カイリューといっしょ! 作:カイリューはいいぞ
え~~~~!!!と唇を尖らせるルフィさんに私は手を合わせてごめんなさいをする。実際、普通なら多分ここでルフィさんと一緒に修行をするのがベストな選択肢の一つだと思う。それは否定できる気はしないんだけれど、私自身が強くなるには勿論のこと、手持ちたちが全員そろわなければ私の本来の実力は発揮されないのも事実。少なくともバッグの中に転がっているボール分は手持ちがこっちに来ているということなので彼ら彼女らを探すのが、手っ取り早く私が強くなる方法でもあるのです。
「ルフィさん、私が仲間に入った時目的があるっていったの覚えてる?」
「ああ!お前の友達全員見つけんだろ!?」
「そう!ルフィさんが新世界に向かうなら、新世界の探索は出来るんだけど
「そっか~~!それなら俺も」
「ルフィくんが付いていくのはやめておいた方がいいな。私の修業は生半可なものではない。2年で体得しようというのなら修行に集中するべきだ」
ルフィさんが付いてくる、と言おうとした途端ぴしゃりとレイリーさんがそれを否と否定する。多分、覇気を習得させようとしているのかな?私の場合は、見聞色が元々覚醒しちゃっていたけど、武装色に至ってはうんともすんとも言わない状況だ。両方をゼロから鍛えようとするには何かをしながらというにはあまりにも時間がないのではないだろうか。
「覇気か。覚醒済みならともかく、まだとっかかりもないなら2年じゃみじけーよい」
「まぁルフィなら2年ありゃ十分かもなぁ」
「ハキぃ?」
「うむ。2年はギリギリだ。もちろんそれはルフィくんの資質次第ではあるが、強くなりたいのなら他所事をしている余裕はないだろう」
覇気のことを全く知らないらしいルフィさんは私たちの会話について行けずに首を傾げるルフィさん、実際私の覇気は、出来るだけ使い倒してはいるものの成長している様子はない。ポケモンバトルの技能が私を支えているのだけれど、覇気はあったら便利な道具程度でしか今のところ使えてないからね。この世界では戦闘の骨子になり得るのだから、成長はさせたいのだけれど。
「うん、だから……一回私は旅をするよ。大丈夫!ちゃんと2年後にシャボンディに戻ってくるからね!約束!」
「……おう!分かった!絶対こいよ!じゃないと怒るからな!」
すっと私は小指を出してルフィさんにつきつける。ルフィさんはそれでようやく私の決意が硬い事を理解してくれて軽くしゃがんで私の小指に自分の小指を絡めて約束の指切りをしてくれた。皆と散り散りになって寂しいのは私も同じだけど、私のポケモンたちもそれは同じ。彼らの親は私なのだから、私は最大限努力をして彼らを探さないとダメなのだ。
ぱしん、とハイタッチも入れてししし、と笑うルフィさんと笑顔の私。そうしていると私の腰のモンスターボールが勝手に開いて中から光と共にポケモンが出てきてしまう。私はそれに目を丸くした、だって彼が……寡黙なメタグロスが自分からそんなことをするだなんて滅多にないことだから。彼は私を見つめると、レイリーさんに向かって鳴いた。
「メッタ!メタ!メタァ!」
「ん?もしや君……自分も、ということか!?」
「メタグロス?ここに、ルフィさんと残って修行をしたいってこと?」
「メタァ!」
メタグロスはそうだ!と強く頷くと共に私に頭を下げる。他のポケモンのボールを見るに、もしかしてみんな納得の上なのかも。強くなりたい、その気持ちはわかる。そのために私と離れる……メタグロスの決断はきっととても重いものなんだろう、じゃないと私と別れるだなんていうわけないし。ルフィさんはメタグロスの訴えを聞くと私に尋ねてきた。
「なあ、ユウリ。こいつ、俺に預けてくれねえか?俺、こいつの言葉は分かんねえけど、気持ちは分かる!なあメタグロス!一緒に強くなろう!」
「メッタァ!」
「…………分かり、ました。ポケモンの気持ちを優先するのがトレーナー、この子がそう判断するなら尊重します。だから……」
私は腰から空いたメタグロスのボールを取り外す。グッとそれを握って緩く力を抜いてルフィさんに差し出した。ボールはポケモンにとって最後の家、安らげる場所だ。ルフィさんはボールを真剣な顔で受け取ってくれる。メタグロスがガツガツと女ヶ島の岸壁に鉄の足を喰い込ませながら私に近寄ってくる。私はそれに駆け寄ってその顔に抱き着いた。
