カイリューといっしょ!   作:カイリューはいいぞ

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宴と私とドラゴン

「もへ~……」

 

「あーユウリ?気にするのは分かるけどその体勢はやめて?心が痛いわ」

 

「ルオン……」

 

「改めてみて興味深い生き物たちね。本はそれなりに読んでるつもりだったけど、どの図鑑にも載ってない生き物たちだわ」

 

「りゅ~?」

 

「あら?握手?ありがとう……ふふ、かわいいわね」

 

 どうもこんにちは、私はユウリ、年は9歳のポケモントレーナー。今現在私はザシアンの背中に洗濯もののように干された状態で呻いています。なんでこうなったか順を追って思い出してみよう、私たちはスリラーバークの支配者であるゲッコー・モリアを倒して、奪われた影を取り戻すことができた。朝日に照らされても平気になった被害者の会の皆さんの喜びようと言ったらなかったね。それでも不運ってやつは連鎖するものでモリアの撃破直後に今度はモリアと同じ王下七武海の一人であるバーソロミュー・くまがルフィさんの首及び私たちの抹殺を目的として襲撃してきた。

 

 麦わらの一味の中でも屈指の戦闘力を持ってるのであろうゾロさんとサンジさんを意に介さず一蹴したくまに対して私はフルパフォーマンスを発揮できる3匹のポケモンとバトルを挑んで、一応の一応撃退に成功した。長引いてたら負けていたと思う、あと相手の体が機械じゃなかったらあそこまでうまくいかなかったかもしれない。許容量以上の電気を食らって中身のメカがオーバーロードしてくれたからくまは不利と察して撤退してくれた、華を持たせてくれたんだ。その花束は爆弾入りだったわけだけど。

 

 去り際にくまは自分……つまり王下七武海及び世界政府に逆らった私の顔と名前を覚えたので近く私は賞金首として手配されるであろうという予言をしたのだ、確度100%の。白ひげさんという史上最高額らしい賞金首の大海賊の海賊船に一時的に乗っていたとはいえ、死にたくないがために戦った結果世界の敵認定を受ければそれは凹む。この年で、9歳で!賞金首!ポケモン世界に帰るために目立たずこっそり冒険して私がここに居る原因を突き止めたかった身としては一気に目的が遠くなった。

 

 心配してくれるナミさんを私は死んだ目で見上げる。隣にいたサーナイトがよしよしと私を撫でてくれるけどこの深く傷ついた心はそれでは癒せない、いやごめん。ちょっと癒された。うちの子最高。まあ後悔をしているかと言われれば、微塵も後悔はないんだよね。だって抵抗しなきゃ死んでたわけだし。旅に出て1日で賞金首デビューですか、助けて白ひげさん。これ新聞とかがあると仮定した場合白ひげさんたちに知られたら大笑いされるんじゃ……容易に想像できる。白ひげさんの酒量が増えそうだ。あとでビブルカードで方向を確認した後に土下座しておこう。ごめんなさいナースの皆さん、船医さん。

 

 にぎにぎとロビンさんの手を両手で握手という感じで握るカイリューがザシアンの隣に来て私を摘まみ上げて立たせてくれる。確かにいつまでもじゅうりょく背負ってたらダメだよね。あのあと結局私含め全員がその場で体力を使い果たして寝ちゃったの。ポケモンたちはまだ余裕があったから護衛をしてくれたみたいだけどね。そして一番の心配材料だったダイマックスを使用して体力を使い果たしちゃったカイリューも、1日ボールの中で休めば体力全開フルマックス、とまではいかなくともとても元気な姿を見せてくれている。よかった……。

 

「これからどうしよっかな~……」

 

「賞金首になると大変よ。誰も信頼できなくなる……特に大人はね」

 

「あ……ロビンは同じくらいの年でもう……」

 

「そうね。賞金首だったわ、生死問わず、今と同じね。おそらくだけどこの子の場合も生死問わずになるはずよ」

 

「おーいナミ!ロビン!ゾロが目ぇ覚ましたぞ!メシだ~~~!!!んお?ユウリもそこにいたのか!なあ!色々聞きてぇことあんだ!」

 

 ふむぅ、難しい話だ。そもそも私が賞金首にならない可能性……ないだろなあ。ド派手にやりあったし。もういちどもへ~~とやろうとしたらザシアンにやんわり拒否された。うわ~~ん!ミロカロス~~!ととぐろの中に逃げ込んだらルフィさんに摘まみ上げられる。そういえばルフィさんどころか麦わらの一味の皆さんにもこの子たちのことは全く説明してないのだった。ルフィさんは不思議動物~~!とテンションが高いのだけれども。それでいいのか、確かにポケモンは不思議な不思議な生き物だけど。

 

「しかしお前、強かったんだな。おれ寝てたからしらねェけど。なんかでっかい七武海ぶっ飛ばしたんだろ!?」

 

