噂の"姫神部隊"(本編完結)   作:小此木

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忘れていた木曾の過去編です


番外編
番外編1


 

 

 

沈む夕日が眼前の瀬戸内海を一層艶やかに見せる。今日も平和な「コラ!木曾チャン!!走ラナイノ!!」「だって、父さんが帰って来たんだよ!!早く行かなくちゃ!!」「マダ、風呂上リデッテ、待チナサイ!!」...ここ"三宅家"は今日も平和な一日を終えていた。

 

「お~い、ヲ級帰ったぞ~。」

 

漸く仕事に区切りがついたので、"スーツ姿"で妻と娘がいる"ここ"に帰ってきた。外観は洋風なレンガ造りだが、仮眠室、宿直室は畳を敷いている。特に頑張って作ったのが露天風呂。"部下の皆"で一緒に入れる大きさを目指し棟梁と俺で造ったから渾身の出来栄えだ。そして、"夜勤"使用する田舎の小民家に似せて作った小さな離れ。離れには8畳程度の部屋と台所、趣味で造った五右衛門風呂がある。

ここから数キロ離れている倉庫で、溜まっていた資材や経費の書類を電や天龍達の手を借りながら一通り終わらせ漸く我が家...じゃないな。我が"鎮守府"へたどり着いた。本来ならここ"鎮守府"で作業をするのが普通だが、今は事情が有って鎮守府として機能していない。

 

「父さーん!!おっ帰りー!!」

 

今は小さな離れだけに明かりが付いており、娘(仮)と妻(仮)の住居に変貌している。

 

「よう、帰っブハァ!?」

 

な、何が起こった!?娘(仮)の声が聞こえた方向に顔を向けた途端、顔全体に感じる強い衝撃と甘い香り。そして、その後から感じる頭上の柔らかい...感触!?

 

「父さん!お帰り!!」

「コラ!"裸"デ武...オ、オ父サンニ飛ビカカッタラダメデショ!!」

 

なる程、この衝撃は娘(仮)の木曾が俺に飛びかかったのか。いや~、あんなにビクビクしてた娘だったから心配してたけど、此処までアグレッシブに立ち直るとは...まぁ、俺とヲ級の前だけだけど。

 

「だ、第十分、大丈夫。なに、娘がじゃれあってき、来ただけだぁ?!」

「ゼ、全然大丈夫ジャナイワヨ!!」

 

ちくせう!動揺が全然が隠せない!!だって、木曾だぞ木曾!!ちっこい子供の姿ならまだしも、娘(仮)は成人した姿。その娘が裸で飛びついてきて、俺の頭に豊満な・・・男の夢と希望が乗っかている!!健全な男なら反応しないわけ無い。

 

「と、父さん!?」

「わ、悪い。し、仕事でちょっと疲れてるんだ。後から一杯遊んでやるから、パジャマを着て待ってな。」

「うん!!じゃ、後でね~!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ。」

「ゴ、ゴメンナサイ。オ風呂ニ入レテタンダケド、丁度出タ時ニアナタノ声ガ聞コエテ来テ、ソシタラ突然走リ出シチャッテ...」

「・・・」

「タ、武明?」

「す、済まん。思考が吹っ飛んじまってた。そろそろ、慣れないとアイツにも悪いのにな。」

「大丈夫ヨ。何事モ焦ッチャダメ。...私ト分カリ合エタンダカラ、大丈夫ヨ。」

「それも、そうだな。」

 

球磨型5番艦重雷装巡洋艦、通称木曾改二をサルページしてから早数週間。彼女の心のケアを行うため俺とヲ級は擬似夫婦を演じている。軍服は木曾が怯えるので俺は最近スーツで提督の仕事をし、ヲ級が秘書艦として行っていた仕事は、電とその部下電艦隊に一時的だが変わってもらっているから大丈夫だが...そろそろ親父とお袋に木曾の事で相談してみようかと考えている。余談だが、鎮守府の中に有ったドラム缶やボーキサイト、艦娘の艤装など木曾が艦娘、提督などを連想させる全てのモノは地下の飛行艇"白鯨"(北方棲姫の仮住居)に隠している。ほっぽ、今度何か奢るぜ。

