――――年―月―日
ラプラスは私と2人だけの空間で声高らかに言葉を紡ぐ
「世界征服するには、まず人がいなければな!幹部、仲間を集めに行くぞ!」
声は高架下の川に反射し、遠くまで響き渡る
稚拙ながらもその考えは間違いではない。何をするにしても人は大切だ。人数は多ければ多いほど良いが、多すぎてもダメだ。そこをちゃんとわかっているのだろうかと、私が聞く前にその答えは出た
「〜友達1億できるかな〜♪」
―わかっていない。多すぎるとどうなるかなど
まぁ、今彼女にそんなことを言ってもプラスにはならない。ラプラスだけにプラスってね☆ハッハー↑
…コホン。世界征服のための仲間集めもいいが、今のこの状況を彼女はどう見るか…
「ねぇラプ、仲間集めもいいけど、いまこの家の状況で人が来てくれると思う?高架下にダンボール敷いただけの家(?)に仲間が集まると思う?」
「うーむ…ネズミだったら集まるんだがなぁ…」
薄々気づいてはいるようだ
となればまずは、拠点探しから始めよう。何かを成し得る時は、土台がしっかりとしていなくては、その上に重なるものはバランスが取りにくくて辛い。その土台が今の家だとして、その上に仲間というものは積み重なれるのだろうか
―答えは明白。ならば即行動するのみだ
―――月―日
新しい住居が見つかった
大満足とまでは行かないが、それなりにいい家だ。私たち二人ともう数人で暮らすならば、まだ自由はある
ラプラスは家が決まったことに感激を受けたのか、今日はだらけようと言って動こうとしない
「ラプ、仲間探しは?」
「ん、もう少ししたらやろう。今は安寧を謳歌しなくちゃ」
そう言ってラプラスは可愛らしい悪魔の女の子が描かれた雑誌を横たわった自分の顔の前に出す
―はぁ、このままではいつになっても仲間探しは始まらない。その前に必要そうなものなど、考えておこう
まずはどのように仲間を集うかだ。昔の酒場みたいに”秘密結社に入らないか〜”なんて言っても意味がない。そもそもそんなの秘密じゃないし
そもそも声をかけて集わせる方法なのか。その様な募集の仕方は秘密結社には合わない
ならどのようにするか――すこし考えてみよう
秘密結社という形を崩さずに仲間を集う方法…やはり極秘な場所に潜入して、危険な研究から人を救うこと?それか実力で分からせるとか
―いい感じだ。実力で分からせるのはともかく、秘密結社っぽい
(よし、大まかな話は決まったな…それじゃ、行くところにマークでもしておくか)
そう言って私は、ラプに一言かけてから外へと出る
生憎(?)近くに、少し怪しげな研究所があり、その中で行われていることは誰も知らない。気になった私はその研究所を少し調査してみることに
――月―日
あの研究所のことがわかった
研究所はこの国のものではなく、大国のものであるようだ。そして、データの流れを辿ると、それらは全てこの国の財産にはならず、大国の元へと転送される
そして重要なのはここから
あそこから出てくる人は、ごく数人しかいない
だが、研究所の大きさからしたらそんなのはありえないこと。他のところから出ているのかと思って辺りを捜索したものの、正面以外に出口は無い
―そここら導き出されるのは、従業員はロボットであるか、奴隷のように休み無しで使われているか
「うわ…元ブラック会社を思い出しちゃった…」
自分もブラック企業に勤めていた経験がある故、ここの人たちの感情もわかる
すると突然、目の前の扉が予想にしないタイミングで開いた。前述した通り、その扉からはごく数人しか出てこない。しかもちゃんと定時なのか、決まった時間に出ていく
しかし今は定時でもなんでもないただの昼下がりなのに突如開いたのだ
その扉を確認すると、そこから出てきたのは、ケモみみがついているピンク色の髪の白衣を纏った少女であった
なにかに怯えるかのように扉から出てきたかと思ったら、その後ろから警備員と思われる武装した人たちが追いかけてきて、その少女を取り押さえた
(ちょっと気になるな…バレないように近づいてみるか)
スッとその人たちの声が聞こえる範囲まで近づいた
生憎、警備はそちらの方に向かっているためザルになっている
「こんな研究おかしいです!」
ピンク髪の少女は取り押さえられながらそのように叫ぶ。「こよはこんな変な研究をするためにここに入ったんじゃありません!」と
すると扉の方から、胡散臭い男の声で残念だなという声が漏れる。そして扉から現れたのは、ボサボサの長い髪で目が隠れた白衣姿の男であった
「私は君の才能を見出してここに入れてあげたのに。もう忘れたのかい?」
「っ…でも!あなたが最初に言ったことと乖離しているじゃないですか!」
「”乖離”?ははっ!笑わせてくれるね。私は君の要望を叶えてあげたじゃないか。”自分の知らないことを学びたい”って言う願いをね」
「こよはこんな非人道的なことを学びたいわけじゃないです!」
「ふん。少し調整が必要なようだね。おい、”実験独房室”に連れていけ」
そのままその少女は警備員に連れて行かれた
残った男はスマホを片手に誰かに連絡をする
「あぁ私だ。逃げ出した者を確保した。順次、”薬品を投与”する」
『…―――……―――…――』
「構わん。元々知識の一つとして迎えたやつだ。嫌気が差したものにもう正常な判断はできまい」
そう言い残してスマホの電源を切り、そのまま扉の中に入って行ってしまった
―非人道的なこと…実験独房室…そしてその研究に異を唱える囚われの少女…かなりピースは揃ったのではないだろうか
今日のところはこのところで引いておこう。だけど、遠くないうちにまたお邪魔するだろう
ラプラスとの出会いは…また今度執筆できれば執筆します