噂の"姫神部隊"(本編完結)   作:小此木

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第25話 チッ、しゃあねぇな...

 

 

 

「あ、あの炎は...間違いない!やはり"彼"もこの世界に飛ばされたのか...フフフ、この世界に飛ばされ3年。とうとう僕にも運が向いてきたな。」

 

「アノバケモノヲシッテイルノデスカ...」

 

「ん?まだ居たのか...チッ、まぁいい。教えてやる。あの化物は、かつて僕の世界であったギア達との戦い、"聖戦"を戦った聖騎士団に所属していた英雄だよ。ギア達を統率していた化物を倒した張本人でもある。」

 

「ソ、ソノヨウナジンブツガテキタイシテイルノデスカ...」

 

「お前には関係ない事だ。...そうだ、"コレ"の動力が1体足りなかったな。ちょうどいい...」

 

「ナ、ナニヲ!?」

 

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 

「さて、このデカ物をぶっ壊すか。」

 

「ええ。敵味方諸共ってやり方は私は好きじゃないわ!!」

 

数多の艦娘、深海棲艦達が戦闘していた戦場に敵の親玉の基地が現れ動くもの全てを攻撃し出し突如敵基地から"ギア"と呼ばれる敵が現れて数分。二人...一人の提督とその秘書艦がこの戦場に降り立った。

 

「親父の話しじゃ目の前のギア達は"人間"を憎悪するように造られているらしい。...腹ただしいが全部ぶっ壊す!!」

 

「...そうね、お義父さんに『無いとは思うが、ギアが出てきたら"動かなくなるまで完全にぶっ壊せ"』って釘を刺されたもの...」

 

そう二人は寂しそうに顔をしかめたが、

 

「さぁ~てデカ物の前に、雑魚共には悪いが一掃させてもらうぜ!!シュトルムヴァイパー!!」

 

敵を倒すため二人は覚悟を決めた。

 

提督の名前は三宅武明。今は自身の"ギア細胞"を解放させ、赤い龍人..."レッドデビル"と噂される姿になりギアたちを文字通り蹴散らして行っている。

 

「覚悟は出来ているかしら?今日の私は手加減できません!!行け!艦載機達!!」

 

秘書艦の名前は空母ヲ級。元は鎮守府と敵対していた深海棲艦。艦載機を飛ばし後ろの"炎柱"に近づく者は蜂の巣に、自身に近づいた者は、

 

「ミストファイナー!!」

 

自身が持っている仕込み杖で蹴散らして行っている。

 

 

 

武明によって作り出された戦場の炎柱は今まで戦っていた艦娘と深海棲艦を守っている。それを背にし、二人はギア達と戦っている。炎の拳が敵を灰にし、その一刀が敵を真っ二つにする。傍から見れば一方的な蹂躙だが二人には余裕が未だに無い。大勢の"守るモノ"を背にし、そちらに被害が出ないよう細心の注意を払っているからだ。

 

「チッ、まだまだ七分の一ってところか!!」

 

「焦らないで、もう少し。もう少しで最低限の転移ができるから。」

 

『フフフやはり、化物は化物同士仲良くなるんですね。お久しぶりです。今の貴方にはお似合いですが...そうそう、ロボカイ達を破壊された時以来ですね。"ソル=バッドガイ"』

 

急に黒い球体の前に大きな画面が出現し、男の顔が映った。男は、メガネで黒のロングコート、手袋を着用し小さく目の周りが黒ずんでいて少し不健康そうな顔立ちをしている。

 

「ああん?テメェ誰だ!テメェみてぇな野郎知らねえし、俺はそんな名前じゃねぇ!!」

 

『これは、これは。まぁ、忘れても仕方がないですね。改めて僕の名前は"クロウ"。元終戦管理局の支部長を務めた者です。さて、長話するのも野暮です。主役達に出てきてもらいましょう!ジャースティース!!』

 

