出来たら次の話を今年中にUPしたいです...できるかな?
第18話 ~な誓い
"手を伸ばす"
誰もが欲しいものに、伝えたい者に、掴みたい物に、手を伸ばすだろう。
そして、"助けを求める時"、"誰かを助ける時"何処かに誰かに手を伸ばす。...それは敵味方関係なく...
「お~い、電遅いぞ~。」
「はぁ、はぁ。て、提督さんが早すぎるのです。そ、それと何故海面を自由自在に移動できるのですか!?」
「『右足が沈む前に、左足を出して』という方法を「使っているのですか!?」...疲れるからやんない。」
「もう!!意地悪しないで教えて欲しいのです!!」
「わりぃ、わりぃ。種明かしをすると、妖精さんの技術のお陰で電達は海を自由に移動できるだろ?」
「はい!でも、それがどうしたのです?」
「その技術..."水面を歩く"行為は靴というモノを通じて発動している。俺はそれを自分自身で発動しているだけだ。」
「そ、そうなのですか!?」
「あぁ、そうだ。」
「提督さんは凄いのです!!」
「フッフッフ、凄いだろ~。っと、こうしちゃおれん!!電、引き続きこの近海の捜索を続けるぞ!!」
「はいなのです!!」
ここは瀬戸内海。提督と呼ばれた青年、三宅武明と艦娘の電は今日初陣...初めて鎮守府を離れ海へ遠征兼出撃を果たしていた。
「んで、再確認すると、この海域の何処かにある鉱石を多く含んだ岩石...ボーキサイトの採掘と、深海棲艦ってやつがどんなのか確認だな。」
「そうなのです!!でも、本当に提督さんは深海棲艦達を見たことが無いのですか?」
「うぅ~ん、見たことと言うよりどんな奴が深海棲艦なのかが分からくてな。」
「そ、そうなのですか。」
そして、二人(?)は暫くその海域を捜索したが、ボーキサイトは見つからず深海棲艦にも出会えられなかった。
「み、見つからねぇ。」
「おかしいですね。ついこの前はル級2隻にワ級5隻と戦闘をしたのです!!それに危なくなった所をヲ級?さんが電を助けてくれたのです!!今度会ったらお礼を言いたいのです!!」
「へ、へ~。(や、やべぇ、完全にあん時助けた奴だ。と言う事は対峙していたアイツ等が深海棲艦って奴だったのか...)」
「て、提督さんだから言いますが...深海棲艦全体を敵視するのは間違っていると電は思うのです!!でも、他の皆は『そんなことはない』って言うんです。...電の考えは間違っているのでしょうか。」
「...俺には明言できんが、色んな考えがあっても構わないと思うぞ。全員が同じ考えだったら、ちょっとした間違いにも気付けないしな。」
「...提督さん...」
「ちょっと向こうの島にボーキがありそうだから見てくるわ。」
「気を付けてくださいね!!」
「あぁ。」
武明は近くにあった島に向かって走っていった。そして、当然電は1隻になってしまっている。
「・・・って、提督さん一人じゃ深海棲艦に狙われたら死んでしまうのです!!電が一緒に付いていかないと!!」
電は見送った手前どうしようと一瞬頭を過ぎったが、艦娘より強度が劣る"人間"である武明を追いかけていった。
◇◆
「提督さんはどこに行ったのですか?」
先程武明が走って行った方角にあった一つの島の海を電は1隻で航行していた。
「あれ?あそこに居るのは、島風さんと筑摩さん?こんなところで何をしているのです?」
ふと見渡した海に自分と同じ艦娘を見つけた電は何をしているのか気になり、あわよくば武明を見ていないか聞こうと近付いていった。
「こんにちはなのです。こんなところで何をしているのです?」
「利根姉さん?...なんだ、電でしたか。」
「おぅ!?」
2隻は声を掛けてきた電に少し驚き視線を電に向けたが、視線をある"モノ"に戻し面白そうに話し出した。
「フフフ、利根姉さんでは無かったですが、貴女もやります?」
「"コレ"おっそ~いし何故か艤装で抵抗してこないからいい的だよ!!」
「的?・・・ッ!?」
電は見た。"ソレ"を見てしまった。艦娘2隻にサンドバックのように殴られ、蹴られ、ボロボロになった深海棲艦の"北方棲姫"のあられもない姿を。
「貴女達何をしているのですか!!敵であっても無抵抗の者を痛め付けるなんて悪いことなのです!!」
「・・・ん?貴女本気で言ってるの?」
電の激怒を何吹く風で受け止め、逆に聞く筑摩。
「当たり前なのです!!」
「へ~、あなたはコレの肩を持つの?」
「いい加減にするのです!!早くその足を退くのです!!」
「フゥ。」
島風と筑摩はやれやれと肩を竦め、互いに目線を合わせコクンと頷いた瞬間。
「いいよ~。「分かれば」但し、コレの代わりにあなたが島風達の攻撃を受けてね!!」
