夜を日に継ぐ   作:百三十二

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例によって短編3つです。一つ目が第三層ボス攻略後、二つ目が第四層到着直後、三つ目が第三層突破時の日にちである12/21から数えて4,5日目くらいの昼想定になります

この辺は原作通り、
第一層突破が12/4
第二層が12/14
第三層が12/21
そしてここ第四層が12/27、ということになっていますとだけ、一応






閑話 第四層にて

 

 

◇順調な攻略の中の懸念事項

 

 

 

 第三層のフロアボス戦は恙なく終えることが出来た。

 

 日菜やキリトさんたちが言うには巨大トレントの正面に立つと毒を吐いてくるというものだったが、クエストの報酬なのかキズメルさんから教わった通りβテスト時よりも毒の散布範囲がかなり大きくなっていたらしい。

 

 事前にその情報を私たちやキリトさんら複数の筋から、エルフクエスト攻略に際して得たという裏を取っていたのでALSやDKBら攻略組にも共有された。その結果毒消しをかなり多めに用意することと、人数に物言わせることが出来るのだから安全マージンは十分に取っていくべきだと攻略会議で決まった。

 

 それが功を奏したのか、フロアボスの図体は大きかったもののそれに比例してか動きは鈍く、毒を吐くモーションそのものに変更点が無かったが為にこれといった苦戦を強いられることもなく討伐に成功した。

 

 大きなギルドを抱えている為に動きが制限されるALSやDKBの面々を尻目に、自由度の高いおみそのパーティー+ヒースクリフさんの私たちがダメージソースの大半を担う形になった。ラストアタックボーナスそのものに然して興味の無い私たち姉妹とヒースクリフさんはキリトさんやアスナさんに譲るスタンスを取っていたが、最終的にはキリトさんが勝った様でアスナさんが恨めしそうな視線を向けていたのが印象的だった。

 

 

(こういうところが、キバオウさんが気に食わないと思っている所なんでしょうね)

 

 

 本人に悪気は無いのだろうし、ボーナス狙いに特化して足を引っ張り合うのも不味いのでALSにしてもDKBにしても大人な対応をしている方だなと思う。なし崩し的に大勢を率いる羽目になったにも関わらず、その役目を投げ出さず彼らなりに努力しているのだろうと思えば、愚痴の一つや二つくらい言われても甘んじて受け入れるしかないだろう。

 

 これでもし本格的にキリトさんらβテスターたちと攻略組のトップ層が険悪だったなら、いつかどこかで生じた不破が亀裂を作ってしまい、やがて修復不可能な溝となっていたのかもしれない。この点に関してはキリトさんに対して子供っぽいなと感じる部分ではある。

 

 とはいえ、自分たちよりも年下に見えることから場合によっては高校生はおろか中学生の可能性もある。現状を考えれば彼の様な突っ走りがちな行動を表立って批判することは出来ないだろう。

 

 私や日菜に出来ることと言えば、両者の間に立って緩衝材になることくらいだろうか。その為には、どうしても障害になる人物がいるので何とかしたいところでもある。相手が人前でぼろを出してくれるのであれば何とかなるかもしれないが、どうにも決め手に欠けていた。

 

 

(ディアベルさんの様な方が現れてくれるのが楽なのだけど)

 

 

 彼の様な存在がALSとDKBをまとめ上げることが出来れば、少なくとももっと大人な対応を見せてくれることだろう。第一層の時に彼を慕っていた人々の想いは本物に見えたし、今より悪い方向へ行くことはないと思う。

 

 

(ただそれだと、攻略組トップギルドが一か所になって独占する形になってしまうわね)

 

 

 ALSとDKBが両立しながらも状況がマシだと言えるのは、お互いの勢力が拮抗していて牽制し合う形になっているせいでもある。このおかげで何処かの無鉄砲な人が致命的なミスをするということも起きず、図らずも情勢の均衡を保っているのだ。

 