男、クロウの掛け声と共に世界を絶望に叩き落とした"奴ら"が黒い球体のハッチから異形を連れて出てきた。

 

「チィ、"アレ"が親父の言っていた"ジャスティス"か。って数多!?」

 

「ジャスティスはお義父さんに破壊されたはず!?それも、1体しかいなかったはず...」

 

『ククク、僕からのささやかなプレゼントです。劣化版の複製品ですが、ざっと100体。ここまで数を揃えるのには苦労しましたけどね。あと、おまけのギアの上位種のドラゴンとキメラを付けておきます。向こう側からたまたまこちらに呼び出せたモノですが、これが中々言うことを聞かなくて処分に困っていたんですよ。』

 

「クソッ、好き勝手一方的に言いやがって!!」

 

『では、ソル=バッドガイ...いや、"背徳の炎"よ。楽しんでいってくれ。』

 

戦場に現れた最強のギア"ジャスティス"。ドラゴン達を引き連れ戦場をかき乱しはじめた。

 

 

 

 

 

 

■□

 

 

「的がでけぇのはいいが、ドラゴンは空想のモノじゃなかったのかよ!!」

 

そうごちりながら切り刻んで行く天龍。だが、相手はドラゴンだけではない。

 

「シャァァァァ!!」

 

ドラゴンを切り刻んだ隙を狙い"ジャスティス達"が襲いかかって来る。

 

「チィ!!ドラゴンは図体ばかりで話にならんが、あのジャスティスって奴が複数来られると"守りながら"ってのはちとキツイな。」

 

天龍は、ジャスティス達から放たれる"ミカエルソード"を自身の刀で相殺し、隙を見て何体かの腕を切り落としている。

 

「これで、劣化版とは..."本物"が出てきたらヤバイかもな...」

 

 

■□

 

 

「双月一刀流奥義・華生!!」

 

1体のドラゴンとジャスティス2体諸共ぶった斬った木曾。

 

「流石、木曾様です!!」

 

それを称賛する大鳳。・・・大鳳!?

 

「って、まだ転移してなかったのか!?早くここから離れねぇと...って、話の邪魔だ!!」

 

まだ"白鯨"に転移していない大鳳に驚く木曾だが、その隙を狙いジャスティスが襲いかかってくる。

 

「まだこの海域の艦娘と深海棲艦が残っています。その娘達を送ってから私は最後に移転します。」

 

「そうか、そっちは任せたぞ!!」

 

「はい!この大鳳にお任せください!!」

 

「...クタバレ!!」

 

「ッ!大鳳危ない!!」

 

突如、大鳳の目の前に現れたジャスティス。

 

「双月一刀流以下略!八重一輪!!(チッ、少し浅かったか!!)」

 

木曾切りつけたのは胸部。そこに横一文字の傷が出来ていた。

 

「き、木曾様奴の胸部分を見てください!!」

 

「どうした、大鳳...う、嘘だろ!?」

 

そして、"ソレ"を見た木曾は驚愕した。

 

 

■□

 

 

「Yah-man、夢にまで見たドラゴンやキメラだってのに、剣と魔法の世界じゃないし、奴らミサイルやビーム出すし、夢も覚めちまうぜ!!喰らえ!ビートパンチ!!」

 

拳に音の振動を乗せ迫り来る異形達を殴り飛ばして行くジャンゴウ。

 

「オラオラ!死にたい奴だけ掛かってきな!!マシンガンボイス!!」

 

迫り来る敵を一掃するジャンゴウ。

 

「あのジャスティスって奴は厄介だな。ドラゴンより硬く、キメラより素早い。俺達より劣るが油断は出来ん相手だな。ボイスカッター!!...クソ、マジかよ...」

 

ジャンゴウが放ったボイスカッターはジャスティスを切り刻んだが、切り刻み崩れる瞬間"ソレ"を見てしまった。

 

「...これは、電先輩や木曾先輩にはキツイ相手かもな...」

 

 

■□

 

 

『POWER TO THE MYSTERY...』

 

