夜を日に継ぐ   作:百三十二

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すみません。以前残り3話(今からなら2話)だとお伝えしましたが、ボス戦に詰め込む物を詰め込みまくったら2万5千字超えそうなので流石に分割しました。そのお詫びに後編は明日投稿します

また、サブタイトルに関しては特に意味を持たせている訳では無いので悪しからず。使いたかっただけです。大したアレじゃないですが理由は後書きにでも

では、話が二転三転して読みづらいであろう第五層フロアボス戦になります。どうぞ



ツキアカリのミチシルベ 前編

 

 

 

 ディアベルさんをリーダーに据え、2パーティーを満たし切れない人数による第五層フロアボス攻略。アルゴさんがもたらした情報をもとに迷宮区のギミックを丸々スキップし、ボス部屋の目の前までは障害も無くスムーズにやって来ることが出来た。

 

 先頭を歩いて集団を率いるディアベルさんが、緊張した面持ちのまま扉に手をかけた。重苦しい音も鳴り響いたが、それよりも私たちを驚かせたのは、現れたのが螺旋状の階段だったということだろう。入ってすぐにボス部屋だと思っていた一行の出鼻を挫くという点に関しては、既にしてやられたという形になる。

 

 

 気を取り直して、上へと進む階段を登ること数分程度。抜けた先には、やたら広い円形の広場が姿を現した。薄暗い雰囲気を維持したまま、何もない不自然なまでに広い空間が存在するのみであり、何処にもボスの姿が見当たらない。

 

 

「オイ、どうなってんだぁ?」

 

「分からない。でもベータの時と既に違うってことだけは確定してる。デカいゴーレムの姿が鎮座してないからな」

 

 

 敵が姿を見せず、階段を上りきった位置で固まるメンバー。微かに震えを交えたクラインさんの疑問に対し、状況が既に怪しいことを察したキリトさんが応じる。

 

 その言葉が既に、この場の誰もが知りえない状況に置かれていることを示していた。

 

 

「何か……視られてる気がする」

 

 

 固唾を飲んで状況を見守るしかない11人。そんな中、唐突に日菜が不思議な事を言うので思わず問い返す。

 

 

「誰かの視線を感じる、というの?」

 

「うん。こっちの出方を窺っていて、待っている感じ。それに……」

 

 

 妹はそこで一度区切って、告げる。

 

 

「なんていうか、嘲笑われている様な──」

 

 

 馬鹿にされている。そう重ねようとしたのか、不愉快な表情を隠さない日菜だったが、そう続けられることは無かった。

 

 瞬間、大した明りの無い部屋全体に青白い光が走った。突然の発光現象に全員の緊張が最高峰に達し、各々が周囲に警戒を飛ばしていく。

 

 

(……?)

 

 

 しかし、警戒とは裏腹に直ぐに攻撃が飛んでくるとかは無かった。日菜の言う通り、まるでこちらが右往左往しているのを観察でもされているのだろうか。

 

 そんな邪推を挟みつつ、先程走った青白い光の発生源は地面だったなと、何の気無しに下を向く。

 

 

(何かしら、これ──)

 

 

 すると何らかの模様に沿って青白い光を放つ地面とは対照的に、赤い色のサークルが足元をくるくると回っていた。瞬時に他人の足元に目をやれば、自分含めて3か4人程に起きている現象の様だった。

 

 

 ──何も起きていないフロアの中にあって、明らかにおかしい事象。一瞬にして、全身の身の毛がよだつ。

 

 

「散開してくださいっ!!」

 

「「「「ッ!!」」」」

 

 

 遅かったかもしれないが、咄嗟に叫びつつその場から飛び退くようにして転がった。私の言葉に反応してくれたのは日菜とヒースクリフさんに、キリトさんとアスナさん。ディアベルさんとアルゴさんにエギルさんがワンテンポ遅れて、クラインさんにリーテンさんとシヴァタさんは慣れの問題かツーテンポ遅れてしまう。

 

 その差が命運を分けたのか、サークルの対象になっていたらしい私、ヒースクリフさん、キリトさんの三人はそれから起きたことに対して事なきを得た。餌食になったのは、反応が遅れたシヴァタさんだった。