 

「後、今夜モ?...苦シソウヨ」

「うぐっ、お、お願いします。」

「望ム所ヨ!」

「何でノリノリ!?」

「大丈夫ダ!問題無イ!!」

「それ、死亡フラグ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

木曾が寝静まった深夜、ヲ級と無茶苦茶夜戦した。最初は我慢出来ていたが、一回苦肉の策でヲ級頼んでから...最近ヲ級に流されている様な気がする。

 

 

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 

「済まん。木曾。」

「ヤダヤダ!!私も父さん達と一緒に行く!!」

「木曾、言ウ事ヲ聞テ。」

 

困った。この一言に尽きる。休暇だった一日の終わり、急に岡山の本部から緊急招集が掛かった。佐世保鎮守府がFlagship級の姫3隻に強襲され、負傷した艦娘の救助及び助太刀に行くことになった。が、

 

「済まん!!ちょっと、ほんのちょっとだけの間だ。急な仕事が入ってお父さんとお母さん行かなきゃならなくなっちまったんだ。」

「嫌だ!折角の休みだったのに!!それに何でお母さんも行かなきゃなんないの!!」

「そ、それは...」

「オ父サンヲアマリ困マラセチャダメヨ。オ母サンハ、オ父サンニハ出来ナイ仕事ノオ手伝イニ行クノ。木曾チャン、良イ子ダカラ分カッテ頂戴。」

 

敵に艦載機を搭載した空母が目撃された為、唯一この鎮守府で同じ艦載機を持ったヲ級を連れて行くことになってしまって、

 

「うぅ~、早く帰ってくる?」

「あぁ!勿論!!超特急で帰ってくるぜ!!」

「本当?」

「本当ヨ。」

 

木曾が愚図ってしまった。ここに来て初めてヲ級が居なくなるのだ。心細くなるのも仕方がない。だが、これから少しずつ慣れていってもらわないと困る。ここは心を鬼にして、

 

「ちゃんと留守番出来るな。」

「・・・うん。」

「じゃ、行ってくる。」「オ留守番頼ンダワヨ。」

「・・・うん・・・」

 

初めてのお留守番隊長に任命しよう。

 

 

■□

 

 

「はぁ!?一人置いてきただと!!」

「ああ。でも、大丈夫だ天龍。白鯨が張ってる防御壁があるし、いざとなったらお袋の魔法陣で直様帰ってくるから。」

「いや、そう言う問題じゃねぇ!!」

「そうなのです!!それとこれとは全く別問題なのです!!」

 

出発前に天龍と電に一言言って出ようと思い、仮鎮守府(倉庫)に来て事情を話したんだが、何故か怒られてしまった。解せん。仕方ないだろウチの空母はヲ級だけだし、天龍達艦娘やヲ級、電艦隊の深海棲艦達は移動だけで燃料喰うから今回は俺が背負うか抱っこしての移動になる。俺なら飯食うだけで大丈夫だからな。艦娘や深海棲艦も普通の食事で回復はするものの、燃料やボーキサイトの比じゃねぇしな~。

 

「ほっぽにも言ってあるから大丈夫だって。あっ、もうこんな時間だ!!悪いもう行くぜ!!」

「まだ、話は終わって!!...クソッ!!行っちまいやがった!!」

 

 

 

 

 

「クソッ!!武明のバカ野郎が!!身の安全じゃねぇって言ってんだろうが!!」

「あわわ、木曾ちゃんは"一人で"大丈夫なのです?」

「...分かんねぇよ。」

 

暗い夜、"子供が一人で寝る"ってのは本当に心細いんだぞ!!それも、心が壊れた今の木曾じゃ耐えられねぇかもしんねぇ!!完全に拒否られてる俺と電じゃ逆効果だし...今回ほどウチに空母がもう一隻いないことを歯がゆく思った事はねぇぜ!!

