カイリューといっしょ!   作:カイリューはいいぞ

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 途中から3人称で別視点挟まります


船旅と私と不穏な空気

「そいじゃな~~!」

 

「皆さん全滅にお気をつけて~~!」

 

「元気でいてくださいね~~」

 

「りゅ~~~!」

 

 出港するサニー号の上にて、私はスリラーバークに一旦残ってブルックさんが使ってた幽霊船をフランキーさんが補修したものを使って魔の三角地帯を抜けるというローラさんがたに先立ってスリラーバークを後にする麦わらの一味と同行、いや違うか仲間になったわけだし。一緒に出発することになった。流石に私のポケモンたちを全員出しているとサウザンドサニー号の甲板がぎっちぎちになってしまうので日替わりで一匹ずつ出しておくことにした。今日はカイリューということで!

 

 今更な話だけど、私のポケモンたちってみんな大きいんだよね。一番小さくて人間サイズ、メタグロスとか滅茶苦茶大きいし重い。タンカーみたいな大きさだったモビー・ディック号ならともかく、一般的な船の大きさなサウザンドサニー号の上だとちょっとね。出港し、スリラーバークが見えなくなってから手を振るのをやめた私たちは思い思いに過ごし始める。私はカイリューに抱えられてゆらゆらと船の揺れを堪能することにした。「ユウリ」はどうやら船酔いなどとは無縁らしい。そういえば、とナミさんが思いだしたかのように切り出した。

 

「ルフィ、本当にいいの?お兄さんのこと」

 

「ああ、いいんだ。エースは弱ってる所見られるんのが大っ嫌いだかんな!本当にピンチだったとしてもいちいち俺に心配されたくねぇだろうし」

 

「ビブルカードって弱ってる人が元気になれば元の大きさに戻るそうですし、今弱ってても元気になるかもしれませんもんね」

 

「そうだ!もともと俺たち海賊で、海であったら敵同士なんだし、会う時はエースが元気になったらだな!多分、そのためにこの紙くれたんだ、きっと!」

 

寝転んだカイリューのお腹に埋もれるように座っていた私がそういうと、ルフィさんはにししと笑いながらエースに助けは必要ない、と言い切った。チョッパーさんがやってきて俺もいいか!?と尋ねてくるのでカイリューが片手でチョッパーさんを摘まみ上げてぽんっとお腹に置いた。私の横で埋もれるチョッパーさんは楽しそう。そういえば、とルフィさんは私を指さす。

 

「お前何なんだ?」

 

「え?今さらですか?」

 

「だってよー、お前がいいやつなの俺ら知ってっけど、お前がどういうやつなのか聞いてねーの思いだした!」

 

「ああ、なるほど。そうですねぇ~、何から話したものか……」

 

ルフィさんの指摘に今さらそれか、とゾロさんがため息をついた。いやまあ私の事全然話してないのは事実だしどこから話したらいいものか……とりあえず、別世界から来たということは伏せて経歴を話すことにしようかな。私のいたところではこの子たちのことを纏めてポケモンと呼んでいて、ポケモン同士を戦わせるポケモンバトルが普及していたこと、一応私はチャンピオンを倒して殿堂入りを果たした人間だということくらいか。ポケモンか何かに飛ばされて外海に旅に出ることになったことを話すとルフィさんの目が輝いた。

 

「面白れぇ~~!ってことはお前1番ってことか!?」

 

「ん~~、まあそうなるん、ですかね?チャンピオンの代替わりは断ったので殿堂入りという形になりましたけど」

 

「その年で当たり前のように旅ができるってどんな島なのよ……」

 

「治安自体はこの海の100倍ましですよ?たまに悪の組織とか出ますけど」

 

 主にロケット団とかアクア団とかマグマ団とかギンガ団とか。あれ?一つの地方に当然のように悪の組織あるじゃん、海賊が跋扈してるこっちよりましだけど。あとよく天変地異が起こる、主にポケモンのせいで。何だ魔境か私の世界は。まともなのはどこだ?まともとはいったい……うごごご……。

 

「でも俺、お前のポケモンたちの事好きだ。何言ってるのか詳しくわかんないけど、皆優しいし。俺のこと受け入れてくれるし」

 

「ポケモンたちは千差万別なの。見た目で差別なんかしてられないって。チョッパーさんのこと新種のポケモンって思ってるかもしれないけどね~」

 

「そうなのか!?」

 

「仲間意識はあるんじゃないかな?そうじゃなかったらカイリューがここまで心を許さないと思う。たとえナミさんでもこういう風にはしてくれないよ」

 

「え、なんで!?」

 

「ドラゴンタイプのポケモンは気位やプライドが高いんですよ。ウチのカイリューは私が育てたので人に友好的ですけど、一線はあるんです。ある程度話が通じるチョッパーさんは仲間認定されたんでしょうねえ」