 ではこれが統一されるなりして崩壊した時、そこに対する抑止力が別途必要になる。世の中には独占禁止法という法律が存在する様に、勢力図が一極集中してしまうのは好ましいことではない。

 

 ALSとDKB以外のギルドとなると、エギルさんの所くらいしか存在しない。しかも彼らは6人組1PTギルドであり、勢力の大きさ的にはやりようがないだろう。理想論的にはエギルさんの所の様な中立かつ中規模ギルドがもう二つくらい存在してくれるならば、といった具合だ。

 

 

(私たちも、いつまでも無所属に甘んじていては駄目なのかしらね)

 

 

 その一助を担うのがベストなのだろうが、私はともかく日菜を抱えている以上は迂闊なことは出来ない。攻略組の一角として立ち上げたはずのギルドが、日菜目当ての人たちでごった返すのが目に見えている。しかしこの先ずっと無所属で中立を気取り続けるというのも体裁が悪い。

 

 何かいい案は無いだろうか。フロアボス撃破に沸き立つ面々を視界の端に捉えつつ、第四層へのアクティベートへと向かう私の表情はあまり明るくは無かった。

 

 

 

 

◇枯れていたはずの土地と、大人の尊厳

 

 

 

「あれ? 何かおかしくない?」

 

 

 第四層へと足と踏み入れた私たち姉妹とヒースクリフさんだったが、早々に日菜が何か違和感を覚えたらしい。

 

 

「私には分からないわ。大きな川と綺麗な水がある様にしか見えないし」

 

「そう、それだよおねーちゃん!」

 

「?」

 

 

 この子が何を言ってるのか察することが出来ずに首を傾げる私。対して私の発言で違和感の正体に気が付いたらしい日菜はポンッと手を打って喜んでいた。

 

 

「水だよ。βテストの時には川どころか水なんて見る影も無くてさ。そのせいでこのフロアは《涸れ谷》なんて呼ばれてたんだ」

 

「とてもそうは見えないわね。──でもβテストの時と違うというのは、いよいよ隠す気は無いと言うことかしら」

 

 

 こうも分かりやすい変更点を開示してくるということはβテストと同じでは無いという意思表示であると共に、茅場晶彦からの挑戦状なのか、それとも善意の警告なのか。何にしても油断は出来ないし、余裕を持つというのも些か難しいか。

 

 

「さて、今日はもう遅い時間帯だが……君たちは主街区まで向かうのかな?」

 

 

 そういった違いに緊張感を覚えていると、ヒースクリフさんに話しかけられる。今回はフロアボス攻略時の時間が遅くなった為に、既に夜間行動に近かった。気を遣ってか、彼は夜になると《はじまりの街》へと帰還しているらしいので今回もその一環だった。

 

 

「そうですね……最前線の主街区に陣取るのが、最も安全ですから」

 

「ならばそこまでは送ろう。日菜君、βテスト時の主街区はどの辺かな?」

 

「そんなに遠くは無いよ。でも……」

 

 

 ヒースクリフさんの申し出をありがたく思いつつ、日菜の返事を待つ。だが妹は少し言いにくそうだった。

 

 

「βテストの時は川なんて無かったから、ここを真っ直ぐ突っ切るだけで良かったんだ。でも今は水が張ってて川を渡る必要があるから、どうだろう。渡る手段があればそう時間は掛からないんだけどね」

 

「となると現実案としては泳ぐか、船を造るかだな。さて、どちらが正解か」

 

「泳ぐって、可能なんですか?」

 

「だが日菜君の言う通りであれば川を渡る他に道は無く、方法もあるまい。そこの所はどうだったのかな?」

 

 

 私の疑念を受けて、ヒースクリフさんが日菜に話を振った。βテストの時に泳ぐ関連で何か無かったのか、という問いかけである。

 

 