 

 

「うわぁっ!?」

「シバ!?」

 

 

 蜘蛛の子を散らす様に回避した私たちを襲ったのは、地面から生えた巨大な2本の腕と、上から降って来た巨大な2本の足だった。1本のサイズがゴーレム2,3体分のサイズを誇る大きさ加減であり、これらが合わさって一体の巨人を為すと考えたら見上げるだけで首が痛くなりそうなレベルになるだろうと、現実離れした光景に思わず現実逃避してしまう。

 

 そんな余計なことを考えている間にも、回避が遅れてしまったシヴァタさんが地面から生えてきた腕に掴まれて持ち上げられてしまった。いきなりの奇襲に動転してか、リーテンさんがシヴァタさんの恐らく愛称を悲痛に叫んでいる。

 

 

「おおおっ!!」

「うらぁっ!!」

 

 

 腕に捕まったシヴァタさんの近くにいたエギルさんとクラインさんの二人が果敢にも地面から生えた腕へと攻撃を繰り出し、救出を図る。一瞬、腕に見える青白い紋様が二度赤く点滅したことから、攻撃自体はヒットしたと見て良いだろう。

 

 

「おおおっ!?」

 

 

 すると腕は手首を少し捻ったかと思えば、シヴァタさんを上空へと放り出した。握りしめられていた時のダメージはそうでもなかったのか、体力が減らされたことへの焦りは感じられなかった。

 

 

「エギル! クライン! シヴァタをキャッチしてくれ! あの高さじゃ落下ダメージ判定を受ける!!」

 

 

 そんな折、キリトさんが叫ぶ。シヴァタがさんが放り投げられた高さは、目測にして15メートルは下りそうもない。マンションやアパートの5階前後から落下する様なものだろうか。現実世界でもその高さから落ちてしまえば、無事でも済むはずもない。

 

 だとすると当然、SAOの世界において存在する高い所から落ちた時の《落下ダメージ》判定は免れない。地面と接触しなければ平気だが、重量の問題でエギルさん相当の筋力値が無いと衝撃を抑えられないなんてこともある。

 

 

「オレよりもエギルの旦那の方がちけぇ!」

 

「任せろ!」

 

 

 大人組二人の判断は正しかったのか、落下してくるシヴァタさんに対して目測を誤ることも無くエギルさんが比較的軽々しくキャッチしていた。流石の重戦士ビルドと素のガタイということだろう。

 

 

「すまない!」

 

「気にするな。オレらだってああなってたかもしれねーからな」

 

 

 礼を言うシヴァタさんに、エギルさんが気さくに返す。シヴァタさんが無事だったことに安堵したのかリーテンさんが寄って行ったのを視界の端に捉えつつも、何一つ状況が分かっていないことには変わりない。

 

 

「ありがとな、サヨ。多分、俺にも攻撃が来てた」

 

 

 警戒を緩めず、先程の件に対してキリトさんがそう述べる。

 

 

「いえ、偶然です」

 

「でも何で分かったんだ?」

 

「ふと下を向いた時に、赤いサークルが見えて嫌な予感がしたので」

 

「赤いサークル……《ターゲットサークル》か!」

 

 

 私との会話に気付きがあったのか、合点が言った様にキリトさんが新しい呼称を口にする。

 

 

「何ですか、それは」

 

「敵がこっちに狙いを定めて攻撃してくる、その予兆を知らせるシステムさ。足元に赤いサークルが現れて、縮小した瞬間に攻撃が飛んでくるって仕組みだ。でもそうなると、俺たちはボスの予兆を見逃したってことになるな……」

 

 

 新しい知見を得ると共に、嫌な予感が正しかったことに胸をなでおろす。そして彼の言う通りであるならば、サークルが出現するための何らかの前兆があるとのこと。

 

 

(そもそもフロアボスが姿を見せていないのに、そんなの……)

 

 

 ──いや、一つだけあった。

 

 

 赤いサークルが出るよりも前に、私たちの間を走ったものがあったではないか。

 

 

(だとしたらっ!)

