「白獅子って3年前のあれからてっきりだよね……もしかして、電波塔の時も幽霊に助けてもらってたり……?」
「もしかしたらあるんじゃないの〜? まだISって謎も多いらしいし?」
「でもそんなことないよミズキ! ……何処かでひょっこり出会ったりしないかな……」
「もしそうなったら、千束はどうするのよ?」
「……お礼を伝えたいの。昔助けてくれてありがとうって」
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side キリト
「数日も前からこれが続いてるって、信じれるか?」
「……初見でこのまつりが開かれてる理由を聞いたら、流石に耳を疑うな」
メテオラと一緒に指定された闘技場の周辺に踏み入れると……人という人が、ごった返していた。
「まるでお祭りだな。ただ、三人がバトルだけだってのに……」
『関西集』のディアベルとキバオウが、りんご飴のようなものを子供のプレイヤーに渡していたり。
メテオラ曰くユナと言うプレイヤーが、血盟騎士団の一人の伴奏と共にに歌っていたり。
ケイタやサチが『月夜の黒猫団ワークショップ』として、プレイヤーメイドのアクセサリーや装備を売っていたり。
仲直りしたであろうグリセルダさんとグリムロック……以下『黄金林檎』のメンバーがスキルを使ったミニゲームを催していたり。
顔を見知っているプレイヤーほとんどが勢揃いしているこの場が、果たして2回のデュエルのためだけかと言われたら首をひねらざるをえない。
「経済回っていいんじゃないか? これだけプレイヤーがいれば、色々メリットができるぞ」
「例えば?」
「情報の入手もし易いだろうし、アイテムも比較的安値で手に入る。娯楽は言わずもがなで……一つ問題があるとすれば、プレイヤー間のトラブルがあるかもだが……それは警備を回せばリスクは減るな」
言われてみれば、そういった面では多くの人に利点があると首を縦に振らざるを得ないことばかり……けど、それを聞いても、一つ心配なことがあった。
「でも、絶対こういったところって良くないことがあったりするもんだよな」
「それについては……」
「メテオラからの払いはいいだろう、キャルゼイム?」
「だがこう……別のことしながらってのもな……」
「……そう言いながら、思いっきり楽しんでるじゃねえか」
ちょうどすれ違ったキャルゼイムとオセロットが、周りを見渡しながら歩いている。
メテオラの言いたいことはつまり……
「カモフラージュした警備が結構配備されている。家から何人か出してるし、問題があったとしてもなんとかなると思うが?」
「なるほどな……確かに、それならもしもがあっても直に対応できそうだな」
「こんな話をするより、俺たちは試合に備えるべきと言いたいとこだが、まだ少し時間があるな……ちょっとそこの屋台でなにか買っていくか!」
そう言ってウィンドウの時計を確認したメテオラはプレイヤーをひょいひょいとよけながら屋台へと一直線に向かっていく。
……随分と、気楽なことで。
そう考えていたが、自身の足も食欲には勝てなかった。
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side メテオラ
「最初から飛ばし過ぎだ」
「……今になって痛感してる」
項垂れるキリトに、ついさっき決着がついた試合を見ていて考えたことを共有する。
初手でジ・イクリプスという二刀流の技を放ったのは良かったが……それをヒースクリフにすべて回避、または弾かれてからというもの、キリトは焦りすぎた。