「キャァ!!」
2隻は電を次の標的とし攻撃を仕掛けてきた。
「あなたおっそ~い!!そんな性能で島風を止めれると思っているの?」
「姉さんにも今の私の勇姿を見て欲しいな~。」
次々と電に2隻の攻撃が着弾する。電が駆逐艦だというのもあるが、二対一で何度も遠征や出撃、演習を積み重ねた艦娘と初陣の艦娘では結果は火を見るよりも明らか。あっと言う間に大破寸前まで追い込まれてしまった。
「あなたつまんな~い。」
「無謀でしたわね。」
「・・・グ・・・」
最早身動きも取れなくなった電に島風の無情な言葉が吐かれた。
「あなた深海棲艦なんかに味方するから...島風達に沈められちゃうんだよ!!」
その言葉を聞いた電は死を悟り目を瞑った。しかし、その衝撃は一向に来ない。
「・・・深海棲艦のくせに善人気取りですか?」
筑摩が言った言葉を聞き電は恐る恐る瞑っていた目を開けた。そして、
「あ、あなたは...」
「...タスケテクレテ、アリガトウ。」
北方棲姫が電を庇い自身に2隻の攻撃を受けていた。
「あ、あぁ!!」
「...ヒトコト...デモイイカラ"カンムス"ト、ハナシガ、シタカッタ・・・」
「だ、駄目なのです!!まだ諦めたら駄目なのです!!」
「ワタシト、オハナシシテク...レルノ...」
「いっぱい、いっぱいしたいのです!!だからまだ死んじゃ駄目なのです!!」
「...ウレシ、イ...」
「五月蝿いな~。早く沈んじゃえ!!」
「駄目ぇ――――――――――――――――――――!!!!!!」
電は絶叫し北方棲姫へ手を伸ばす。だが、それをあざ笑うかのように連装砲が火を吹く。これで残るは邪魔をした電だけ...
「悪い。遅れた!!」
しかし、島風が放った場所には何も無く、電が伏している場所に一人の男が白い何かを抱え立っていた。
「て、提督さん!!」
「わりぃ、ボーキサイトを探してたら大分遠くに行き過ぎちまってな。...危うく部下とその友達を死なせるところだった。」
男の名前は三宅武明。瀬戸内鎮守府(仮)の提督で、その右脇にボロボロの北方棲姫を抱えていた。
「嘘!?わたしが気付けなかったなんて...」
「利根姉さん...じゃないわね。...白い軍服?どこかの提督じゃあるまいし...」
武明は電の傍にそっと北方棲姫を下ろし島風、筑摩を睨みつけた。
「ここで少し休んでな。とっととこいつら片付けてくるから。」
突如現れた男は島風達は本当に何処かの提督かと思ったが、ここは海上の最前線。脆弱な"人間"である提督が居る訳がないと思った2隻は直ちに攻撃対象として砲門を向けた。
「新たな深海棲艦!?それも男性型ですって!?...提督に知らせるため直ちに殲滅し残骸を改修します。」
「島風!!砲雷撃戦、入ります!!」
「おいおい、問答無用かよ。こちとら鎮守府の提督だぜ?」
「黙れ!!お前達深海棲艦は鎮守府の驚異なる!!黙って私たちに撃沈されろ!!」
「あっそ。」
「て、提督さん逃げて!!」
「連装砲ちゃんお願い!!」
電の叫びをまたも無視し、島風が連装砲に指示を出し戦闘は始まった。だが、これを戦いと呼べるものではなかった。
「う、嘘...」
電は呆然とし、
「な、何でなの!?」
筑摩はそれに狼狽え、
「し、島風より早いなんて...」
島風はその事実を未だに信じられない。
「小娘共、覚悟しろよ?俺の部下を痛めつけたんだ。それ相応の報いを受けてもらう!!」
それは一方的な戦闘。武明は全く被弾せず、相手艦娘2隻は無駄弾を唯唯放っている。そして、語尾を強めた武明は一瞬掻き消え、
「奴は何処に...ッ島風後ろ!!」
「おぅ!?」
「遅いぞ小娘!!」
「グァ!?」
島風の後ろに回り込み数十メートル先に蹴り飛ばした。
「まだまだ、こんなもんじゃ済ませねぇぜ!!」
そして、信じられない事にその吹き飛んでいる島風に追い付き今度は空へ蹴り上げ、最後に信じられない跳躍を見せ
「叩き落ちろ!!」
踵落としで海面へ叩きつけた。
「し、島風が速さで圧倒された...」
武明が見せた戦闘の衝撃は大きかった。あの島風に速さで圧倒し圧倒的な"力"で島風を大破させたのだ。
「す、凄すぎなのです...」
「ッ!!コイツに勝たないと利根姉さんに顔向けができません!!主砲発射!!」
「無抵抗な奴を甚振る輩は俺が許さん!!」
そう言うと武明は飛び出した。
「いい的よ!!」
1歩で音速。
「な!?あの弾幕をくぐり抜け...」
2歩で雲をまとい。
3歩で赤熱し。
4歩で地を蹴る意味を失う。
そして、最高速最大威力にて全筋力を右足に載せ叩き込む!!