「勝ちを譲ってもらっただけで倒せてないんですよ……」

 

「暗いなー!もっと喜べばいいじゃねえか!向こうが負けたっつったんなら勝ちだ!」

 

「元気ですね、ルフィさんは」

 

「いや!俺は肉食わねえと元気になれねぇ!サンジ~~~~メシ~~~!!!」

 

ルフィさんは私を肩に担ぐとついでと言わんばかりにサニー号から引っ張り出して来た食料の袋を抱えながら半壊どころか全壊状態の主がいなくなったモリアの屋敷に突入していく。私と一緒にいたカイリューとザシアンがナミさんたちに合わせて付いてくる中、脚で扉を蹴破ったルフィさんが私と食料を掲げてサンジさんに催促する。私がしっちゃかめっちゃかにされて目を回していると、サンジさんはルフィさんを張り倒して私を救出してくれるのだった。

 

 

 

 「ディーナーア!ディーナーア!」

 

 「ん~~~!スゥ~~~パ~~~!」

 

 「メェ~~~~!!」

 

 「いいぞー!黄色いの!盛り上げろ!」

 

 「もう、デンリュウったら……」

 

 「あのホネにテーブルマナーっつもんを教えてやりてえな」

 

 テーブルの上に立ってどんちゃんやっているブルックさん、フランキーさん、ついでに光り輝くデンリュウを見て私とサンジさんは頭を抱える。確かに私たちは1日戦い抜いてそのあと泥のように眠ってお腹はペコペコだけどもそんな大声で催促するのはいかがなものか。あとデンリュウ?調子に乗るのはいいけど君の後ろにいるミロカロスの姉御のことをよく見るといいよ。バチコォン!と尻尾で叩き潰されて首にミロカロスの尻尾が巻きついたデンリュウが物陰に運ばれていった。

 

 やるか、と無事だったらしい屋敷の厨房に歩いていくサンジさんを私は追いかける。今から料理を作るなら結構な時間がかかるはずだ、お手伝い程度だけど野菜の皮むきとかならできるし手伝うべきだろう、ぶっちゃけ現実逃避したい、何か作業をしてないと目が遠くなっちゃうもの。

 

 「なんだいユウリちゃん。手伝ってくれるのか?」

 

 「はい!野菜の下ごしらえ程度だったらできますよ!」

 

 「んじゃあお願いしようか。とりあえずイモからな」

 

 しゃきん、とバッグからケースに入れた包丁を取り出すとサンジさんは面白そうに笑ってお手伝いを許可してくれた。ショリショリとイモを剥いて樽の中の水につけていく……サンジさん動きおかしくない?しゅばって空中にイモを置いたら包丁が閃いていつの間にか皮が剝けているんだけど……????この世界は不思議だなあ。そんなことができるなら包丁を持って戦えばいいのに。

 

 「あ、ユウリちゃん皮は別で使うからこっちにまとめて置いておいてくれ」

 

 「食べるんですか?揚げてパリパリにしたら美味しそうですね」

 

 「じゃあそうしてみるか」

 

 サンジさん動きが滅茶苦茶速い、白ひげさんの4番隊の人たちを思い出す速さだ。そういえばサニー号でご飯を頂いた時も一人で作ったとは思えないほどの量のご飯が出てきたっけ。うわー、すっごい大きなお肉……これが漫画肉ってやつだね。というかこんな、私くらいのサイズの骨付き肉とかどんな動物の肉なんだろう?いいよね、お肉。思いっきりかぶりついてみたいけど絶対お腹いっぱいの胸やけになるから遠慮しておこう。いい匂いしてきたー。

 

 

 

 

 「いただきまーす!」

 

 「りゅ~~~!」

 

 「うめ~~~!久しぶりのまともなメシだぁ!」

 

 「たんまり作ったから残すんじゃねえぞ!」

 

 破壊から免れた食堂にて生き残った人全員の乾杯の音頭が響く。ポケモンたちと一緒に座る私はその音頭にコーラの入った瓶を振り上げて続いた。サンジさんはポケモンたちの分も山のような料理を用意してくれて有難い限り、というかどうやったらあんな短時間で煮込み料理含めて100人を超える人の料理を作り出すことができるのだろう?間近で見てても手品のようにしか思えない手際だった。船のコックってみんなそのくらいすごいのかな?