 

 

 思わず地面に視線を向け、飛びずさる。突然の奇行に皆の視線が集まるが、何名かはすぐに理解して同様の行動を取り始める。

 

 

「そうか地面か!」

 

 

 キリトさんが理解を示し、答えを告げると同時に地面の紋様へ青白い光が再度迸る。かと思えば、今度は消えずに明かりを灯したままの状態を維持し始めた。

 

 こちらがギミックを理解したことを把握されたのか、部屋の中の明度が一気に上がる。

 

 

「地面に描かれている模様を踏むと足元にターゲットサークルが出る! するとさっきみたいにボスの腕や足が出てくる仕組みのはずだ!」

 

 

 ゲームへの理解度が高い彼の的確な見解に、それぞれが大なり小なり模様を踏むまいと動き始める。

 

 

 

 

 

 ──■■■■■■■■■■■■■ッッ!!

 

 

 

 

 だがフロアボスはそんな私たちの行動を見越してか、遂にその重い腰を上げる。部屋全体を震わす様な、矮小な人間たちなど咆哮一つで押し潰してやると言わんばかりの重厚な叫びと共に、腕と足に次いでその顔を我々の前に晒した。

 

 

 場所は、部屋の天井。私たちは見上げる形で、そしてボスは私たちを見下ろす形で。

 

 

 開示されたボスの体力ゲージは、6本。1本目がほんの少しだけ削れている様に見えるのは、シヴァタさん救出の際に二人の攻撃がダメージとして通っていたということだろうか。

 

 

 しかしそんなことはどうでも良かった。こちらを見下ろすボスの姿を拝めたことよりも、ダメージが通っていたことよりも、最も詳しいであろう人物の口からあまり知りたくなかった情報が開示される。

 

 

 

「ベータの時と……名前が違うっ」

 

 

 

 表示された名前は《Fuscus The Vacant Colossus(フスクス・ザ・ヴェイカントコロッサス)》。直訳するならば、《空虚な巨人》とかだろうか。

 

 

(とてもそうは……見えないわね)

 

 

 自分で出した翻訳に、思わず舌打ちが出そうになる。

 

 

 フロアボスの名前をそのまま信じるのであれば、中身が空っぽのゴーレムということになる。

 

 

 しかし出現の仕方と言い、場所と言い、何も考えてないが故の行動にはとても思えなかった。

 

 

 キズメルさんとの会話の通り、こちらを見下ろしてくるアレには意思がある。それも、飛びっきり意地の悪いやつだ。

 

 

(高い所から見下ろして……馬鹿にしてるわね)

 

 

 日菜の言う通り、アレはこちらを観察している様に思える。そしてこれまた日菜の言う通り、こちらが右往左往する様を見て嘲笑っているのだ。

 

 

(絶対に負けるものですか)

 

 

 想像に難くない巨体の背中を地面に付けさせる。私の闘志は、静かに燃え上がっていった。

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 フロアボスが姿を現し、模様を踏むと標的にされるというギミックを理解したレイドメンバー。体力ゲージも目に見えるようになり、倒すべき的も視認出来るという状況にこそなったが、しかしどうして事態が動くことは無かった。

 

 

 理由は二つ。一つは、このボス部屋の構造上の問題でもあった。

 

 まずターゲットサークルが出現する様になる問題の模様が光っている位置が、中心からおよそ半径25mの円の内側に限られているというのが大きい。内円と外円の境目がハッキリと区切られており、一目見ただけで内外どちらに立っているかがよく分かるというものだった。

 

 よって状況判断も兼ねたディアベルの指示により、一同は内円に留まらず外円部分に後退していた。すると模様を踏むことが無くなるので腕と足が出現する機会が無くなり、一定時間ギミックに関与しなかった罰なのか内円の模様が回転するようにして動き始めたが、誰一人として触れることはなかった。

 

 

 だが同時に、ボスを攻撃する手段にも乏しかった。腕や足を攻撃すればダメージが入るというのは、体力ゲージを見た者ならば容易に想像がつくことである。しかしこちらが被弾するリスクを考えると中々踏み出しづらく、その上でボスの顔面は遥か天井にあるという。近接攻撃しか持たない者が大半を占める現状、攻撃を通す手段が限られてしまっていた。

 

 

「やはりあの時、遠距離攻撃の手段を会得しておくという判断は間違っていませんでしたね」

 

