カイリューといっしょ!   作:カイリューはいいぞ

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ゴーストと私とシャンデリア

 「しかしまあ、俺たちの影が入ったゾンビを探すのは一苦労だろうな」

 

 「探さなくていいだろ。ゾロ、あのゾンビのおっさんが言ったこと忘れたか?ゲッコー・モリアをぶっ飛ばせばみんなの影は戻る!だから俺はモリアをぶっ飛ばしに行く!」

 

 「俺はナミさんを探しに行く。結婚だのふざけたことを言うやつの顔面蹴りまくって誰だか分からないようにしてやる!霧のかなたまで蹴り飛ばしてやらぁ!」

 

 「お、おれもだ!ナミが攫われた原因は俺にだってあるんだ!七武海なんてやつにまた会いたくねえしな!」

 

 「私も、ナミさんを探させて欲しいです。ザシアンがナミさんの匂いを覚えているはずなので、匂いで場所を特定できるかと。ね?」

 

 「ヴォフッ!」

 

 私の同行を許してもらえたので、作戦会議が始まるナミさんが敵の透明人間に攫われて結婚させられそうになっているという途中からトンチンカンな話に激怒しているサンジさんは背景に炎を背負って燃えているのでやる気がみなぎっているのだろう。人の気持ちを受信できるサーナイトがちょっと引いてるくらいにやる気が出ている。

 

 しかし、ショットガンマリッジ……いやこれは意味が違うか。強制結婚とかイヤにもほどがある、しかも話を聞くに相手はゾンビなんでしょう?ナミさんが可愛そうだ。結婚とは好きな人と愛をはぐくんだ結果なのであって、強奪して勝手に誓わせるものではない。むむ、私もなんだか怒ってきたぞ。絶対にナミさん傷一つ付けず助け出すんだから!

 

 「あ、お前らこれ持って行けよ。おれ様がさっき作ったゾンビ昇天ソルトスターだ」

 

 「お塩ですか?何の意味が……」

 

 「あ、お前知らねえのか!あのゾンビな、塩食うと影抜けるんだ!」

 

 「へぇ~~~!いいこと聞きました。塩ってことは海水でもオッケーってことですよね?」

 

 「ああ。むしろ悪魔の実の力だと海水の方がいいんじゃねえか?」

 

 マジでいいこと聞いた!ウチのミロカロス、しおみずが使えるんだよね……!あれは広範囲に塩水をまき散らす技だから、対影ゾンビ特攻になるわけじゃないか。この際戦力を隠したいっていうのはもう必要ないでしょう。しげしげと受け取ったソルトスターを眺めるサーナイトにこしょこしょ耳打ちすると、こくんと嬉しそうに頷いてくれた。やる気があって大変よろしい!私はザシアンに乗せてもらって準備万端、カイリューは口の端から炎が漏れ出てやる気マックス!よーしがんばるぞーー!

 

 

 

 

 

 「塩いらなくないですか?」

 

 「だな、攻撃が怒りに満ちているし」

 

 「ふふ、皆強いもの。ただのゾンビなら平気よ」

 

 目の前ですさまじい轟音と衝撃を立てながらゾンビがあっちへこっちへ吹っ飛んでいく。ゲッコー・モリアの居城に繋がる階段を駆け上がる私たち、ゾロさんとフランキーさんとは別れ、ひたすらに前に進んでる状況だ。目の前の光景が凄すぎてサーナイトなんか小さく拍手してるよ。カイリューは腕をぶん回して応援してる。

 

 私とポケモンたちはスピードを落としてチョッパーさんとウソップさんとロビンさんと併走させてもらってるんだけど袋に詰め込まれたソルトスターを出す暇もなく、前にいるルフィさん、サンジさんの物理攻撃だけでゾンビたちはすさまじい勢いで散らされていく。というかルフィさん腕伸びてない?もしかして能力者だったのかな?というか強いな!正直この世界の海賊の強さはよくわからないけど、間違いなく強いということは何となくわかる。

 

 「ボウフラになりたい……」

 

 「おれはハマグリになりたい……」

 

 「何事ですか!?」

 

 「みて、あそこにあるゴーストの仕業よ!あのゴーストが体を潜り抜けると心を折られてしまうの!」

 

 「ゴースト、なるほど!」

 

 人を陰気な気分にさせるとは流石はゴーストタイプ!普通なら触れた時点で魂とかとってくのにネガティブにさせるだけとは優しいじゃないか!ってそうじゃなくて!なんじゃそれ!?私の知ってるゴーストタイプと違う!ポケモンで考えるのは違うんだけど、考えざるを得ないよそれは!前方でルフィさんとサンジさんが崩れ落ちて、なんか変なこと言ってるから何事かと思えばそんなことあるんだ!この世界のことはよくわかんないや!

 

 けど、ゴーストならばいい対処法がある、と私は走るザシアンに必死に掴まりながら片手をボールに伸ばす、すると次の瞬間……真上から降ってきた巨人に、建物ごと全てを粉砕された。幸い踏みつぶされることはなかったけど、ネガティブになったルフィさんとサンジさんの代わりに先行していたチョッパーさんとロビンさんと分断される形になってしまった。幸いルフィさんはチョッパーさんが持っていたので塔の方に行けそう。問題は落ちた私とサンジさんウソップさん!

