……面白かったら、是非評価と、感想くださいまし。
「ねえ……ボスの所に参戦しないの?」
「しても、すぐ終わるだけだろ?」
俺たちのパーティーのキルペースが早すぎるせいで、取り巻きが湧かなくなってしまった。かれこれもう3分は経つ。
はっきり言って、雑魚刈りを任された俺達は開店閉業状態。
つまり……ひまです。アスナはミトと話に花を咲かせているし、キリトもウトウトし始めた。
そんな中、さっき出てこなかった残りの俺たちは、ボスであるイルファングザコボルトロードと相対しているパーティーを眺めている……すると大きな変化が起こっていた。
「……あちゃー、やっぱりベータと違うとこあったか。」
あいつ、タルワールじゃなくて野太刀持ってんのか。
「おいおいおいおい、あと一息だってのに!」
「あのパーティー……まずいんじゃないの?ね、カンザ?」
「……うん、ディアベルさんがスタンになってる。」
その上、彼にコボルトロードのヘイトが向いてる。他のプレイヤーも自分にヘイトが向くのが嫌なのか、誰も前に出ようとしない。
「強い風があれば、変身してひとっ飛びできるのになぁ〜……」
……『風』か。
「
「おう、どうやっても!…………ん?」
言質は取ったぞ?
「ちょっ!?メテオラ何してんだ!?」
俺は片手はゼットの腰から、もう片手は両足を掴んでぶん投げる姿勢に入る。
「メテオラさん!?なんですかその力は!?」
カンザさんから驚きの声があがる。そんなの……
「レベルのおかげだ!というか時間がないからさっさと投げるぞ!」
こう話している間にも、コボルトロードはディアベルに近づいていってるのだ。
「さ、さっきのは無し!今からでも間に合う!別の方法を考えてくれ!!」
「いいや限界だ!俺はあんたを投げる!」
「ほんとに、ゼットを投げるの……?」
「大丈夫だエースさん!簡単にこいつは傷物にはならん!
というわけで……」
「ちょいちょいちょいちょい……!」
「逝ってこおおぉぉーーい!!」
「嘘おおぉぉーーん!?」
力任せにゼットをコボルトロードに投げつけた。
もちろん、飛んでいる間は走るより速く投げたので、必然的に腰にある風車はいつもより多く回る。
つまり……
「……力が……湧いてくる!」
仮面ライダーになる条件が揃った。
装着していたフルフェイス方ヘルメットはその姿を変形し、よく見慣れたあの深い緑色の仮面に成る。
ゼット愛用の赤いマフラーが、ライダーの証が風でなびき、仮面の目が赤く発光する。
この変化が示すことは……
「仮面ライダー……1号か。」
「おりゃぁぁーーっ!!」
俺が投げた勢いのまま、ゼットはコボルトロードに右ストレートをお見舞いした。
その衝撃は凄まじく、コボルトロードはかなりふっ飛ばされる。ダメージも中々。
助けられた当の本人であるディアベルは俺がゼットの方に移動しても尚、困惑していた。
「君たちは……?」
「名乗るもんでもない……強いて言えば、『仮面ライダー』……『仮面ライダー第1号』。」
「俺は……『ガンダム』だ。」
かつてライバルや後輩が乗った……この名を背負うことにしようか。
ただし俺の服装はトリコロールカラーではなく真っ白だがな。
「ガン、ダム……に仮面……ライダー……まさかっ!」
「あまり正体は探るもんじゃないぜ……ほれ、ポーション。」
ゼットがアイテムボックスからポーションをオブジェクト化させて、ディアベルに投げ渡す。
「……顔バレはしたくないんだとさ。」
「メタいこと言うなっ!」
カンザさんがさっきから「仮面ライダーにガンダム……!」とつぶやきながら目をギンギンに輝かせている。
もしかして……リアルじゃ特撮とかアニメ好きなのか?いや、リアルの詮索は良くないな。やめておこう。
「……なんか色々ツッコミ入れたり、聞かなきゃならない気がするんだけど。」
「説教や解説は後々だ……さぁ、行くぞ皆!」
ゼットの言葉に女性陣三人は立ち上がり、
「おい、キリト!起きろ!」
ついでに黒ボッチも叩き起こして加勢させる。
「フガッ……!?え、ええ!?いきなり!?」
「まだ終わってないんだ!寝てないでお前も加勢しろ!アスナにいいとこ見せれるぞ!」
「お、おう!……って何いってんだよ!?」
おや、試しで言ってみたんだが……将来くっつく可能性大だなこりゃ。
そして6人は、目の前に立つコボルトロードに相対する。
「スイッチ!」
「おっしゃ!」