「投擲スキルの熟練度次第じゃ、あたしでも届くんじゃない?」

 

 

 そこで活躍するのが、第二層フロアボス戦時にそういう発想に至り、現状で弓矢を手に取っている紗夜と、普段の戦闘スタイルから投擲スキルを重要視していた日菜の二人だった。

 

 距離が距離なだけにある程度狙いを定める時間が必要ではあるものの、一度お試しでそれぞれが放つ矢とナイフが天井まで届くのが確認できた。

 

 

「よし。攻撃は二人に任せて、オレたちは不測の事態に備えて二人のフォローだ!」

 

「二人とも。ベータと同じなら、あの額に見える赤い紋章が弱点だ」

 

 

 手持無沙汰になる面子にディアベルが声をかけ、ボスの弱点をキリトが提示する。

 

 

「それじゃ……始めます!」

 

「よっ、ほっ、そりゃっ!」

 

 

 紗夜が攻撃開始の合図をすると、一定間隔で放たれていく矢と、不規則かつ複数のナイフが天井目がけて飛来していった。

 

 その中でより速かった矢が先に額の紋章へと着弾する。すると、カァンというやたら響く音を立てながら、11人からしてみればフロアボスの顔が少しだけのけ反った様に見えた。

 

 更には間髪入れずに日菜が投げたナイフも直撃していく。高い所から見下ろしていたせいか、攻撃が届くと思っていなかったフロアボスが明らかに動揺の言葉にならない呻き声をあげた。

 

 そしてフロアボスの体力ゲージの1本目が、遠目にでもハッキリわかるレベルで減少した。

 

 

「効果あったゾ! フロアボスの弱点は、あの紋章のままダ!」

 

「攻撃を継続します!」

 

 

 ようやく状況が好転したことを喜んでか、アルゴが喝采の声を上げる。しかし紗夜は浮かれることなく、すぐさま次弾の用意に努めた。

 

 

「届くと言えば届くけど……ほぼ真上に投げるのって結構難しいね!」

 

「無駄口叩かないで攻撃する! パターンが変わるまでは私たちがやるしかないのよ!」

 

「はーい!」

 

 

 部屋のギミックを無視しながら、一発あたりはソードスキルに遠く及ばない火力ではあるものの着実にボスの体力を一方的に削ることが出来ている。少々出来過ぎた状況に、一行の緊張が緩んでいく。

 

 

「あ、逃げた」

 

 

 だがボスもやられてばかりは癪だったのか、天井から覗かせていた顔を引っ込めてしまう。これでは紋章を狙うどころか、微々たるダメージすら与えられなくなった。

 

 

「お、おい……やっぱりアレを踏めってか?」

 

「焦る必要は無いさ。もう少し様子見してからでも十分だろう」

 

 

 再び硬直状態に陥ったことでクラインが不安の声を上げるが、それをディアベルが冷静に抑える。

 

 どの道、あの模様を踏んで腕と足を出現させ、それにダメージを通していくというのは最終手段である。必要以上に模様を避けながら、他人の被攻撃範囲に入らない様に立ち回ることの難しさを考えると、出来るだけ安全に攻撃出来ている時間を継続したいというのが彼の本音だった。

 

 

「…………」

 

 

 フロアボスが姿をくらませ、静寂が空間を支配し始めるフロアボスの部屋。

 

 各人がどうしたものかと思考を巡らしていく中、日菜だけは目を閉じて自身の感覚を拡げていった。

 

 

(隠れたって言うより、移動したって表現の方が合ってると思う。その証拠に、さっきから部屋の壁の中を何かが移動している様な()()()を感じるし)

 

 

 第五層に来てからヒースクリフに言われて意識してみた、感覚の鋭敏化。それを利用し、日菜はフロアボスの顔面が壁の中を移動しているという予測を立てた。

 

 一度気が付いてしまえば彼女のもの。普通の人には分からない、不自然な空間のズレを追っていく。

 

 

 そして──

 

 

 

「……来たっ!」

 

 

 

 あの憎たらしい顔が壁の中から浮上してくる気配を感じ取り、再出現するタイミングに合わせて投擲していく。一瞬、他の面々には日菜が何もない壁に向かって攻撃した様に映るが、着弾する寸前にフロアボスの額が顔を覗かせたことで驚愕の嵐になった。