「こいつが俺のライダーキックだぁー!!!!」
◇◆
「待ってろ、直ぐに二人を治療してやる!!」
島風、筑摩を圧倒し大破させ近くの無人島に放り投げた武明は、電と北方棲姫を治療するべく両脇に抱え瀬戸内鎮守府へ急いでいた。
「...ワタシハ、モウ...タスカラナイ...イナズマダケ、タスケテ...」
「諦めたら駄目なのです!!元気になって電とお話をするのです!!」
「そうだ!!お前は絶対助ける!!絶対に諦めるんじゃねぇぞ!!」
「...ア、アリガト...ウ...」
「あ...あぁ!!」
「畜生!!間に合えー!!」
「よく来た!!電遊ぼう!!」
「はいなのです!!」
結果として北方棲姫は助かった。しかし、無事とはいえない。治療カプセルでは一命を取り留めるだけだと悟った愛は人工的に作った別の体を用意し、その体を北方棲姫に移植した。そのお陰かは分からないが、日本語が流暢に話せるようになり何故か戦闘力もアップしてしまっていた。しかし、北方棲姫は戦闘はしたくないと言うので愛の技術で鎮守府(仮)の地下に北方棲姫が住める様に"あるもの"を造った。本来の運用が出来ない今は愛の作ったワープ術式でしか行けず、逆に戦闘を好まない北方棲姫には持ってこいの施設になったのである。
「...提督さんお願いがあるのです!!」
「ん?何だ?」
「提督さんは私達艦娘より何故か強いのです!だから、電を強くしてほしいのです!!」
「...どうして?」
「もう、あんな思いはしたくないのです!!何もしていない誰かが傷付くのは...もう見たくないのです!!助けてあげたいのです!!」
「それは敵であってもか?」
「無論なのです!!敵であっても"悪い事をしない方"は絶対助けたいのです!!お友達になれた『ほっぽちゃん』みたいに!!」
「ほっぽみたいにか...よし!!いいだろう!「やったの」但し!!」
「なのです?」
「俺はスパルタでしか教えたり、鍛える事が出来ん。覚悟しとけよ。」
「はいなのです!!」
「あと、ル級?の攻撃から助けたヲ級?ってのは俺だったのだ。」
「うぇぇ!?しょ、衝撃の真実なのです!?」
「まぁ、ともあれ。これからも宜しくな電。」
「はいなのです!!」
その日を境に電は武明のスパルタ演習を受け、助けを求めたモノを敵味方問わず助けた。助けた艦娘は所属している鎮守府へ送り届け、深海棲艦はまだまだ収容が出来る北方棲姫のいる地下へ住まわせた。そして、電に助けられた深海棲艦達は電を慕い、自分達も電の手伝いや力になりたいと言い出した。そこで、特別に電には愛から専用のワープ術式を作製してもらいこの地下から直接呼び出せるようにしてもらったのである。
~現在~
「ごめんほっぽちゃん。」
「ん?どうしたの電?」
「今度悪い奴が攻めて来るんだ。」
「ム!それは良くない!!」
「それで、"ここ"動いちゃうんだ...」
「良いよ!!私悪い奴嫌い!!それに今回はいっぱい攻めて来るんでしょ?提督さんが言ってた。艦娘や深海棲艦の皆を守るのはヲ母さんや電の次にお姉さんな私の役目だもん!!」
「ほっぽちゃん!!」
「なぁに?」
「一緒に頑張ろうね!!」
「うん!!」
―横須賀鎮守府"司令室"―
「期間限定とは言え、潜入任務ご苦労だった。」
「ハッ!!労いの言葉ありがとうございます!!」
「帰還後早速で悪いんだが...おや?その飛行甲板に描かれている姫神部隊のマークはどうしたのだ?」
潜入任務から帰還した大鳳の艤装、飛行甲板の真ん中に白い舵..."姫神部隊"のトレードマークが描かれていた。
「あっ、これですか。一応、新人教育が終了したとの事で終了記念に頂いたステッカーです。...何か問題でも?」
「いや、何でもない。...これより新たな任務を伝える!」
「ハッ!!」
「新たに出撃する第三艦隊の旗艦を努め、深海棲艦共をこの日本へ近づけさせるな!!」
「ハッ!!了解いたしました!!」