噂の"姫神部隊"(本編完結)   作:小此木

32 / 34
第28話 歯車

 

「双月一刀流奥義・華生ゥゥゥ!!」

「流石木曾様!!敵のギアを一瞬で20体も墜とすとはっ!!そこに痺れるぅ!憧れるぅ!です!!」

 

木曾は戦場を駆けている。何故か大鳳がその後をピッタリ付いて来ているのはあえて無視しよう。

 

「私の新たな主砲、凄いでしょ?愛様に改装された扶桑型の力、お見せします!!」

 

扶桑改二(愛改装)の主砲が〈ズガン〉と音を立てて放たれると扶桑の射線上にいた敵約50体は、あっと言う間に撃ち落とされていった。

 

「扶桑ちゃんやる~!私も負けちゃいられないわね!!アステロイド・キャノン!!」

「扶桑さん空気読んでください!!木曾様の見せ場だったんですよ!!貴女はKYですか!?」

「な、何故味方から批判を受けなければならないのです。...不幸だわ...」

 

ここは"白鯨"。ジャマイ子達の歌を邪魔しようと襲ってくるギア達を殲滅しているのは、中間棲姫を中心とした木曾、大鳳、扶桑の4隻。

 

「大鳳、そんな事はいいから迎撃用意だ!!」

「はい!木曾様!!第一機動部隊、出撃!!この大鳳、地の果てまでお供いたします!!」

「いや、それはいいから...」

「宜しいのですか!?大鳳昇天しそうです!!」

「何?私と態度が全然違うじゃない。」

「アハハハハ、大鳳ちゃんはアレが平常運転だからね。深く考えたら駄目だよ~。」

 

そんなやり取りを4隻はしているが、周りは全て敵で覆い尽くされている。斬り、撃ち落とし、投げつける。敵に囲まれている事を忘れているかの様に話しているが、しっかり敵は撃墜され数は減っている。

 

(でも、良かったです。こうして木曾様が調子を取り戻してくださったのは、あの方のお陰ですね。)

 

 

 

 

■□■□■□■□

 

 

 

 

「・・・木曾ちゃん。」

「・・・」

 

アリアは木曾に声を掛けたが何も帰っては来なかった。木曾は一度絶望の闇に落とされ、自我がほぼ崩壊してしまっていた自分を助けてくれた両親(武明とヲ級)に感謝している。義父武明は、敵味方問わず自身に伸ばされた心からの救いの手は必ず手にとった。義母ヲ級は、元敵側の存在だった。しかし、武明に(勘違いからだが)助けられ、秘書艦として彼を支えその中で彼に惹かれ自身のいるべき場所を彼のいる場所と決めた。前からだったかは定かではないが、面倒見が良く母と慕った木曾を我が子の様に接し育てた。その両親に心から感謝している木曾は自分が二人に返せることはないかと考え、義父と同じく戦場で助けを求めている者へ救いの手を伸ばす事を選んだ。そして、そんな心優しき木曾は敵に操られ、苦しんでいる人を人質にされ思うように反撃できずにいる。救おうとしても、操られ拒否され、助けたとしても死ぬまで反撃され、最悪自害させられた。そして、目の前でそんな事をされた木曾は再び心を閉ざし闇に落ちそうになっている。

 

「木曾ちゃん。...辛かったわね。」

「・・・お婆ちゃん。」

「...貴女はここで止まる?」

「・・・」

「止まってもいいわ。」

「お、お婆様!?」

「・・・」

「それで、貴女が後悔しないなら。止まってもいいわ。」

「・・・こ、うかい・・・」

「そう。後悔。」

「お、俺・・・は・・・」

「あの子は考える前に動く。動いてから考える。一時期部下を亡くしてウジウジ考えてた時もあったけど。今は後悔しないように、動いてから考えているわ。」

「・・・」

「貴女はこのまま私達の家に帰りなさい。」

「ッ!?」

「お婆様!?」

「今の貴女は足でまといよ。」

「・・・」

「そ、そんな事はありません!!木曾様は足でまといである私をも守りながら戦っていたのです!!足でまといなどとんでもございません!!」

「小娘は黙っていなさい!!...貴女はあの子の義理と言っても娘。私の孫よ。迷っている貴女をこのままの状態で戦場に送り出す事は出来ないわ。...孫をみすみす死なせはしない。」

「お婆様...」

「お、俺は...」

 

アリアは今の木曾の心情を読み取り、再び心を閉ざさないようこの戦いから引かせようとしていた。

 

「愛様!遅くなりました!!扶桑型1番艦扶桑改二只今到着致しました!!」

 

そこに現れたのはフレデリック(不二雄)に回収され、アリア()に近代化改修された扶桑。アリアの指示により敵を殲滅しながらこの海域を目指していた。

 

「愛様、ご指示通り到着致しました。この後はどうすればよろしいでしょうか?」

「じゃ、"この武装"を装備して白鯨の護衛をお願いするわ。」

「こ、これは飛行ユニット!?」

 

大鳳が驚くのも無理はない。そう言って亜空間から取り出した武装には幾つかのスラスターが装備されており、"空中戦"を行うための装備だったからだ。

 

「木曾、転移させ「婆ちゃん待ってくれ!!」...何?」

「婆ちゃん俺は、俺は!!」

「・・・」

「俺は、まだ何も分かんない!でも、助けを求めている者を放っては置けないんだ!!」

「そう。」

「だから、俺もほっぽ姉ぇの助太刀に行かせてくれ!!」

「お、おこがましいかもしれませんが、ご一緒させて頂けませんか!!」

「そう言えば貴女は...」

「大鳳と申します!!」

「ちょうど良かったわ。もう一人、適当な誰かに頼もうと思っていたの。大鳳と言ったわね。貴女にも白鯨の護衛を頼むわ。」

「分かりました!!」

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

どう言う事だ。どこで歯車が狂った?何故"背徳の炎"が2人いる!?何故オリジナルのジャスティスがあちら側に存在している!!

