ、心ノ傷。アノ子ハトテモ危険ナ状態ダッタ。死ト隣リ合ワセノ戦場デ轟沈仕掛ケタンダ。ソシテ、心身共ニ極限状態ダッタロウ。身体ハ治ッテモ、マダ心ガ披露シテイルンダ。」

 

「それはそうだな。じゃあ、今日は俺と電で近海に遠征に行ってくる。ヲ級と天龍はここで木曾の様子を見ていてくれ。」

 

「分カッタ。天龍ニハ私カラ伝エテオク。気ヲ付ケテネ。」

 

「おう!」

 

ヲ級が言ったように過度の精神的披露の為起きないのであろうと結論付た武明は、電を連れ近くの海に遠征をする為部屋から出て行った。

 

 

 

 

「しっかし、ヲ級さん。留守番隊は暇だな~。」

 

「大丈夫。武明ノ菜園ヘノ水ヤリガアル。」

 

「うぇ~、それ俺はパス。」

 

「...今日ノ夕食抜キ「やります!!やらせて頂きます!!」...ソウ。ジャア、オ願イ。」

 

「は、図ったなヲ級さん!!」

 

「フフフ、何ノ事?」

 

「ちぇ!酷いぜヲ級さん!!」

 

二人...2隻は武明達が帰投するまで木曾が寝ている部屋で過ごそうと雑談している。

 

「そう言えば、ヲ級さんは武明と愛姐さん達...両親の秘密?を知ってるんだよな?」

 

「エエ、ソウヨ。デモ、本人達ハ秘密トハ思ッテナカッタワヨ。」

 

「じゃ、教えてくれ!!」

 

「フフフ、私カラハ無理ヨ。ソレハ本人達ニ聞イテネ。」

 

「分かった。野暮な事聞いちまった。悪い。」

 

「・・・うぅ・・・」

 

「ん?今の声...」

 

「・・・こ・・・ここ、は・・・」

 

「ヲ級さん!!」

 

「分カッテル!!」

 

2隻は木曾のベッドに近付いていった。

 

「...ここは?」

 

「ココハ瀬戸内鎮守府。...集団行動ガ苦手ナ異常者ノ集マッタ場所トモ言エルケドネ。」

 

「って、ヲ級さん!!何変な事吹き込んでるんだ!!「ひぃ!!」ほらほら、コイツもこんなに怯えてるし...」

 

「来るな!!」

 

「「へ?」」

 

「来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、来るな、くるな、クルナ、コッチに来るな――――――――――――――――――――――――――――!!!」

 

木曾は起きた途端壁まで後ずさりながら呪文のようにその言葉を繰り返す。

 

「ちょ、ちょっと落ち着け!!」

 

その異常な怖がり様を見た天龍が宥めようと近づくが、

 

「ひぃ!!助けて、助けて、助けて!!誰か俺を助けてくれよー!!」

 

更に怯え収拾がつかなくなって行く。

 

「...天龍。怯エサセテドウスル。」

 

「い、いや俺にも分かんね「か、母さん!?」え?」

 

「母さん!!よ、良かった!!聞いてくれよ!!アイツが俺を虐めるんだ!!」

 

そう言って木曾はヲ級の元へ嬉しそうに駆け寄って行った。

 

「ム!虐メ良クナイ!!」

 

そして、天龍から隠れるようにヲ級の背中に回り込んだ。

 

「うぇ、俺悪もんかよ~。」

 

とごちり天龍は肩をすくめた。

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

「ただいま!!木曾が目覚めたって!?」

 

「ただいま、なのです!!彼女は大丈夫ですか!?」

 

二人...一人と1隻は帰投後、同時に木曾が寝かされていた部屋へ飛び込んで行った。そして、

 

「母さん!!今日は俺、カレーが食べたい!!」

 

「ハイハイ、ソンナニハシャガナイ。ジャ、今日ノ夕飯ハカレーネ!」

 

「フフフ、怖がられるのは慣れっこだぜ...」

 

仲良く会話をしているヲ級と木曾。そして、木曾は思い出したかのように部屋の隅に"あっかんべー"をしていた。一方部屋の隅っこで体育座りをし人差し指を床に押し付けいじけている天龍というカオスな場面に出くわしてしまった。

 

「「な、なんじゃこりゃー!!(なのです!!)」」

 

 

 

 

 

 

 

「んで、天龍の見解は?」

 

「あぁ、俺は嫌われているのか...グズ...済まん。...俺が思うに艦娘を唯の消耗品としか考えていない所、巷(ちまた)でよく噂されているブラック鎮守府に居たんじゃねぇかと踏んでる。」

 

「まぁ、それが無難かな。」

 

 

 

 