「これで、キリトの仮入団はほぼ確定か……」
「……後は託したぞ、メテオラ」
「託された」
光の方へ……ヒースクリフの待つ闘技場のフィールドに向かった。
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「主任、何時でもスキルが使えるように準備を頼む」
『メインシステム、通常モードきど〜う! それじゃあ、頑張ってねー!」
主任に一応ユニークスキルの起動準備だけしてもらう。
しかし……キリトとの試合の、最後のアレはオーバーアシストだったろうに。
そんな事を考えながら前にいる赤い鎧を纏ったヒースクリフと対峙する。
「もう回復は済ませたか、ヒースクリフ?」
「何時でも行ける、メテオラくん」
そう言いながら相手が剣を盾から取り出そうとしている最中、とあることを思い出して待ったをかけた。
「最初に断りを入れておくが……キリトと違って俺はあんたのギルドにはどうしても入れないぞ。なんせ、俺もギルドを動かしている身である限りシステム的にも抜けることはできない」
「君とお手合わせをしたいだけだ。それ以上でもそれ以下でもないさ」
「じゃあ、こんな空間でやらなくてもだな……」
周りでは、プレイヤーと言うプレイヤーが今か今かと待ち望んでいる。
今の状況ははっきり言って見世物と変わりない……あまり気にしてないが。
「色々なプレイヤーが、望んでいたことだ。現状、どちらがより強いのか……それを証明する」
「まぁ、やるならさっさとやろう。ルールはさっきと一緒でいいな?」
俺の方から
空中に表示されたカウントダウンは一秒一秒を刻む。
「隙のないスタイル……見たことない戦型だが、洗練されたものだ」
「伊達に大量に年食ってるわけじゃないんでな」
そして……カウントダウンがゼロになった途端、駆け出した赤と白。
精錬された金属と金属の打ち合い。一度ぶつかる事に、尋常じゃないほどの火花が飛び散る。
「よくそんな鈍重な武器を、そんなに振り回せる……!」
「そういうあんたこそ、流石血盟騎士団の団長になっているだけあるな!」
キリトとの試合とは一変、ヒースクリフが積極的に攻撃していることもあってか、どちらも一撃一撃が重くなっており……空気が文字通り震えて闘技場の周りのオブジェクトがガタガタと揺れた。
ナックル状態のVNを、ほぼノーモーションで振り下ろすが、それに反応したヒースクリフが十字盾を構え……
「「ちぃっ!」」
ヒースクリフの手に持つ盾と、俺の右手に装着しているVNのパリィが同時に発生する。防具としても使えるこのVNをシステム的には、盾同士がぶつかって同時に弾き返した事になったらしい。
パリィの反動はどちらにも凄まじい衝撃をもたらし、ヒースクリフと俺は10メートルくらいの距離が空いた。
速度重視ではなく、火力重視の戦闘。この戦闘における切り傷なんて生易しいものではない……一度の被弾が負けを意味する。
「シィッ!」
振り下ろされるVNが、白色のソードスキルの光を纏う。
「読めている……!」
しかしその攻撃は寸手の所でかわされ、反撃だと言わんばかりに青い光を纏った盾の『シールドバッシュ』が襲い掛かってきた。
今度は此方が体を捻りそれも受け流すと、躱した後に攻撃を当てようとするヒースクリフの方から剣を構えて斬りかかって来る。
確かに回避後に狙うのは確実に有効で、一般的な戦闘方法だ。
姿勢は崩れている。このまま身を委ねていれば、尻餅をついて此方との距離がぐんぐんと迫っている剣に切られる未来しかない。
ならばどのようにして攻撃を受けないようにするべきか?
