カイリューといっしょ! 作:カイリューはいいぞ
ペローナさんを気絶に追い込んだ私たちはすぐにその場から移動することにした。あそこまで脅せば暫くは気絶しておいてくれると思う、というか次本気で向かってくるならシャンデラの我慢が効かないかもしれないし。シャンデラにとってペローナさんは、魂を山ほど生み出してくれるバイキングランチであり、本体であるペローナさんは非常に美味しそうに映ってるみたい。涎たれてるもん。
「シャンデラ、我慢出来たら……1時間膝抱っこでどうだ!」
「シャンッ!!!」
じゅるり!と涎を引っ込めたシャンデラはしゃっきりとして体の炎を燃やし始めた。それを見るカイリューとサーナイトの視線のなんと冷たい事か。流石我が家のエンゲル係数爆上げ装置。火力も高けりゃ燃費も悪い。カイリューの倍食うってどういうことよ?君の体のどこに収まってるのかな?とりあえず、私は部屋を出て駆けだしてく。
ザシアンがいないので私の移動速度は当然ながら子供並み、おそらくあの大きなルフィさんのゾンビと戦うことになるだろうという予想がビンビンにきているのでサーナイトの体力を無駄に使いたくない。皆にオボンの実を配ってから私はしびれを切らしたらしいカイリューに小脇に抱えられて先を急ぐのであった。ザシアンが恋しいなあ。
「んっ!?なにこれっ!?」
「サナッ!!」
轟音、そして揺れ。私たちが走っている通路の天井が崩れ、がれきとなって降り注いでくる。私を抱えてるせいで身動きがとりづらいカイリューに代わってサーナイトが切羽詰まった鳴き声をあげてがれきを咄嗟のねんりきで支えてくれるけど、集中できずにサイコキネシスに移行できなかったせいかいくつか漏れて、そのうちの一つが私の頭にガンッと直撃した。予想外の激痛に私は当たった部分を抑える。
「っった~~~!!!!」
「りゅうっ!!」
「サ、サーナ……!」
「だ、大丈夫!平気!ちょっと切れただけだから。それよりも、どうなってるんだこれ……!」
ちょうどこめかみにピンポイントに当たった瓦礫の破片のせいで切ってしまったらしく、血がたれてしまった。それを見たサーナイトとカイリューは真っ青になり、シャンデラの火が消えて、震え出した。しまった!気が緩んだか!?大丈夫だから、と言うと3匹ともコクコクと頷いてくれる。よしよし、血が目に入らない位置でよかった!
「とりあえずがれきの下でぺしゃんこにされる前に外に出よう!ごめんだけどカイリュー、壁抜いてくれる?たたきつける!」
「りゅっ!」
どがしゃ!と全身を壁に叩き付けたカイリューのおかげで壁に大穴が開いた。私はそこを通って外に出ると、やっぱりというか何というか、予想通りという言葉が一番近いのだろうか。ルフィさんのゾンビが、いろんなところを破壊しながら麦わらの一味を探している。そしてカイリュー、サーナイト、シャンデラの目が据わった。さっきのがれきの原因がアレだということを理解したのだろう。静かに怒っている、我がポケモンながら怖い……!
特にサーナイトのキレっぷりがまずい。彼女、種族的にトレーナーが傷つくことが特大の地雷なポケモンだから。外的要因を見つけてしまった以上、止められるかちょっと怪しい。食欲なシャンデラとは違うのだ、ご褒美で抑え込めるそれと違ってどうにかなるものじゃないし。屋敷の壁を抜けてあの巨大なゾンビの所へ向かう。
「でてこぉ~~~い!麦わらの一味~~!」
「おい!そこをどきやがれ!てめぇが邪魔してどうすんだルフィ!」
「ルフィ?それは敵の名前だ!おれの名はオーズ、よろしく!」
「のんきな……!」
瓦礫の上に立つサンジさんにマイペースに自己紹介をするオーズ、そういえばザシアンとナミさんの姿が見えない。はぐれちゃったのか?ザシアンに何かあったら……いや、ザシアンは強い。曲がりなりにも伝説のポケモンだ、その気になれば建物ごとぶった切って私の所に戻ってくるだろう。私は私がやるべきことをやらないと。
「ゴームーゴームーのぉ~~~……鎌ァ!!!!」
「うおっ!?」
「カイリュー!弾いて!ドラゴンテール!」
「りゅぅぅっ!!!!」
「ユウリちゃんっ!」
腕を振り回すオーズの攻撃が、サンジさんを直撃しようとする。見聞色で先読みが間に合い、すぐにカイリューに指示を出した。カイリューは私を置いてトップスピードでサンジさんの元にたどり着くと、オーズの肘に向かってドラゴンテールを放ち、腕をかちあげだのだ。腕を跳ね上げられたオーズは一瞬体勢を崩す、けど驚異的なバランス感覚で態勢を戻した。それでも隙を見逃さなかったサンジさんが首に蹴りを叩き込もうとする。
「首肉フリっ!?おわぁ!?」
「サンジさんっ!シャンデラ!サーナイト、気を引いて!マジカルフレイム!」
「シャンッ!」
「サーナッ!」
「おわっ!?なんだ!?火か!?おーまーえーかー!」
顔面を直撃して燃える火を頭を振って消火したオーズ、サンジさんは首への攻撃をオーズの頭突きのカウンターを貰ったせいで地面にめり込んでしまった。反応が早い!あんな大きいのに!狙いを私に変えたオーズがどしどしと音と地響きを立ててこちらに向かってくる。速い!巨体とは思えないほど身動きが軽くてびっくりする!
