【Lobotomy Corporation】に入社させられたまではいい、収容室多くない?知らないアブノーマリティーもいるし…   作:下南

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別に読まなくても良い。

人によっては嫌かも?









閑話 二人の時間

「…」

 

今、俺は全身に冷や汗をかきながら、恐怖と緊張に怯えている。

部屋の時計を見ると、針は23時を少し過ぎたところだ。

本来ならとっくに寝ている時間だが、今夜ばかりはそうもいかない。

 

理由はただ一つ――望の言葉だ。

『今夜星くんの部屋に行くね?』

その約束が頭を離れない。いや、約束というより、彼女にとっては通告に近かった。

 

ピーンポーン

 

気の抜けたインターフォンの音が鳴り響いた。

 

「ひっ!」

 

肩が跳ね上がる。心臓が鼓動を激しく打ち、手のひらにはじっとりと汗が滲む。

 

「……は、は~い。」

 

声が裏返りながらも、俺は意を決して立ち上がった。恐る恐る扉に向かい、深呼吸をしてドアノブに手をかける。

 

ギィ……

 

扉を開けると、そこには――

 

「こんばんは、星くん。」

 

笑顔の望が立っていた。

その声は柔らかく穏やかだった。ただ、目は一切笑っていなかった。

望の手にはいくつかの荷物があった。

 

(あっこれ、泊まる気だ。)

 

荷物の中身が何かは分からないが、この状況で「話だけして帰る」という選択肢は完全に消えた。

 

「ど、どうぞお入りください、ノゾミサマ。」

 

俺は渇いた笑みを浮かべながら、彼女を部屋の中へと案内した。

ドアが閉まる音が、やけに重く響く気がした。

 

 ~~~

 

「で?【F-01-18-O(黄金の狐)】の事はどう思ってるの?」

「尻尾が凄くモフモフで仕草等々全てが可愛i…いえ何でもないです。」

 

俺は布団の上で正座させられ、望に説教されていた。

 

「とにかく…星くんが無事で良かった。」

 

望はふぅ、っと息を吐いて呟いた。

F-01-18-O(黄金の狐)】は人型ではあるが、アブノーマリティだ。

そんな存在に作業をして帰らなかったら心配するのは当たり前だ。望が同じ事をしたら俺も心配するだろう。

 

「それじゃ…」

 

そう言いながら望は抱き着くように俺を布団に押した。

 

「ちょ、ちょっと待て!望!?」

 

俺の声は情けないほど震えていたが、望はお構いなしだ。彼女の細い腕が俺の肩に回され、体温がじんわりと伝わってくる。心臓が爆発しそうなほど早く鼓動を刻むのが、自分でも分かった。

望は俺の胸に顔を埋めて、グリグリと顔を押しつけてくる。

 

「いったい何をしてるんだ?」

「何って…星くんに付いている他の雌共の匂いを私で上書きしてるんだよ?」

「…何言ってんだ。」

 

焦りすぎると逆に冷静になるというのは本当らしい。

実際、俺は今とても冷静になった。言い方を変えると、俺は理解を諦めた。

 

「取り合えず、いったん退いてくれないか?望もこの体制はキツイだろ?」

 

なんせ望の胸はMカップ。そんな人がうつ伏せになるのは中々にしんどい筈だ。

 

「それもそうだね…でも、退かないよ。第一に、星くんが私の背中から腕を退かさないと離れれないよ。」

「そうだな。」

 

俺の腕は押し倒してきた望を受け止める為に望の背に回していたのだ。

 

「よいしょっと…」

 

望は俺もろとも横向きに倒れた。

そして、再び俺の胸に顔を埋めた。

 

「私はね…大切な人が居なくなるのが怖いの。」

「…」

 

望は静かに俺の胸に顔を埋めたまま、しばらく黙っていた。

 

「怖いの。」

 

望が再び口を開いた。その声は、今までのものとは少し違って、どこか切ない響きがあった。

 

「お父さんとお母さんが居なくなった日、次は恵が居なくなるんじゃないかって怖かった。」

 

望は言葉を続ける。

 

「でも、星くんが恵に取られそうになった時はそれ以上に怖かった。」

「…」

「その時に気づいたんだ、星くんは私にとって一番の大切だって。だからさーー」

 

望は顔を上げて、俺の目を見て続ける。

 

「私を…1人にしないで、不安にさせないで。」

 

それはお願いではなく、懇願だった。

その目は潤んでいて、今にも泣き出しそうだ。

俺は言葉を失った。何を言っても、望の心に届かない気がしたからだ。

 

「星くん。」

 

望が俺を呼ぶ。

 

「私は、星くんの事が好きだよ。」

 

望の目から涙が零れる。

 

「だから、私の側に居て。」

(あぁ……そうか)

 

俺はやっと気づいた。いや、気づいてしまったというべきか。

今まで見え隠れしていた独占欲の数々、その根底にあるものはーー

(望は……俺が好きというより) ーー依存しているのだ。

 

「望…」

「何?」

「俺も、望の事が好きだ。」

「知ってる。」

 

望はそう言いながら、俺を抱きしめる力をぎゅっと強くする。

 

「知ってるから、だから私の側に居て。」

「…分かったよ。」

「え?」

「俺で良いなら、望の側にずっと居るよ。」

「……ありがとう。」

 

望はその後、しばらくの間俺の胸に顔を埋めて、静かに泣いていた。

 

 ~~~

 

「星くん。」

「なんだ?」

 

望の呼びかけに、俺は出来るだけ優しく返事をする。

 

「キスして良い…?」

「…ああ。」

 

望がゆっくりと顔を近づけてくるのを、俺は静かに見つめた。そしてーー チュッ♡

 

「…もう1回、良い?」

「…ああ。」

 

もう1度キスをすると、望はまた唇を重ねてきた。今度は少し長めのキスをーー チュ♡クチュ♡レロ♡

 

「ん…ちゅ…はぁ…」

「んむ…んん…」

 

舌を絡めた深いキスだ。お互いの唾液が混ざり合い、望の味が口内に広がった。

 

「ぷはぁ……」

 

2人の間に銀色の橋が架かる。

 

「……もう1回」

 

もう1度唇を重ねると、望は俺の首に腕を回して抱き着いてきた。そしてーー チュル♡クチュ♡レロ♡

今度はさっきよりも激しくキスをした。互いの舌を絡ませ、口内を蹂躙する。

 

「ん…んん…」

「はぁむ…んむ…」

 

2人だけの甘い世界にどっぷりと浸る。互いの体温を感じながら、意識が溶けていく。

もうどれくらいの時間そうしていただろう?ほんの数分だったかもしれないし、1時間くらいかもしれない。

とにかく俺が正気に戻ったのは、望が唇を離したからだった。2人の唇を銀の糸が繋ぎ、プツリと切れる。

 

「…星くん。」

「なんだ?」

「私たち、付き合ってるって事で良いよね?」

「あぁ。」

 

そうして、今度は俺からキスをする。

何度も何度も…どちらかが眠りにつくまで…

 

 ~~~

 

「寝ちゃったか。」

 

何度もキスをし、疲れたのか望は眠ってしまった。

しかし、その顔は何処か嬉しそうだ。

 

「お休み、望。愛してるよ。」

 

俺はそう言い望を少し強く抱きしめながら眠りについた。

 

(…俺も中々に独占欲が強いな。)

 

そう思いながら…




星って基本受けな気がする。




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