SAO 白き隕石の軌跡   作:どこぞの機械好き

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前哨戦……開始。
彼の真意に、果たして何人気づくだろうカ。


第22話 ⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛

 あるツィマッド社員の証言

 

『彼自体は幸運なのかもしれませんが、その分といいますか……同じ部隊の人の死亡率が非常に高かったんですよね。周りでは、【味方殺し】なんて言われて……本人も、部下を失った時はいつも泣いて……

 

 ん、なんだこれ…………異常事態……!? 流星さんの容態がっ!?』

 

 ────―

 ────

 ──―

 ──

 ―

 

 side メテオラ? 

 

「シィッ!」

 

「くそっ……スイッチだ!」

 

 俺の後ろに回り込んで挟撃しようとするザザに対して、左手に持ったカレドヴルッフで斬りつける。

 

 体力が残り少なくなったザザと入れ替わるようにPoHとジョニー・ブラックが飛び出てくる(スイッチ)が……

 

「見えてるぞっ!」

 

「後ろにも目が付いてやがるのかよ!?」

 

「ぐっ……この蹴りは効くなぁ!?」

 

 ジョニー・ブラックが飛ばした無数の針を右手のVNで薙ぎ払い、PoHに蹴りを入れて三人と距離を取った。

 今の間にザザは回復を済まされた……だが、相手は誰もが肩で息をしている。

 

 暫しの場面の硬直……これが俺にとっての休憩となる。

 相手は三人……向こうはダメージを受けたやつの回復させる隙はいくらでもあるが、こっちには今まで無いに等しかった。

 

「はは……本当にあんたは戦い慣れてやがる。ナックルと形が変わる剣だけで3人を相手取れるなんてな」

 

「……使い慣れてるだけだ」

 

 敵との会話、向こうが息をつく余裕を与えるのも癪だが……こちらも一旦息をつきたいので話の相手をするとしよう。

 

「お世辞抜きで、あんたには尊敬するよ……PKをしなかったら良かったと思えるくらいに、あなたが強い」

 

「こいつ、本当になにもんなんだよ……」

 

「元兵士(ソルジャー)か……いや、元特殊部隊(スペシャルフォース)と言われても不自然じゃあない」

 

 ぱちぱちぱち、と拍手するPoHに対し、こちらの分析をしているザザとジョニー……そしてそんな二人をよそに、PoHは喋る。

 

「そこで戦っている黒の剣士サマは、殺すたびに自分の方が死にそうな顔になってたっつーのにな……さすがと言うか何というか……今まで何度かうちのメンバーが殺そうとしてたってのに、その都度ほぼ完璧に降伏させるか、返り討ちにしてただけのことはある。腕も、それを何とも思わない精神性も……立派に化け物だ」

 

 だが、と話している本人は続けた。

 

「その身体はどうした? 精神……顔色は悪いが無理しているわけじゃあない……というよりかはその見た目、身体になにか問題があるな? 心的外傷後ストレス障害でもなさそうだ」

 

 PoHのこの言葉ではっとした。

 俺の身体に、もう変化が……

 

「お気遣い、どうも…………っ」

 

(『『オ前の──なもノを……―し―⬛る!』』)

 

 思い出したかのように溢れ出てくる怨嗟の言葉。死んだ奴らの声がこんなにも雑音に……もう、そろそろか…………

 こいつ等に逃げられるのも、問題だが……それよりも、キリト達を……

 

「どうした……突然だんまりになって?」

 

「俺の、異変を見抜いた礼だ……今回だけは特別に、見逃してやる」

 

 ……ちょっと賭けに出るか。だいぶリスキーなものになるがそれも承知の上。

 いきなりこんなことを俺が言って気が狂ったかのように見えただろう……実際そうかもしれないがな。

 

(『⬛志タ−の声ガ聞コえな⬛のか!!』)

 

「なんの冗談だ? この一瞬で考えが変わったのか……?」

 

「……殺しに来たんじゃないのかよ?」

 

「もとより、そのつもりだったが……これ以上続くと、俺が討伐隊を……殺すことになる」

 

 これは傍から見れば完全に俺が不利な話し合い。だが、リスクを知っているやつ……

 

「はん……何言ってるかさっぱりだし、トラブってる間にさっさと殺そうぜ?」

 

wait(待て)、ジョニー……言った通り、時間が経つごとにこいつの様子がおかしくなってきてる。ここは素直にこの言葉に従おう」

 

 そう……俺が爆弾を抱えていると見抜いたPoHにとっては、これが現状で最善と言っていいほどの譲歩だとわかる。

 