 

「クソッ!!どうなっているんだ!!」

『ギア半数が行動不能。基地外壁の耐久60%以下まで低下。』

「畜生!!何故一人も倒れない!!それもあの被検体に似た奴、何故マントに"歯車"の刺繍をしているんだ?」

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

「そう言えば、ヲ級さん。何故貴女は歯車..."ギア"のマークを背負って、『スタンエッジ!!』いるのですか?」

「えっ!?お義兄(にい)さんこのっ、『ミストファイナー!!』マーク気になります?」

「えぇ、ちょっと気になりましてね。義弟(おとうと)のっ、『セイクリッド・エッジ!!』背中にもありましたからね。」

「これは我が家の"家紋"です。三宅輪宝と言います。」

「それと、もう一つ意味があるわよね~。」

「「えっ!?」」

「あら?ヲ級ちゃんには話してなかったかな~?」

「そ、そんな話、聞いていないですよお義母さん!!」

「この際、伝えておくわね。ちょっと邪魔者が多いわね。『ガンマレイ(ボルテッカー)!!』...よし、もう一つの理由は。私達"ギア"がここに存在していると言う意味よ。それに、この家紋本当に歯車みたいでしょ?一つ一つ小さな歯車も集まれば大きなもの、世界だって動かせるって思わせたいのもあるのよね~。」

 

三宅輪宝の"家紋"のもう一つの意味とは、アリア達"ギア"がこの世界に存在しているという事を第三者に伝える事。自分達と同じようにこの世界に迷い込んだ同じ世界の者がいないか探すもの。

 

「木曾ちゃんや電艦隊の半数は"ギア制作の時の技術"を使って助けたわ。あっ、でもギアになってないわよ。電ちゃんとほっぽちゃんはこの世界の"妖精さん"って娘と仲良くなった時に教えてもらった技術の応用よ。」

 

 

 

 

 

~前線基地~

 

 

 

 

「平田元帥!基地内の艦娘達は全員ハッキングされ今も流されている"歌"で正気になり、全員性能が2倍ほど向上しています!!」

「"歌"が聞いた者に影響を与えるとは...姫神部隊には常識は通用しないらしいな。」

「あと、性能が向上した明石達のお陰でほぼ全艦娘が修繕完了しいています!!」

「直ぐに出撃だ!!それと、出撃者全員にさっき"愛"という人物から頂いたこの"弾"の使用を命ずる!先ほど確認したが、"ギア"と呼ばれる今の敵には有効だ!!そして、倒れている艦娘、深海棲艦は敵味方問わず回収。明石達に修理させろ!!」

「了解しました!!全艦娘に伝達を行います!!」

「・・・これが、姫神部隊の戦い方か・・・」

 

前線基地は歌が流れる前は、この基地が地獄だと錯覚する程の光景だった。敵味方問わず正気を失い、自身が傷つくというのに大破した武器も構わずこちらを攻撃して来ていた。それが、この"歌"が始まって直ぐ洗脳されていた艦娘達の動きは止まり、今では傷ついた仲間を庇いながら今まで見たことのない動きでギア達を迎撃している。あるものは自身のスピードを生かし紙一重の回避を軽く20回以上行い、あるものは攻撃力が低いため動いている敵の一点のみに砲撃を集中しその部分を破壊している。上げればキリがない。そして、歌い手が増えた今は、

 

「俺の目の前で"敵だった深海棲艦"と共同戦線を張り、ギア達を殲滅している艦娘達いる。そう言えば、歌という物は敵も味方も関係なく、歌を聞いている者を"巻き込んで"行くものだったな。」

 

深海棲艦は味方となり、ギアと呼ばれる未知の敵を倒すため肩を並べて戦っている。

 

『カカカカカ、敵も味方もねぇ!この"歌"を聞いた奴は歌っている奴の味方になるのか!!武坊らしいわ!!』

「寺岡船長!!笑い事じゃないですよ"これ"は!!」

『そうかっかするな平田よ。そうじゃのう。この"力"は上層部の連中だけじゃない、各国が欲しがるじゃろう!!』

「分かっているなら!!」

『心配するだけ無駄じゃろう。アイツ等に喧嘩売るなら"先進国の国家戦力を集中"しないと対応できんわ。ガハハハハハハ!!』

「本当、笑い事じゃないですよ...」

 

この戦いは終わろうとその歯車を既に回している。完全に予想外の戦力。姫神部隊という台風によって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、そう言えば平田元帥こんな物を愛さんから受け取ったのですけど。」

「ん?矢矧貸してくれ。」

「どうぞ。」

「・・・な、なんじゃこりゃ――――――!?」

 

若干1名終わって欲しくない人間が出たのは割愛し「この請求書桁が国家予算並じゃないか―――――!!」...割愛出来そうにない。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。