7. いざ、アビドスへ
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『チャンネルをご覧の皆さん、こんにちは!クロノス報道部の風巻マイです!本日の〈風巻マイの時事分析〉チャンネルでは、みなさんお待ちかね、昨日着任した〈先生〉について詳しく解説していきたいと思います!……コメンテーターとして、なんと、ゲヘナ学園風紀委員長の空崎ヒナさんに来ていただいていております!ヒナ委員長、よろしくお願いします!』
『空崎ヒナです。………なんで私がこんなこと』
『早速ですが、ヒナ委員長!……赴任前から何かと話題となっていた先生ですが、ゲヘナの風紀責任者としてどのようなことを期待していますか?』
『期待も何も、実態がわからない組織の顧問についてはコメントしようがないわ。ただ、かなりの権限が与えられているようだから、敵にも味方にもなりえる、いうのが素直な感想かしら』
『なるほど!キヴォトスに影を落とす存在かもしれない、とのことですね!』
『いえ。そこまでは言ってな──』
『では、先生の私兵集団か、と噂されている、特別介入──ええっと』
『シャーレ
『そう!それです!その組織についてはいかがですか!』
『個人的に注目しているわ。狐坂ワカモを撃退したという情報が正しいのなら、少なくとも私たちの装甲擲弾兵1個連隊に匹敵する能力を持っていることになる。これは、キヴォトスに新勢力が出現したと考えても──』
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茹だるような暑さが一帯を支配していた。
一歩を歩くごとに体の水分を搾り取っていくこの高温は、砂漠という乾燥地帯であることでその狂気さをますます高めていた。
「暑すぎる」
私は、ペットボトルを投げ捨てたい欲求を必死に我慢した。
とっくの昔に空っぽになった忌まわしきミネラルウォーターのペットボトルであっても、ポイ捨てはポイ捨てだ。
「水が飲みたい」
持参した飲み物は底をついていた。
山田さんやガーちゃんが持ってきていたものも含めて、である。私たちは、出発前にアロナが危惧した通り、遭難寸前だった。
ちなみにガーちゃんとは、私が勝手に呼んでいるGA-17くんのことだった。
「人間というのは不便なものですね、先生。水分を失うだけでそのようにふらふらになってしまうなんて」
「ガーちゃん、水を見つけたら、まず君の電脳基盤に水分補給しようね」
「拒否します。死にますので」
私は冗談が通じない汎用戦術AIから目を逸らし、もう1人の仲間の方を見た。彼は、少し離れた砂丘の上にいた。そこで傾いた自販機を漁っている。
「山田さーん。飲めそうなものありましたかー!」
山田軍曹は首を横に振ると、砂丘を滑って降りてきた。
「駄目でした。自販機があっても飲み物が補給されていません。それどころか、定期的な点検すら受けている痕跡がない。もう10台目ですよ」
大粒の汗を拭いながら報告する。彼も、だいぶ辛そうだ。
私は気分転換にと、大きく伸びをした。目を閉じ、深呼吸をする。
暑い空気が肺いっぱいに充満した。山田さんからもらったスカーフがなければ、砂でむせていたかもしれない。
「ふぅ……」
目を開ける。
そこには、広漠たる砂漠に呑み込まれた荒廃都市が広がっていた。
砂と高温、喉の渇き。そして膨大な廃墟。
「アビドスの洗礼、か」
紛れもない、アビドス自治区の光景だった。
「……西に5キロほど進めば、セイントネフティスの線路に当たるはずです。それに沿っていけば、セントラルステーションまで行けます」
ガーちゃんが地図に視線を落とした。
「がーちゃん、ロボットなんだから、ちゃんとナビしてよ」
「GPSでもあればいいんですがね。あいにくここは異世界なので」
「はぁ」
「砂丘に突っ込んでセダンを駄目にしたのは先生では?」
山田さんがニヤニヤしながら耳の痛いことを言ってくる。
それに対して何か言ってやろうとした瞬間、視界がぐらついた。平衡感覚を失い、そのまま灼熱の砂に倒れてしまった。
「先生!」
山田さんの切迫した声すら遠く感じる。
もう少し塩飴を持ってきたらよかったな、と今更ながら後悔する。
「GA-17、あそこの廃墟まで運ぶぞ!日陰だから少しはマシなはずだ!」
「了解!」
シャーレ制式採用のワイシャツをぐいっと引っ張られる。体が浮き、移動しているのを感じる。
(ああ……死ぬかも)
「ん、もう少し行ったらオアシスがある」
クロスバイクに跨ったケモ耳女子高生が、颯爽と私たちの前に現れたのはその時だった。