 

 

「今ボスが出てくる前に攻撃してたよな!?」

 

「おいおい……ボスが壁の中を移動してたのが分かってたってことかよ……」

 

 

 状況に対する理解が追い付かないクラインと、察した上で背筋に寒いものが走ったエギル。他にも日菜の所業に末恐ろしいものを感じたメンバーたちの間に尊敬を通り越して畏怖がよぎる。

 

 

「……っ!」

 

 

 しかし紗夜はそんな日菜の信じられない行いに面食らうことなく、次いで攻撃を重ねていく。

 

 姉にとって妹の突飛な行動は、慣れっこだということだろう。ましてや、妹の優れた感覚について一番目の当たりにしてきたのだ。今更、この程度のことで怖気づいてなどいられない。

 

 そんな姉としての矜持と理性が、彼女に戦うことを優先させた。

 

 

「次っ!」

 

「あっち!」

 

 

 即座に追撃されると思ってなかったのか、それともただのパターンなのか。数回攻撃を食らった時点で再び壁の中に潜り込んでしまうフロアボス。

 

 意地の悪い睥睨から一転、動揺しているかの如く逃げ惑う姿に姉妹が同情することはない。

 

 あるのはきっと、馬鹿にされた分はきっちり返すという強い意志。

 

 

「1本目! 切ります!」

 

 

 そんな追いかけっこがしばらく続いたが、6本ある体力ゲージの内の1本目を削り切る寸前にまで迫ったところで紗夜から状況報告が飛んでいく。

 

 最初の1本目はかなり楽出来たが、パターンが変更されるとどうなるか分からない。それを理解しているからか、油断するなと檄が飛ばされたことに各々が気合を入れなおす。

 

 

 

 

 

 

 

 ──1本目を削り終えると、ボスが吼える。形態変更時の咆哮にデバフが課されているのか、プレイヤーたちの体力ゲージの傍に防御力ダウンのアイコンがつく。

 

 

 しかし本当に厄介だったのは、デバフでは無かった。何の為にこのボス部屋が内円と外円に分かれていたのか、その理由が明かされていく。

 

 

──Biiiiiiiiiiiiiii(ビーーーーーーー)ィィィィイイイイ!!

 

 

 フロアボスの体力ゲージが2本目へと突入した時、突如として部屋全域にけたたましい警報音が鳴り響いた。耳をつんざく様な大音量に頭が揺らされるものの、何とか踏みとどまる面々。

 

 

 だが真に恐ろしいのは、この警報が何の前触れだったかということだろう。

 

 

 

「うわっ、何だこいつら!?」

 

「一気に出てきやがった!」

 

 

 

 警報の後に起きたのは、フロアの外円部を埋め尽くす勢いでモンスターが大量に湧くことだった。その数、目視で数えるのは不可能というレベルでだ。

 

 外円は内円の端から更に25m、半径で言うなら50mの外側半分、ドーナツの可食部分に位置する。そこに立っていたプレイヤーたちを追い出すかの如く、100や200を下回らない数の無数のゴーレム型モンスターが出現した。

 

 

「落ち着くんだ! ゴーレム自体は雑魚敵に過ぎない! 囲まれない様に注意して内円側に寄るんだ!」

 

 

 あまりの事態に浮足立ちかけたが、それを制止したのはディアベルだった。

 

 彼は湧いたゴーレムが《ラスティ・ゴーレム》という名の、いわゆる雑魚敵であることを見抜いた。その上でフロア全域を見渡し、模様が光り輝く内円には一体も出現していないこと把握し、内円を背にすることで前後から囲まれることは無いという判断を下した。

 

 現に、出現した際に思わずゴーレムたちを攻撃した者もいたが、ソードスキルを使わずとも倒せてしまっていた。故にこのゴーレムたちは雑魚敵であると同時に幾らか弱体化も受けている様だった。とにかく外円から弾き出すための、数の暴力ということになる。

 

 

「倒しても倒してもキリが無い!」

 

 

 そう言ったのは誰だったか。

 