木曾に付いて武明達が分かったことが四つ。一つ目は艦娘、電や天龍を必要以上に怖がる事。二つ目、武明がたまに着ている...失礼。武明が着ている軍服を見た途端動悸が激しくなり、目に見えて恐怖以上トラウマレベルの症状になり最悪気絶してしまう事。三つ目、ヲ級を母と呼び娘のように懐いている事。最後に、

 

「父さん見てくれ!俺、もうこんなに背が大きくなったんだぜ!!」

 

「おぉ!!そりゃ凄い!!よし!今度木曾とヲきゅ...母さんとでピクニックにでも行くか?」

 

「やったー!!ピクニックだー!!」

 

軍服以外の姿なら武明を父と呼び、言動と行動が少し幼児化していることだ。

 

「フフフ、ナラ今日ノ昼ハサンドイッチデモ作ロウカシラ。」

 

「サンドイッチ、サンドイッチ!!」

 

今ヲ級と武明は、木曾の心のケアをする為擬似夫婦を演じている。だが、ヲ級は武明との擬似夫婦生活を楽しんでいて満更でも無い様子である。

 

「母さん。ちょっと出てくる。」

 

「ハイ、イッテラッシャイ。」

 

「父さんいってらっしゃい!!」

 

「おう!!」

 

そう言って武明はある場所に出かけて行った。

 

「...悪い、電、天龍。もうちょっとこの倉庫で生活をしてくれ。それと、差し入れだ。」

 

「いやいや、気にすんなって。アイツの為なんだ。それにもう少しでアイツがいた鎮守府を特定出来る。」

 

そう言いながら差し入れを受け取る天龍。

 

「そうなのです!!提督が気に病む事はないのです!!」

 

そこは瀬戸内鎮守府から1キロ程離れた倉庫。木曾に怖がられる電と天龍はここに隠れて生活していた。それに、木曾にあそこまでトラウマを植え付けた鎮守府を探し出そうと独自に動いてもいたのである。

 

「色々悪いな。見つかったら教えてくれ。」

 

「「了解!!(なのです!!)」」

 

数週間後とある鎮守府が一人と3隻によって地形ごと消滅させられた。

 

 

 

 

■□■□■□■□

 

 

 

 

~現在~

 

鎮守府食堂内

 

「・・・」

 

「おい、どうしたんだ急にヲ級さんに抱きついて?」

 

「木曾。ドウシタノ?」

 

「...また、父さんの悪口を言った奴を怒鳴っちまった。」

 

「まさか、大鳳を?」

 

「・・・俺は悪くない!!父さんを悪く言ったアイツが悪いんだ!」

 

「おいおい、これから一緒に生活するんだからいざこざは無しだぜ。(でも、ヲ級さんに報告しに来たって事は少し悪いって思ってんだな。相変わらず素直じゃないな~。)」

 

「木曾。アノ娘ハ武明ヲマダヨク知ラナイノ。今回ハ許シテアゲテ。ネ。」

 

「ぶす~!」

 

ヲ級がなだめたにも関わらず木曾は頬を膨らませ不機嫌である事を主張している。

 

「はぁ~、俺が様子を見て来っから。後から謝りに来いよ。」

 

「・・・」

 

 

 

 

「お~い、大鳳いるか?天龍だけど入るぞ~。」

 

天龍は最近来た大鳳に宛てがわれている部屋にノックをしドアを開けた。その部屋には、

 

「って、おい!!早まるな!!」

 

天井から垂らしたワイヤーに輪を作り、自身の首を預けようとしている大鳳がいた。

 

「...なんです?木曾様に嫌われた私に生きる希望はありません。死なせて...轟沈させてください。」

 

「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいや、待とうな!!ちょっとその選択待とうな!!」

 

「木曾様に嫌われた...鬱だちのう。」

 

「ストーップ!!」

 

 

 

 

 

「そ、そんな提督が木曾様の育ての親だったのですか!?」

 

「...そうだ。いきなり怒鳴ったのは俺が悪かった。でも、もう二度と父さんの悪口は言わないでくれ。」

 

大鳳の自殺を天龍が止めようとした時、運良くその場に木曾がやってきて木曾の静止で大鳳は直ぐ自殺を止めた。そして、木曾が渋々だが自身と提督、ヲ級の関係を簡単に説明し今に至る。

 

「分かりました!!この大鳳、お義父様の事を今後一切悪く言いません!!」

 

「ん?お義父様?」

 

「はい!提督は未来のお義父様ですから!!」

 

「???」

 

一応その場は解決したが、大鳳が武明をお義父様と呼び追いかけるとは誰も予想できなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待ってくださいお義父様!!」

 

「誰がお義父様だ!!」

 




次回は霧島かこれまでの艦娘達の設定どちらかをUPします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。