噂の"姫神部隊"(本編完結)   作:小此木

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第2話 報、連、相(ホウ、レン、ソウ)

私の目の前に右にヲ級...さん?、左に電様が提督を挟んで立っている。そして真ん中の提督は、

 

「さて、大鳳君は今日からここの一員になってもらうわけだが...「提督チョットイイカ?」ん?どうした?」

 

「麦ワラ帽子ハ脱イダホウガイインジャナイカ?ソレト、ソノママノ格好デ説明ヲ?」

 

先ほどの麦わら帽子に茶色いツナギの格好で椅子に座っています。

 

「おっと、これは失敬。ちょっと着替えてくる。待っててくれ。」

 

そう言うと提督は司令室から着替えに出て行かれました。

 

 

 

◇◆

 

 

 

「...マァ、気ニスルナ。何時モノ事ダ。」

 

「は、はぁ。」

 

ヲ級...さんは気にするなと言っていますが、ここの提督は横須賀の...私達の知っている提督とは雰囲気が全く違いますね。軍人らしくない...と言うか接しやすい雰囲気でした。そんな雰囲気の提督があの"姫神部隊"を指揮出来ているとは思えませんが...

 

「あ、あの。貴女が今日からここで研修?をされる娘なのですか?」

 

「は、はい!(い、電様からの質問!?この方達にこちらの目的を悟られぬよう、当たり障りの無い答え方を心がけないといけません。)」

 

「期間限定でお世話になります横須賀鎮守府"航空母艦"の大鳳です!!旗艦も何度も経験をしていますが、ここではご迷惑をかけるかもしれません。ですが、よろしくお願いいたします!!」

 

「おいおい、そんな堅っ苦しくて大丈夫か?」

 

「あっ、お帰りなのです!!」

 

「オ帰リ。」

 

こ、この声は!!

 

「やぁ、母さん帰ったよ。電先輩もただいま。今回の遠征は豊作だったぜ!!」

 

間違いない!この声は!!

 

「おい!木曾!!俺たちを無視して司令室に先行しやがって...提督に早く会いたいのはのは分かるけどよ...報告は全員でやらねぇとダメだろうが!!」

 

阿修羅姫の木曾様!!

 

「司令への報告は全員でって先ほど決めたじゃないですか。はぁ~、木曾はまだまだ乙女ですね。早く帰るより私は、早く金剛お姉様がこの鎮守府に着艦して頂きたいです。」

 

その後ろから、羅刹天龍様、盤上の匠霧島様が司令室に入ってきた。天龍様は艤装の砲台にペイントで霧島様は耳に付けているイアリングのデザインが"舵"になっていました。そして、

 

「よお!お前がここで研修がしてぇって言う変わりもんか?」

 

天龍様に声を掛けられました!

 

「て、天龍様!!こ、これから宜しくお、お願いします。」

 

「さ、様って...そう畏まらなくても...」

 

「い、いえ!姫神部隊の方々には粗相のないようにと元帥方より承っております故!...ふ、不束者ですが!!どうぞ気にせず!!」

 

「いや、不束って何処かに嫁ぐのか?気軽に"先輩"や"さん"でいいぜ。」

 

「で、では天龍さ...ん!!」

 

「おぅ!」

 

「私も"様"付けで呼ばれるのは慣れていませんので"さん"で呼んで貰えますか?」

 

「は、はい!!」

 

「じゃあ、俺も...「ダメです!!」え゛」

 

木曾様を"様"以外で呼ぶなんて畏れ多い!!

 

「木曾様は木曾様以外では呼べません!!私の中では元帥と同等...いえ、神に等しい存在です!!そのような御方を"様"以外で呼ぶ方法は存在しません!!」

 

「おい、木曾。やけに慕われてるじゃねぇか。知り合いか?」

 

「い、いや知り合いじゃ...あれ?航空母艦の大鳳・・・どっかで...」

 

「数ヶ月前ジャム島に遠征に行ったときじゃない?」

 

と霧島は言いクイッとメガネを持ち上げた。

 

「あぁ、あの時か!覚えてる、覚えてる。全員轟沈寸前だったからな。無事治って良かったなって、えぇ!?何で泣いてんの!?」

 

私、感動です!木曾様が覚えていて頂いて下さったなんて...