「強くなろうね、メタグロス。2年後、次に会う時はきっと……私も絶対強くなっているから。貴方に負けないように、頑張るよ」
「メッタァ!」
「ユウリくん、私が責任をもって二人を強くしよう。君は安心して残りのお友達を見つけてきなさい」
「メタグロス!お前の主人は俺が守る!マルコもいるんだ、絶対に大丈夫だぜ!」
「ああ。手は抜かねえよい。お前はユウリを守れるよう、もっと強くなりな」
メタグロスの固い決意、私はそれを尊重する。ポケモンの育て屋のように、自ら手持ちを他の人預けて育成してもらうということはないわけではないけど、「ユウリ」は基本的に自分で育ててきたからこのこみ上げるような寂しさはそれのせいだろう。ルフィさんは私を見て何も言わず、重そうにグッとボールを握りしめた。
「うんんめええええええ!ユウリのカレーやっべえええ!サンジにも食わせてえくらいだ!」
「サンジさんには流石に敵わないかなあ……」
「でも寂しーなー、もう行っちまうのか。エースも」
「ああ、東の海に戻って一段落したら俺も
出立は、明日の朝。メタグロスに最後に何か私の料理食べたいものはある?と聞いたらカレーと帰ってきたのでルフィさんが食べ損ねたと拗ねているキョダイマックスカレー肉マシマシからさ緩めをハンコックさんに借りた超巨大鍋を使ってエースさん協力の元作り上げて、夜ご飯にした。そういえばユウリのカレーは食ったことねえよいというマルコさんにも好評。こっそり白ひげさんには作ったことがあるんだけどね、厨房借りて手持ちのリクエストに応えてたらいつの間にか席に座ってたから。
うまい、と言ってもらえたのは嬉しかったなあ。しかし、ハンコックさんはこんな高頻度でお城からこっちに来て大丈夫なのかな?私にはよくわからないけど女帝、皇帝ってことはとっても偉くてお仕事も沢山あるはずなのだけれど。ルフィさんの世話を焼く姿はまるで恋する乙女のようで……。え?もしかしてもしかする?ら、ラブカスかカジッチュが必要かな……?
「悪いな、海賊女帝。船を用意してくれるだなんてありがたい話だよい」
「よい。ルフィの兄のためじゃし、仲間のためじゃ。男は嫌いじゃが、白ひげのことはわらわもよく知っておる。船の一つくらいなら安いものじゃ」
「ありがとな!ハンコック!」
「はぅっ!も、もう幾度名前を呼ばれたことか……やはりこれが婚約……!?」
あ、確定だこれ。絶対にこれハンコックさんルフィさんのことロックオンしてるし、きあいだめしてるしメロメロ状態だ。メロメロと言えば、メロメロの実の能力者なんだってね、同じ技が使えるミロカロスのことは黙ってよう、かと思ったらカレーを食べるミロカロスににじり寄る長い影が……!ハンコックさんのペット、巨大蛇のサロメだ。目をハートにして尻尾に赤いバラを摘まんでいる、え、まさか……?
「しゃ、しゃあああ……」
「ふる?」
「しゃっっ!?」
「りゅ~~」
「メタメタ」
受け取ってくださいっ!と尻尾で差し出された赤いバラをミロカロスは不思議そうに眺めて、貰っても困るから要らないわ、という冷たい反応を見せた。あ、あ~~~うちのミロカロス、姉御肌というか竹を割ったような性格をしてるから……。貰ってあげなよとは言えないのよね……。完全に脈無しだし……ちょっとかわいそうになってきちゃった、ごめんねサロメ。一目惚れしちゃったならもっとストレートに行かないとうちのミロカロスは揺らがないよ。告白しないとダメだ。
まあまあ元気出せって、という感じでサロメを慰めるカイリューとメタグロス。失恋の痛みで石化した、と思われたサロメはまだあきらめないぞ!と目を燃え上がらせている。おー、意外とふくつのとうしをしているね。うーん、応援したいところではあるんだけど種族の違いがどう思うか……生まれる子供はヒンバスなのかどうなのかもちょっと気になったり。まあ、うちは自由恋愛なので落としたいなら頑張ってね!としか言えないけど。
カイリューとメタグロスは、どうやら何かを話し合っているらしくて多分私のことをよろしくとかそんな感じだと思う。カイリューはまだまだ強くなる気満々だしそれは私もみんなも同様。メタグロスに負けてられないね!うんうん!よーしやる気出てきた!カレーお代わりしちゃお……あれ!?もうない!?そんなぁ……!
