カイリューといっしょ! 作:カイリューはいいぞ
「ぶいぶいぶ~~いっ!」
「りゅ~~~」
「ん、ごめんね。もうちょっとだから……」
「イヤしかし、本物のドラゴンとはな。初めて見たぜ」
レッド・フォース号の船上にて私は赤髪のシャンクスさんの協力を得て私が弾き飛ばされた日の新聞から今日の新聞までを借りて情報の収集に努めていた。まず何が起こったのか整理をしよう。私たち麦わらの一味がシャボンディ諸島からバーソロミュー・くまによってはじき出されたあの日からだ。まずあの日、海軍は一つの声明を発表した。それが、火拳のエースの公開処刑だ。
私たちがくまによって弾き出されている最中は世間はそれ一色に染まって、それを知った白ひげ海賊団が処刑の日取りに合わせて移動を開始する。秘密裏に処刑をするものじゃないか、と思ったんだけどベックマンさんが言うには公開処刑その物に意味があるのだそうだ。惨たらしく死ぬぞ、ということを世間に知らしめて、海賊の発生を抑制する狙いがあるらしい。はーなるほど、よく考えられてるね。
それで、もうすでに白ひげ海賊団は恐らく海の下、赤髪海賊団もそれを追いかけていく予定なのだそうだ。処刑の日取りまでそう時間がないけど、先に殺してしまえば白ひげ海賊団がどう暴れるか分からないので、おそらくセンゴクならば白ひげ海賊団を迎え撃ちながら処刑を執行するだろうとシャンクスさんは話す。
センゴク、という名前は黄猿が口にしていたのを覚えている。情報不足の私に捕捉を入れてくれるシャンクスさんが言うには海軍元帥……つまり海軍で一番偉い人のわけだ。エースを餌に白ひげを釣るつもりだろうな、というあたり海軍は絶対の自信を持っているみたい。うーん、それはこまった……。
そして、シャンクスさんについてきたらしいイーブイ、「ユウリ」はジョウト出身なんだけど、初めてのポケモンはミニリュウだった。そして、ジョウトの旅を終えてカントーに突入するときにもらったのがこのイーブイ、一匹なのに秘伝技じみたことはできるし、特別な技は使えるし……そして、かわらずの石は持たせてないのに進化しない。あと何故かボールに入りたがらない。必要なら入ってくれるんだけど、基本出ている。ミニリュウがジト目になるわけだ、かわいい。
かまえ、と私のほっぺにぐりぐりと自分のほっぺを擦り付けるイーブイをカイリューが摘まみ上げて制止する。不満そうに鳴くイーブイをカイリューが軽く諫めてくれる。天真爛漫で元気なイーブイとおっとりとしていて落ち着いているカイリューは、仲がいい。どっちが私の相棒か、でたまに喧嘩になるんだけど、それもすぐに終わる。どっちが相棒とかはないしね、初めてのパートナーならカイリューになっちゃうんだけど。
「白ひげが妙に情報を漏らさねぇわけだ。天竜人は当然だが、百獣も、ついでにビッグマムも欲しがるだろう。覇気使いを物ともしない動物なんてな」
「育てて増やせばお手軽戦力、っていうのなら話は変わりますよ。この子たち、私が鍛え上げてますから」
「お前が?」
「ええ、まあ。私がいたところではこの子たちを戦わせるポケモンバトルっていうのが競技化してるんです。勝つためには当然鍛えないと話になりません」
ポケモンたちは確かに素の状態でも一般人では敵わない子の方が多い。一部のベビーポケモンとかだと話は変わるけど、最終的な進化を遂げているポケモンは基本的に人間がどうこうできるものじゃないのがデフォだ。腕の一振りだけでカイリューなら人はお陀仏だし、軽く放電しただけで感電死するデンリュウ、ちょっとサイコキネシスを使えば人を潰せちゃうサーナイトなどなど、メタグロス、シャンデラなんかは言わずもがな。
そんな子たちをさらに極限まで鍛え上げてバトルに打ち込ませてようやく、この世界での覇気使いと対抗できるものなんだ。そもそもポケモンは卵生で交配相手も私の子たち以外はいないし、仮に交配できたりしてもその子は私が責任をもって育てる。一朝一夕にただ戦わせるだけじゃたどり着けない場所にいるのが私の手持ち、「ユウリ」はトレーナーとしては間違いなく天才、至上の域にいる。
「それについちゃ聞いたことないが、道理だな。ま、これが強いって言われるのが一番困るけどなぁ」
「いやロックスター、そいつ滅茶苦茶強いぞ。お前が勝てるとは思えないくらい」
「ウソですよね大頭!?そこのドラゴンなら納得できないでもないですけどこれに負けるとは俺思えませんよ!?」
「ぶいっ!」
「まあ、この子は私のいたところでも特別に強いイーブイですから……」
イーブイの首根っこを掴んでまじまじと顔を覗くロックスターさんに赤髪さんがそいつお前より強いぞと言うと愕然としたロックスターさんはあんぐりと口を開ける。ロックスターさんがどれくらい強いか分からないのだけれど、イーブイは普通に私のベストパーティーの中でもスタメンを張れる程度には強いよ。「ユウリ」は重量級の扱いが得意なんだけど、数少ないスピード型の戦いができるのがそのイーブイなんです。
