SAO 白き隕石の軌跡   作:どこぞの機械好き

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長かった……
ISの方と入れ替わるように、シリアス脱出。


第26話 Feed the fire

「まーくん達ってさ、私に隠してることない?」

 

「……何をでしょうか?」

 

「例えば……まーくんの前世だったりさ? りゅーくんに取り憑いてたあれで、確信したよ。別世界があるって」

 

「構わないが……私が知っているのは、ごく一部だけだぞ? 他の世界については、主任に聞いてみるといい……」

 

「あ、呼ばれた。で? それが何か問題?」

 

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 ──

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 side シャア

 

「メー坊、どうしちまったんだヨ……」

 

「……」

 

「そんナ落ち込んでてモ……何も始まらないゾ?」

 

 

「……メテオラさん、元気にしてますか? ほら、ケイタも」

 

「あ、ああ……早く元気になってくださいね、メテオラさん」

 

「……」

 

「ふう……早く立ち直ってくださいね」

 

 

「正気を取り戻すメテオラとは初めましてだな……俺も、お前ほどじゃないがいろいろ悩んでいた時期があったんだ……」

 

「……」

 

「まぁ、みんな待ってるぞ」

 

 来る人来る人全員が、メテオラのいる部屋に入って、何も言わずに椅子に座り込んだままのメテオラに声をかける。

 それこそ生気の抜けたような状態の彼に言葉が届いているかはわからないが……

 

「どうしたものか……あんなボス見たことないぞ?」

 

「……何話しかけても、あの状態とはな」

 

 ギルド『ベセスダの酒場』のホームにある大広間……

 そこに並べられたソファや椅子に、彼の見舞いに来た者が約10人いる。

 

「あれ……そういえばアスナのギルドって戻らなくていいのか?」

 

「今は軒並み75層の探索が滞ってる……他のギルドも、今回の損害を修復するために走り回っているからね……」

 

 

 横に座って天井を向いているイーライから、言葉が飛んでくる。

 

「本当に死霊たちは消え失せたんだろうな、シャア?」

 

「……イーライ、それは間違いない」

 

 確かに、靄は無くなっていた。完全に取り払われたはずだが……

 

「では今の状況をどう説明する?」

 

「考えうるのは、彼自身の意志で引き篭もっているか……とすれば、どうやって彼を立ち直らせるべきか……」

 

 何を言っても、放心状態の彼に響く言葉が見当たらない。かと言って、きつく言うのは彼のストレスをさらに強めるだけだろうし……

 本当に、どうしたらいいのだ? あの化け物を引き剥がして終わりではなかったのか? 

 

 頭を抱えて、思考を巡らす……私に、ヒントをくれないか……ララァ。

 どうするべきなの「シャア達は……知っているよな?」っ!? 

 

「キリトくん、何をして……!?」

 

 アスナの悲鳴に近い声にはっとすると……キリトに胸ぐらを掴まれていた。

 

「明らかにおかしいんだ……元から面識のあるAIに、あの(前話)の現象に、地球そっくりの世界が写っていて……一度あいつの口から聞いた事がある。()()()()()2()()()だって。まるで……メテオラが、別の世界にいたみたいじゃないか……!」

 

 ……気付いたか。こうなれば、これ以上隠すことはできないと見える……開き直りみたいになるが、もう話すしかあるまい。

 

「その通りだ。と言ったら……?」

 

「っ……やっぱり、けどそんなことが?」

 

 掴んでいた手が緩み、「すまない」と言ったキリトに、手で返事をしながら話す決意をする。

 

「あのときは戦闘中だったから詳しくは言えなかったが……今度ははっきり言わせてもらう」

 

 構わないか、とザ・ボスとオセロットに尋ねると……少しの間の後、首肯した。

 

「やむを得んな……」

 

「この状況なら……話をするのが、最善と言えるだろう」

 

 メテオラ(⬛⬛)には悪いが、彼の経歴を俺が知る限りで彼らに伝えさせてもらうとする。

 これが吉と出るか、凶と出るか……だが私の中で、悪い方には転ばないという革新があった。

 

「イーライも、話して大丈夫か?」

 

「丁度いい機会だ……俺もボスの経歴を、ちょっと整理してみたい」

 

 

「果たして……話しても、君たちは受け入れてくれるのか?」

 

 

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 ──

 ―

 

 side カンザ

 

「……そんな、ことが……本当に存在、したの?」

 

 シャア達がカミングアウトした、メテオラの今まで……彼の数千年以上前から続いているメテオラの人生の話。

 キリト達はその事実をまだ頭の中で処理しているようで、頭から蒸気を上げながらまだうんうんと唸っている。

 

 私はというと、確かに見た目にしては大人びていると考えていたくらいだから、このことはストンと理解できてる。

 

「そういえばそんなことも、あったような気がしたなぁ……ずっと昔にメテオラがザ・ボスがどうこうっていう話をしていたのを今思い出したよ」

 

 話をしている最中、ゼータが何かを思い出したようで……あの昔話が本当だったことが分かり、ひとまずメテオラの二度目のSAOだという話は裏取りができた。

 

「今話したことは、嘘じゃないのね?」

 

「理解はしなくていい……ただ、これが真実なんだ」

 

「……理解った」

 

「カンザ、どこに行くのだ?」

 

 これまでの話を鑑みて、私が決めたことは一つ……

 

 ────―

 ────

 ──―

 ──

 ―

 

「歯……食いしばって!」

 

「……っ!」

 

 彼のいる部屋に入るや否や、彼の頬に平手打ちをした。その勢いで体制を崩したメテオラは、椅子から地面に落ちる……少しやりすぎたかな。

 

「……それでいい。俺には、こうされるのがお似合いだ……」

 

「馬鹿言わないでっ!」

 

 そうやって、ずっとめそめそして……気付けになればと思ってしただけなのに、ネガティブにしか考えれなくなってるから……! 