しょぼんぬ、となった私だけど。カレーは作ろうと思えばいつだって作れるし大丈夫だ。美味しいと言ってくれて食べてくれるなら私満足!別れの宴は和やかに、夜遅くまで続いていくのだった。
「じゃ、俺らはここで行くよい。エース、ユウリ、何か言っとくことがあるんなら言いな」
「ルフィ!お前はもっと強くなれる!俺もお前には負けねえよ!新世界でまた会おうぜ!」
「ルフィさん!メタグロスのことをよろしくお願いします!仲良くしてあげてくださいね!」
「分かってる!エース、ユウリ!2年後にまた会おう!元気でなあああ!!」
「りゅ~~~!!」
「メタアア!!」
翌日のこと、ハンコックさんが用意してくれた中くらいの船の上で私とエースさん、マルコさんはルフィさんとレイリーさん、そしてメタグロスに別れを告げる。片手をあげて私に別れを告げるメタグロスの強い決意がみなぎる瞳を見て私は余計な心配はいらないな、と考えた。そもそも、私のメタグロスは強いのだ、ちょっとやそっとじゃ倒れない!うん!頑張ってメタグロス!私も頑張るよ!
そうしてたっぷりの食料を貰って女ヶ島を出港した私たち、甲板で帆を操るエースさんと舵輪を操るマルコさんの圧倒的頼もしさと言ったら!まあ、無風なんですけどね。凪の帯だし。というわけでカモンカイリュー!という感じでカイリューのかぜおこしを利用して帆に風を送り、推進力に代えた。そうしていると舵輪を固定したマルコさんが私たちの所にやってくる。
「よし、とりあえず次はここを目指すよい。シッケアール王国だ。一番近い」
「そういえば、
「基本は永久指針だな。まあ今そんな便利なものはないよい。だからシッケアールだ。俺が位置を知っているからな。それとこれだ」
「新世界用の記録指針?私も持ってますよ」
そう言って私はおばあさんからもらった懐中時計型の記録指針を見せる。マルコさんが腕につけた記録指針は3つの進路を示していて、私の記録指針も同様だ。どうやら女ヶ島は記録が溜まるのがとても速いらしい。でも、
「3つの針の内、一本は次の島へ、一本は同じ海域の別の島を、もう一本は前の島を指すのさ。つまり、前の島のログを辿って逆走するわけだ」
「な、なるほど~~!」
「俺の記録指針は海軍に取り上げられちまったからな、頼んだぜマルコにユウリ!」
「せっかくだから船の上では航海術も教えていくよい。勉強だぞ」
「勉強!好きです!はいっ!」
俺は勉強嫌いだぜ~というエースさんはともかく、ポケモンバトルでは知識が命なので私は勉強は好きだ、新しい知識を得て自分をアップデートし、新しい戦術をポケモンと試すのは至福の時間なのである。勉強~~と私がテンションを上げまくっているのをうげ、という顔で見るエースさん、失礼な。しかし……
「シッケアールってどういう国なんですか?湿度100%でじめじめしてそうですね。タマゲタケとかキノココのパラダイスっぽい名前です」
「そんないい所じゃないよい。クライガナっつー島にあった王国でな、9年前に内戦で滅んだ。行くのは単純に、人が少なくて尚且つぶっ壊してもいいものしかないからだよい。そこで、武装色のとっかかりをお前のポケモンたちに教える」
「俺らが本気で暴れると大抵地形変わっちまうからなー」
「ポケモンじみてますよねお二人とも」
「俺らにとっては逆だよい。あんな強い生き物を従えてるのは心根はともかく肉体的には弱いお前だ。野生の動物なら普通は従わんだろ」
なるほど確かに一理ある。ポケモンたちがいくらモンスターボールに捕まえられたからと言って、捕まえた人を主人と認めるのは謎に包まれているからね。普通だったらそっぽを向くか攻撃を仕掛けてくるし。私は一休みをするカイリューを労いながら、不思議だなあと思ったのだった。
メタグロス、離脱。コジロウのサボネア、リザフィックバレーに行くリザードンみたいな感じです。そしてカレー、やはりカレーは全てを解決する!
お察ししてる方も多いですがユウリちゃんは2年間冒険しつつみんなに会いに行きます。それではまた次回に