で、では第7話です。お楽しみください。
~数時間前~
ザーという音を立てながら彼女ら"艦娘達"は鎮守府へ向け海の上を滑っている。結果的には一応任務は終えた事になるが、
「・・・」
皆神妙な面持ちである。
「...なぁ、龍田。俺の膝見てみろよ。」
「ん?天龍ちゃんどうしたの~?」
「俺は今まで誰彼構わず『フフフ...怖いか?』って言ってたけど...今日本当の恐怖を知ったよ。最後見栄を切ってああ言ったけど、あの時から俺の膝は震えっぱなしだ。」
「・・・」
「あいつの目見たか?」
「ええ。」
「...あのヲ級は普通の奴だった。この中で俺とお前は何度か赤目のヲ級...エリートともやり合ってる。だが、アレはエリートでもましてや、黄色い目のFlagshipでもねぇ!!あんな奴が居るなんて聞いたことがない!!それも男性型だと!?なんの冗談だこれは!!」
「落ち着いて天龍ちゃん。皆気持ちは一緒よ。焦らないで。まだ、私達には手に負えなかっただけよ。武蔵や金剛達第一艦隊が負けた訳じゃないのよ。それに、"指示通り"無事この海域からル級達を追い出せたじゃない。」
「それは、そうだけどよ。ル級1隻にピンチになるわ、敵であるヲ級には助けられるわで、今日の出撃は色々ありすぎてわけがわからねぇ!!」
「ご、ごめんなさい。」
「あ゛、わ、わりぃ。その、なんだ。電が悪い訳じゃないんだ!!き、気にすんな!!」
「はぁ~、天龍ちゃん他人の悪口言ってる暇があるならもう一人背負えるわよね~。暁ちゃんをお願い~。」
「ちょ、龍田~。」
海上を移動しているのは天龍、龍田、電の3隻で、大破寸前だった暁、響はヲ級?の殺気に辛うじてその場では耐えたものの、少し離れたと所で倒れてしまった。そして、雷も同じようにそこから少し移動したら戦闘の緊張が解けたからだろう倒れてしまった。それを天龍が響と雷を龍田が暁を背負い鎮守府に向け移動している。
「知りませ~ん。さぁ、電ちゃん私達は先に帰りましょう。」
「...はい。」
電の元気の無い声を聞き天龍と龍田は顔を見合わせ、龍田は肩をすくめ天龍は顔の前に右手で謝罪をし苦笑した。
「ま、まぁ提督に報告したらまたお前の提督探しを手伝ってやるよ。」
「...本当なのです?」
「あぁ!!龍田も手伝うってさ!!」
「えぇ!!」
天龍の答えに龍田は驚愕し、
「ありがとうなのです!!龍田お姉ちゃん!!」
電は嬉しそうに笑顔で龍田を見上げた。
「...え、えぇ。いいわよ~。」
その笑顔に勝てなかった龍田は、少し天龍を睨み付け渋々了承した。
■□■□■□■□
「...どうしよう。」
「サァ?」
ドウモ、皆=サン。一応ここ瀬戸内鎮守府(仮)の提督の三宅です。今、俺は窮地に追いやられています。
「どうして、どうして!!」
「...五月蝿イ。」
「酷い!!」
おきゅうさんの反応が段々冷たくなってきています。
「・・・忘レル方ガ悪イ。」
「それは御尤もです!!」
さっき知り合いの大工の爺さんに連絡しようとしたら・・・驚く事にケータイが無いんです。どこを探してもありません。...なんということでしょう!実家に忘れたようです!!
「はぁ~、ちょっと家に戻ってこようと思うけど...」
「ン?ドウシタ?私ニ何カ付イテイルノカ?」
(う~ん、少しは強いといっても女性を一人にするのはな~。)
「オイ、大丈夫カ?」
「ん?えぇ、大丈夫です。...ちょっと実家に忘れ物を取りに帰ろうと思うんですが...」
「イイゾ。行ッコイ。私ハココデ待ッテル。」
「いえ、一緒に来てもらおうかと思っているんで...」
「何故?」
「ここに一人で待ってもらう事が心配なのと、「一人デモ私ハ問題ナイ。」...まだ少ししか動けないので実家の両親の所で治療してもらおうと思ったからです。」
「治療?」
「はい。実家の両親の所なら"直ぐに"治ると思いますよ。」
「ソ、ソウナノカ?」
「えぇ、俺の両親は不思議な技術を持っているので大抵の傷や披露と言ったものは直しちゃいます。」
「本当カ?...マァ、待ッテイテモ暇ダカラナ。一緒ニ行コウ。」
「では、失礼します。」
そう言うと三宅はヲ級にどんどん近づいて行き、
「ナ、エ、チョット!!」
両手で抱き上げた。所謂お姫様抱っこだ。
「しっかり俺にしがみついてください!!」
「待テ!コレハ!!」
「喋らないでくださいよ。舌を噛みますよ!!」
「エ!!チョッ、早!!キャアァァー!!」
ヲ級の悲鳴が聞こえたが、次の瞬間二人の姿は掻き消えその場には瓦礫の山だけしか残っていなかった。
■□■□■□■□
ここは山の奥にあるとある民家。田舎によくある木造の平屋で2階建て。台所と廊下、客間は板場それ以外は畳が敷いてあった。見える範囲には他の家は無い。周りは山々に囲まれ家の近くには川が流れている。そして、その家から男二人の声が聞こえてきた。