「《泳ぎ》ってスキルがあったよ。βテストの時は必要無かったから、誰も伸ばして無いと思うけど。でもこのスキルで川を渡り切るのは現実的じゃ無いと思うよ。熟練度が低いと泳げる距離が短いって聞いたことあるし、このサイズの川を泳ぎ切れる様になるのにどれだけ時間かかるか分からないしね」

 

「では何らかの手段を用いて造船するか、それに近いことをせねばなるまい」

 

 

 そんな結論に対して私としても異論は無かった。だが何の偶然か、キーとなるNPCでも配置されていないかと川沿いに目を向けてみれば、中々に信じがたい光景を目にすることになる。

 

 

「あの、アレは……」

 

 

 上手く言葉に出来ない私はソレに向けて指を差した。つられて目を向けた日菜の目が面白そうだと輝き、ヒースクリフさんの表情が引きつった気がする。

 

 

「……浮き輪、か」

 

 

 納得出来ない、そう物語る彼から発せられた言葉は苦々しいものである。

 

 彼の言う通り、NPCらしき人物が販売していたのは海水浴やプールで使われる浮き輪だった。見た目は普通の、特に変なところは無い至ってごく一般的な浮き輪であった。

 

 

「これで渡るんじゃない?」

 

 

 そんな気乗りして無さそうな彼と違ってノリノリなのが日菜である。この子は既に浮き輪を手に取って購入する気満々だ。

 

 

「耐久値はどうなのよ。渡ってる最中に壊れるとか無いわよね?」

 

「大丈夫だと思うよ? これ、耐久値が表示されないから《破壊不能(Immortal)オブジェクト》だと思うし」

 

「壊れない浮き輪ですって!?」

 

 

 浮き輪と言えばビニールに空気を入れて膨らませている代物だ。ビニールが破ければ空気が抜けてしまい、浮き輪としての役割を果たせなくなる。かと思えばまさかの壊れない道具と来た。私にはこの世界観がよく分からない。

 

 なお、私の隣に立つヒースクリフさんも同じ気持ちなのかしきりに「断じて認めん」と頭を抱えていた。そうですよね、何で浮き輪なんでしょうね。

 

 

「あ、でも貸し出し制だねこれ。10日間のレンタルで、期限を過ぎると自動的に回収されるみたい」

 

「流石に無期限では無いのね……」

 

 

 それはそうだろう。何だかんだ言って壊されることが無い道具というのは工夫次第では悪用出来てしまう。当然の措置と言える。

 

 

「これ使って向こう岸まで行けってことじゃない?」

 

「筏を造るというのは? その辺の木々を伐採して出来たりしないの?」

 

「《裁縫》スキルの範疇じゃないと思うし、《鍛冶》スキルは取ってないよ? そもそも伐採できるの?」

 

「……ちょっと待ってなさい」

 

 

 人のいない周囲を見渡し、それらしい樹木を見つける。剣を斧代わりにしてソードスキルを駆使してまで攻撃してみるが、こちらも破壊不能オブジェクトの様でポリゴン傷がついたかと思えば即座に修復されてしまい、倒木に至る気配は微塵も感じられなかった。

 

 ただ、ピロンと妙な電子音がするものだから何事かと思いアイテムインベントリを開いてみる。すると木材が収納されおり、どうやら破壊できずとも攻撃することでアイテム自体は獲得できる仕様だったらしい。

 

 これを持ち帰り、日菜の目の前で取り出す。出現した木材は既に丸太の状態に加工されており、じゃあこれを筏として利用出来るかという話になる訳だが。

 

 

「ほいっ」

 

 

 私たちの間に無造作に置かれていた丸太を日菜が持ち上げ、遠慮なしに川へと投げ捨てる。放り投げられた丸太は着水と同時に水しぶきを上げ、ドボンという音と共に沈んだ。筏として扱うには浮力が大事だったはずなのだが、その丸太は一度沈むと再浮上することなく川底へと姿を消していってしまった。

 

 

「……不採用」

 

「浮かないんじゃ駄目だねぇ」

 

 