 

「なら何故だ……俺、は……やってはいけない、ことを何十回、何百回と……この世界でも同じだ。もう何人かに、手を……」

 

「辛いことを知ってて、どうして……誰にも、相談しないの!」

 

「勿論したかった……だがそんな人は、最初からいなかった!」

 

 吐き捨てるように喋り……いつも通りではない、濁った目でこちらを睨んでくる。

 

「相談する人は、いなかったの? 辛い、苦しいって話せる人はいなかったの?」

 

「いなかったさ! 親も……毎回毎回、すぐに死んで……今回も、そうだ……俺が小さい時にどっちもいなくなった。親戚さえもな……だが親でも、手が真っ赤に染まっていることを知った、俺のことを受け入れるとは到底思えない……怖いんだ……」

 

 ……私の家でも、お姉ちゃんが「あなたは無能でいなさいな」なんて言ってきた時があったな……でも、その言葉どおりの意味で言ったわけじゃなかったのかなってふと思い返してみる。

 お姉ちゃんのみならず……私のことを、本音(⬛⬛⬛)(⬛⬛⬛)は不器用ながらも大切に思っていてくれていたのかもしれない。

 両親も、決して私を見捨てたりはしていなかった……そう考えたら、どれだけ私は恵まれていたんだろう……

 

「もし仮に、話せる奴がいたとしても……そいつに苦しみを、与えるだけになる。そうなるくらいなら……俺一人で十分だ」

 

 いつも、そうやって抱え込んできちゃったんだろう……本当に心優しいな、メテオラは……

 

「……メテオラはさ、このデスゲームが始まった時に、現実だと誰かも分からない私を助けてくれたよね?」

 

「それは、ただの贖罪に過ぎない……今まで犯したものに比べると、これくらい……」

 

「贖罪なんかじゃない。あれは……メテオラがそんな意図でやった訳じゃないでしょ?」

 

 このギルド内にいるみんなは、少なからず一度以上メテオラに助けられたとがあるプレイヤー……今度は私達の番だと、思っている。

 

「……大丈夫だよ、メテオラ。ここにいる皆は、メテオラの今までの事を知った上で、メテオラの話を聞こうとしてるんだから」

 

「だが……! 俺の、やったことは!」

 

「わかっている。一度そうやって生まれた物は、そう簡単には死なない……今のメテオラが悩んでいるみたいに、亡くなった人の意思が消えても、その人達に手をかけた事実は無くならないことはわかってる……でも、しょうがない理由が、あったのでしょ?」

 

「じゃあ、どうしろとっ!」

 

 どうしろ、か……具体的に考えていなかったんだけど、どうすればメテオラがスッキリするのかな? 

 

「うーん……火を付けてみない?」

 

 火葬……じゃないけど、その人達の事をしっかり精算する為に必要だと思ってみた。

 人はそういった何かしらの行動で分きりをつける生き物だからね……千年以上生きてきたメテオラも例外じゃないでしょ……多分? 

 

「……火、を?」

 

「実際に燃やす……訳じゃないんだけどね。私に一つずつ、今までのことを自分が思っていたことと一緒に吐き出してみて。そうしたらきっとその憑いていた人達も、すっきりすると思うんだ」

 

「それでも……いや、駄目だ。カンザには、重すぎる」

 

 まだ意地を張るね、メテオラは……

 でもさっきと違って話を聞くようになっている今なら、もうひと押し……かな。

 

「確かに私だけなら心配かも……けど、ちゃんと聞いてくれる人は、私だけじゃないんだよ?」

 

 そう言ったと同時に起きたにガチャッという扉の開く音と共に、今まで後ろで聞き耳立てていたであろう皆が部屋になだれ込んでくる。

 

 

「メテオラが思うほど、俺達はやわじゃないぞ! ……な、アスナ」

 

「どうして私に……ま、偶にはあたし達を頼ってみてもいいんじゃない?」

 

「カンザだけ駆け抜けは良くないなー? それに、約束覚えてくれてるよね!」

 

「全ク……全部話せヨ、メー坊。情報の独占は良くないゾ?」

 

「全部ぶちまけてみてくれ……ドンと受け入れてやるからな、兄弟!」

 

「昔は、よく相談してたのにな……またおんなじように話そうな、メテオラ!」

 

「りゅ……いや、メテオラ。私もしっかりと向き合って話す時が来たようだ」

 

 

「……ほら、これでもまだ本当の仲間がいないって思える?」

 

「っ……うぁ…………あ、あぁっ」

 

 彼の濁っていた瞳が徐々に晴れていき、そして涙が溜まっていく。

 その表情は、まるで親に泣きつく寸前の子供のようで──―

 

 

 ギルドホームに、メテオラの泣き声が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「精神値がプラスに戻ったか……良かったよ、メテオラくん」

 

 同時刻……別の層では、間接的に彼を見ているどこかの団長がいた。

 

「しかし、あの黒い化け物(N-WGIX/V)を……このプログラミングを用いれば、安全にして彼にプレゼントできないか……?」

 

『ラスボス兼団長へ from ウサギ』というメモがついた……おそらく一時的にカーディナルを乗っ取っていた人物からの贈り物をその団長が開けてみると、それはとあるプログラミングのコードが入ったメッセージであったようだ。

 

「本来なら、1プレイヤーを贔屓するわけにはいかないが……完成次第、彼のメデュキボイドにインストールさせておくとしよう」

 

 その団長は一人、解析を始めた。




これで、未来へのフラグを立てつつ、遂にラフコフ戦with暴走編終了……
ここから、原作がまた動き出します。お待たせしました。

最近、小説の頭に乗せている誰かの1幕は……

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