噂の"姫神部隊"(本編完結)   作:小此木

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第21話 希望から絶望へ

 

 

 

 

 

 

奴らは突如海中から現れた。

 

 

 

 

 

 

~前線基地~

 

 

 

 

「ッ!?元帥!!大変です!!」

 

「どうした矢矧!!」

 

「最前線に"鬼"と"姫"と思わしき艦影を確認!!」

 

「とうとう来たか...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え!?そ、そんな...そんな事!!」

 

「矢矧一体どうした!?」

 

「か、各鎮守府に」

 

「各鎮守府に?」

 

「各鎮守府にFlagship級深海棲艦が次々と出現し、苦戦中の模様!!何でこんなタイミングで!?」

 

「クソッ、やられた!!」

 

 

 

 

...奴らは突如海中から現れた。各鎮守府に...

 

 

 

 

~佐世保鎮守府~

 

 

 

 

「た、大佐!!敵が攻めていたっぽい!!」

 

「ぽいって何だぽいって!!てか夕立ぃ島岡んとこの第3艦隊と津川の第2艦隊は!?」

 

「もう迎撃に向かってるっぽい!!」

 

「チッ、何でウチ(佐世保)のエース達が出計らっている時に...まさか!!」

 

「山本大佐どうしたの?」

 

「いや、何でもない。...杞憂だといいが...」

 

佐世保鎮守府を任されている山本源十郎とその秘書艦夕立改二は、突如出現したFlagship級戦艦棲姫、離島棲鬼率いる深海棲艦タ級、潜水ソ級達200隻に苦戦を強いられる。そして、山本が予想したモノは杞憂でも何でもなく、"奴"の作戦の内であったことを後から知る事になる。

 

 

 

 

~呉鎮守府~

 

 

 

 

「冷静に、対処しろ。」

 

「って、提督!!何冷静を装ってんのよ!!傍から見たら動揺している事が丸分かりよ!!」

 

「そんな事は無い。見ろ!敵がゴミのようだ!!」

 

「だから何言ってんのよ!!ウチ(呉)の馬鹿提督は!!」

 

「ムッ、上官に対して馬鹿とは何だ!馬鹿とは!!」

 

「だったら、その妙な踊りをやめろ!!」

 

「み、妙とは何だ!妙とは!!これはキタキタ踊りと言って、別次元の魔物を召喚する由緒正しき踊りなのだ!!」

 

「畜生!!ウチの糞提督は想定外の事が起きたら、何で何時もおかしな事をやりだすの!?」

 

「ど、どうした曙!?落ち着け!!」

 

「落ち着くのはアンタよ!!キタキタ踊りは女性が踊らないと効果はないのよ!!ってコレは漫画の話で...」

 

「な、何!?じ、じゃあ曙一緒にやってくれ!!」

 

「何でそうなるの!!」

 

数々の勲章と戦果を挙げてきた呉の提督である彼、岡部修也は突如海中から攻めて来た深海棲艦達を見て冷静さを欠けている...一目瞭然だが...その秘書艦曙との夫婦漫才『ッ!!誰と誰が夫婦ですか!?』...は今日も平常運転だ。

 

「ど、何処に"封腐"なる新たな深海棲艦が!?」

 

「...おい、ここは司令室だ。川内とっとと、コイツら叩き出せ。」

 

「了解しました。坂本大佐。」

 

そして、二人(?)が漫才『だから、誰が夫婦だ!!』...オホン、二人(?)が言い争っているのは司令室。この未曾有の危機に呉の坂本隆史大佐をトップとしこの鎮守府の提督は秘書艦を連れ此処に集まってきていた。

 

「ちょ、ちょっと川内さん待ってください!!坂本大佐!!此処は俺がしょうか..."俺の曙"が召喚するであろう風のラン「バカ提督!!何やってんの!!早く司令室から出るわよ!!」すたぁぁぁ...」

 

