若人から青春を奪ってはいけない(迫真)   作:サイドベント

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圧迫面接&ハッピーなエンディング

 

 

薨星宮 本殿

 

 

 

俺は襲撃者を帰した後、その場に留まって待っていた。あの人と話をしなくてはいけなかったから。

 

 

「いやはや。まさか依頼を土壇場で反故にされるとはね。言い訳はあるかい?」

 

 

天元様。呪術界の礎。大いなる目的のために小を切り捨てられる女。俺を送り出した時と変わらない飄々とした態度で彼女は現れた。瞬間、感情が爆発した。

 

 

「俺を不当な契約で縛ろうとしたな? 少女の命を軽んじたな? あまつさえこの俺の目の前で!! 二人の若人の美しい友情を……仲間の絆を虚仮にしたな!!!!」

 

 

大音声にビリビリと大気が揺れる。しかし感情の発露の度に沈静化が起こる。忌々しいアンデッドの特性のせいで強制的に冷静になってしまう。だが、許せない。許してはいけないんだ。

 

 

「……失礼しました。俺は貴女のことを許しませんが、それとこれとは別です。確かに俺は自分の意思で貴女の依頼を無視しました。申し訳ありません。天内理子はもうここには二度と来ません。今回の同化は不可能になりました」

 

「……そうだね。加えて六眼と呪霊操術の術師も殆ど離反していると言っても良いだろう。呪術師は万年人手不足だというのに困ったものだね」

 

 

天元の調子は変わらない。もう良いだろう。腹の探り合いは苦手だ。言いたいことを言って帰ろう。多分、ここに来ることは二度と無い。最後に確認と精一杯の警告を残していこう。

 

 

「最初に言っておきます。俺は不死者を殺すことができます。加えて、高専の土地を丸ごと更地にすることだってできます」

 

 

それをやるメリットは無い。だが、"いつでもできる"ことを示しておくことが大事だ。

 

 

「……それは恐ろしいね。君が理性的であることを祈るよ」

 

「祈るよりも約束してください。まず縛りを解消しましょう。そして新たに結んでほしい。"話したくないことは話さなくて良いが、互いに嘘はつかないこと"でどうですか? 次に、あの呪具について詳しく教えてください。俺は本当にアレがないと消滅してしまうんですか?」

 

 

ずっと思っていたのだ。異世界転移の前例が無いのなら本殿の結界に"転移者を固定する作用"なんてものは付いていないはずだ。唐突に出てきたあの呪具も結界作用なんて持たない、本当にただの目印だったのだろう。

 

 

「ふむ。縛りに関してはそうしよう。呪具についても察している通りだ。転移直後の君の存在が不安定だったのは本当だったが、私も六眼の術師も呪霊操術の術師も、もはや君のことは忘れない。はっきりと固定された訳ではないだろうが、当初よりは君の存在は安定しているよ」

 

「そうですか。ちなみに呪具が高専結界に入る直前に測ったようなタイミングで壊れたのは偶然ですか?」

 

「ノーコメントだ」

 

 

つくづく嫌な女だと、そう思った。

 

 

 

 

 

 

  ++++

 

 

 

 

「は? 天内!? お前何で生きてんの!?」

 

「うっせーのじゃ!! 天元様のお付きの方が助けてくださったのじゃ!!」

 

「悟、理子ちゃん。黒井さんが見つかった!」

 

「「よ、よかったぁ〜」」

 

 

 

 

  ++++

 

 

 

ここは隠れ家。理子ちゃんは世間的には死んだことになっているので、普段はここで黒井さんと二人で過ごしている。もう少しほとぼりが冷めたら、また学校に通うことができるようになるだろう。私たちが守りたかった日常が、すぐそこにあるのだ。清々しい気分で入室する。

 

 

「やあ、理子ちゃん。元気かい?」

 

「元気も元気じゃ! 悟はおらんのか? 骨の御方は? 二人ともゲームが上手くてのぉ。今度こそ勝つのじゃ!!」

 

「ははは。二人とももうすぐ来るみたいだよ」

 

 

そう。天元様の依頼を蹴って事実上の追放となった私たちは、なんと襲撃者を抑えてくださったあの骨の御方の庇護下にある。特異体質のようで呪霊は見えないけれど、戦力としては悟を凌ぐかもしれない。そのおかげか今のところ襲撃も無く、理子ちゃんと黒井さんはのんびりと日々を過ごしていた。

 

 

「おーっす。傑、天内。黒井さんは?」

 

「おお、悟。黒井は買い出しなのじゃ。しかしちょっと遅いのう……心配じゃ」

 

 

突如、黒い円が部屋の中心に発生した。どうやら迎えに行ってもらってたみたいだ。

 

 

「すみません。わざわざ力を使っていただいて」

 

「良いんですよ。俺は貴女たちが幸せに暮らせてるならそれが何よりも嬉しい」

 

「よーやく落ち着いてきたって段階だけどな。俺たちだけで活動する基盤作りも形になったし。そろそろ硝子も呼ぶか? いや、いっそ学生全員呼んじまおう。ふるくせージジイ共とはおさらばだ」

 

 

反転術式を習得した悟は特級術師相当となった。私も骨の御方の協力もあり、強力な呪霊を次々と手に入れている。目的のためには力を蓄えることも重要だ。理子ちゃんの護衛を通してそれを痛感した。後輩たち、そして私たちの日常を守るためにもそろそろ大規模に動くべきかもしれない。

 

 

「あ、そういえばさ。俺たちアンタの名前知らないわ。なあなあになってたけど呼びにくいからさ、教えてくんない?」

 

「あー……そうですね。確かに言ってなかったかも」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺、鈴木悟って言うんですよ」

 

「マジ? 俺と同じ? 字までもか……なんかキモッ」

 

「悟、表に出ろ。今のは僕が許さないぞ」

 

「そうじゃ! やってしまえ傑!」

 

「あらあら。お夕飯までには終わらせてくださいね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おわり

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