カイリューといっしょ!   作:カイリューはいいぞ

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火拳と私と弔い

「もしもし、俺だ。マルコか?」

 

『ああ、そうだよいエース。ユウリはそこにいるか?ジンベエは?』

 

「マルコさん、いますよ」

 

「わしもおる」

 

『そうか、じゃあ伝えるぞ。オヤジの葬儀が決まった』

 

 女ヶ島の海岸にて私製のカレーを食べていた皆の空気がピリッと引き締まる。ローさんは、俺は関係ねえからなと言わんばかりに空の皿をもって立ち去って行った。そのあとをイーブイが追っていったので、相当になつかれたんだなあと私はこんな時なのに一抹の寂しさを覚える。まあ、呼んだり合図したら戻ってくるんですけどね!私のポケモンをそう簡単に渡すと思うなよ……!

 

 それはともかくとして、電伝虫の着信相手はやっぱりマルコさんだった。少々疲れた声をしてはいるものの会ったことを考えればそりゃ当然の話、私だって半分くらいはからげんきだ。それでも、明日はやってくるしお腹は減る。くよくよタイムなんて5秒で十分、そんなことより明日のご飯なのだ。エースさんが白電伝虫が盗聴できないようにしているのを確認してから先を促した。

 

「いつだ?」

 

『7日後、あの島だ。エース、お前は知ってるな?誰にも気づかれないように来るよい。お前はまだ台風の目だ』

 

「ああ、分かってる。けど、新世界かぁ~~~……!」

 

『お前今どこにいるんだよい?』

 

「女ヶ島」

 

『……何でそうなったかは聞かんが、これるのか?』

 

「私が何とかするので平気です」

 

 どうやら白ひげさんの葬儀は新世界の私が知らない島で執り行われるらしい。どうにかしてこいというあたりエースさんなら何とかするだろうという信頼が見えている。というかジンベエさんがいるからなのかな?そういえばジンベエさん、王下七武海らしいのだけど白ひげさんの味方したからインペルダウンに投獄されて、ルフィさんと一緒に出てきたんだったっけ。

 

 この島の皇帝のハンコックさんも王下七武海らしいのだけれども、裏切りすぎじゃないか王下七武海、くまも含めて3人くらい背信行為してない?私にとってはありがたいからいい話ではあるんだけどさ。それはそうと、7日後に新世界の島かあ。うーん、魚人島経由は私一人だったらできないこともないけれども、今回エースさんもいるし、何だったらジンベエさんも付いてくるかもしれないからなあ。

 

『ともかく、オヤジをみんなで見送ってやりてぇ。本当なら迎えにいきたいが……俺らが動けばお前らの居場所がバレる。悪いな」

 

「気にすんな。なあ、マルコ」

 

『なんだよい』

 

「ありがとな、来てくれて」

 

『何当たり前のこと言ってんだ。俺たちは等しく大海賊、白ひげの息子だぞ。兄弟助けるなんて当然だよい、じゃあな」

 

「……ああ!」

 

 手短に用件だけ言ってマルコさんは電伝虫を切ってしまう。さて、すぐに出発しないと間に合わないかもね。どうしよっかなー、と思案顔でうんうん唸ってるとぽんぽん、と肩を叩かれる。そこには私に任せて、と言わんばかりのカイリューがいた。まあ、カイリューに任せるのが一番丸いんだけど……

 

「3人運べる?」

 

「りゅ~~……」

 

 とりあえずローさんに追い返されてしょんぼり戻ってきたイーブイを含めて手持ち全員をボールに戻す。拒否られて凹んでいたイーブイも含めてみんなあっさりボールに入ってくれた。

 

 残念ながら私たちは船を持っているわけではない、九蛇海賊団の船を借りるという手もないわけじゃないけどハンコックさんは多分頷かないし、そもそもコーティング船持ってる?という話なので魚人島経由は難しいかな、何せ時間がない。ああ、そうじゃとジンベエさんが口を開いた。

 

「申し訳ないがわしはいけん。ルフィくんのことが心配じゃ。わしはあの男を命に代えても守ると決めた。いつかオヤジさんの墓参りはさせてもらうが……今は彼を優先させてもらう」

 

「そっか、ありがとなジンベエ。本当だったらいきてぇんだろ?」

 

「気にするな。この傷もあの男に賭けた結果じゃ。最後まで見守らせてくれ」

 

「ルフィさんに書置きは残しておきましょうか。目覚めた時いないとわかったら暴れそうなので」

 

「……目に浮かぶな」

 

 何となく遠い目をしたエースさんはさらさらと紙切れに書置きを書き始めて書き終わると私にも紙を渡した。私もそれにならってルフィさんにメッセージを書いてジンベエさんに預けることにした。さて撤収!とカレー鍋やら何やらをジャバジャバ洗って拭くのもそこそこにバッグに突っ込んでいく。どうやって行くかなー、と頭をひねるエースさんの手を取って