「行きます……!」
キリトが野太刀を弾き、隙ができたところで俺がVNをナックル状態で敵に叩きつけて更によろけさせて、カンザが薙刀を振って足を切り落とす。
「「スイッチ!」」
「「任せて!」」
俺達と入れ替わったエースが残った片足を大剣で切り飛ばし、アスナの剣が野太刀を持つ手を突いた。
「「スイッチ!」」
「待ってました!」
ゼットが空中で一回転。片脚をピンッと伸ばし、突撃するその先はコボルトロード一点のみ。
コボルトロードが最後の雄叫びを上げるが、所詮俺達に効果はない。
そして、俺の方もクローを展開。一蹴りで空中に上がり、ゼットの横につく。
「行くぞ……仮面ライダー!」
「おう、ガンダム!」
「「はああぁぁーーーーっ!!」」
コボルトロードに2つの流星が降り注ぎ、その姿はポリゴン片となって消え去った。
正直、オーバーキルである。
この瞬間、第1層ボスである『イルファング・ザ・コボルトロード』の討伐が達成された。
僅かな時間を静寂が支配した後、一人のプレイヤーの喜びの声に呼応し、周りが一斉にはしゃぎだす。
そんなクリアした俺たちの前に、《Congratulations!!》の表記が映し出される。
「……案外なんとかなるんだな。」
「そうだな、キリト。」
「ふぅ……最高に清々しい、いい気持ちだ。おかげで心スッキリだ。」
ゼットがタイフーンの右横にあるスイッチを押す。するとタイフーンの風車部分がせり上がり、ゼットの体内を駆け巡っていたプラーナが排出された事がわかる。
「……何だったんだか、さっきの。」
「どうしたゼット?」
「いや……何でもない。っと、メテオラそれは?」
ラストアタックボーナス……通称LABが手に入った。
BONUS ITEM……『コートオブミッドナイト』
……黒じゃなくて白が良かったな。
俺よりも似合うやつが横にいるからそいつに渡すとするか。
「キリト、やるよ。」
「うん?……うおっと。」
オブジェクト化させたコートオブミッドナイトをキリト目掛けて投げ飛ばし、それをあいつがキャッチする。
「ナイス。俺は今の真っ白おばけのままでいいさ。」
そう言いながら、キリトに接近する俺。
近くには女性陣もいるわけで……
「ゼットォ〜?あんた、半分遊びみたいに飛ばされてたでしょ?」
「……また勝手に飛び出して、わかってるね?」
「「……あい。」」
……やべぇ。カンザってこんなドス黒いオーラ出せるんだ。
そうこうしている内に見知った二人が近づく。
一人はさっき助けた、もう一人は作戦会議でいた……
「……ハロー、エギル。んでディアベルも。」
「よぉ、ゼット……いや、『仮面ライダー』と『ガンダム』って呼んだ方がいいか?」
「おまかせする……と言いたいが、戦闘も終わったもんな……ゼット呼びで頼むよ。」
「俺は正直どっちでもいい。」
「……ならゼットにメテオラ。見事な勝利だった、Congratulations!」
エギルから称賛を貰い、それに合わせて周りのプレイヤー達も声を上げた。
まぁこれは……照れるな。
「……すまなかった、ゼットにメテオラ。」
「俺は、謝罪は嫌いなんだよ。そこは感謝だ!」
「ポジティブな方が、先が明るいだろ?」
「……ああ、助かったよ、ゼット、メテオラ。ありがとう!」
「おう!」
「次は無茶しないようにな。」
これで大団円「なんでや!」……というわけにもいかず。
キバオウの叫びにより、穏やかなムードはぶち壊れてしまった。
「何で……何でディアベルはんを見殺しにしようとしたんや!」
憎悪混じりの声と視線が、さっきまで一緒にいたが、ディアベルたちと話している内に一人になっていたキリトの方に向かう。
「見殺し……?」
「せやろが!自分は、ボスの使うスキルを知ってた!何でそれを伝えなかったんや!」
……どうやら、キリトを悪役にでも仕立て上げたいのだろう。
これもβテスターの運命って奴か……残酷だな。
キバオウの叫びに、お祭りムードだった周囲も、次第に憎悪の感情が現れ、キリト一人を責める。
「きっとあいつ、元βテスターだ!だからボスの技も全部知ってたんだ!」
「βテスターだから」という理由は、もうあの会議以降聞くはずは無いと思ってたんだがな……どうもこういうときの人は子供じみてしまう。
「……嫌な気分だ。」
「全くだよ、ゼット……ん?」
「俺が……一人で」
おいおい……何一人で抱え込もうとしてるんだキリト?