 

 「カイリュー!サーナイト!ザシアン!」

 

 「りゅっ!」

 

 「サナッ!」

 

 「ルォン!」

 

 私を背中でキャッチして空中の瓦礫を伝って下に降りていくザシアン、ぼうふうで上から降ってくる瓦礫を吹き飛ばすカイリュー、そしてサーナイトはサイコキネシスでサンジさんとウソップさんを浮かべて速度を落として降下していく。トッと先に着地した私とザシアンの前には、目の前の壁に立ち往生したらしいゾロさんとフランキーさんがいた。

 

 「アウ!お前ら如何したいきなり降りてきて!?」

 

 「目の前のソレ、巨人なんですけど……それが降ってきて建物ごと壊された挙句に落とされちゃいました。巨人ってこんなに大きかったんですね……初めて見ました」

 

 「いや普通の巨人はこんなでかくねえよ!?2倍くらいある!じゃなくてすぐに隠れろ!それがルフィのゾンビだ!」

 

 「なんだと!?」

 

 えっ!?これもゾンビ!?と私が大きな牙と角を生やした巨人を驚きの余り動きを止めて見つめてしまう。あ、でも大体ダイマックスしたらこのくらいの大きさにみんななるよね?ガラガラと背に乗った瓦礫をどかしながらこちらに丸太なんてレベルじゃないほど太い手を伸ばす巨人ゾンビにポケモンたちが身を硬くする、が巨人ゾンビは此方に見向きもせずに私たちの後ろにあったピラミッド型のがれきを頭に乗せると、海賊王に腐れなる!という言葉と共に地響きをあげて去っていった。

 

 「……眼中にもないってか、あの巨体でルフィと同じ戦闘力は確かにヤベェ……」

 

 「困ったのは通路がぐちゃぐちゃでどうにもならんっつーことだ。ジャンプして届くようなもんじゃねえ」

 

 「よし!ちょっと待て、これくらいなら一瞬で……」

 

 「ジャンプできないなら、飛んでいけばいいんですよ。ね、サーナイト」

 

 「サナッ♪」

 

 任せて、と嬉しそうに頷いたサーナイトの瞳が青く光り、私以外の全員を持ち上げる。ワタワタと空中で手や足を振る麦わら海賊団の皆を一緒に浮いたサーナイトが追っていく。ザシアンはドンッと地面を蹴って大きくジャンプして向こう側に降り立った。カイリューは普通に飛んできた。これでよし、と。

 

 「思ったが……なんだそいつら?」

 

 「今さらぁ!?まあおれも普通に気になるけど……」

 

 「ん~~~ありがとサーナイトちゅわ~~~ん!」

 

 「このグル眉は女なら何でもいいのか」

 

 そういえばポケモンのこと説明してなかった。全部終わったらでいいよね?あとサンジさんはサーナイトに何を見ているのだろう?サーナイトは褒められて嬉しそうだからいいんだけどさ。そうして目の前の扉を喜色満面で蹴り飛ばしたサンジさんに続いて中に入ると、ゴシック調の調度品が居並ぶ部屋の中に、さっきルフィさんとサンジさんをネガティブにしたゴーストとそれを従えるぱっちりお目目の女性がいた。

 

 「あいつは……!」

 

 「ホロホロホロ……そう、てめえらはこのゴーストの恐ろしさに覚えがあるはず。私はペローナ!ホロホロの実を食べた霊体人間!このゴーストたちは私の分身!人の心に入り込み虚ろにするネガティブゴースト!」

 

 「あのムカつくゴーストの黒幕があんなかわいこちゃんだったなんて……!」

 

 「んなこと言ってる場合か!全員アレ食らったら一瞬で全滅だぞ!?」

 

 「逃げるしかねえ!」

 

 「もう遅い!ネガティブ・ホロウ!」

 

 ペローナさん、というらしい女の人は速攻という感じでゴーストたちをこちらにけしかけてくる。私はあのゴーストたちがどんなことをするのかよくわからないけど、皆の対応を見る限り結構やばいのは見てとれる。けど、ゴーストなら、ゴーストだからこそ取れる手段がある。ビタァッ!!と私たちの眼前でゴーストが全て停止する。空中に縫い留められたような形のゴーストたちを見たペローナさんの顔に驚きが浮かんだ。やっているのは、サーナイト。

 

 「皆さん、先へ。ここは私たちがやります。殴り合いじゃないならちょうどいいです」

 

 「だが……子供一人残してくってのも……」

 

 「おい!何した!?何でゴーストが動かねえ!?」

 

 「御覧の通り、何とでもできます。必ず追いかけますのでご心配なく。ザシアン!ナミさんの所にサンジさんとウソップさんを案内してあげて」

 

 「ルォン!」

 