 

「それじゃ、行きましょう」

 

「だからどうやって行くか考えるんだろ今から」

 

「どうにかするっていったじゃないですか」

 

 そう言うと私の前の海面が持ち上がる。そこで顔を見せたのはカイオーガだ。ずっと話を聞いていたらしく、話は分かったさっさと乗れとばかりにヒレを海岸に置いてくれる。赤い土の大陸(レッドライン)まではカイオーガに乗せてもらって、赤い土の大陸(レッドライン)についたらカイリューに乗って飛び越えて、カイオーガは魚人島ルートで赤い土の大陸(レッドライン)を超えた後また乗せてもらう感じで行こう。

 

「場所分かるんですよね?」

 

「ああ、マルコのビブルカードを追っていくし、間違えねぇはずだ」

 

「ではジンベエさん、ルフィさんが目覚めたらよろしくお願いします。2週間前後で戻ると思いますので」

 

「お、おお……白ひげさんによろしく頼む」

 

「はいっ」

 

 カイオーガの上にエースさんと乗っけてもらってしゅっぱーつ!と声をあげるとカイオーガは反転してエースさんが手に乗せるビブルカードの方向へ船なんて比じゃないほどの速度で泳ぎ出した。波をかき分け風が頬を叩く、伝説のポケモンをタクシー代わりに使うなんて前代未聞……あれ?私結構そんなことばっかりやってるような気がするぞ?もしかして意外と気安いのかしらこの子たちって。

 

 そんなこんなで2日足らずで赤い土の大陸(レッドライン)までたどり着き、新世界からこっちに来たときのようにカイリューに掴まって赤い土の大陸(レッドライン)を超える。天竜人の巣窟をあっさり超えた私たちは、私たちに気を遣わなくてよくなったせいで遊泳スピードをあげられたカイオーガがすぐさまこっちに来てくれる。

 

「こんなにあっさり新世界に行けるのかよ……過去の俺の苦労は何だったんだ」

 

「まあ、カイオーガは反則行為みたいなものですからね……ありがとね」

 

「クァァ!」

 

「お前凄いんだな!次はあっちに頼むぜ!」

 

 この調子ならすぐついちまうだろ!とエースさんは方向を指し示しながらそう言う。途中で日が暮れてしまったので適当な無人島を見つけて上陸し、休んでまた日が昇ったら出発するを繰り返して4回。結構な遠さの島が目的地のようだったけど、カイオーガのおかげでかなりのハイペースで進む。俺が持ってたストライカーでもギリだぜ、とエースさんが言ってくれるあたりかなり遠い島なのだろう。

 

「つきましたね」

 

「あっという間だな!ありがとよ、カイオーガ」

 

「……」

 

「つれねーなー」

 

 どうもカイオーガを含めたレックウザやグラードンたちは私以外心底どうでもいいらしくて、エースさんが話しかけたりしても聞いてはいるものの返事をするつもりはないみたい。完全に私のおまけ扱いだ。エースさんはしょうがねえなって感じで唇を尖らせているが……まあ怒りを買って海を荒れ狂わせられるよりはいいのでそれでいいかなもう。

 

 目的地は花が咲き乱れる静かな島だった。既に白ひげ傘下の海賊船がいくつも停泊しているし、レッド・フォース号の姿もある。私たちがやってきたのに気づいた傘下の海賊の人たちがエース隊長がきたぞーーっ!と声をあげて知らせている。真新しい桟橋に私とエースさんは降り立ち、私はカイオーガに向き直る。

 

「カイオーガ、ありがとう。帰りもよろしくね?はい、あーん」

 

「くぁぁ~~」

 

 海面から顔を出したカイオーガがあーんと開けてくれた口にざらざら~~!とポフィンケースから出したポフィンを10個ほど纏めて入れてあげる。ぼりんぼりんとそれを食べたカイオーガは満足気に口を閉じて一声だけ私にかけて沖の方に行って潜っていった。それで私が後ろを振り返るとマルコさんとシャンクスさんが勢ぞろいしてエースさんを歓迎しているのが見える。

 

「ユウリ、よく来てくれたよい。オヤジも喜ぶ」

 

「はい。間に合ってよかったです」

 

「ああ、お前ら待ちだったからな。すぐに始めるよい。こっちへ」

 

 どうやら、もう既に準備自体は終えた状態で私たちを呼んでくれたみたいだ。ぞろぞろと周りの船から船員さんたちが出てくる。その数何と数千人規模、島を埋め尽くすほどの規模だ。私は知らなかったけどこれだけの規模を持っている大海賊だったんだ白ひげさんは。そして、シャンクスさんの船から大きな大きな棺桶が運ばれてくる。もう既に釘が打ってある所を見ると白髭さんの遺体はもうそこにあるのだろう。

 