「ゴムゴムのぉ!ピストルッ!」
「きゃあああっ!?」
「バカ野郎ルフィ!どっちみてやがる!」
私自体をターゲットにした大きな拳でのパンチ、身体能力で圧倒的に劣る私では避けられるはずもなく、巨大な拳が私に当たろうかという瞬間にカイリューが間に割って入り緑色の障壁を発生させた。まもるだ。さらにシャンデラとサーナイトのサイコキネシス全開で勢いを弱めてくれる。そこまでやっても私はカイリューごと吹っ飛んで瓦礫の中に埋められてしまった。あまりの衝撃に上下の感覚すら吹き飛んで、カイリューに抱きしめられてることしかわからなくなった。
「……りゅっ、りゅっ」
「うう、ん……カイリュー!?大丈夫!?」
「りゅ!」
朦朧とした意識が晴れると、がれきの中でカイリューに抱かれていることを思い出した。そして、彼女がオーズの攻撃の直撃を受けたことも。頑丈なドラゴンタイプらしく、多少の痛みはあれど平気と教えてくれる。外からはまだ地響きと衝撃が伝わってくる。私たちの上に被さっている瓦礫が浮いて動けるようになった。シャンデラとサーナイトだ。
「あ~~~もう!あったまきた!」
「何だ、お前ら無事だったのか」
「よかった~~!!まともに直撃してたから心配してたところなんだ」
ガラガラと瓦礫をのけてカイリューと一緒に瓦礫の上に立つ麦わらの一味と合流する。既に私の意識が飛んでる間に一戦交えたらしくて、みんなどこかしらに傷を負っていた。ゾロさんが安心したように私たちの無事を確認すると、ウソップさんもよかったよかったと言ってくれる。うん、全身結構痛いけど割と平気。カイリューが間に入ってまもるを使ってくれたからだね。
「提案なんだが……あれ投げ飛ばすってのはどうだ?」
「投げ飛ばす~~?あの巨体をか!?」
「成程、さぞかし気持ちがいいだろうなそれは」
「いいですね!頭から地面にぶつけてやりましょう!」
ゾロさんの提案、オーズを投げ飛ばす。私はオーズが天地ひっくり返って頭から地面に激突する様子を想像してそれに賛同する。要はあれ、ダイマックス状態と考えればいいんだ。それならこっちだってやりようなんかいくらでも……と言いたいんだけど使えば暫く使用不能になるし、ポケモンに大きな負荷がかかる。使いどころを見極めるんだ。
「潰れろ!ゴムゴムのぉ~~!尻モチ!」
「そんな技ねえだろ!」
「おのれ麦わら~~~!一丸となる力を思い知れ!お前ら!
「タクティクス・フィフティーン?」
オーズがジャンプしヒップドロップで私たちを潰しにかかった。全員が何とかそれを躱した後にフランキーさんが叫んだその言葉に一切の思いあたりがなかった私は首を傾げる。私を抱えているカイリューも思い当たりがなかったのか、シャンデラとサーナイトとシンクロして首を傾げた。だよね、知らないよね。麦わらの一味特有の作戦か何かかな?
