カイリューといっしょ! 作:カイリューはいいぞ
「白ひげさんっ……!」
「りゅううう!」
「ユウリー!行くな!行くんじゃねえ!」
反転したカイリュ―と一緒に私は亀裂を越えた。白ひげ海賊団の誰かが私を呼び戻そうとする声がうすぼんやりと聞こえるような気がした。ああ、助けに来たなんて言って、結局ほっぽりぱなしだ、ごめんねルフィさん。でも、私には恩があるの。返しきれないほど大きな恩が白ひげさんにはある。たとえもう、助からないとしても、助けられないとしても……娘と呼んでくれた人を一人で死なせたりはしない。
「なぜ、来た……馬鹿娘が……」
「ゼハ、ゼハハハ!知ってるぞお前!くまを潰したやつだろ!?えぇ!?てめえの出る幕じゃねえ、ションベン臭えチビ……死にたくなきゃそこどけ」
「カイリュー、はかいこうせん」
「ぐおおおおおっ!?」
笑う黒ひげに対して、私が選んだのは攻撃だった。カイリューが放ったはかいこうせんは、不自然に歪んで誘導されるように黒ひげに突き刺さる、おかしいな、全員を薙ぎ払うように発射したはずなのに。まあ、一番ムカつく奴に当たったからそれでいいんだけど。見上げた白ひげさんはもう既に息も絶え絶えで、それでも仁王立ちのままでいた。彼は前に立つ私に膝をついてトン、と軽くゲンコツを落としてから……いつかのように大きな掌で撫でてくれた。バキュン、と空気を読まない銃声と共に打ち出された弾丸が私の前でバラバラに切り裂かれておちる。
「ウルルルル……!」
「何だこの狼……!?」
「ザシアン、エアスラッシュ」
いつの間にかボールから外に出ていたザシアンが、口にくわえた剣から飛ぶ斬撃を無数に発射する。数えるのも億劫なほどの密度で迫る斬撃は黒ひげの仲間たちを纏めて吹き飛ばした。けんのおうが姿を消すとこちらに攻撃を加えようとしていた海軍の人たちから血しぶきが上がって武器を取り落とす。白ひげさんはそこで大きく息を吸い込んだ。
「
「……!貴様ァ!!!何ということを!」
「……許せ、息子たちよ。先に逝く。ユウリ……お前が自分の居場所に戻れることを、願ってるぜ」
「……はいっ……お父さん……!」
白ひげさんの断定は、少なからず戦場、海軍に致命的な動揺をもたらした。最後に、最愛の息子たちと私に言葉を残した白ひげさんは満足気に目を閉じる。私はそれを、目を逸らさずに心に焼き付けた。私の手持ちでは、どう頑張っても救えない。自らの無力の証明、けして目を逸らしてはならないものだ。伝説の大海賊、白ひげの死を私は無力感を噛み締めながら飲み下した。
「ゼハハハ!立ったまま死んでやがる……!尊敬するぜオヤジ、だが……!お前ら、始めるぞ!」
「おい」
「っ!?こいつは……!?」
「この人は、死んだ。お前らが殺した。海軍、黒ひげ……!恨まない、だけど……!許さない!」
スーッと自分が冷めて行くのを感じる。きっと、仇討は望まれてない、そんな人じゃない。家族の中で酒を呑み、笑っていたいというのが白ひげさんだ。私のこれは、八つ当たり。能力で生み出したらしい黒い布を携えた黒ひげを切り刻んでこちらに戻ってくるザシアンが低く唸る。私の怒りに呼応するかのように、空が異常を示し始めた。
土砂降り、カンカン照り、そして暴風を伴う嵐……それらが融合し合わさった異常気象のオンパレードだ。それで、察した。よくよく隠れているみたいだけど、私が呼ぶのを……待ってたんだね、貴方たち。気づくのが遅れてごめんなさい、貴方たちに頼ってしまう弱い私を許して。だから今だけ……力の足りない私に力を貸してほしい。私は指を口に突っ込み、鋭く、高く、甲高い指笛を鳴らした。その瞬間に凄まじいプレッシャーが、海から、地面から、空から戦場を射抜いた。
「なんだ、なんだこれはぁっ!?」
「軍艦が転覆するぞ!」
「あらら……随分と恐ろしい子供がいたもんだ」
氷でできた雉が、幾羽も作られて私に向かって飛んでくる。けど、着弾前に私の前の地面が盛り上がり赤熱するマグマの壁となってそれを受け止めた。赤犬か!?という声が聞こえるけど、違う。同時に異常気象がピークを迎えてその主たちが姿を現す。私の背後の地面が割れて、潜っていた怪獣のような赤いポケモンが姿を現す。海からは大きなヒレを持つ青い鯨のようなポケモンが、そして空からは緑色の竜ではなく龍の形をしたポケモンが降りてくる。今まで体験してきた覇王色に似たプレッシャーが戦場を無差別に駆け抜け、気絶者を増やしていく。