 こうして突貫工事で筏を造るということを諦め、浮き輪のレンタルをすることに決めた私たち姉妹。流されない様に手を繋ぎ、ゆっくりとだが二人一緒に川を横断していった。時間は掛かったが壊れない道具の安心感は流石のもので、これといった災難に遭遇することもなく無事に対岸へと辿り着くことに成功する。

 

 水に濡れたはずの身体は少し間を置くとすぐに乾き、浮き輪をしまってから第四層の主街区《ロービア》へと向かった。

 

 

 

 

 余談だが、ヒースクリフさんは浮き輪で渡ることに最後まで抵抗感があったのか、後日私たちとは別にこっそり渡ることにしたらしい。

 

 まあ、あそこまで渋い顔をしていたらそうもなるだろう。壮年の男性が浮き輪に揺られて泳ぐという光景が何とも想像したくないものであるというのは、全面的に同意せざるを得なかったとだけは彼の名誉のために記しておく。

 

 

 

 

 

◇合戦阻止と胸の内

 

 

 

 第三層に引き続き、この第四層においても《エルフ戦争キャンペーンクエスト》は実施された。

 

 ただ今回に関しては森エルフたちと戦うのではなく、むしろ戦いを阻止する側に回ることになった。

 

 合流したキズメルさん曰く、第四層に保管されていた秘鍵は《瑠璃の秘鍵》だそうで。別段この秘鍵がどうこうということは無かったのだが、《造船クエスト》を経て入手した小舟《氷川丸(日菜命名)》にキズメルさんを招待しては水路や川を通してフィールドの散策を行っていた時に事態が動いた。

 

 船に乗って美しい川を堪能する傍ら、遠くを眺めていると不審な人影を目にしたので3人に伝える。遠見のまじないを使用したキズメルさんの観測結果から不審な人影は黒エルフと森エルフ一人ずつだと判明。敵対する種族同士が密告し合うという状況は非常に懐疑的であり、黒エルフ側はキズメルさんが顔を覚え、森エルフ側は一人になったところを小舟の上から弓矢で狙撃して足を奪うという手筈を取った。

 

 動けなくなった森エルフを尋問してみればさもありなん。正体はフォールンの密偵であり、まじないを使って自白させてみれば何とエルフ同士の争いを煽動して二種族の潰し合いを狙うというものだった。つまるところ、先程の黒エルフも偽物という事になる。

 

 ではここで黒エルフの偽物を捕まえて同様に自白させるかどうかだが、そうさせた所で森エルフたちとの争いが止まる訳では無い。黒エルフ側はキズメルさんが進言すれば踏みとどまってくれるだろうが、問題は森エルフ側である。彼らに攻められてしまえば黒エルフ側も抵抗せざるを得なく、大なり小なり戦力の消耗は避けられない。聞くところによれば現時点で既に両軍共にかなりの戦力を集結させているとのことで、発覚がもう少し遅れていたならば全面戦争に陥っていたことだろう。

 

 メタ的なことを言ってしまえば、私たちがあのフォールンたちの密会を発見するまではクエストが進行せずに戦争も起きないのだろう。とはいえ、フォールンたちの意のままに戦争を見過ごすというのはあり得ない話である。黒エルフ側の説得と偽物の捕縛をキズメルさんに託し、私たち3人は第四層における森エルフ側の野営地へと赴いた。

 

 

「その様な話を信じろと?」

 

 

 そこで待っていたのは、何と森エルフの将軍だという。

 

 彼は私たちを見かけるなり攻撃するなどということはせず、一先ずは話を聞くというかなり理性的な対応をしてくれた。だがやはり俄かには信じて貰えず、こちらに対して疑惑の目を向けてくる。

 

 私たちにこれを信じさせるだけの材料は無く、策も無い。感情論やらなにやらで押し切るしか手は無かった。

 

 

「実際、この戦いに意味は無いでしょう? ならば第三者が得するだけの争いなどするだけ無駄じゃないですか」

 