 確かにこのゴーレムたちは非常に弱い。今この場に居るプレイヤーたちであれば、一切の苦戦をすることなく倒し続けることが出来るだろう。

 

 だが倒した傍から新しく出現し、事実上の無限湧き状態だった。そうなると11人しかいないレイドメンバーにとってはジリ貧にしかならず、ボスの攻撃が発生するエリアを背にしているというプレッシャーも重なることで、いつ誰がミスをするか読めなくなっていた。

 

 

「恐らくだガ、これはレイド用のトラップなんだろうナ。本当なら、油断して外側に突っ立っている奴を追い立てる為のものだったんだろうヨ」

 

「これなら、囲まれるのを嫌って内側に寄ってくるだろうってことですか!」

 

「そういうことダ!」

 

 

 アルゴの見解に紗夜が答えるも、あまり余裕は感じられなかった。

 

 幸い、紗夜の近くには日菜とアルゴが固まっていたのでゴーレムの攻撃を捌かなければならないという事態には陥らなかった。しかし弓を装備している以上、雑魚敵とはいえどもまともに攻撃をガードしたくはない。

 

 かといって不用意に下がりたくも無い。矢を放ち攻撃するも、その威力と連射性能を考慮すれば無限湧きが続く現状を最も苦しく感じているのは彼女だろう。ならば装備を変えるかという話になるが、ボスへの攻撃手段が限られている状態で自分まで防御に回るのは攻め手に欠けてしまうという危惧があった。

 

 

(我慢するしか無いわね……っ)

 

 

 遠距離攻撃の手段を持っていたことが功を奏していたはずなのに、それが一転して裏目になる。紗夜にとっては、踏んだり蹴ったりで我慢を強いられるものとなった。

 

 

「やむを得ないか……一旦内側の円に入るんだ! 模様を踏まないことを優先して、回避を心掛けろ! 万が一ターゲットサークルが出現したとしても焦らずに報告すること! そして互いにカバー出来る様に二人一組を作って補い合うんだ!」

 

 

 単体では相手にならずとも、数の暴力を前に余計なギミックを背後に抱えるのはリスクが大きすぎると想定したディアベルが一つの判断を下す。

 

 この大軍をどうにかする方法が浮かばない以上、フロアボスにダメージを与える機会が確保できないことも相まってか、青白い光を放つ模様を踏むかもしれないのを覚悟の上で飛ばした指示だった。この盤面におけるリーダーは彼だと位置づけている面々に反対する意見は出てこず、判断通りに最大限注意しながら円の内側へと足を踏み出していく。

 

 するとどういう訳か、ゴーレムたちは内側の模様のある側に侵入してくる気配を見せず、追い込まれる形になったプレイヤーたちを囲むような状態のまま静止し続けた。

 

 

「こっちはこっちで怖いけれど、それでも敵が来ないだけマシと思った方が良い?」

 

「どうやら外側部分はトラップの一環みたいだナ。同じくトラップ扱いのモンスターたちは入って来ない仕様になっているみたいダ。それでも、ずっと囲まれているのは恐怖でしかないヨ……」

 

「ベータの時に比べて部屋が広かったってのは、そういうことなんだろうな。外側そのものが罠なんだ。模様を踏む心配が無いからって必要以上に壁に寄ってると、囲まれて出てこれなくなるって寸法さ」

 

 

 動く模様を器用に躱しながらぼやくアスナと、そのエリア自体がトラップの一環であると結論を出したアルゴとキリト。その見解が今回の事態を正確に見抜いているという確信が一行の間に広がるのも束の間。

 

 完全に予想だにしない光景が、襲い掛かって来る。

 

 

「ってぇ! 石投げて来たぞアイツら!?」

 

 

 プレイヤーたちを囲む様にして静止していたゴーレムたちが、自らの身体の一部を剥いで大小様々な岩石を手に取り、投擲し始めた。後頭部に小さい石粒が当たったクラインが驚愕の声をあげるも、全方位から続けざまに飛んでくる攻撃をどうにかするので精一杯なせいで誰からも反応が返ってくることは無かった。

 

 元々弱体化を受けているゴーレムたちの攻撃力は高くない。投石を食らったとしても、まともに体力が減ることは無いだろう。

 