 ザシアンの背から降りた私がザシアンに指示を出すと、彼女は匂いを追って走り出す。ペローナさんはそれにもゴーストを新しく生み出して対処しようとするが、生み出そうとするゴースト全てが空中に静止していく。サーナイトのサイコパワーを舐めちゃいけない。霊体だろうが、そこに存在しているのならば掴める。ゴーストタイプに攻撃を当てるときのように。

 

 「おい!行くぞ!よくわからんが任せて問題ねえ!俺たちには時間がねえんだろうが!」

 

 「わ、わかった!頼んだぜユウリ!」

 

 ゾロさんの一喝でみんながザシアンについて先に進んでいく。ペローナさんは私たちの不気味さからか、手を出すことはできないらしい。生み出すゴーストが全て静止してるからね。周りにいるゾンビたちは、カイリューが睨みを利かせているので動くことすら出来ない。何時のまにへびにらみを覚えたんだろう、なんちゃってね。さて、ゴースト、霊体ときたならば……彼に任せるのがいいだろう。

 

 「おいで、シャンデラ。ご馳走だよ……!」

 

 「シャァァン!」

 

 「おい……なんだそれ……可愛いじゃねえか!」

 

 おお!ペローナさん分かってるじゃない!そうだよ、シャンデラは可愛いの!まあ、実態は凶悪だけどね……シャンデラはその無機質な瞳をかつてないほどに輝かせる。そしてそのまま……ゴーストたちは見えない何かに捕まれるようにシャンデラの中に入っていく。サーナイトは何もしていない、シャンデラが霊体……つまり魂の塊であるゴーストを食べてしまっているのだ。本能に根差して行われるそれは、一方的な食事。中でゴーストたちはシャンデラの紫の炎の燃料になってしまっている。その証拠に、シャンデラの火はもらい火が発動した時とは比じゃないくらい燃え上がっている。

 

 「ゴーストたちが……」

 

 「シャンデラはその炎で魂を焼き、奪い去る。貴方がゴーストである限り、彼の手からは逃れられない……」

 

 「クッ……クマシー!助けてっ!!!」

 

 「カイリュー、ドラゴンテール。サーナイトはペローナさんにくろいまなざし」

 

 クマシーと呼ばれたキモカワ?なデザインのクマのぬいぐるみのようなゾンビを筆頭に動けなかったゾンビたちも含めて軍団となって襲い掛かってくる。だが、私に到達する前にカイリューのドラゴンテールで纏めて吹き飛ばされた。壁を何枚も貫通して吹き飛んだゾンビを見たペローナさんの顔に冷や汗がたらりと落ちる。ゆっくりとシャンデラを伴って彼女に近づくと、彼女は後ろに後ずさって逃げようとする、がサーナイトのくろいまなざしで逃げることは出来なくなっている。足が動かないペローナさんは混乱して泣き喚く。ゾンビたちはサーナイトが持っているソルトスターを口に強制的に入れられて吹き飛ばされたやつ以外は浄化されてしまった。

 

 「ひっ……ひぃ……!クマシー!モリアさま!誰か、誰か~~~!」

 

 「選ばせてあげる、シャンデラに魂を焼かれて永遠に成仏できなくなるか……カイリューに首をねじ切られ、胴体を潰されるか……どっちがいい?」

 

 「ど、ど、どっちもいや~~~!?ひぅっ!?」

 

 メキバキボキ!とカイリューが石造りの柱を一つベアハッグで破壊して見せると私の言葉が脅しじゃないことを理解したペローナさんはもはや目を回しつつもいやいやとかぶりを振る。ごうっ!と周りに紫色の火で炎のリングを作ったシャンデラにいっそうペローナさんは震えあがった。あとすこし。

 

 「どっちもかあ。いいよ、叶えてあげる。シャンデラ、カイリュー」

 

 「シャンッ!」

 

 「りゅっ!」

 

 「…………ガクッ」

 

 私の指示で、動けない彼女の目の前にドアップになったカイリューとシャンデラを見た途端にペローナさんは電源を切ったかのように意識を落とした。良かった~~、気絶に持っていけて。ゴーストを止めた瞬間の焦り方で、多分突然のことに弱いタイプじゃないかなって思ったから、脅しと恐怖を与える感じでやってみたけどうまくいったね!本当にシャンデラに人の魂を喰わせるわけにはいかないから、脅しで終わってよかったよ。

 

 しかし、こんなに可愛いのに気絶するとは失礼だな、と思いつつ私は泡を噴いて倒れ伏したペローナさんを置いてポケモンたちとその場を後にするのだった。




 手持ちポケモン紹介
 シャンデラ ♂
 イッシュ地方より仲間になった。火力お化けポケモン。一人だけでパーティのエンゲル係数を爆上げしているほどの大食い。特性はもらい火で、かえんほうしゃは熱線の域に達している

 シャンデラとかいう魂特攻ポケモン、ホロホロのみならずヨミヨミやソルソルにも効くだろう。ソルソルは本人が強すぎるからホーミーズくらいかもしれないけど

 ではまた次回。感想評価よろしくお願いします
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