『俺達のパワーを伝え...』ちょ、ドラゴン達邪魔!!これじゃあ歌えないじゃない!!」

 

白鯨の翼の上でジャマイ子達は敵の攻撃を撃ち落としながら演奏を続けている。

 

『やっと掴んだ希望が、』あぁ、もう鬱陶しい!!迎撃準び...」

 

「ジャマイ子ちゃん!!迎撃は私がするから歌を!!」

 

迎撃をしようとしたジャマイ子を中間棲姫が止め、代わりに迎撃をする。

 

『指の隙間から逃げてく、ブラックホールの彼方まできっとお前を追いかけていく!!』

 

戦場に鳴り響くジャマイ子の歌声は艦娘と深海棲艦達には確かに届いている。が、新たに出現したギア達には全く効果を示さず、内心ジャマイ子は焦っていた。

 

 

■□

 

 

「こ、こんなひどい事...絶対に許せないのです!!」

 

"ソレ"を見た電は目に見えて怒りを表し

 

「霧島、これはどうにか出来ないのデース!?」

「クッ、今の私には無理なのです。」

 

金剛は霧島にどうにかならないかと聞き、

 

「Yah-man、すまないがこれしか俺には出来ない...」

 

暗い表情のジャンゴウは覚悟決め、

 

「...せめて、一太刀で...すまん...」

 

天龍はそう呟き、

 

「き、木曾様反撃をしてください!!木曾様!!」

「畜生!出来ねぇ。俺にはもう反撃出来ねぇ!!」

 

心優しき木曾はとうとう反撃が出来なくなってしまった。

 

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

「タイ、ラン、レイブ!!」

 

「ダウロ!!」

 

最前線で皆を守りながら戦っている武明とヲ級は敵を殲滅しながら胸の内側からこみ上げてくる怒りを抑えていた。

 

『流石は聖戦の英雄。"ソレ"を見ても全く動揺しないとは。いやはや、自身に関係ない事には相変わらずぶっきらぼうなんですね。』

 

クロウが"ソレ"と称したのは、

 

「その薄汚ねぇ口を閉じて待ってろ。直ぐにお前の要塞を消し炭に変えてやる!!」

 

『おや?この世界に来て人間らしくなりましたね。以前でしたら僕なんかの言葉は無視してこの一帯を消し炭にしていらっしゃったのに...そう言えば、艦娘?とか言う"兵器"なんかも庇っちゃって、いい人気取りですか?』

 

「黙れと言ってんだろうがぁ!!」

 

『おやおや。そんなにもジャスティスのコア...動力に使っている"物"が気に食わないですか?』

 

「当たり前だ!!」

 

ジャスティスの動力、コアに使われているモノ達。

 

『折角"轟沈した兵器"と"捕縛した実験体"、"近くに居た黒い物体"の使える部分を再利用した"エコ"なものなのに。』

 

ジャスティスを構成しているのは、轟沈し海底に沈んでしまったモノや鹵獲した艦娘や深海棲艦、クロウがこの世界を調べるために捕縛した人間...そして、

 

「それだけじゃねぇ!!まだ意識がある奴もいるだろうが!!」

 

『ククク、気に入ってくれましたか?意識があるにも関わらず、自分の意思とは関係なく攻撃してしまう。さぁ、彼女らを"死"というもので解放してあげてください!!』

 

「ダ、ズ、ゲ、デ...」

 

「胸糞悪りぃ!!」

 

その者達は未だ意識があり自身の意思を無視し身体が勝手に動いてしまう。攻撃を受ける度その苦痛がダイレクトに自身に伝わっており、その苦痛から解放されたい彼、彼女らの言葉。それを見た武明は一瞬壊す事に躊躇したが、

 

「...俺が死んでそっちに行ったら幾らでも文句は聞くし、何されても抵抗しない。すまない...ガンフレイム!!」

 

そう自分に言い聞かせるよう言葉に出しジャスティスを破壊した。

 