どうだ!と摘ままれた状態で胸を張ってドヤ顔を決めるイーブイはくるんっと尻尾を振って宙返りをし、ロックスターさんの手の甲に着地して腕を駆け上り肩に飛び乗るとそのまま体を駆け下りて私の方に走ってくる。遠慮なく私に抱き着いてくるイーブイをわしゃわしゃとしていると、シャンクスさんが何となく寂し気な顔をしている気がした。
「そんなに気に入ったんですか?イーブイ」
「あー、まあな。毛並みはいいし手触りも文句ない。何より頭がいい、本気でお前が来なかったら連れて行っただろうな」
「まあ、この子は人懐っこいですし、よく人を見てます。本気で危なかったりしたら顔すら見せずに逃げますよ、海の上歩いて」
「海の上を歩く?」
「ヒジュツって言われる技の中に海の上を移動するものがあるんです。便利ですよー」
私はサーフボードの上に乗ってそれをイーブイが引くっていう形になるんだけど、水タイプでもないのに波乗りじみた技を覚える時点でこのイーブイはおかしいのだ。風船で空飛んでみたりとか、ヒジュツって何でもありなんだなあ……って目が遠くなったこともある。イーブイは私と目が合うと、グッと鼻を近づけて私の鼻にくっつけてから離れる。あ~~~~!かわいい~~~!
「そういえば、魚人島を経由するってことはコーティングをするんですよね?シャボンディ諸島のシャボンはシャボンディ諸島の中じゃないと効力を保てないと聞きましたが」
「コーティング作業はうちの船大工ができるからな、ヤルキマン・マングローブの影響範囲にある潜航ポイントを見つけてそのままコーティングをして潜る。というかもうすぐだ、すぐにそこからコーティング作業に入る」
「3日、ですか」
「いや?もう少し早いぞ。もう既にウチの船大工がコーティング作業を進めてる。停泊したら一気に進めるからな」
そうなんだ、すごいんだな赤髪海賊団の船大工、レイリーさんは本職なのに3日……準備に時間がかかるとかなのかな?赤髪海賊団はその準備を移動中に進めてしまって停泊してから一気にやるとかそんな感じなんだろう、と私は一人で納得するのだった。そしてカイリューの構え攻撃を受けて押しつぶされる。ウチの手持ちは可愛いなあ……。
「敵襲~~~!!!」
「いぶっ!?」
コーティング作業開始から1日経ち、雑魚寝部屋で一般団員の皆さんと仲良く寝てた私は譲られたハンモックの上で大きく響く敵襲の声に慌てて飛び起きた。結局、モンスターボールの光線を躱し続けたイーブイにお腹の上を陣取られて寝ていたが、私が起きたことによりイーブイは落下し、床に見事に着地した。不満そうなジト目で私に向かって鳴くイーブイをなだめてから武器を取って出ていく船員さんたちに交じって甲板に向かった。
甲板の上では既にシャンクスさんやベックマンさん、ヤソップさんをはじめとした幹部の人たちが勢ぞろいしていて、目の前に3つある船を睨みつけていた。レッド・フォース号のような特徴的な船首を持たない普通のガレオン船で、同じく甲板の上では敵海賊団の船員がこっちを睨みつけている。その船員たちは多くが奇妙な笑い声をあげていたり、妙な形で動物のようになっていた。
「百獣海賊団か……率いてるのはうるティだな」
「あれが……なんだか短期間で四皇のうち3つの海賊団と関わってますね私」
「面白い旅してるな、一段落したら話を聞かせてくれよ」
一触即発の空気の中ヤソップさんがリーダーが乗っているらしい真ん中をの船を見てそう言う、うるティと呼ばれた人が誰なのか見てみると、青の髪にピンクのラインが入ったド派手な髪形に、側頭部から角が生えてて、それでいて口元をマスクで隠しているプロポーションのいい女性だった。ついでに言うと身長が高くない、私の常識内での高さ。なんだか安心感。ぴょいっと私の肩に飛び乗ったイーブイがどれ~?と目をすぼめてみようとしている。
「赤髪ィ!てめえらに用はない!沈められたくなかったら道あけろォ!」
「悪いがそう問題は単純じゃなくてな。白ひげが戻ってきたところを叩くつもりだろうが……それじゃ戦力が足りないな。ジャックとキングがいないとお話にもならんぞ。独断ってところか」
「うるせェ!どかねぇならここでシバキ殺す!」
「……沸点低すぎません?」
「百獣はだいたいあんなのの集まりだ」
シャンクスさんの挑発に一瞬で頭が沸騰するレベルまで沸いたらしい彼女が開戦の狼煙を上げた。戦闘行動の躊躇の無さに私が軽くドン引きしているが、よく考えれば目と目が合ったらバトルしていた私も人のこと言えないのかもしれなくて若干凹んだ。しかし、何なんだあのへんな人の集まりは。笑い声しかしないし、動物系の悪魔の実かもしれないけどなんだかおかしいし。うーん?