 問題はダメージ量よりも、今どこに立っているかということが重要だった。

 

 

「っ!? やべぇ、踏んじまった! 出てくるぞ!」

 

 

 巨体のせいで動きが鈍くなりがちなエギルが、投石に気を取られたせいで模様を踏んでしまいターゲットサークルを出現させてしまう。

 

 勿論、警戒そのものはきっちりしている。ターゲットサークルから次いで腕か足が姿を現そうが、直撃を貰うほど動きが制限されている訳ではない。

 

 現にエギルが原因となって空から降って来たフロアボスの足に踏まれた者は一人もいない。

 

 

「これずっと続くんですか!?」

 

「流石にっ、きつい……!」

 

 

 尤もな懸念を、リーテンが叫ぶ。彼女に並び立つシヴァタも苦悶の表情を浮かべていた。

 

 

「トラップだって言うなら、何か解除方法とか無いの!?」

 

「ベータの時は無かったんだぞ! 無茶言わないでくれっ!」

 

 

 アスナの愚痴をキリトが受け流すも、あまりの苦境に誰もがそう愚痴りたくなるのを否定しない。

 

 

「こうなったら階段に退避するしかっ」

 

「絶対駄目!」

 

「なんでだ!」

 

 

 この状況を打破できないと踏んだキリトが撤退を示唆する。が、その迷いは日菜によって即座に切り捨てられてしまう。

 

 年上相手に思わず口調がきつくなるのも構わずに問い返すが、軽い身のこなしを披露している日菜は気にした様子も無く告げる。

 

 

「さっきからフロアボスの姿が見えないし、何ならそこの階段の下から気配がする! こうやって追い詰められたプレイヤーが帰ろうとするのを、文字通り口を開けて待ってるんだよ!」

 

「じゃあどうするんだよ!」

 

「──こうするのさ」

 

 

 突然、全員の耳にするりと入り込んできた声。

 

 

 この窮地にあって冷静さを失わない胆力と、それを強引にでも成し遂げられるカリスマ性。その両方を携えたリーダーの声は、思いの外遠くから聞こえてきた。

 

 

「ディアベル!」

 

 

 キリトが叫んだ方向、その奥。内側では無く、外側の円の奥側。大量のゴーレムたちを超えた先。つまりは、このだだ広い円形部屋の壁際に立っている優男。

 

 

「お前、何を……っ」

 

「このままじゃ全滅は必至だ。誰かがこのギミックを解除しなければならないだろう」

 

「それは分かってる! 何でお前はそんなところにいるんだって聞いてるんだ!!」

 

 

 ゴーレムたちの攻勢は内側に向かって集中している。いつの間に移動していたのか、それらの背後を取る形で壁際に立っているディアベルにターゲットが向いている気配はない。

 

 ただしそこは、内側に人が居ればの話である。全員が外側に行こうものなら、まず間違いなく標的にされるだろう。

 

 

 そして現時点において安全地帯とも取れる位置に立っているレイドメンバーのリーダーが、何かを覚悟した様に儚い笑みを浮かべた。

 

 

「その答えは……このレバーさ」

 

 

 ディアベルが一行に対して背中を向け、何かに右手をかざす。その手が置かれた物体は、壁に立てかけられていた何らかのレバーだった。これ見よがしに配置されているスイッチの類に、彼はトラップが起動した段階でこれの存在に気が付いていたのだ。

 

 同時に、これがギミック解除の鍵でもあり、ある種の罠であることも察していた。

 

 これを他人任せにすることは出来ない。リーダーとしての役割を放棄することになったとしても、自分以外の誰かが犠牲になることは嫌だ。そういう信念のもと、既に彼は行動していた。

 

 

「いや待テ! それを下げればトラップは解除されるだろうヨ! だがディアベル、お前さんはどうするんダ!」

 

 

 ダンジョンや迷宮区を正当に攻略しようとした際に、あれと同等のレバーによって指定の扉を開閉させることを知っていたアルゴは、確かにアレならば事態を解決出来るだろうと思い至る。

 

 同時に、あのレバーによって行われる開閉は床が抜けるという代物だ。現状から見ても抜けるのは、外円部分だろうというのは誰もが分かる事である。

 