曙は自身の上官である岡部提督の耳を引っ張りながら坂本大佐達に一礼し司令室を後にした。

 

「では、気を取り直して...松本提督、影山提督両名の第3艦隊を直ちに出撃!!」

 

「「ハッ!!」」

 

「そして、冷静さを取り戻し次第、岡部提督率いる第2艦隊を主力とし敵深海棲艦を殲滅しろ!!」

 

『了解しました!!』

 

呉鎮守府はFlagship級空母棲姫、港湾棲姫率いる浮遊要塞・護衛要塞、戦艦ル級、潜水カ級達300隻に強襲され、今から反撃に移る準備を行っていた。

 

 

 

 

 

~岡山鎮守府~

 

 

 

 

「大淀!瀬戸内とはまだ連絡が取れんのか!!」

 

「待ってください!!今偵察機から...え!?それは本当ですか!?」

 

「一体どうした!!」

 

「や、山崎大佐!!せ、瀬戸内鎮守府は"壊滅"!!瓦礫の山になっています!!偵察機により生存者を現在捜索中!!」

 

「どういう事だ!?...まさか、敵は一番障害になり得る"姫神部隊"へ奇襲を行う為に各鎮守府を...クソッ!!偵察機は引き続き生存者の発見を急げ!!田中提督の第2艦隊旗艦龍驤へ通達!!"敵は大型砲門を備えた艦が存在する模様。警戒を怠るな"!!」

 

「はい!!龍驤へ通達...」

 

(どうなっている!!あの姫神部隊が壊滅!?いやいや、奴らが簡単に殺られるはずがない...それに、今の所瀬戸内が壊滅した事以外寺岡艦長の読み通り、我々をデカデカと大きな的で誘い込み各鎮守府を強襲している。そして、最後は各鎮守府を攻撃している艦達が本陣と合流後横須賀を叩く...と云う事か!!)

 

瀬戸内鎮守府を強襲したのは山崎大佐が予想した通り、大型砲門を多く備えているFlagship級南方棲戦姫。そして、岡山鎮守府に攻めて来ているのはFlagship級南方棲戦鬼、南方棲戦姫率いる重巡ネ級、潜水ヨ級達300隻。各鎮守府の壊滅、横須賀本隊の大打撃。山崎大佐の脳裏には絶望の二文字が一瞬浮かび上がった。

 

 

 

 

~舞鶴鎮守府~

 

 

 

 

「蒼井ちゃ...蒼井提督!!直ちに敵深海棲艦にこれ以上好き勝手させないわ!!貴女の第2艦隊及び立花提督の第3艦隊と連携を取り敵深海棲艦の進行を食い止めなさい!!残存している艦娘は少数残しここの防衛に!!その他の娘達は貴女方二人の艦隊へ編成し前線へ!!」

 

「「了解しました神崎大佐!!」」

 

彼女、神崎大佐の指揮で舞鶴鎮守府に残っている残存勢力を蒼井提督と同期の立花香織提督両名に託し、各鎮守府と情報交換を行い今後の戦局を図るつもりだ。

 

「...それと、蒼井には辛い情報だけど・・・瀬戸内鎮守府が壊滅したそうよ。でも、まだ全員が死んだわけではないわ。...ごめんね、彼女らの安否が不確かな情報だったかけど霧島とジャマイ子の元上官の貴女には伝えた方が良いと思ったから...」

 

「そ、そんな...(あの姫神部隊が...だ、ダメよ!!あの鎮守府の異常性は知っているわ!!彼女らが只で殺られるはずないもの!!霧島の提督だったのよ私は!!彼女たちを信じずにどうするのよ!!)」

 

「蒼井...」

 

「ううん!!大丈夫!!大佐、香織!姫神部隊の皆は大丈夫です!!あの艦隊が沈められていたら日本...いえ、世界が既に壊滅しているわ。その証拠にまだ世界は滅んでいない。それに、こうしてまだ私達が戦っているのよ!!ここで、アイツ等だけじゃなく私達も居る事を敵に思い知らせてやりましょう!!」