「そんなことは分かっている。だが仮に此方が手を引いた結果、好機と見て攻め込まれる可能性がある限りはおいそれと引くことなど出来ん」

 

「では先に向こうが陣を引けばよろしいのですね?」

 

「それが出来るのならな」

 

「やってみせますよ、必ず」

 

 

 売り言葉に買い言葉という訳ではないが、こうでもしなければ森エルフの将軍さんは撤退する意思を見せられないのだろう。出来るかどうかは別として、この場においては断言しておくことで決意を見せる。

 

 

「──良いだろう、侵攻を一時中断させ半日の休養を取らせる。これが譲歩できる限界だ。だが人質は置いて行ってもらうぞ。それが一時的とはいえ貴様らを信用するための対価だと思え」

 

 

 彼は半日は待つと譲歩してくれたが、条件として人質の要求をしてきた。

 

 

「ならば私が残ろう」

 

「よろしいのですか?」

 

「ここは私の顔を立てると思ってくれたまえ。こういう役は大人の領分だ」

 

「……お言葉に甘えさせていただきます」

 

 

 悩みかける私よりも先にヒースクリフさんが買って出てくれる。この辺りは大人の対応という奴だろうか、私としてもありがたい申し出であったことは間違いなかった。

 

 

 それからの私と日菜は、森エルフの将軍さんの口約束を黒エルフの陣営に持ち込んではキズメルさんと合流を果たした。既に黒エルフ側は彼女の持ち帰った情報と偽物の捕縛及び尋問によって戦争に乗り気ではなくなっていた。しかしお互いの張った陣が目と鼻の先に見える状況、背中を見せることは不味いと動くに動けないという。

 

 そこで私たちが持ち帰った提案を伝えると、黒エルフの将校たちは難色を示した。第三層での実績からか頭ごなしに非難されることは無かったが、各々の目線は口ほどに物を言ってた。

 

 

「向こうはそなたらの仲間を人質としたのだな? ならば本気であろう。仮にも誇りある戦士、その頭だ。こちらが応じれば向こうも卑怯な手は使わんさ」

 

 

 否定的な空気を壊したのは、第三層から引き続き指揮を取っていた黒エルフの司令官さんだった。どうやら向こうの将軍さんの為人を把握しているらしく、また彼ら自身の名誉に傷がつく様な真似はしないとのこと。

 

 責任は自分が取ると言って、やや強引にだが陣を引き払う。するとこちらが撤退したのを確認したのか森エルフ側も同じ行動を取り、先程までの緊張状態が嘘みたいに戦場となるはずだった土地に平和がもたらされた。

 

 森エルフの将軍さんは約束を守ってくれたということであり、黒エルフの司令官さんの言う通りだったという訳である。

 

 

 最後にキズメルさん同行のもと、森エルフの野営地へと足を運んでヒースクリフさんと合流を果たした。黒エルフ側の精鋭が堂々と姿を見せたので森エルフ側はざわついていたが、将軍さんの一喝によって宥められていた。

 

 今回の件で将軍さんにお礼を述べると、彼も彼でフォールンたちの思惑通りになるのは避けたかったというのと、第三層で出会った森エルフの精鋭さんが先日の経験から進言してくれたというのを知った。

 

 

「次に会う時は敵だ。容赦はせんぞ」

 

 

 そう言って将軍さんたちは上の階層へと引き上げていった。宣戦布告を貰ったが、その時の彼の表情は何かを思い詰めているものだったので彼なりに心苦しさを感じているのかもしれない。立場上は敵対という姿勢を見せる必要があるが、もしかしたら彼の中でエルフ同士の争いに対して思うところが生まれたということだろうか。

 

 NPCではあるもののその表情は現実の人間らしく真に迫るものであり、誰も彼もままならないものだと同情を誘われた。願わくば、双方にとって良き結末が用意されていることを祈るしかない。例えそれが、私たちプレイヤーの選択や行動の末の結果だとしてもだ。

 

 

