第9話 電の実力
瀬戸内鎮守府に潜にゅ...もとい、着艦してから1週間になります。そして、着艦して直ぐ私は電先輩とオリョール海へ遠征任務に付き無事多くのボーキサイト、資材を持って鎮守府へ帰投中です。
「よかったですね、電先輩。遠征は大成功ですよ。」
「邪魔も入らず順調だったのです!!」
「そう言えば木曾様はどこに行かれたのです?着艦した日以外出会えなかったのですが...」
あの日以外木曾様には出会えず、私的には由々しき問題なのですが。
「き、木曾さんはチョット遠い場所での任務に付いているのです。」
「そうですか。」
電様はそう言っていますが、言葉を濁しているように思えます。それに、私と目を合わせたくないのか目が様々な所を泳いでもいます。...帰って提督にでも聞いてみましょう。あの提督なら真実を教えてくれそうなので...む!レーダーに反応ありです!!
「電先輩!!この海域に複数の艦影有り!...このパターンは深海棲艦だと思われます。まっすぐこちらに向かってきています。」
「ムムム、もう少しでこの海域を抜けるのに...仕方がないのです。」
「この海域から直ぐ離脱するのですね!!」
今回の私達の任務は遠征での資材等の確保。なので、今私達の装備はほとんど無いに等しいのです。この海域を早く離脱するのが得策でしょう。
「はい、そうです。このまま気付かれないよう帰るのです。」
◇◆
「...レーダーに依然反応ありです。恐らくあちら側に私達の事は気付かれていると思われます。」
「そうなのですか。仕方ないですが...」
「資材を少しここに投棄し速度を上げ、離脱しますか?」
「いいえ。訳あって配給が来ない鎮守府(うち)にそんな選択は出来ないのです。こうなったら迎え撃つのです!!」
「ええ、そうでしょう。今私たちの装備は無いに等しいのです。迎え撃つ...って先輩迎え撃つのですか!?」
「そうなのです。どうしたのです大鳳さん?」
「いえいえいえいえ、"どうしたの"じゃありませんよ!!今私の装備は彗星が10機だけで電先輩に至ってはその大きな錨だけですよ!!迎え撃つなんて無理に決まってます!!」
この装備では普通のヘ級でも苦戦するかも知れないのです。...ハッ!まさか電様は何処かに秘密の武器を装備しているのでは!?
「まさか電先輩は何処かに秘密の装備があるのですか!?」
「う~ん、あの子達は装備じゃないのですが...実はそうなのです!!」
や、やはり電様は秘密の武装があったのですね!この戦闘でしっかり観察し元帥に報告をしなければ...
「っと、無駄話はこれくらいにしましょう。反応近づいています!敵の数は...に、20隻!!この艦影からして雷巡チ級が3隻、重巡リ級が7隻、イ級が10隻です!!」
正直、普通はこの戦力で勝てる見込みは無い。私も今出来る全力で挑まなければ!!
「新人の大鳳さんはこの資材を持って下がっていて下さい。この程度なら電で十分なのです!!」
「ま、待って下さい!!この数に一人では...「一人ではないのです!!」え!?」
「フッフフ、我が電艦隊のスゴさ見せてやるのです!!」
電様は得意げに胸を張りそう言って敵艦隊へ進んで行ってます。でも、"電艦隊"とはどう言う意味なのでしょうか?
「イ級さーん!!なのです!!」
「・・・は?」
間抜けな声を出してしまった私は、あまりの出来事に一瞬目の前の光景を夢か何かと思いました。
「嘘、ですよね...」
敵イ級とは違う頭に大きな舵のペイントをしたイ級が...イ級が!?
「イ級さーん!!」
電様を背?に乗せ敵陣へ突っ込んで行ってます。あ゛!イ級が相手を吹っ飛ばして綺麗に着水しました。
「イ級さんお願い!!」
今度は次々と海面に舵のペイントを塗られたイ級が出て来ました。その数なんと5隻!!...恐らく私達が移動していた水面下で一緒に移動していたのでしょう。
「...なんなんですか瀬戸内鎮守府の艦娘は!?」
周りの敵イ級が電艦隊?のイ級に攻撃されています。
「超絶悶絶きりもみ大旋風!!」
そして、電様は敵艦隊のド真中で自身を軸に大きな錨を振り回しています。多くの敵を巻き込みながら進んで...