「...テメェ帰ってきて早々、何女連れ込んでるんだ?あぁ゛!!」
「申し訳ありません!!」
(ははは、土下座ってその日に何回もやるものじゃないですよ。...本当。)
武明の目の前に胡座をかき、怒鳴りつけている男が一人。男の見た目は20代後半から30代で筋骨隆々。茶色で少しボサボサな髪、その奥から見えるギラ付いた目が悪人のように見えてしまう。彼の名は三宅不二男(ふじお)、
「おい!聞いてるのか!!」
「はいぃぃぃぃぃ!!」
(今現在実家に帰ってきた俺はおきゅうさんと一緒に帰って来たのを親父に見られ、何故か怒られています。・・・解せん。)
今し方帰ってきた息子に土下座をさせている武明の"父親"である。
「はぁ~、アイツがあんな優男を選ぶなんて思わなかったが...お前はモテない事を根に持ち怪我をさせたいい女を"攫って"来るとは思わなかったぜ...」
「ん?・・・いやいやいやいやいやいやいやいやいやいや、親父それは勘違いだ!!おきゅうさんは攫ってきてないぞ!!倒れていたのを助けただけだ!!それに、ここに連れてきたのは、親父達に傷の回復を頼もうと思ってだ!!」
「ん?そうなのか?テメェが無理やり襲って連れ帰ってきたんじゃねぇのか?」
「誤解だー!!」
「ハイハイ、そこまで。アナタ、武明の性格からしてそんな度胸はないわよ。それと、おきゅうさん?でよかったかしら?」
二人が言い争っているのを"何時もの様に"止めたのは出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいるスタイル抜群の女性。こちらも見た目20代後半から30代で赤い短髪。彼女の名前は三宅愛(あい)、
「ただいま、お袋。あぁ、合ってるぜ。」
驚くことに彼女が武明とその姉を産んだ母親である。
「おきゅうさんは今私お手製のカプセルで休んでもらってるわ。数十分もすれば怪我も疲れも全て取れるはずよ。」
「さっすが、お袋の技術!!」
「当たり前よ。これでも元科学者なんだから。」
「その事はこの20年耳にタコができるぐらい聞いたぜ~。」
「...もぅ、反応薄いぞ息子!!はぁ~、おきゅうさん診てくるね。」
「お袋頼むわ。」
「フフフ、お母さんにまっかせなさい!」
◆◇
田舎の民家には不釣り合いな様々なコードやパイプが接続されているカプセルが畳の寝室に横たわっている。
『...ココハ?』
その中に一人肌の白い全裸の女性が横たわっていた。
「あら?目が覚めたの?」
『貴女ハ?』
「え~っと、武明わ覚えてるわよね。」
『武明?...アァ、三宅ノ事カ。』
「そうそう。あの子私の息子なのよ。」
『ソウ、ナノカ?貴女ハ随分若イガ...』
「そう言ってくれると嬉しいわ。"若い"けど私はあの子とその姉のお母さんです!」
そう言いながら愛は笑いながらヲ級にドヤ顔でブイサインをしてみせた。
『...初メマシテ、ヲ級ト言イマス。ソレデ、ココハドコデスカ?』
「フフフ、これはご丁寧に。私は三宅武明の母で三宅愛と名乗っています。ここは私達の家の中です。」
『ン?名乗ッテイル?』
「えぇ、今はね。貴女をあの子が抱き抱えて帰ってきた時にはびっくりしたわよ。あの子が初めてこの家に他人を連れて来たのよ!!それも美人な貴女。今日は歳も忘れて赤飯だって最初はしゃいじゃった!!」
『ソ、ソレハ...』
「まぁ、私の早とちりだったけど...でも、脈アリね。」
『ソ、ソレハドウイウ!!...ソ、ソレヨリモ、コノカプセルハ何ダ?』
「あぁ、これ?これは私が開発した治療用のカプセルよ。どんな傷も披露も数十分で吹っ飛んじゃうから。でも、切断された腕や足、指や無くなった目...体の一部なんかは治せないけどね。」
『ソ、ソンナ技術ガアッタノカ...』
「...まぁ、ね。でも、この事は内緒よ。」
『分カッタ。...ソレト、ミヤ...武明ノ事ナンダガ。』
「ん?何?」
『ココマデ来ル時、武明ニダ、抱ッコサ、サレテ来タガ...』
「まぁ!まぁ!!これはゴールは目の前ね!!」
『ソ、ソウジャナクテ...海上ノ艦娘ト同等以上ノ移動速度、アノ体ノ頑丈サ...本当ニ人間?』
「えぇ、人間よ。"半分"はね。」
『半分?』
「...これ以上知りたいのなら...」
『シ、知リタイノナラ...』
「私をお義母さんって呼ぶように!!」
『エ゛ェ゛!!』
◆◇
「おう、テメェ宛に何十件と軍から電話が掛かって来てたぞ。」
「うぇ、何で!?」
「知るか。後、ケータイにもな。」
「なんだろう?...この後岡山の鎮守府によってみるわ。」
「そうか、今度は本当の嫁を連れてこい!いいな!!」
「ぜ、善処します。」
次回、岡山鎮守府で一騒動が!?