カイリューといっしょ!   作:カイリューはいいぞ

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仲間と私と麦わらの一味 

 俺の仲間になれ、ルフィさんはあっけらかんとそういった。ブルックさんを仲間に勧誘しているからもう来ないだろうと思ってたんだけどこのタイミングで言われるとは思わなかったものだから私はぽかん、と間抜けに口を開けて暫くの間固まっていた。私が固まっている間にも話は進み。にししと笑うルフィさんに食って掛かったのはナミさんだ。

 

「ルフィ!今回ばかりは反対するわよ!ユウリはまだ子供なの!海賊にしちゃったらホントに言い訳効かなくなっちゃうわ!賞金首よ!?私たちと一緒にいたらそれこそ危険じゃない!」

 

「んなこと言ってもよ~。賞金首になるって俺たち守ったからだろ?じゃあ今度は俺たちがコイツ守る番じゃねえのかよ?もう友達だし」

 

「アンタはまたこういう時だけ核心を突くようなことを言って……!」

 

 一緒に行動して余計な危険に巻き込む可能性があるから私を仲間にするのは反対派のナミさんと、どうせ賞金首になるなら一緒に行動して守ってやればいいじゃないか派のルフィさんとのぶつかり合いだ。うーん、私としては……どうしたいんだろう?スリラーバークでの出来事を一言で表せば二度とごめんの一言に集約されちゃうんだけど……だって何回か命の危機が襲ってきたし。よく漏らさなかったな私、危機的状況下だと無駄に肝が据わるタイプらしい、ダテに何度も伝説と鉢合わせて命がけのバトルを繰り返したわけじゃないね。

 

 でも……そうだな、部分部分を見ていくと……結構楽しかったかもしれない。「ユウリ」の記憶にある旅はすべて一人旅だ。ポケモンたちがいるとはいえ、人間は一人。私だけ、鳴き声での返事じゃなくて言葉によるコミュニケーションがこんなにあったのは正直楽しかったし、面白かった。

 

「ブルックさんは誘わなくてもいいんですか?」

 

「お前の後、もう一回誘う!今すげえ楽しそうに演奏してんだ、邪魔したくねえ」

 

「……ナミさんは反対なんですよね?」

 

「……誤解しないで欲しいんだけど、私、貴方のことが嫌いなわけじゃないのよ。むしろ大好きだわ。けどね……危ないの、海賊って。これですら今まで何回か死にかけてるのよ?貴方の命を私たち、保証できないわ」

 

 ごんごん、とゲンコツでルフィさんの頭を麦わら帽子の上から叩くナミさんの言葉は真摯なものだった。純粋に私を心配してくれてるのが分かる、海賊団に入って余計な危険を招くより静かに逃げ回る方が安全だと思うわとのこと。そもそも、私の目的を考えてみよう、私の目的は「ユウリ」の体とポケモンたちを元の世界に返してあげることだ。「わたし」自体は割とどうでもいい。そしてもう一つ大きな目標としてサーナイトの件がある。

 

 サーナイトがこのスリラーバークにいたように、私のバッグの中で空っぽになっているボールの中身のポケモンたちがまだどこかにいるかもしれない、というかいる。確定だ、ボールがあってサーナイトという実例が出た時点でどこかに私の他の手持ちがいる。その場合元の世界に戻るより先にその子たちを全て回収しないといけないでしょう。でも当てがない!

 

 むむむ、と考え込む私をナミさんの心配そうな目が貫く。ちらり、とルフィさんを見る。漫画肉を両手で持って頬張る作業を繰り返してる彼……何となくだけど、びびっと来るものがある。要は恐らく持っている人じゃないか、という感じだ。たまたまサーナイトがいるスリラーバークに来て私と巡り合ったというのも運命のいたずらを感じる。あかいいとにあかいくさり、そしてしあわせたまごだ。つまり何が言いたいかというと、ついていくと私にも利がありそうということ。

 

 「一応なんですけど、私にも旅の目的があるんです。ルフィさんの目的はきっとひとつなぎの大秘宝でしょう?」

 

 「ああ、俺は海賊王になる男だ!」

 

 「私、はぐれちゃった仲間を探してるんです。ちょうどこの子たちみたいな子を。私の友達を、探さないといけないんです」

 

 「なんだよみずくせーなー!手伝ってやるよ!友達探し!見つければいいんだろ!?」

 

 あっけらかんと頬張った肉を飲み下したルフィさんは手伝ってくれる、と当たり前のように言う。うん……決まった!全く似てないけど、一瞬白ひげさんの姿がルフィさんに重なった。それだけの器の大きさを持っているってことなんだろうきっと。どうせこの世界で賞金首になってしまうのだとすれば、私一人で行動するリスクより、ポケモン以外の誰かと一緒にいたほうがいいと思う!決まりだ!うじうじしたって始まらないし!