 

「ククク、そうだな。あぁ!!そうだ!!まさか部下に叱咤されるとは...よし!蒼井!!」

 

「はい!!」

 

「立花!!」

 

「はい!!」

 

「舞鶴の底力見せてやるぞ!!」

 

「「はい!!」」

 

舞鶴鎮守府を強襲しているのはFlagship級泊地棲姫、装甲空母姫率いる軽巡ツ級、潜水ソ級150隻。神崎大佐率いる女性提督達の反撃はまもなく開始される。

 

 

 

 

~横須賀鎮守府 最高司令室~

 

 

 

 

「村田元帥、貴男は何を言っているのだ!!」

 

「何を言うか!!凪元帥、退避は必然!!これ以上我が大日本帝国海軍の戦力を減らすわけにはいかない!!今が撤退の時!!」

 

「だが、撤退させ此処に飛び火してくる恐れもある!!」

 

二人の男が言い争っている。村田と呼ばれた男は左目に傷を負い、その出で立ちで分かるように様々な戦場を経験してきた戦闘の男。もう一人、凪と呼ばれた男は実戦経験は田村と比べれば少ないが、様々な戦局を勝利に導いた軍師。

 

「まぁ、まぁ、二人共。ここは様子見ですな。相手戦力を把握する絶好のチャンスですぞ。」

 

その二人を制したのは、如何にも親の七光りで上り詰めた様な太った男。

 

「池田元帥それでは戦力が!!」

 

「村田元帥、戦力はまた強化すればいい。今は各国こぞって"あの戦艦達"が次々と建造されている。なぁに、戦力がなくなれば他から補給すればいいではないか。アレの建造のノウハウは我が国が提供したもの。彼らも嫌とは言いますまい。」

 

池田と呼ばれた男は、親の七光りでここまで上り詰めたものの、そのずる賢さと他の部所や他国へ顔が利く為"元帥"の座にいる。

 

「そ、それはそうだが...」

 

「先ずは、我々の身の安全を測りここから撤退...「駄目だ!それは絶対ならん!!部下が命を掛けて戦っているのに上が先に逃げれば組織は崩壊するぞ!!」...わ、分かっています。安全と言っても今現在の敵の情報や私達の戦力に関するデータの事です!!」

 

「す、済まん。取り乱してしまった。」

 

「い、いえ...」

 

太平洋での大規模戦闘、各鎮守府への強襲。この2つの事が同時に起こり上層部は未だ混乱し今後の体制を決めかねていた。

 

 

 

 

~前線基地~

 

 

 

 

「睦月、伊勢、五月雨大破!!」

 

「直ちにこちらへ帰還命令!!1隻でも多く修理させろ!!」

 

『平田!!9時の方向へ超重力砲を撃つ!!射線上の娘を退避させろ!!』

 

「了解!!矢矧!!」

 

「射線上の卯月、日向、翔鶴、鈴谷、名取へ伝令!!直ちにその海域を離脱して下さい!!」

 

寺岡操る千代田の参戦でこちらに有利な戦況へ変わりつつあった。Flagship級泊地棲姫、装甲空母姫、南方棲戦姫、飛行場姫、戦艦棲姫、離島棲鬼、港湾棲姫、空母棲姫の登場にも的確にミサイルで牽制、艦載機で空爆し攻撃する暇を与えないよう動き、一箇所に集まっている敵を超重力砲で殲滅し敵の数を減らして行っていた。

 

「よし!これなら...<ドゴン>一体どうした!?」

 

「確認します!!明石さんどうしました!!」

 

『た、大破、中破した艦娘達が!!』

 

「明石さん!!明石さん!?...通信途切れました!!前方の画面に映し出します!!...ッ!?」

 

「何がどうなっている!?」

 

 