 

 カイリューが骨付き肉をもって骨ごと肉をバリボリと頬張っている様子を見るとやっぱドラゴンなんだね、という感想を抱く。口の周りがすごいことになってる。ミロカロスとサーナイトはなんか優雅。そして燃費が悪いシャンデラは滅茶苦茶食べてる。皿ごと食べちゃう勢いだ。

 

 「食ってるか」

 

 「あれ、ゾロさん。どうしたの?」

 

 「気になることがあってな……そいつ、何なんだ。狼のやつ。そいつがオーズの腕を切り落とした時、俺の脳裏に浮かんだやつがいる、世界最強の剣士だ。剣気でそれを見せられれば、気になるだろ」

 

 「私はゾロさんがザシアンに何を見たのか分からないけど……ザシアンはね、勇者なの。とある大陸を救った伝説の剣の勇者、ず~~~~っと昔の話だけどね」

 

 「気になる話ね」

 

 私とポケモンたちがいる机にやってきたゾロさんに尋ねられる。オーズと戦った時ゾロさんがどうにもザシアンを見る目が変だったのはそういうことなのかな?この世界の最強の剣士……ザシアンは伝説のポケモンだ。戦いの経験値で言うなら私のパーティの中で誰よりも深い。ガラル地方という大きな一つの大陸を救った勇者の片割れだ。ロビンさんもやってきたし、お話することにしよう。

 

 私はガラル地方に伝わる伝承を分かりやすく噛み砕いて二人に話す。ブラックナイト、二人の英雄とそれを支えたザシアンとザマゼンタ……まあ英雄神話みたいなものだし。ゾロさんは話半分、酒の肴っていう感じだけどロビンさんはこういう話が好きなのか随分と真剣だ。まあ、結局ガラルの話はこの世界じゃ関係ないから、ホントに伝承だけどね。

 

 「そんなわけで、ザシアンが強い理由はそれだけ戦ってるだけの話だよ」

 

 「へぇ。まさかと思うが継承とか弟子が紡いでいったとかじゃなくてそれが本人なのか?」

 

 「本人だよ、正真正銘勇者ザシアンってわけ。ねー?」

 

 「ルォン」

 

 「まさに歴史の生き証人ね。巨人でもそこまで長生きなのはいないと思うわ」

 

 「ま、俺にはどうでもいい話だ。重要なのは……そいつが強い剣士ってことだな」

 

 あー、なるほど。要はゾロさんはTボーン大佐みたいにザシアンと剣士として戦いたいという話なのかな?うーん、残念だけどザシアンは本当に必要じゃなかったら人を傷つける戦いを好まない。ゾロさんが挑んだとしてもけんのおうの姿に変わることなくれきせんのゆうしゃのすがたのままあくびでもして寝るんじゃなかろうか。仮にゾロさんが攻撃を仕掛けたとしても躱してどっかに逃げるのがオチかな。本人曰く、戦争で沢山人を斬ったので私の指示でも必要なければもうやる気は起きないとのこと。まあ、多分……例えばの話私を斬れば本気のザシアンと戦えると思う。その場合お供に私でも止められないほど怒り狂う残りの手持ちが追加されるのだろうけど。

 

 「多分普通に挑んでものらりくらりで躱されますよ。私がお願いしても多分ダメです」

 

 「……そうか。まぁ、無理にやらせるこたぁねえ。剣士と聞きゃあ挑みたくなる俺の悪い癖だ。それより食え、癪だがあのぐるぐるの料理だけは一流だ」

 

 「バカ言え!俺の料理は超一流だこのマリモ頭!ンナミすわぁ~~~ん!オレンジソースが出来たよ~~~!」

 

 「ユウリ~~!食ってるか~!!お前の仲間たちも!」

 

 「ルフィさんは沢山食べてるみたいですね」

 

 ブルックさんが途切れ途切れに演奏するビンクスの酒が響く中、さっきまでブルックさんと話していたルフィさんと料理の追加を作っていたサンジさんが私たちの席に合流する。私は結構早い段階でお腹いっぱいになってしまったのでシャンデラを膝の上に乗せてまったりとお話しつつコーラを飲んでいた。そう、ペローナさんの魂ぶっこ抜きを我慢したご褒美の膝抱っこである。シャンデラはまだ食べてるけど、膝が汚れるから許して欲しいなあ。

 

 あれもうまいこれもうまいとお肉ばっかり選んで食べてるルフィさんはお腹も頬っぺたもまるで風船のように膨らんでいた。見てて気持ちがいい食べっぷりだ。ここに来る前にチーズを何ホールも平らげていてまだ入るのか、とは思ったけども。

 

 「そういやユウリお前、賞金首になるみたいだな!」

 

 「うっ……まあ思いだしたくないですけど、そうなっちゃうらしいです」

 

 「そっか~~!ならよ、俺の船に乗れよ!一緒に海賊やろう!お前、俺の仲間になれ!」

 

 あっけらかんとした状態で口の中に入っていた肉を飲み下したルフィさんの言葉に私はしばし、呆気にとられるのだった




 現状ミホークとザシアンどっちが強いとかは決めてないのであれですが、戦闘経験値ならきっとザシアンも負けてないだろうなあという淡い希望です。そして仲間勧誘、まあ、そうなりますよねって感じです。

 ではまた次回にお会いしましょう。ちょっと時間がないので更新スピードは落ちてしまいますがお許しください。
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