「デラックス、カ級ボンバー!!なのです!!」
...どうツッコんでいいか分かりません。最後の掛け声と共に潜水カ級が海中から現れ残っていた敵を吹っ飛ばして行きました。
「これで、勝利なのです!!」
電艦隊?は無傷で勝利(完全勝利と言ったほうがいいですね)しました。...元帥にはどう報告しましょう。
「...お、お疲れ様です。そ、その大丈夫ですか?」
私は恐る恐る電様に近付いていった。
「電は大丈夫なのです。...あぁ、この子達なら大丈夫!大鳳さんを襲わないのです!!」
「そ、そうですか。」
「さぁ、提督さんが待ってます。早く帰投するのです!!」
「...分かりました。それで、敵深海棲艦はどうします?」
「このまま放っておくのです。しばらくすれば気が付くと思うのです。」
「えぇ!?あれで撃沈させてないのですか!?」
「ん?そうですよ。全て峰打ちなのです!!さぁ、帰るのです!!」
「ま、待ってください先輩!!」
電型は敵でも助けようとする者が多いそうですが、この方も例外ではないようです。
~艦隊が帰投しました~
私と電様は多くの資材を持ち帰り提督に大変喜ばれ、褒められました。電様はそのまま司令室に残り報告をされるそうです。新人の私は一足早く司令室を後にしてこの鎮守府を偵察する為フラフラ歩いています。
「よう、初任務ご苦労さん。」
「あ、天龍先輩ただいまです。」
急に天龍様に呼び止められました。まさか、私達の事がバレたのでしょうか...
「武明から聞いたぜ。大成功だったんだって!!このこの~!!」
「は、はい!電先輩のおかげです。私は偶然その場所を見つけただけなので...」
よかった。バレてはいないようです。それにしても今回の遠征は稀に見る幸運でした。この私が多く鉄を含んでいる島を見つけ、その地下には石油が溜まっていたなんて...これは私の死亡フラグでしょうか...
「謙遜すんなって。今後も期待してっからよ!」
「は、はい!!」
「じゃぁな。」
天龍様がそう言って司令室の方に歩いて行こうとしています。...今なら聞き出せるでしょうか?
「天龍先輩ちょっといいですか?」
「ん?なんだ大鳳?」
「いえ、ちょっと聞きたいことがあるんですが。」
「いいぜ。俺の知っている事なら話してやるよ。」
「で、では...この鎮守府で一番強い艦娘は誰ですか?」
今まで気になっていた事を聞いてみました。
「フフフ、それはこの俺...と、言いたいが、一番強いのはやっぱりヲ級さんだな。」
「ヲ級さんですか。」
「おう!あの飛行部隊の変速攻撃、それでいて一糸乱れぬ射撃。それを掻い潜ってヲ級さんにたどり着いても、あの仕込み杖での剣撃は...ある意味チートだな。」
「ソ、ソウナノデスカ...」
敵のヲ級はあの杖を飛行部隊の指揮のみに使っていましたが、この鎮守府のヲ級はその杖で接近戦もできるのですか...
「あぁ、そうだな。これを期にここの艦娘の強い奴を順に分かりやすく説明してやるぜ。」
「よ、宜しくお願いします!!」
私には願ってもない事です!!
「じゃあ、分かりやすく『ヲ級さん>俺(天龍)>電>木曾=霧島>金剛』って感じだな。あと、電は自身が助けた深海棲艦を使ってくるからその場合は俺とタメ張れるがな。」
「色々追求したいところがありますが、金剛型は"霧島先輩"だけじゃなかったのですか?」
「あぁ~、アイツ提督の菜園を一部壊してな...提督のお仕置きで今一人で長期の遠征させられてる。馬鹿だな~、あんな所で新しい武装を試すから...」
「でも、おかしいですね。霧島先輩は早く"金剛お姉様"に着艦して欲しいとおっしゃっていましたが...」
「あぁ、それは今いるウチの金剛は男性型だからな。」
「だ、男性型ですか!?」
「そうだ。えぇ~っと、確かジャマイカから帰ってきたとか...まぁ、変わりもんだぜ、自称転生者だしな!!」
「転生者?」
「今度帰ってきた時に聞いてみな!!じゃぁな!」
「はい。」
海上で暴れまわる男性型の艦息というのはきっと彼?の事でしょう。今度話して見たい艦ですね。さて、今日の報告をしなければ...
私は一つ疑問になっている事を電先輩に聞いてみようと思います。
大鳳「電先輩、イ級...さん達は海中で待機を?」
イ級...さん達がいるなら何故この資材を運んで貰わないのでしょう。
電「提督の事を悪く言った大鳳には、教えてあげないのです!!」
提督を悪く言った影響がここにまで出てくるのですか...ここは素直に謝りましょう。
大鳳「むぅ...その件は本当に申し訳ありませんでした。」
電「素直に謝る子はいい子だと近所の人に聞いたことがあるのです。...いい子には答えないと可哀想なのです。答えはNo~なのです!!」
大鳳「の、Noなのですか!?」
電「鎮守府(うち)にある資材は限られているので、イ級さん達には申し訳ないですがあまり資材は渡せないのです。なので、鎮守府のとある場所から呼び出しているのです!!」
大鳳「よ、呼び出すってどうやってですか!?」
電「まだ新人の大鳳さんには秘密なのです!!」
大鳳「そ、そうですか。」
まだまだこの鎮守府には私達の常識を超えた秘密が隠されていそうですね。