 

「じゃあ、船に乗せてください。私にできることならなんだってお手伝いしますよ!」

 

「おう!んじゃあ俺はお前の友達を探すのを手伝う!よろしくな、ユウリ!」

 

「ま、こうなるわよね……わかったわ!アンタたちの面倒は私たちが見る!一緒に海賊やりましょ!」

 

 白ひげさんの船を降りてから経った二日足らずで私は新しい船に乗り込むことになった。ナミさん自身も反対はしていたものの、こうなることは分かってた様子でため息をついてから私に抱き着いて歓迎の意を示してくれる。仲間が増えたぞ~~!と大声で食堂中に響き渡る声で知らせたら、食堂中から祝福の声が返ってきた。ポケモンたちもそれに返すように鳴き声を上げ、私とカイリューはハイタッチ。他の人は反対意見ないのかな、と思ったけどゾロさんは頷いてくれてるし、チョッパーさんも嬉しそう。

 

 ロビンさんも微笑んでくれてるし、フランキーさんはなんかポーズ取って盛り上がってる。ウソップさんはグッとこちらに親指を立てて、サンジさんはニカッと笑って厨房に消えるとすぐにグラスに見事に飾り付けられた大きなパフェを持ってきた。お祝いさ、と私の前に置かれたソレをありがたく頂くことにする……結構大きいな。サーナイト、ミロカロス、シェアしよ。甘いもの大好きだもんね。

 

 その前に、と私はルフィさんに向かって手を差し出した。これからよろしくお願いします、ということだ。ルフィさんはそれを察してくれて物凄く力強く手を取ってくれた、滅茶苦茶痛い。残念ながら私はポケモンバトルで走り回ることには慣れていてもルフィさん達ほどぶっ飛んだ身体能力はないので対抗できるわけもなく、握り返してもふにゃふにゃだ。お前弱いなー、と言われるけど比べないでいただきたい。確かに私の所にもイシツブテを投げ合って遊ぶバカみたいな人たちが存在したらしいが私は普通の一般人なのだ、強いのはこの子たちのおかげだ。

 

ブルック誘いに行ってくる!とピアノを弾き続けるブルックさんの所に飛んでいったルフィさんに、私はふふっと笑ってしまう。一人旅になるかと思ったのだけれど、まさか海賊の仲間入りをするだなんて。多分だけど、私がこの世界に来たのは何か理由があるはずだ。例えばパルキアやアルセウスが原因なら……私に何かやらせたいのだろう。それも探さないと多分帰れないし。私が新世界に降ってきたなら、新世界でやることがあるんじゃないかと考えてたところだ。白ひげさんの考えとはちょっと違うけど、完全に勘というやつ。

 

「しかしまあ……この一味は手ェ焼くぞ?後悔すんなよ」

 

「ふふ、手のかかる子なんて山ほどいましたよ、ね?カイリュー?」

 

「りゅ、りゅう」

 

ゾロさんの言葉におかしくなった私はカイリューに目配せするとカイリューは気まずそうに目を逸らした。あー、ミニリュウ時代に私に巻き付いて気絶させたのまだ覚えてたんだー?「ユウリ」は気にしてなかったんだけどね。ポケモンなんて大なり小なり手のかかる子たちばっかりなんだから、そういうのはなれている。美しさを極限にまで上げないと進化しないとかね。ミロカロスを進化させようとシロナさんに話を聞いて躍起になってポフィン作りに精を出したりとか。

 

 ピアノの伴奏が途切れた。ブルックさんが顔を覆って泣いているのが見える。どうやら何か琴線に触れるような話をルフィさんがしたらしい。多分ブルックさんも一味に入るのだろう。あの人が入ると賑やかで楽しそうだよね、しかも音楽家だって。海の上の娯楽ってとっても大事らしい、白ひげさんの所はそれがお酒だったみたいだけれど。

 

 いつまでも続く大宴会の空気に当てられた私は、乾杯の音頭に合わせてまたコーラを高く掲げる。サーナイトがスプーンで差し出してくるパフェを食べて、私は笑顔で盛り上げに参加するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけで麦わらの一味、雑用として入らせていただきますユウリです。改めてポケモンともどもよろしくお願いします!」

 

「よろしく~~~!」

 