フランキーさんはゾロさんとサンジさんの肩の上に立ち、肩車でチョッパーさん、左手にウソップさんをもってオーズに向かって仁王立ちになる。く、組体操……?と思わず動きを止めた私は、おそらくロビンさん待ちであろう右手を見て、ロビンさんを見る。ロビンさんは優しく私の頭を撫でてから、きっぱりとこういった。
「人として恥ずかしいわ」
ガゴーン!!!と音が鳴りそうなほどのショックを受けたフランキーさんを中心とした上半身組がうなだれる。なんだか可哀想になってきたので私はちょいちょいと、シャンデラを手招きして、フランキーさんの右手に行くように指示し、フランキーさんに向かってグッドサイン。涙もろいらしいフランキーさんは泣きながらシャンデラを掴むと涙声で大見得を切った。サーナイトの妙に生暖かくて優しい目は見なかったことにしよう。
「パイレーツドッキング6!ビッグエンペラー!」
「シャンデラ、オーバーヒート」
「シャァァァンッ!!!」
「おわああああっ!?あっちいいいい!?」
「的が大きいから外さないにしろダメージが足りませんね!こいつにも塩は有効なんですか?!」
「ビーム!?今のビームだよな?!」
「すげえシャンデリア!塩さっき食わしたんだけどダメだった!量が足りねえ!」
「シャンデラです!それよりも来ますよ!」
ポーズを決めた際にオーズに向かって向けられたシャンデラ、ちょうどいいやと思った私はそのままシャンデラに大技を指示した。一気に体の炎を燃え上がらせたシャンデラの全身が眩いほどに発光して、火炎放射なんてレベルじゃない赤い熱線が発射される。それはドッキングに夢中になっていたオーズの肩を貫いて一部を炭化させる。火に弱いのは変わらないのか慌てて肩をはたいて消火するオーズが怒ったような目をこっちに向ける。
「何やってたんだ俺は……!フランキー、これ借りるぞ!」
「アウ!使え使え!おい嬢ちゃん!俺が守ってやるから全力でそいつらを戦わせてやれ!」
「分かりました!カイリュー、行けるね?サーナイトとシャンデラも!」
「ロビン!俺が体勢を崩したら関節を極めろ!ユウリ!考えなくていい!ぶっ飛ばせ!」
「わかったわ」
「はいっ!」
私が声をかけると3匹はまだ余力が残ってるらしく了解の鳴き声をあげた。そしてフランキーさんがカイリューから私を受け取る。ゾロさんは大きな柱をヌンチャクで繋いだような物体に刀を差して、持ち上げてしまう。そしてサンジさんの蹴り脚に乗ってオーズの頭にそのヌンチャクを思いっきりぶつける。そして片手をロビンさんの悪魔の実の力らしい無数の手が関節を決めてロック、そしてもう片手はウソップさんが手を突こうとするところを大量の油をまいて滑らせる。完全にバランスを崩してオーズは一本足でけんけんと立っている状態だ。
「行くぞチョッパー!フランキ~~~!スカイウォーク!」
「フラッパーゴング!」
「こけろデカブツ!アンチマナーキックコース!」
「カイリュー!ギガインパクト!」
「りゅうううっ!!!」
ロビンさんの所に私を置いたフランキーさんは何と空中に階段を作り出してチョッパーさんと一緒にバランスを崩したオーズの顎を殴りつける。そしてサンジさんのすさまじい勢いの連続蹴りの最後に合わせるように、全身にエネルギーの波動を身にまとったカイリューの一撃がオーズの足を真上にはね上げる。真っ逆さまになったオーズは屋敷に突っ込むように地面に落ちた。やればできるもんだね、ぶん投げ!
「まず1ダウン!」
「どーだみたか~~!」
「お前らコノヤロー!!!もう怒ったぶっ飛ばしてやる!……抜けねぇ!」
オーズは逆さまで地面に角が刺さった状態のまま吠える。ほほう、抜けないと来ましたか。私を含めた全員の目がきらりと光り、無言でオーズの元に向かうと、全員でタコ殴りにする。ゾンビは痛みを感じないらしいが、サーナイトのマジカルシャイン、シャンデラのニトロチャージ、カイリューのかみなりパンチの連打は確実に効いている!畳みかけて弱らせた後ミロカロスのしおみずで確実に仕留める!一回見せたら警戒されるから!
「お前らいい加減にしろおおおおお!!!」
「お前ら撤収!」
「次どうする!?もっかいこけさせるか!?」
「ひいいいめっちゃ怒ってるぞあれええええ!!!」
「すいません、2回目のダウン私に任せてもらえませんか!?確実に3分時間を稼ぎます!切り札を切るので!」
「もう何でもいい!何でも使ってやつを止めるぞ!」
サンジさんを筆頭に了解を得ることが出来たので私は走っていた足を止めて怒るオーズに向き合う。そしてモンスターボールにカイリューを戻した。ウソップさんがいきなりの私の動きに何してるんだという声をあげるが、黙って見ててほしい。ぐいっと右手の袖をめくると、常につけているダイマックスバンドがそこにあった。願い星がきらりと光りエネルギーが渦巻いてモンスターボールに注がれ、ボールが巨大化した。よし!成功した!ガラル粒子がないから心配だったけど、これなら!
「行くよカイリュー!ダイマックス!」
「グオオオオオッ!!!!」
両手で一抱えほどあるボールを思いっきり投げる。開いたボールから登場したカイリューは赤い光を身にまとい、オーズと同じくらいの大きさに巨大化していた。皆が驚く気配を見せる中、私はダイマックスの制限時間のカウントを開始するのだった。
というわけで次鋒、カイリュー(ダイマックス)です。ガラル粒子がないのでダイマックスどうしようかなーっと思ってたんですけどあった方が面白そうなので出します。当然ですがガラル粒子がない反動もあります。詳細は次回にて。
ではではまた次回にお会いしましょう。感想評価をよろしくお願いします。