「ユウリ、1隻任せる」
「はい……はいっ!?」
「ベック、俺はうるティを相手する。左のは沈めるな。ユウリは右な、心配するな、お前ならできる」
「わかった」
「……やってみます」
「ギフターズ!プレジャーズ!ウェイターズ!戦闘用意!皆殺しにしろ!」
素っ頓狂な声をあげた私の頭を潰すように撫でてからシャンクスさんは器用に片腕だけで大きなサーベルを抜いてから、一足飛びに向かいの船に向かってジャンプした。何で馴染みのある赤髪海賊団の人じゃなくて私にやるように頼んだんだろう?まあ、私もタダで船に乗せてもらうわけには行かないから、仕事が出来て嬉しい、と言えばそうなのかな?
「カイリュー!イーブイ!いくよ!」
「りゅっ!」
「ぶいっ!」
「ワハハハ!こんなガキを送り出すとは赤髪、舐めてくれるじゃねえか!ガハハハ!」
「そんなに面白いのかなあ?カイリュー!でんじは!イーブイ!びりびりエレキ!」
うーん、気味が悪い、先にメイン船に飛び乗ったシャンクスさんとうるティがすさまじい音を立ててぶつかり合う。うるティは能力者だったらしく、ズガイトス、あるいはラムパルドと人間を混ぜたかのような獣人状態で黒く硬化した頭をシャンクスさんに叩き付ける。シャンクスさんはサーベルの柄を硬化させてそれを受けた。隣の船にもかかわらずその衝撃波が私たちを叩く、うるティもとんでもない実力者みたいだ。
何が面白いのか笑い続ける人たちが笑顔のままカトラスやら銃やらをこちらに向けてくるのでイーブイとカイリューにでんきわざを指示する。駆け抜けたでんじはとびりびりエレキが船上にいる百獣海賊団のメンバーを麻痺させて行動不能にしていく。ちょこまかと人の間を駆け抜けるイーブイが定期的に電気を発することで遠くにいる人も感電させて倒していった。逆にカイリューは近くにくる人を相手にしていき、あっという間に痺れて動けない人たちが量産される。
「ウル頭銃!!」
「りゅりゅっ!?」
「っぶな!?」
ズガドン!と一撃で私の立っている船が半壊した。今にも真っ二つに折れそうな船、その状態にしたのは頭突きの一発だけでそんな大破壊を起こしたうるティだ。あれ?赤髪さんは……?と向こうを見ると、体の色んなところから動物を生やした人たちに足止めされていた。こっちが戦争の引き金を引くわけには行かないので殺すというわけにもいかず、四苦八苦してるみたい。その隙にうるティがこっちに飛んできたのか。
「へぇ……赤髪と一緒に乗り込んできたかと思えば、子供……?まあ、何でもいい!お前は邪魔だけど、そこの竜と犬は奪うでありんす!」
「やだよ、あげない!」
甲板をめり込ませるうるティの足踏み、私はそれに好戦的な笑みを返して、左手の袖をめくった。真っ白の輝くZリングが、光を発する。
vs百獣海賊団偵察部隊です。うるティさん可愛いですね。ラムパルドだけど。というわけで次回をお楽しみください。
それでは感想評価よろしくお願いします。