 

「うぇ、だ、大丈夫です。ぐすん、覚えていて下さったことに感動して...」

 

「そ、そうか。」

 

今私の目の前に神が降臨されました。一瞬目に留めただけで感激の涙で前が見えません。

 

「ホ~、木曾お前ジャム島での遠征では、弾薬とボーキサイトを垂れ流してきて何も資材を持ち帰らなかったのにそんなことをしていたのか?」

 

「いや~、流石に他の鎮守府の戦隊でも轟沈寸前になってるのは見過ごせなかったからな。」

 

「フム、それは誰も咎めはしないな。だが、何故全く資材がゼロだったんだ?」

 

「あぁ、それは俺が...って提督!?」

 

ん?提督が着替えから戻ってきたようです。涙でまだ目は見えませんが、

 

「あの時は資材まで渡して下さってありがとうございました!!」

 

私は木曾様の声が聞こえる方向へ深々と頭を下げました。

 

「ちょ、ま...「ほほう、資材をもらったと?」ッ!!」

 

「はい!命を助けて頂き、その上資材までも『俺らには必要ないからな』と渡してこられた時の木曾様はまさしく"神"であらせられました!!」

 

「さて、木曾"様"。俺の部屋でヲ級と待ってもらえるかな?」

 

「て、提督これには訳が...」

 

「問答無用!!ヲ級引っ立てぃ!!」

 

「分カッタ。」

 

「母さん待って!!て、提督!!慈悲を!!弁明をー!!」

 

「行クヨ木曾。天龍モ手伝ッテ。」

 

「分かった。...諦めろ木曾。」

 

「提督―!!」

 

 

 

 

あれ?木曾様の声がだんだん遠くなって...聞こえなくなりました。

 

「・・・ふぅ。霧島。助けるのはいいが、ちゃんと助けたことも全て報告をしろとあれほど言ったのに。」

 

「申し訳ありません司令。流石に木曾がこちらの資材を渡すとは思っていませんでしたので、どう報告していいのか...」

 

霧島は最後申し訳なさそうに言葉を濁した。

 

「はぁ~、まぁ今回は多めに見てやる。今後は気を付けてくれよ。」

 

「...分かりました。」

 

私はこの会話で一つ分かったことがあります。

 

「提督は...木偶の棒ではなかったのですね。」

 

「あ゛あ゛!?」

 

「ム~!!」

 

「ひっ!!」

 

一瞬。その一言です。私が提督を木偶の棒と言った瞬間、霧島様は鋭い目つきで私の首に砲口を突き付け、電様は言葉とは裏腹な殺気を放ちこちらに錨を向けていました。

 

「こらこら、新人を虐めるなよ。そんな殺気ばら撒いたら新人が気絶しちまうだろ?」

 

「...司令がそう言うのなら。」

 

「提督がそう言うのなら、初めてだから許してあげるのです!次からは気を付けるのです!!」

 

「は、はい!分かりました!!」

 

今日私は、提督の悪口は口が裂けても言わないと心に誓いました。

 

 

 

◇◆

 

 

 

「さっきは悪かったな。アイツ等も悪気はないんだが、俺が悪く言われるのは自分たちが言われた事と同等で気に入らないらしい。」

 

提督は黒い軍服に黒の帽子で机に座っており、その帽子は何故かつばが何かに少し切り裂かられた様な跡があります。今私は司令室にいる提督に今後の予定を聞こうと思っています。霧島様と電様(会話ときは"さん"や"先輩"と呼びます)は遠征で収集してきた資材の搬入でここから出て行かれました。

 

「い、いえ。何も知らない方を外見だけで判断してしまった私の責任です。」

 

「ムゥ...やっぱり、ツナギ姿の提督は珍しかったか?」

 