 

 

■□

 

 

「ふ~ん、ふっふふ~ん!」

 

今日は再放送アニメの最終話だから見逃せない!!

 

「『疾風!アイアンリーガー』楽しみだな~。観た後で今日もマグナムエースの44ソニックの練習しよっと。今日こそ習得してやるんだから!!」

 

フフフ、漸く見つけた私の新たな浮遊要塞の活用方法。習得して電の度肝を抜いてやるんだから!!

 

「ふ~「ふえ~ん!!お母さんどこー!!」ふぅ!?」

 

あれ?誰か泣いてる?...そう言えば今夜たけちゃん(武明)とヲ級さん出かけてて、ちょっと前にサルページされた木曾が留守番してるんだっけ?それも、こっちの話を聞かないで一方的に伝えて行っちゃったし。

 

「お父さーん!お母さーん!!どこなのー!!木曾を一人にしないでー!!うわーん!!」

 

あちゃ~、やっぱり木曾ちゃん泣いちゃってるじゃないの。あのバカ親達め!帰ってきたら正座アーンド説教のコンボ決定ね。

 

「どうしたの?お嬢ちゃん。泣いていたら可愛い顔が台無しよ。」

「ひっく、ひっく。お父さんとお母さんが居ないの...」

「そうなの?よしよし。お姉ちゃんが付いてあげるからもう寂しくないわよ。」

「...本当?それとお姉ちゃんだあれ?」

「私?私は...

 

 

 

 

 

 

 

◇◆

 

 

 

 

 

 

「本ん当っに済まなかった!!」

 

佐世保に付いて俺とヲ級は敵をあっという間に(蹂躙)し、後の事をその場に居た奴らに押し付け超特急で木曾の元に帰ってきた。正直行く方に時間が掛かり、戦闘は本当にあっという間だった。が、

 

「私に謝ってどうするの?他に謝らなきゃならない娘がいるでしょう!!」

「ソノ通リデス。返ス言葉モアリマセン。」

「右に同じだ。」

 

何故かほっぽからヲ級と一緒に正座を強制させられ、今まで『今の木曾ちゃんを一人にするとは何様のつもりですか!!貴方方は親失格ですね!!』と怒られずっと説教されている。本当、返す言葉がありません。

 

「・・・んぁ~。ほっぽお姉ちゃん(・・・・・・・)おはよう~。」

「あら、起きたのね。良く眠れた?」

「うん!!あっ、お父さんとお母さんだー!!お帰りー!!」

 

・・・へ?ほっぽ、お姉ちゃん?ど、どういう事だ?

 

「た、ただいま。悪かったな一人ぼっちにしちまって。」

「ぶぅ~、お父さん達の意地悪~!でも、ほっぽお姉ちゃんが一緒にいてくれたからお留守番そんなに怖くなかったよ!!」

「えぇ~?あんなに『お父さん!!お母さん!!』って泣いてたじゃない?」

「お、お姉ちゃん!?そ、それは秘密だって言ったじゃない!!」

 

なる程、俺達の留守中にほっぽが面倒を見てくれてたのか。

 

「ほっぽ、今度俺達4人でショッピングに行くか?」

「...なによ唐突に?」

「今日のお礼だ。」

「なら仕方ないわね。付き合ってあげるわ。」

「お姉ちゃんとお買い物!?やったー!!おっ買い物!!おっ買い物ぉ!!」

「フフフ、良イオ姉チャンネ。」

「うん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、後日俺とヲ級、木曾とほっぽで買い物に出かけほっぽに高級パフェ3つ買わされた。借金返済用の軍資金だったのに。トホホ。

親父とお袋にヲ級と木曾の事を話したら、その日のうちに赤飯を炊かれ次の日には役所に連れて行かれた。あの親父が嬉しそうにしていたことにどれだけ驚いたか...

あと、役所の職員さん両親の気迫にやられて、放心状態で書類を作らせてしまって申し訳なかったです。

 




ル級と霧島の過去編も出そうか検討中です。
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