「ゼェ……なんだそれは……?」
「赤いのがグラードン、青いのがカイオーガ、緑色のがレックウザっていうの。ほら、避けないと……死んじゃうよ?」
「化け物だああああっ!?」
3匹の伝説のポケモンが現れてパニックを起こした海軍が逃げ惑う、態勢を立て直した黒ひげ海賊団がじりじりとこちらに近寄ってくる。どうやら、どうしても白ひげさんの体に用があるみたいだ。させるわけがないけど。どうして、ホウエンの伝説のポケモンが3匹ともここに居るのかは、分からない。けど、3匹とも私を知っている、だからここに現れたんだ。割れた島がグラードンの力の余波で大地が繋がっていく、凍り付いていた海は波を取り戻した。3匹が私の傍にやってくる。指示をくれと、何をすればいいのかと。
「あいつら、ぶっ飛ばして!」
「まずい、全員逃げろ!死ぬぞ!」
私が黒ひげ海賊団を指さしてそういうと、3匹が吠える。危機管理能力は高いらしい黒ひげが逃げるように叫ぶ、その瞬間にグラードンのふんかが炸裂し、地面がマグマを吹き出して爆発した。蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う海軍と必死に船に乗り込もうとする黒ひげ海賊団をカイオーガのしおふきが追撃していく。白ひげさんの体の安全が保てればいいので、威力を抑えてもらった。だから……逃げる隙を与えてしまったらしい。黒ひげ海賊団を乗せた戦艦が離れていく。レックウザの追撃は、止めた。もう、これ以上戦う必要はないだろう。
「……まだやりますか?引かせてもらえるならば、もう何もしません」
「寝ぼけたことぬかしおるなや……クソガキ。きさん、その動物に守られて自分が強くなったと勘違いしちょらんか?」
「お~~、サカズキ。火拳と麦わらは?」
「逃げられたわ。あの七武海の裏切りもののおかげでな。これ以上正義のメンツを潰されてたまるか」
「悪いな、嬢ちゃん。これ以上何かさせるわけには行かないんだわ」
「3大将だ!」
「まだ俺たちもいることを忘れてもらっちゃ困るよい!」
どうやら……まだ終わるつもりはないらしい。黄猿に赤犬、そして氷を操る青キジ、海軍本部の最高戦力である3人の大将がそろって私の前に立ったことで海軍が士気を取り戻す。だけど、島がグラードンのおかげでつながったので、白ひげ海賊団の面々も駆けつけてきた。私はマルコさんに頭を下げる。
「お願いです、マルコさん。白ひげさんの、お父さんの体を……海へ。私が時間を稼ぎます」
「ユウリ、だがな」
「出来るから話しているんです。今は抑えてますけど……この子たちが本気で暴れたら……大陸だって沈んじゃいます。お父さんがちゃんと休めるようになるまで、それまでは、私たちが一歩も通しません!」
「……お前ら、末っ子にいいかっこばっかさせるなよ!オヤジを守れ!海に返すんだよい!」
「ありがとう……!行くよ、海軍!」
私はネックレスを服の中から取り出す。キーストーンがあしらわれたネックレスと、バッグの中から取り出したあいいろのたま、べにいろのたまを両手に持つ。それぞれが光を放ち、3匹の姿を変えていく。レックウザは新たなる力を手に入れたメガシンカを、グラードンとカイオーガは古の力を取り戻すゲンシカイキを。力のレベルがさらに高みに上った3匹の姿に、赤犬の頬を汗が伝った。
マルコさんの指示で、白ひげさんの体を囲んで白ひげ海賊団のメンバーが涙ながらに運搬していく。追撃しようとする海軍をひと睨みで黙らせた3匹、そして私の両脇に立つカイリューとザシアン。開幕の号砲は巨大な斬撃だった。ザシアンがすぐさま前に出てふとうのけんで受け止める。それを放ったのは、巨大な十字架のような漆黒の剣を持った鋭い目の男だった。
「獣ながらに今の一撃を容易く受け止めるか……!」
「ザシアン、お願いできる?」
「ウルオォン!」
私の指示でザシアンは姿を消す、凄まじいスピードで襲い掛かったザシアンと男の剣戟が繰り広げられる。私は、そのままゲンシグラードンに指示を出す。私が動いたことで海軍が緊張を高めたのが広がった意識の中で伝わってくる。
「ゲンシグラードン、だんがいのつるぎ」