 このまま俺と戦闘を続けてキルされるか、こちらに参戦するタイミングを伺っているキリト他討伐隊に合流されて捕まるかそれとも……俺の中にある正体不明のナニカにやられるか。

 このどれもに当てはまらないのが、今の提案なのだ。

 

「…………お前の詳しい状態は知らんが、せいぜいくたばんなよ? お前とやるのは楽しいからな」

 

 そう言うと、PoHは他の二人を連れ……ラフコフの構成員と戦っているシャアとイーライの横を通り過ぎつつ、洞窟の入り口で見張っていた血盟騎士団のメンバーを殴って強引に正面から突破していった。

 ……あの殴られた血盟騎士団のやつは死んでないようだ。

 

(『アイツも死ンで俺たチの仲間になレバよかっ−のにナ!』)

 

 もうこれ以上……お前たちの声が増えるのはお断りなんだよ。

 

「なんで今、逃したんだ……」

 

 後ろからキリトの声が聞こえたので振り向くと、パワー5とガラハドと、体格のいい……見たことないプレーヤー。

 

「……パワー5の横の人は誰だ?」

 

「俺はキャルゼイム、討伐隊の一員だよ……たまに攻略にも顔を覗かせてるけど、あったことはないか?」

 

「最近は、攻略をしてないからな……69層あたりから、参戦したのか?」

 

 こんなプレーヤーもいるのか……にしても、今から攻略組に追いつける実力を持ってるとは……

 

「……そんなことは後ででいい。それよりも、なんでPoH達を逃したんだ!」

 

 ……さて、どう言い訳し……よ、う……

 

(『こイツ⬛がオ前の──なもノを……―コロし―⬛る!』)

 

 っ……ついに思考……まで、鈍ってきたか……

 完全に意識が飛ぶ前に……離れてもらわないと…………手遅れ、に……なる。仲間を、殺したくない……

 この状……況を使ってどうにかして、でも……

 

「まさか、寝返ったわけじゃあないよな?」

 

「……どうだろう、な?」

 

 ────―

 ────

 ──―

 ──

 ―

 

 side キリト

 

「正気かっ、メテオラさん!?」

 

 どうだろうな……という言葉の直後、メテオラは突然武器を持ってガラハドを襲い始めた。

 ガラハドはかろうじて手に持つ大盾でメテオラの初撃をいなしたものの、二撃目では展開したVNでその大盾を破壊される。

 

「嘘っ……これ高かったんだぞ! 後で絶対請求するからな!」

 

「……この後生きて、いたらいくらでも言え!」

 

 メテオラににじり寄られ、手段が限られた彼の次に打つべき手は……

 

「予備の盾を出すから交代してくれ!」

 

「ガラハド、スイッチ!」

 

 盾が失くなったガラハドに変わり、パワー5が交戦を始めた。今度は動きが……見えないほどに早い。それに彼のすべての攻撃がいなされてる……! 

 

「ここまで躱されるとは……自身がなくなっちまうんだが?」

 

「なら、丁度いい。早くここから立ち去って、安全圏で商売でもしてると、いい!」

 

 左手の石突でこちらにまで飛ばされるパワー5。

 あのハンマーから繰り出される、力技でも通用しないなら……

 

「ゴッ……二人とも、時間稼ぎを頼む!」

 

「了ー解っ! キリト、やるぞ!」

 

「……ああ!」

 

 質と量……どっちもで押す……! 

 

「二人まとめてか……戦意を早く削ぐ分にはちょうどいい」

 

 そしてメテオラから出てくるプレッシャー。

 さっきよりももっと、ドロドロと体に張り付くような緊張感が全身を駆け巡る。

 

「なんの冗談かは知らんが……なにかPoHに弱みでも握られたか?」

 

「そういう、訳じゃないさ。俺のエゴだ!」

 

「何がエゴだ……それで周りが迷惑被ってるのを見ろ!」

 

 キャルゼイ厶の持つ刀と、メテオラの左手に持つ刀とが何度も鍔迫り合いをして、あたりに火花を散らす。

 その隙に攻撃しようとするが……いつも行動が先読みされて、不発に終わっている。

 良くても、VNにかすり傷を負わせれるくらいだ。

 

「見てわからないのか! 仲間を攻撃してるんだぞ!」

 

「ああ……わかってるさ! 俺には…………仲間がいる資格なんてない! こうしたら、嫌でも離れるだろう!!」

 

「資格……?」

 