「...はい。私が知る中では初めてです。横須賀の提督達は司令室で書類の整理をしているか、ドックや港で艦娘達の様子を見ていることがもっぱらでしたから。」

 

「フム、普通の鎮守府はそうなのか。」

 

「はい。...ですが、普通とはどういう意味ですか?」

 

「いや、岡山の正式な鎮守府は"宇野"か"岡山"だからな。ここは仮みたいなもんさ。」

 

「こ、ここが"仮"?」

 

「さて、まずはここの説明をしよう。」

 

「・・・説明ですか?」

 

 

 

 

 

■□■□■□■□

 

 

 

 

 

「・・・だから、まだ敵船団の規模が分からない。早まるな!」

 

「し、しかし!!」

 

ここは横須賀鎮守府元帥会議室。

 

「元帥、宜しいですか?」

 

「ん?矢矧か、なんだ?」

 

「瀬戸に潜入している大鳳からの報告書です。」

 

「おぉ!!もう来たか!!一旦会議は中止。大鳳の報告書を見てくる!!」

 

 

 

 

 

今日一日で分かったことをご報告致します。

一つ、この瀬戸内鎮守府ですが...なんと三宅提督と大工の手造りだそうです。

瀬戸鎮守府があった場所はレンガ造りの倉庫が塀を少し残してほぼ全壊だったそうです。それを提督とその地域の大工で6年前大改装し今の鎮守府の大本を建てたそうです。

二つ、三宅提督は元陸軍の伍長だったそうです。

深海棲艦が突如出現し海軍の軍人が普通の戦艦で挑み散っていき、人手不足に一時なった事が7年前あったと思います。その人手不足を補うため急遽陸軍から海軍に変わったのが三宅提督だそうです。これはあまり珍しくありませんでしたがご報告致します。

 

「あの時急募した陸軍兵か...」

 

三つ、三宅提督は間違えてここ瀬戸内鎮守府に派遣されたそうです。

人手不足を補う為呼ばれたそうですが、呼んだ地元の海軍の手違いで今の鎮守府に配属されたそうです。

 

「...人手不足はこういうことも起こりえますから、このようなケースが他に無いか地方の鎮守府を少し調べさせます。」

 

「すまんな、矢矧よ。今ようやく戦況が落ち着いてきた。彼の様な提督が他にいたら心と体のケアは少しでもいい、診てやってくれ。」

 

「はい。そう伝えます。」

 

四つ、『深海棲艦を使役している。』と噂されていますが、事実です。

驚くことに敵正規空母"ヲ級"が平然と鎮守府の中を歩いています。更に驚くべき事は"ヲ母さん"や"母さん"と呼ばれ親しまれている点です。全く艦娘に敵意を向けず、艦娘と一緒に生活をしています。・・・そして、私は彼女を見て戦慄しました!数多の敵ヲ級は私よりは大きいがそれ程なかったはず!!なのに、何故...ここのヲ級は浜風並みの巨乳だとぉ!!許せません!!

 

「「・・・」」

 

報告は以上です。

あと、注意が一つ。姫神部隊の数名は提督を悪く言われるとキレます。私じゃなかったら気絶し、失禁しかねません。彼女らのいるところでの提督への暴言は自身の"死"を意味します。

 

PS

元帥様、私は今日神に出会えました。今日出会うことの出来る機会を与えてくださった元帥に感謝しています。一つ相談ですが、このまま私が神の娘を産むのはどうでしょう?式は来月あたりで...あっ、既成事実を作ったほうがいいですよね。その後は簡単に姫神部隊が横須賀と協定を結んでくれる。そう、私も神と結ばれ一石二鳥!!...

 

 

 

 

 

 

 

「矢矧、もうそれはさげていい。」

 

「...もう、よろしいので?」

 

「あと、最後の後10ページは大鳳の...暴走だ。余程嬉しかったらしい。」

 

「それほどまで...」

 

「気になるなら読んでみるといい。子供の名前と人数まで考えているぞ。」

 

「この役、大鳳で宜しかったので?」

 

「分からん。」

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