二日後、サウザンドサニー号の芝生の甲板の上にてポケモンたちと一緒に頭を下げる私に改めて麦わらの一味からの歓迎の言葉が注がれた。私、航海上で役に立つことだなんて料理くらいしかないんだけど、その料理はサンジさんがいれば全然余裕なわけで、なのでフレキシブルに何でもやる雑用として入れさせてもらった。カイリューで空を飛んで偵察、ミロカロスと一緒に海の下を見たり、ポケモンたちがいればやれることが多い。まあこの甲板にみっちりになってる皆を見ればあまり外には出してはあげられないのかもしれないね。

 

「もう少し宴していきゃいいのに」

 

「ダメだ!次魚人島なんだ!俺楽しみなんだ!面白れぇやついるんだろ!?」

 

「美しい人魚たちと俺は戯れるんだ!」

 

「魚人島ですか~。たしかそこ白ひげさんの縄張りですよね」

 

「え、ちょっと待ってユウリ、それホント?」

 

「え、はい」

 

モビー・ディック号に乗っていた時に、人魚さんが遊びに来たことがあってその人とお話しする機会があった。そのお話の中で、白ひげさんは魚人島を縄張りとすることで他の海賊たちから守っているという話らしく、私が最初に滞在した街と同じような感じで守られていたらしい。だから、魚人島の魚人や人魚さんたちからは尊敬の目で見られる海賊だったのだとか。あと、人魚さんは2本足で立っていた。私のイメージする下半身が魚のそれとは違うなーと首を傾げてたら、30歳超えたら人魚は足が分かれて地上で生活できるんだって!すごい!ポケモンの進化みたい!

 

「ナミゾウ、新世界行くつもりならこれ受け取って。私のママも海賊なの、特別よ?」

 

「紙?なにかしら」

 

「あ、ビブルカードですね。私も詳しく知らないですけど紙と紙が引きあう不思議な性質を持ってるらしいんです。引き合った方向に行けば大本の紙を持ってる人と出会えるということですね」

 

「へー、そんな便利な紙があるのね」

 

ローラさんというらしいナミさんと仲良しになった被害者の会の代表の人が懐から取り出したのはビブルカード、新世界にしかないと思ってたんだけどこっちにもあるのかな?ローラさんのお母さんも海賊と聞くに有名な海賊だったりするのだろうか?いまいち私はこの世界に疎いのでであった人のことしか海賊のことは分からないのだけど、ローラさんのお母さんならきっと良い人なのかもしれないね。

 

「あ、その紙俺も持ってるぞ!エースにもらったんだ!」

 

「エース?」

 

「ああ、俺の兄ちゃんだ!アラバスタで会えてなー!今何してんだろ!」

 

へー、ルフィさんのお兄さん!とっても想像できない!見るからに破天荒で自由なルフィさんの肉親かぁ……どんな感じなんだろう?そういえばエースって白ひげ海賊団の2番隊の隊長さんとおんなじ名前だね。んー、私は2番隊のエースさんにもルフィさんのエースさんにも会ったことはないからどんな人たちなのか気になるなあ。まあ、この世界の海は広いしどこかで会えるかもしれないね。

 

ほら、この紙だ!とルフィさんが麦わら帽子の中から取り出した紙は確かにビブルカード、なんだけど燃えない濡れないで売っているはずのビブルカードは焦げ付いて縮んでしまっていた。そういうこともあるのか、と私は首を傾げたんだけどローラさんは血相を変える。

 

「これは……!気の毒だけどあんたのお兄ちゃん!命が消えかかってるわよ!」

 

「ええ!?どういうことだ!?」

 

「ビブルカードはね、持ち主の生命力を現すの!だから、燃えない紙が燃えているとすれば今、この人は死にかかっている!」

 

 ローラさんの言葉に私たちは度肝を抜かれる。私も持っているビブルカードにそんな機能があったとは!というかそんな弱っているところが分かるものを軽々と私のようなチンチクリンに預けないで欲しい!白ひげさんや赤髪さんが弱っているところだなんて想像できないけど、私がどうにかされてビブルカード奪われたら問題になるジャンそんなの!

 

 ルフィさんはローラさんのその解説を聞いて難しい顔で黙り込んだ。お兄さんだとすれば助けに行きたくなるはず、そうするなら私も手伝おうじゃないか。だって、もう仲間なんだから。私はルフィさんがどうするかを黙って待つことにした。

 




 ガチ幼女を命の保証ができない海賊に巻き込まないようにするナミさんとどっちにしろ危ねえなら守ればいいじゃねえかのルフィさん。どっちも正しいのです。その幼女を守るポケモンたちがクソ強いということを除けば。なんだったら幼女自身も胆力お化けだったり 

 というわけで麦わらの一味入りです。正直最後までどうしようかなやんでましたけどやっぱり原作沿い書きたいので。すいません

 ではまた次回よろしくお願いします

 
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