「アナタ、私もいるわ。一人で抱え込まないでね。」

 

「おう。...しまった!!」

 

「どうしたのアナタ!?」

 

「木曾と電が危ない!!」

 

「えっ!?そ、そう言えばあの娘達!!」

 

「そう、多分"コイツ"を知ってしまって反撃出来なくなっている!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

■□■□■□■□

 

 

 

 

 

 

 

 

「電隊長!!反撃許可を!!」

 

「だ、ダメなのです!!まだ助ける事が...キャア!!」

 

空母水鬼の申し出を退けた一瞬電に隙が出来、ジャスティスはそこを見逃さずミカエルソードで切りつけ電は中破してしまった。

 

「た、隊長!?よくも...「チッ、しゃあねえな!!」え?」

 

 

◇◆

 

 

「反撃を、反撃をしてください木曾様!!」

 

「で、出来ねぇ!!」

 

「木曾様が轟沈してしまいます!!」

 

「けど!!」

 

「お願いです!!」

 

「...大鳳...」

 

「き、木曾様後ろです!!」

 

大鳳の必死な訴えに気を取られた一瞬を付きジャスティス達が木曾目掛け殺到した。

 

「ッ!!」

 

「ボル...じゃなかった。ガンマレイ!!」

 

 

◇◆

 

 

『さて、そろそろ終わりにしましょう。流石に本物というわけには行きませんが、本物により近づいた物が数体完成しました。ジャースティ...何!?』

 

クロウがジャスティスを呼び出す直前、突如出現した魔法陣から彼らは出てきた。

 

「こ、この移転魔法の模様は...お袋!?」

 

「え、ええ。お義母さんのものよ。」

 

その移転魔法は6つ。"そいつら"はその魔法陣から現れた。

 

「チッ、お前は部下を甘やかしすぎだ。まぁ、お前ならしゃあねぇがな。」

 

板の様な武器を持っている茶髪の男。

 

「フッフフ、複製品なんかには遅れなんて取られないわよ!!」

 

何故かフレンドリーなジャスティス。

 

「ちょ、お、お母さん。はしゃぎ過ぎです!!...ここ戦場ですよね。」

 

黒と白の翼を持った女性。

 

「ええ。...貴女には家で待ってもらってても良かったのですが...」

 

青い剣を持っている金髪の男。

 

「いいえ!"弟"がピンチかもしれない時に黙ってはいられませんから!!」

 

「クソ親父、心配すんな。母さんは俺が絶対守る!!」

 

眼帯を付け金髪で旗を持っている青年。

 

「いいですねぇ~。これが親子愛!!私とシンさんの子供もこういうふうに育ってくれたら...」

 

何故かウエディングドレスの様な格好のうさ耳の女性。

 

 

 

 

 

 

 

 

「親父!?...とジャスティスからお袋の声?後誰だ?」

 

武明達の目の前に現れたのは彼の父三宅不二雄と見知らぬ5人。

 

「おや、初めましてですね。君の義兄の"カイ=キスク"と申します。」

 

「わ、私は...貴男の姉の"ディズィー=キスク"と言います!!」

 

「俺は"シン=キスク"ってんだ!よろしくな叔父さん!!」

 

「私はシンさんの未来の花嫁"エルフェルト"って言います!!「違うから!!」」

 

「は、はぁ。」

 

「...悪いな、本当は俺とアリアだけで来るはずだったんだが、こいつらが無理やりついてきてな。」

 

「え゛アリア?」

 

「ん?あぁ、言い忘れていたな。俺の本名は"フレデリック=マーキュリー"んでこいつは...」

 

「"アリア=マーキュリー"って言うのよ!!」

 

突如転移してきたジャスティスの腹部が開き、武明のよく知った母が出てきた。

 

「へ、へぇ~...」

 

そして、武明は考えるのを半ば強制的に止めた。そして、武明は戦場という場所で自身の姉に初めて出会ったのだった。

 

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