「待てっ!」
「な、何や。急に!」
俺が一声上げると、全員の首がこちらを向いた。
「……キリトが元βテスター?それを言う相手が、間違ってるんじゃないか?」
「どういうこっちゃ!?」
「キリトはベータの中でもそんなに強くなかった。さっきの言葉を言うなら、俺に向けるべきだったな。」
「それなら、俺も含まれるんじゃないかメテオラ?」
ゼット!?……いや、その目は……お前も業を背負ってくれるのか。
悪いな。
「……ああ、そうだな。」
「な、何だ!そのプレイヤーを擁護するのか!?」
「ま、そんなとこだ。少なくとも、お前らの味方をするよりも楽しそうだし。」
ゼットの行動原理は、「楽しそうか否か」。
あいつはそれを貫いてるから、尊敬するよ。
「た、楽しそうだって……!」
「ふざけんな!こんなデスゲーム中に楽しんでられるか!」
「それで何が仮面ライダーにガンダムだ!ガンダムなんかはぜんぜん似てないぞ!」
……それはちょっと傷つく。まぁ似てないんだけどな。
「お前達なんて、偽りの仮面ライダーとガンダムなんだ!」
偽りの仮面ライダーにガンダム……ね。
「偽りってのは気に入らんな……それを言われるくらいなら。」
「俺の名はライダー……『シン・仮面ライダー』と名乗らせてもらう。
「……そして、私がそのストッパーってわけね。」
カッコつけて名乗ったゼットの隣に、エースが現れる。ゼットにエースは鉄板だからな。
「……俺は、なんでもいい。好きなように呼べ……いや、そうだな……『シン・アレス』とでも呼んどけ。由来は……とある
半分ぱっと思いついたもんだが……悪くないだろう。
突然の救世主という名に周りがどよめく中、一人の女性プレイヤーが立ち上がった。
「……私は、メテオラについていく。」
「これはこれは……嬉しいな。」
役者は揃った。
「こういうこった。……んじゃ、第2層の転移門はアクティベートしといてやるよ。」
「せいぜい死なないように……ね?」
「では……また会おう。」
「……またどこかで。」
そう言い残し、俺達は誰よりも早く第2層へと足を進めたのだった。
足音が……7?残りの3人は……
「キリトにアスナ、ミト……付いてくるのか?」
―――――
――――
―――
――
―
「メテオラ……ゼット……ほんとにすまなかった……」
「困ったときはお互い様、な?ゼット?」
「おう!」
……これが、友情ってやつか。
「……アスナとミトは、ほんとにこれで良かったの?」
「そこのボッチを置いてくわけには行かないでしょ?」
「……私も、そんな気がした。」
「ヌガアアァァッ!」
あわれ黒ボッチ。ほとんど初対面の人にもそう思われている。
「というか、エースちゃんよぉ……ホントに良かったのか?」
「何がさ?」
「俺に付いてきちゃってさ。」
…………ん?この空気は?
「はぁ〜……わかった。ちょっとこっち向いて。」
「ほいほ〜い……んむっ!」
わーお……大胆。
大胆オブ大胆。
気だるげにエースの方を向いたゼットの唇を、エースは大胆に奪った。
5人が見ている前で。
「「…………ぷはっ。」」
……やっとくっついたな。
「……さて、気持ちには気付いてくれた?」
「そりゃもう……嫌と言うほどに。」
「ならよし!」
全く……ゼットらしいな……む?手に感触が?
「……手、繋いでもいい?」
「……ああ。」
そういって彼女と手を繋いだ。
「……おっ!またボーナスアイテムだ!」
そこに現れたのは、初代仮面ライダーのサイクロン号と類似している……が、何処か違う『サイクロン号』が。
「それは……乗ってくのか?」
「……いや、先に一緒に転移門行くぞ!」
誰もいないフィールドをかける七人のプレイヤー。
その中でも異彩を放つプレイヤーが二人。
方や……バイクの持ち主を、仮面を付けた英雄を、人は『シン・仮面ライダー』と呼ぶ。
方や……カンザと手を繋いでいる、嘗ての救世主を、人は『シン・アレス』と呼ぶ。
いずれ、この果てのないデスゲームの世界に、最大の終止符を打つ男達の名である。
「あれ?ここ……フロアボスか?」
現在、絶賛迷子である。
ポンコツNOさん、本当にありがとうございました!
できればまたいつか……コラボ第2弾も。
最近、小説の頭に乗せている誰かの1幕は……
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アリ
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ナシ