「……これを避けるのか!」
回避の上からさらに回避を重ねればいいだけのこと。
左の上腕部を膂力に任せて肘で地面を押す。すると身体はスーパーボールのように跳ねてもう一度、少しだけ宙に浮く。
少しでも滞空時間を稼げたなら、AMBACの原理で体勢を元に戻せば……地面に2本足で立つ事ができる。
「メテオラくんの奇抜な動き、そして君のほぼ全ての動きに白い何かを纏っている様子……まさに『白い隕石』とはいい言葉を見つけたものだ」
俺についているらしい2つ名『白き隕石』とはこのことかと、この場ではっとするがすぐに目の前のことに集中する。
状況は膠着状態……きっとどれだけ攻撃しようが、回避や防御をして反撃をしようが、あと1分という限られた時間で決着はつきがたいだろう。
正直さっさと終わらせてユウキやカンザ達と周りの屋台を見てみたい。その気持ちが次の行動に現れた。
「不明なユニットをセットオーン! 早くしないとしーんじゃうよー?』
主任の上がり調子の言葉と共に、マスブレードを召喚する。
周りのオブジェクトを用いない、代償を使ってのスキル使用……自傷ダメージが手痛く、あと少しで黄色ゲージというところまで体力が減少した。
「次の一撃で仕留めるつもりか……ならばそれに答えてみせよう」
ヒースクリフは彼の象徴と言って良いほどの盾を捨て、剣を構え直す。その構えはまるでOガンダムに突撃する直前のエクシアの……
「やっぱり、あんたはガンダム好きなんだな」
「再認識してもらえたようでなによりだ……ゆくぞ」
質量の暴力と、神速の突き。先に届いたのは……
「……引き分け、か」
切飛ばされた判定になって真っ赤になった俺の右腕と、被弾エフェクトで赤く塗りつぶされたヒースクリフの右半身。
空中にはDRAWの四文字と、黄色になった二人の体力ゲージが掲げられている。
「いや……決闘の終了直後からダメージが無効になるシステムがなければ、私は即死だった……」
そう言いながら剣を収納し、回復ポーションを使用するヒースクリフ。
なんでこんなところだけ潔いのだか……
「だが、引き分けは引き分けだ……これで、満足したか?」
「……付き合ってくれてありがとう、メテオラくん」
両者共に回復を済ませた後、握手をして会場を去る。
闘技場には、割れんばかりの拍手が空間を支配しているが……耳が痛かった。
「げっ……まぁこれくらいならいいか」
後日、ガンダムの話をしたいとお誘いが来たのはまた別の話だ。
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「やっぱり祭りはいいな。いるだけでも楽しいのに、うまいものを食べれるのは好きにならない理由がない」
試合終了後、心で決めた宣告どおり闘技場周辺の屋台を複数人で練り歩いている。
それぞれが気になったアイテムを躊躇いなく購入したり、食べ物を片っ端から買って食べているので、手に持つそういったものの量が尋常じゃないことになっている……せめてストレージになおさないか?
「……料理の見た目は、現実だとちょっと抵抗ある感じだけど美味しい」
と、言いながら赤色のチョコバナナの味がする食べ物を頬張る爆買い第1号のカンザ。彼女もその例外に漏れず、片手に今食べてる食べ物、もう一つの手には溢れんばかりの粉もんの山盛りを持っている。
「だねー! あ、これ食べてみてよカンザ!」
爆買い第2号、ゼータはアイテムを運ぶための現代風なキャリーをわざわざ購入して引っ張っている。
……というかこの世界にそんな代物あったのか。地味に便利な掘り出し物を見つけたな。
「……現実でも、こういったお祭りに参加できるかな」
「もうちょっとの辛抱だ、ユウキ……このゲームが終わったら真っ先に迎えに行ってやる」
「……約束だよ?」
しんみりした会話をする爆買い第3号のユウキは大量の……何だそれは?
見ようとするも、一瞬の動作で隠されるのでなにかよくわからない。
「何買ったんだ?」
「メテオラにはぜーったい見せない!」
なにかの……本か? ゼク……というタイトルまで見えたが、それ以外はわからない。
「なーにこんな大勢いるところデ、現実の逢引の約束をしながらいたちごっこしてるんダ?」
本のタイトルの見る、見せない攻防が続く中、不意に肩を後ろから来たプレイヤーにポンと叩かれる。
一体誰がと後ろを振り向くと、叩いた本人はねずみひげが特徴的な情報屋だった。ここで買ったであろうあろう片手に持つ筆記アイテムや食べ物は爆買い第4号の前触れか。
「アルゴか。というのも、ユウキに大事な用事があるからな……だが逢引とか、そういう付き合ってるとかの話じゃないぞ? そもそも誰とも付き合ってないし」
……どうして武器でポカポカ叩くんだユウキ。ELS剣がトゲ鉄球に変形して地味に痛いからやめてくれ。
次回はクラディールのあれ……今作ではサチ生存√を辿っているので、そこら辺も書いていきたいと思います。
最近、小説の頭に乗せている誰かの1幕は……
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アリ
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ナシ