 

うちのカイリューは人に友好的だけど、それも握手止まりでハグやお腹に寝転ぶみたいな無防備になるようなことは早々させてくれない。チョッパーさんは何となく大丈夫だってカイリューが判断しているみたいだけど、例えばルフィさんが俺も~~!ときたら巴投げでもされて海に放り捨てられるかもしれない。チョッパーさんは動物と話せるみたいだけど、ポケモンたちとは外国語で話してるみたいにニュアンスでしか通じないみたい。それでも心を許されたあたり人徳?獣徳?があるのかな。

 

「いいな~~!俺もポケモンバトルやってみて~~~!」

 

「ルフィさんがやるとすると自分もバトルコートに乱入する未来が見えますね」

 

「絶対やるな、それ」

 

「ヨホホホホ!目に浮かびますね」

 

 私含めた一味からの総突っ込みを受けたルフィさんは唇を尖らせてなんだよ~~と不満そう。だけどちょっと触れ合っただけで分かるほどこの人自由だ。ポケモンバトルのルールをまどろっこしいとかそんな感じで無視してきそう。悪の組織か!海賊だったそうだった!

 

 悪の組織の人たちって一定程度バトルのルール守るんだけど切羽詰まると当然のようにトレーナー、つまり私にダイレクトアタックを仕掛けてくる人もいるんだよねえ。ゲームのバトルと違って私たちがやるバトルってポケモンたちに合わせて動きまくったり立ち位置を変えたり走り回ったりするものだから流れ弾とかもあるんだけどやろうと思えばトレーナー狙いもできちゃうのよ。というか悪の組織相手だと高確率でトレーナー狙いが降ってくる。何度ゴルバットに吸血されてヘルガーのかえんほうしゃを躱し、ブニャットのつじぎりを避けたことか。

 

 幸いなことにこれまで直撃は受けてないみたいなんだけど、受けてたら私普通に死んでたよね。改めて「ユウリ」とポケモンたちに感謝しとかないと。バッグをごそごそと漁ってオレンの実を取り出してカイリューの口にぽいーと入れるとナミさんがそれに興味を示した。あとコックのサンジさんも。

 

「なに、それ?」

 

「木の実です。私のいたところだと栽培が盛んで、いろんな効果があるんですよ。体力が回復したり、解毒作用があったり、力がみなぎったりとか。もちろん人間も食べられます。食べてみますか?」

 

「気になるな、いいのか?」

 

「薬として使えそうだし俺も気になるぞ!」

 

 いいですよーと私はバッグをごそごそ、えーと普通に食べるわけだから辛いのとか渋いのとか苦いのは除いて……オレンの実、オボンの実、モモンの実、ヒメリの実にラムの実、カイスの実をずらーっと出していく。私のバッグからずるっとカイスの実が出てきたときは一瞬どよめいたけど。カイスの実は見た目スイカみたいだからね。

 

「あんたのバッグいったいどうなってんのよ」

 

「何でも入ってますよ?」

 

「じゃあ肉!」

 

「はい、どうぞ」

 

「入ってた!?」

 

ふふふ、カレーで使うブルストとかベーコンとかも入っているのです。にょきっと出てきたブルストをカイリューの炎で炙ってもらってルフィさんに渡すとまるで手品のように太いブルストが消えてしまった。美味しいならそれでいいのだけれど。木の実はこれどうしたもんか、って感じだったけどそのまま齧ればいいですよーとオボンに私がかじりつくと皆も真似してそれぞれ木の実をかじった。

 

「けっこうイケるな……ユウリちゃんまだ残ってるならいくつかもらえないか?フルーツポンチにしたら面白そうだ」

 

「あ、このピンク色の甘くて美味しい!」

 

「ホントだー!俺これ好きだ!」

 

「酒のつまみになるやつねえか?」

 

「渋いのとか辛いのとかもありますけど……単体でお酒のつまみになるものは思いつきませんね……」

 

「あーそれよりも!折角仲間が二人も増えたんだし!ここでもう一回改めて乾杯といこうぜ!な、サンジ!」

 

「しょうがねえな、待ってろよ」

 

 ウソップさんの提案にサンジさんはニヤッと笑ってサニー号のキッチンに入っていき、すぐに出てくる。樽でできたジョッキを人数分運んできた。そしてその中にはお酒やコーラなどがなみなみと注がれている。私の前にドカン、と置かれたのはフルーティーな匂いのする飲み物……もしかしてこれ木の実ジュースでは!?サンジさんはツボツボだったのか……ちがうか。それはともかく、新たな仲間に乾杯!と音頭を取ったウソップさんの合図で、私たちは思いっきり杯をぶつけるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バカな……!バーソロミュー・くま……今の貴様をそこまで追い詰めるほどの力が麦わらのルフィにあったというのか!?」