白ひげ海賊団の隊の隊長さんがそれぞれ棺に手をやって担ぐ。ザッザッと人垣が割れて一直線に道が出来た、その先には花畑がそのまま続く丘陵があり、そして白ひげさんが使っていた薙刀と上着、そしてモビー・ディック号に掲げられていたジョリーロジャーが捧げられた石のお墓が経っていて、その下に深く掘られた大穴があった。そこにマルコさんとエースさんを先頭に傘下の海賊団の船長が続く。

 

 私は、白ひげさんに娘と認められていても船員ではなかったのでシャンクスさんたちと一緒の列で待つことにした。ここにきてまた、目頭が熱くなってしまってそれを必死で拭っていたら、シャンクスさんが右手で私の頭に手を置いて無言で慰めてくれる。棺が穴に収められ、マルコさん、エースさん、隊長さんたち、傘下の船長がそれぞれを代表して白ひげさんに最後の言葉をかけ……棺の上に土がかけられた。

 

 いつの間にか、私を含めで誰もが泣いていた。それだけあの人、白ひげさんは慕われていたということだろう。「白ひげ海賊団船長にして偉大なる我がオヤジ」と墓石に刻まれている通りに。そうして、海賊のお別れは終了し、献杯用のお酒がみんなに配られた。お猪口一杯のお酒を私はグイッと飲み干した。体には悪いけど、そうしたかった。

 

 初めて飲んだお酒の味は、苦くて、潮風のしょっぱさが漂っているような気がした。

 

 

 

 

 

「何だよいユウリ、その花」

 

「グラシデアっていう花です。私の故郷では、感謝を表すときにこの花を贈る風習があるんです。お墓の周りに、植えさせてもらえませんか」

 

「感謝を……か。俺たちにも手伝わせてくれよい」

 

「勿論です」

 

 オヤジに楽しんでもらうために、とはじまった宴会の中で私は初めてとった酒精で火照った頬を冷やしながらバッグの中から鉢植えに移された花を一輪と、その種を取り出した。グラシデアの花はシンオウ地方において感謝の気持ちを伝えるときに送られる花だ。生憎生花は一輪しかないんだけど、種は沢山持っている。私が抱く白ひげさんへの感謝を目一杯表したい。マルコさんに事情を話すと、すぐに許可をくれた。

 

 白ひげさんのお墓の周りで始まった宴会の最中、私は墓石の周りに種をまく。グラシデアは強い花だ、お世話をしなくてもきれいな大輪の花を咲かせてくれる。この白い花畑に負けないくらいの感謝の花を私は送ろうと思う。でも……一番はきっと私が無事に生きていくことだ。ちゃんとお酒が飲めるようになったらお酒も持ってここに来ないとね。

 

「白ひげ海賊団は、解散になる。俺たちはここから自由だよい。エース、お前はどうする?」

 

「俺は……弱い。俺の弱さがオヤジを殺し、ルフィを死なせかけた。強くなって……今度こそティーチにけじめをつけさせる」

 

「そうだな……だがそれは今じゃない。ティーチは狡猾だ、あの時オヤジの体に何をしようとしたのかは分からんが……時期を見計らって有志を集い、ケジメをつけさせる計画は立てる」

 

「俺も噛ませてくれ」

 

 グラシデアの種を植えながらマルコさんは今後のことをエースさんに聞く。エースさんは悔しさに土を握りしめながら黒ひげへの復讐を誓う、が今ではないとマルコさんは言い計画を立てるという。私も、と言おうとしたらマルコさんは私の唇に指をつけてその先を言わせてくれなかった。どうして、私だってあの人のことは許せないのに。

 

「お前はもう、別の海賊団の人間だよい。お前にはお前の冒険があるはずだ。エースの弟の船に乗ったんなら、そっちを優先しろ。俺たちはオヤジが望んでないことをする。だからお前はせめて、オヤジの望んでいることをしてくれ」

 

「マルコさん……」

 

「それでエース、どうするんだ?」

 

「そうだな……とりあえずルフィが心配だし一旦女ヶ島に戻る。ルフィが目覚めてから考えることにする」

 

「じゃあ、俺も付いていくよい」

 

 マルコさんはぽんぽん、と最後のグラシデアの種を植えてズボンで土をはたき落とすと、まるで散歩にでもついていくかのような調子でそんなことを言った。




 はい、この世界じゃ落とし前大戦争はかなり先の話になるので白ひげ海賊団は壊滅しません、解散はしますけど。そして、マルコくんが旅の仲間になりました。

 ホウエン伝説の中ではカイオーガさんが最も出番がありますね、強引に陸地を作ってグラードンさんを出現させたりもできますけど(多分海の中から仮面ライダーの某神みたいな現れた方になる)ちなみに伝説3匹はお気に入りに会えて嬉しいのでちょっと呼んだら軽いノリで出てきて命の危機だと勝手に出てきて島ごと沈めてきます。危ないですね。
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