 どうやら私は、出会って間もない仮想世界の住人たちに感情移入してしまっている様だった──

 

 

 

 

 

 






今回も幾つか


〇キリトのことを子供っぽいと評する紗夜

何もキリトを馬鹿にする意図は一切無い。この時期のこれに関しては原作や二次創作でもあまり言及されていなくてちょっと不思議に思った部分。ビーターの件を抜きにしても、組織を立ち上げて人々を導くというのはデスゲームだと考えたら偉業であることからキバオウやリンドら組織側はかなり大人な対応をしていると思った。ボーナスに関してだが、最後の一撃だけに限ればそりゃ単独で自由に動き回れる方が融通が利くので組織側からすると個人勢というのは面白くない

しかしキリト側も情状酌量の余地は多分に存在していて、年齢的にも、ビーターの件的にもそういったことを考えるだけの余裕を求めるのは酷というもの。組織側にボーナスが入ったとしても、それで戦力バランスが崩壊してしまえばもっと最悪。結果論的になるが、組織側がキリトの行動を咎めたくても咎められない状態になっていたと言える

弓を使うことになって後方から見渡す機会が増えた第三者である紗夜から見た時の、どっちもどっち感というやつである。実際こうして物事を俯瞰してみたことで、現時点における攻略組の戦力バランスを憂慮するきっかけになるし、そうなると氷川姉妹が何処かのギルドに所属することを模索し始めたくらい意味があったと思いたい。もちろんバランスは取る必要があるが

なお、キリトのゲーマーとしての性なのかSAO以降の原作でもちょくちょくそれっぽい言動はしている。どうしても主人公としての彼が描かれがちなので年齢の割には熟した行動を取るイメージが強いが、ちゃんとそうじゃない側面も描かれており今回は後者の話。第二層突入時に得意げに語っていた所とかもその一環



〇知らず上がるディアベルの評価

原作とかでもキリトとかが「あいつがいてくれれば」と散々言ってる。恐らくSAO編において純粋な指揮能力が最も高いプレイヤーだったと思われる



〇破壊不能オブジェクトの扱い

原作でも一部のこれらを攻撃するとアイテムとしてインベントリに収納される仕様がある。本来は剣じゃ無くてちゃんと斧でやるべきだったりと正規の手順を踏まなかった為に、入手した木材は粗悪品。水に沈むのもその為であり、本当なら浮いて筏や船に出来た



〇浮き輪

レンタル制だが壊れない浮き輪。壊れる浮き輪だと川を渡り切る前に何らかの理由で破損して溺れかねなかったりする。どうしても早く向こう岸へたどり着きたい人の為の救済措置みたいなもの

なお、ヒースクリフはどうしても自分がそういう絵面になることを受け入れられず、後日ズルをした。原作でもラーメンでは無いと断言していたし、世界観に合わないことがあると結構否定的な態度を取る。そこは彼なりの拘りだろう



〇氷川丸(日菜命名)

日菜からすれば取りあえず自分と姉の両方に関する名前であれば何でも良かった。今回は無難に名字を採用。ガルパのエイプリルフールネタで姉とユニットを結成する際に付けた名前が「ヒカワーズ」なので大差はないと思う。でも氷川丸って名前の船は現実に存在している気がする



〇NPCに対する紗夜の感情

ガルパでもNFO初見プレイ時に「あの人は困っているのだから」という理由で超特急でクエストをクリアしようと躍起になっていたし、暇さえあれば人助けならぬNPC助けで報酬問わずクエストを片っ端からクリアしていたらしい。そんな彼女の場合、ちゃんとした交流を持つ相手であれば敵味方関係なくあっさり感情移入くらいすると思う

SAO原作でもIFでも「現実の人間と勘違いするレベル」のAIが組まれていたりと、NPCに関する話はそこそこある。特にIFの場合はとある理由で原作よりも比重が重かったりする



次から第五層ですが、二週間後からちゃんと投稿出来ると思いたいです



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