文字に表せない咆哮をあげたゲンシグラードンが足踏みをする、すると、戦場のそこかしこから建物レベルの大きさを持つ赤熱した岩でできた剣がすさまじい速度で飛び出してありとあらゆるものを串刺しにしていく。軍艦も、要塞も、パシフィスタも……鎧袖一触だった。逃走ルートは避けていたので大丈夫。一度グラードンの力で崩壊を免れたマリンフォードは、再び半壊……いや、全壊一歩手前まで来てしまった。たったの一撃で。
私は左手で3人の大将を指し示す。凪いだ目をしたゲンシカイオーガが静かに攻撃を開始する。こんげんのはどう、水の力を凝縮した光線が海軍に向かって大量に拡散して発射された。海の力その物であるそれは、悪魔の実の力を易々と無効化して海軍の能力者たちを吹き飛ばしていく。赤犬と青キジが出したマグマと氷の壁を貫通してなおも被害を緩めない。マリンフォードを囲んでいた鋼鉄の城壁が頼りない障子のように引き裂かれていく。
「ここはマリンフォード……!悪党どもの横行を恐れる世界中の人々を守る最後の砦だ!落とさせてなるものかぁ!」
「参ったのう……!!加減なんかできんわい!」
「センゴク元帥!ガープ中将!」
大仏のように光り輝く人の衝撃波とすさまじい強さのゲンコツが同時にグラードンとカイオーガにぶち当たる。落とす気なんてさらさらないんだけど、この3匹に島をどうにかしないように戦えっていうのは摘まんだシャボン玉を割らないように振り回せって言っているようなものだから。密集地に当てないように何とかコントロールしてるだけでも褒めて欲しい。まだ誰も、死んでないでしょ。
「正しくなけりゃあ人間生きる価値なし!お前のおかげで何人が恐怖におびえると思っとるんじゃあこのクソガキが……!」
「正しくなければ生きられない。そうかもね、じゃあ魚人への差別、ヒューマンショップ、奴隷……正しいの?」
「……悪党が正しさを語るな、青二才」
返答はマグマで出来た火山弾の群れだった。メガレックウザが前に出てまもるの障壁を発生させる。センゴク元帥にガープ中将と呼ばれた二人を「敵」と認識した原始の二匹がぶつかり合う。私はメガレックウザにガリョウテンセイを指示する。天高く空に昇ろうとするメガレックウザを止めたのは一人の大きな声だった。
「もう!止めましょうよ!戦うのは!命がもったいない!」
「海兵さん……」
レックウザがぴたりと動きを止めて声の主をみやる。両手を広げて私と赤犬の前に割り込んだ桃色の髪の青年は、目的は達成できずとも止められる戦いに欲をかき、今手当すれば助かる人を見捨てて被害者を増やしていくのは馬鹿のすることだ、と訴える。戦場の時が数秒、とまる。ゲンシグラードンやゲンシカイオーガですらその叫びに耳を傾けて攻撃の手を止めた。
だけどソレでそれを間近で聞いた赤犬の目にマグマのような怒りが籠っていくのが見える。数秒無駄にした、とマグマの巨大な拳を振りかざした赤犬は海兵ごと私に攻撃を加えようとする。その様に、私が怒るよりも先にメガレックウザが怒った。尻尾を海兵の前に出してマグマを止める。同時に、赤犬が蹴り飛ばされる、私たちの間に割り込んできたのは見覚えのある赤髪、少し前に分かれた赤髪のシャンクスだった。
「よくやった……若い海兵。お前が生み出した勇気ある数秒は今!世界の運命を大きく変えた!」
「……シャンクスさん」
「この戦争を、終わらせに来た!」
なぜ赤髪のシャンクスがここに居る、という海軍のざわめきとなぜ俺たちを助けるという白ひげ海賊団の動揺、両者のざわめきが広がって、海兵さんの作った数秒が、数十秒、数分ともなって戦場の時間を止める。ビッ!と音を立ててザシアンが戻ってくる。整えられた毛並みは乱れているが、まともにはもらってないみたいだ。そして、伝説の3匹も私の傍に戻ってくる。姿は変わらなくとも戦闘態勢は解いている。
「両軍、これ以上戦うというのなら、俺たちが相手だ!」
シャンクスさんの介入は、過激派としか思えない赤犬ですら動きを止めさせる。もう、銃声は響いていなかった。
伝説3匹揃い踏み、マリンフォード全壊事件でした。
ホウエン伝説3匹
なんか世界から自分たちの喧嘩に真正面から身一つとポケモンで挑んできたお気に入りの人間が消えたので慌てて開いた穴に身を滑らせてきた。
暫く探していたらやっとシャボンディで見つけたのに光るやつがぶっ飛ばしてくれたので島ごと沈めてやろうと思ったが追いかけることを優先してそのまま去った。
今回呼んでくれたのでテンションぶち上がりマックスでやってきた。みんなつよい(小並感)