 メテオラが突然、方向性の見えない話を繰り出す。

 俺と戦うことがなんでそんな話に……ということは、何か彼を俺たちから今すぐ遠ざけたい理由があるのだろうか。

 

「あれは……ラフコフのメンバーじゃない?」

 

「なんでメテオラがキリトと戦ってるんだよ……!」

 

「……なんでこいつらやりあってるんだ? 仲間割れか?」

 

 周りでは大体の戦闘が終わり、この戦闘を見届ける討伐隊が増え始めた。

 その中にはカンザやユウキ、ゼータの姿も見える。

 

「……こんなことは、誰も望んじゃいないよ!」

 

「俺も……こんなことはしたくないさ……!」

 

「じゃあなんで……! 戦いはもう終わったでしょ……?」

 

 カンザの言葉尻が疑問に変わる……その理由は、メテオラが倒れたことだった。

 

「大丈夫か、メテオラ……?」

 

さっきまで普通に戦っていたのに、何で……

 

「…………はやく……ここから逃げろ……!」

 

うつ伏せになったメテオラの口からか細く聞こえてくる。

 

「なんで逃げないといけないんだよ!」

 

「手遅れ、になる前に……俺が…………皆を……」

 

 手遅れ? 皆を……どうするって言うんだ……? 

 

 メテオラの体が痙攣したかと思うと突然俯いて、動かなくなる。

 群衆から一つの影が飛び出す。その影の持ち主は……

 

「時間がない……スネークの命、戴かせてもらう!」

 

 イーライが……短剣を背中に突き刺した。それも突き刺した部分を捻って傷口を拡げている。

 

「イーライ!? なんでメテオラを攻撃するんだよ!」

 

「イーライ、やめて! メテオラが死んじゃうっ!」

 

 カーソルがオレンジになることお構いなしに、倒れているメテオラをやたらめったらに斬りつけ、彼のHPを削って……

 

 あと10秒もあればHPが全損になるだろう。

 理由すら聞いてないのに、そんなことは……させるか! 

 

「メテオラを拘束してからでも、遅くないだろ!」

 

「止めるなっ! これが最善策なんだ!!」

 

 メテオラの心臓部分を刺そうとしていたイーライを羽交い締めにし、彼への攻撃を強制的にやめさせる。

 イーライの反抗は凄く……なにか最善策と言っている。そんなわけ……ない! 

 

「なんで殺そうとしてるんだ! 理由を聞いてからでもいいはずだぞ!」

 

「だめだ、こいつのカーソルをよく見ろ! 本当に……手遅れになるぞっ!」

 

 気がつけば……オレンジから、モンスターを示す赤色に……? 

 一体どういうわけだ? プレーヤーじゃないのか? 

 じゃあさっきまでのメテオラは……

 

「この手を離せっ!」

 

「あっ……!」

 

 考えを巡らせていると、俺の手を振り解いたイーライが今度は呆然としていた討伐隊の一人からメイスをぶんどり、その得物をメテオラの頭部に落とそうとした……

 

「ゴハッ……!?」

 

 が、イーライは唐突に何かに弾かれるように飛ばされ、勢い余って壁に激突した。

 殺されなかったのは一安心……だけど倒れてる状態から、どうやって……

 

「……やッと中ノヤつが、クタばったカ』

 

 まるでプログラミングが下手くそな機械のように、ギチギチという擬音語が付きそうな動きで体と首が上がっていく。

 

「は……?」

 

 メテオラの顔は……いつから、あんな変な形のマスクを被っていたんだ? 

 

『レイブン…………スベてを黒く焼き尽クす、死を告げる烏」

 

 メテオラと、誰かいろんな人が混ざった声が訳のわからない言葉を喋ったかと思うと……メテオラの体が……

 なんだ、あれ……あいつの体から…………黒い金属質のものが……生えてきて……

 

「こノ体の中にアル……嘗て、亜る世界を滅ぼそウとシた者の記憶。そしテ、その記憶にアルこノ機体……』

 

 右手のナックルは黒く変色し、背中にはチューブのようなものが複数生えるように繋がっている。

 左手には……いつの間にかエネルギー状のブレード型をしたものを持っていた。

 

『こイツの大事なモのを全て…………壊シてやル」

 

 顔のような場所が一段と赤く、強く輝いたかと思ったら、メテオラを中心に爆発が起きる。

 

 

 

 

 

 

 ……その爆発の色は、()()だった。

 

 

 

 

 

第22話 終わりの始まり




ついにオーバーフロー……怨念が暴走をはじめた。

……ハジマリハジマリ

最近、小説の頭に乗せている誰かの1幕は……

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