 

 

~???~

 

 

 

 

「フフフ、そろそろ僕のプレゼントが届いているはずだよ。」

 

「...プレゼント?」

 

「何、お前たちに指示を出している術式は、僕の世界の化物と恐れられた者を劣化版だが簡単に従わせる事が出来る代物で、試しに鹵獲した艦娘に実験の結果"ダメージを受けた艦娘"にも効果があると分かってね。それを彼らにプレゼントしたんだよ!!」

 

 

 

 

~前線基地~

 

 

 

 

「何がどうなっている!?」

 

「中破以上した艦娘達がこの基地を攻撃しています!!おそらく敵の洗脳かと...」

 

「クソッ!!そんな事は彼女らの目を...涙を見ればわかる!!それよりもどうやって敵は彼女らを操っているかだ!!」

 

「未だ不明です!!」

 

「一旦後退し『平田ぁ!!大変だ!!』艦長どうしました!?」

 

『こっちの倒れた娘達がこっちに向かって攻撃して来ておる!!どうすればいい!!』

 

「なんてことだ!!」

 

 

 

 

戦況はいっぺんに相手側に変わってしまった。攻撃を受け満身創痍だった艦娘達が突如味方へ攻撃をしてきたのである。ある者は目に光がなく、またある者は涙を流し、自身を沈めてくれと言う者も現れている。

 

 

 

 

「初春、私を沈めて!!」

 

「い、嫌じゃ!!春雨を撃ちとうない!!」

 

「駄目!!早く...キャァ!!」

 

「は、春雨!?クソ!!深海棲艦共め許さんぞ!!」

 

そして、深海棲艦達の無慈悲な攻撃は止むことはない。ある時は自身の仲間共々攻撃し、ある時は艦娘に攻撃をしている艦娘共々攻撃、またある時は自身諸共自爆していく。この惨状見たら誰もが地獄絵図を思い出してしまうだろう。

 

 

 

 

~???~

 

 

 

 

「あっ、そう言えばあの洗脳艦娘には不完全な場合、自我を残したまま味方を攻撃しちゃうから可愛そうだよな~。」

 

その言葉とは裏腹に笑顔で男は呟く。

 

「・・・」

 

「そうそう、瀬戸内鎮守府はどうなった?」

 

「タイハシマシタ。シカシ...」

 

「やっぱり"もぬけの殻"だった?」

 

「ハイ。」

 

「ま、恐らくこれで姫神部隊を分散出来たと思うし第3波を用意しとこうかな。」

 

 

 

 

~前線基地~

 

 

 

 

「げ、元帥!!」

 

「今度は何だ!!」

 

「か、各鎮守府の深海棲艦達が次々と倒されていっているそうです!!」

 

「な、何!?こんなに早く盛り返す訳が...姫神部隊か!?」

 

「いえ、それは分かりません!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「春雨...わしは、わしは...」

 

「おぅ!?感傷に浸っている暇ないよ!!」

 

「じゃが、じゃがぁ!!」

 

「悲しむのは後!!今は敵をやっつけないと!!」

 

「そ、そうじゃな。済まんな島風。そなたに元気づけられるとは...」

 

「だから話は後!!って何!?」

 

「ん?俺?俺は...」

 

「そ、そなたが抱えて居るのは春雨!?」

 

「ん?あぁ、さっき拾ったんだ。そろそろ本隊が来る頃だからそこで治療すれば直ぐ治るぜ!!」

 

突如現れた者は轟沈しかけた春雨を右に抱え、トレードマークの刀に眼帯。彼女の名は...

 

「あと、遅くなってすまねぇ!!瀬戸内鎮守府軽巡洋艦"天龍改"ただいま見参だ!!」

 

姫神部隊の天龍!!

 




次回「第22話 お呼びとあらば、即...じゃないけど参上!?」

こ、今度こそ姫神部隊の戦闘が読めるぞ(震え声)
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