 

「ぶわっはっは!流石はわしの孫!くま!お前耄碌したか!」

 

「黙っとれガープ!」

 

 『聖地』マリージョアの海軍駐屯地にて怒号が響き渡った。その声の主はカモメを頭に乗せた男、海軍本部元帥「仏のセンゴク」と大笑いする「英雄ガープ」であった。彼らの目の前に座る未だに改造された内部の機械の破損が激しいバーソロミュー・くまの政府特命の失敗を受けての言葉であった。特命任務についての報告ということで現れたくまをみたセンゴクの驚愕の顔が、バーソロミュー・くまの悪名と実力を如実に表しており、そのくまを相手にしてここまで彼を傷つけることができるのかという驚愕の声でもあった。

 

「少々違う。麦わらの一味の抹殺については可能な範囲『だった』。おれをここまでボロボロにしたのは一人の少女だ」

 

「少女……だと?」

 

「賞金首のリストにない少女だ。年の頃は10を超えてないだろう。異様に強い生物をいくつも連れていた。おれ相手に一歩も引かないどころか……一撃でここまでやられた」

 

「なんと!お前を一撃でここまでやるのか!ベガパンクも形無しじゃな!」

 

 お前はいい加減黙っとれとガープを怒鳴りつけたセンゴクは目の前のくまを見る。巨体のあちらこちらに搭載された機械はひび割れ、そこから電気やオイルが漏れだした跡が残っていた。もう既にそれらは止まっているものの、くま本人もそれなりに傷ついている様子であった。あのベガパンクが改造した改造人間をここまで滅茶苦茶にする存在が偉大なる航路の前半にいることにセンゴクは頭が痛くなるような感覚を覚えた。

 

「名はユウリ、状況からして海賊ではない。ただ、その場にいただけの人間だろう。麦わらの一味と行動を共にしていたようだが、ほぼほぼ初対面のようだった」

 

「こんな小さな女の子が……海賊ではないと言ったな?」

 

「ああ。政府の特命……『スリラーバークにいる人物の抹殺』を遂行しようとした結果戦うことになった。理由は生き残るため、だ。賞金がかかると言えば理不尽と怒り、死にたくないから抵抗すると俺に真正面から言ってのける。ある意味で小市民的だ」

 

「この子……ではないな。隣の竜か。見たことのない生物だ。ベガパンクの失敗作か?」

 

 くまが差し出した現像された写真に写る小さな少女と竜を見てセンゴクは唸った。どう見ても戦える体をしているようには見えない。筋肉もなければ立ち方も堂に入ってはいるものの一般人のそれ。だが……一歩前に立つ竜だけは写真越しでも異様なほど強く見えた。少女を見つめるその目には優しさと強さが入り混じり、今にも写真から飛び出てきそうなほどの迫力を持っていた。

 

「攻撃でデータが破損したが連れていた生き物はその竜だけではない。剣を咥えた狼、シャンデリアのような何か、海蛇のような竜、緑色のヒトガタ、鉄の足が4本ついたクモ、そして……電撃を放つ2足歩行のヤギ……どの生物も驚くほどの強さを持っていた」

 

「お前がそこまで言い切るほどか」

 

「電撃の一撃だけで機械が全て壊れた。当然、他の生物も同じようなことができると考えるべきだ。少なくとも、俺に打撃でダメージを入れることはできる」

 

 くまの言葉にセンゴクは吹き抜けるように深いため息をついて元帥のスツールに倒れ込むように座った。これで麦わらのルフィは七武海を2人葬ったことになる。それでさえも頭が痛いのに今度は未発見の実力者……それもバーソロミュー・くまをほとんど一方的にやり込める少女の出現ときて胃がキリキリと痛んできたところでもあった。

 

「まーそー気にするなセンゴク。ルフィはモリアを倒したくらいのこと吹聴せんわい。それよりもわしゃこっちの子供の方が気になるのう」

 

「高額にすることを勧める」

 

「それを決めるのは政府だ、参考にはさせてもらおう」

 

 そうか、と言ってバーソロミュー・くまはドアを開けて少し歩きづらそうに去っていった。この後ベガパンクの所まで行き体を修理するのだろう。無言でそれを見送ったセンゴクは現像された写真に目を落とす。あどけない顔を覚悟で染め上げた写真の少女の瞳がセンゴクを見つめていた。いつの世もままならないものだ、とセンゴクは暢気に可愛いのうと煎餅をかじるガープに倣って、自分もおかきを口に放り込むのだった。




 木の実って不思議作物ですよねえ。作者もいつか食べてみたいものです。具体的にはモモンの実食べてみたい。

 ユウリちゃん、賞金首確定。しょうがないね、やらかしまくってるので。ではまた次回にお会いしましょう。感想評価よろしくお願いします。
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