 だが内円がおよそ半径25mのサイズならば、外円は倍の半径50mだ。つまり壁と内円との距離はこれまた差し引き25mに該当する。

 

 その25mを、レバーを下げた後に、落下していくゴーレムたちの合間を縫って、筋力値に多く割り振っているビルドのプレイヤーが一瞬で戻ってくる。とても実現出来るとは思えない、死の宣告に等しいものだった。

 

 

「大丈夫さ。落ちたところで死ぬ訳じゃない。落ちるんだから、また何処からか上がってこれるさ」

 

「それは希望的観測って言うんダ!」

 

「誰かがやらなければっ! どの道、このまま全滅だろう……?」

 

 

 震えた声で叫ぶディアベルに対し、遂にアルゴは二の句が告げなくなる。

 

 投石の対処に余裕の無い面々は、今しがた誰かが模様を踏み抜いたせいで出現した腕に気を取られている。

 

 

「後のことは……頼んだ」

 

「「ディアベル!!」」

 

 

 彼を除く10人に残された猶予が少ないことを見て取ったディアベルが、彼を看取る形になっているキリトとアルゴに向けて言葉を残し、未来を託していく。

 

 それを見ていることしか出来ない二人の声が、むなしく響き渡る。

 

 

 ──ガコン

 

 

 最初はディアベルがレバーを下げる無機質な音が拡がっていった。

 

 

 その次に、先程まで存在していた外円部分の床が消滅し、底の見えない真っ暗な空間が出現した。

 

 

 そして最後に、その底なしの暗闇に吸い込まれるようにして、無数のゴーレムたちが露と消えていく。

 

 

 

 逃げ場を無くした、一人の男を伴って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──ああ、オレは死ぬんだな。

 

 

 

 レバーを下げ、足場が消失したことで発生した浮遊感を覚えた瞬間、他人事の様に己の死を悟った。

 

 

 本当なら、皆と共にボスに打ち勝ち、二つに分かたれてしまったALSとDKBを一つにしなければならなかった。その役目は、自分に課されたものだった。

 

 

 一度は逸って、皆を率いるリーダーとして失格の烙印を押した。でも1か月足らずの期間とはいえ、こんな状況下で同じ時を過ごした仲間たちがどうなっているのか、気にならない訳がなかった。

 

 

 結局、自らの姿を晒すことが怖かったオレはシヴァタとリーテンの助力を得て、女々しくも最前線の動向を追い続けた。二大ギルドと呼ばれるようになっても、何だかんだ均衡が保たれて結果的に上手くいっていると知れて嬉しかったし、同時に自分自身の存在価値を問われた様で寂しくもあった。

 

 

 そんな折にシヴァタから聞いた話だけど、サヨさんとヒナさんの双子が、二大ギルドが先走らない様に事実上の楔を打ち込んでくれたらしい。第一層フロアボス攻略の時に迷惑をかけてしまった二人が、これから先のことを考えてだろうけど見捨てないでくれているというのは陰ながらに心強かった。

 

 

 ギルドには属してないが、ベータの時から名を馳せていたキリトさんやそのお仲間さんたちも奮戦しているという。あの場で他者を叱咤出来ていたエギルさんの様な大人もいるというのだから、そう簡単に攻略組が瓦解するということもないだろう。

 

 

 

 そう思っていた自分を嘲笑う様にして思い出されたギルドフラッグの存在が無ければ、表舞台に戻る必要性も無かったんだ。

 

 

 

 アレは駄目だ。二大ギルドの均衡をいとも簡単に崩壊させてしまう。ましてや情報を流してくれる二人によれば、内外問わず争いを煽動する者もいるという。上手く立ち回っているのか、誰が主犯なのか特定出来ていないのも厳しい。

 

 

 このままでは、今の状況を弄んでいる何者かのいいようにされてしまう。それを見て見ぬフリする程、まだ落ちぶれてはいないと自分自身を信じたかった。

 

 

 アルゴさんに協力を要請し、彼女の伝手を使って抜け駆けの抜け駆けに付き合ってくれるメンバーを集める。あの双子と顔を合わせるには少しだけ意気地が足りなかったけど、過去から顔を背けることは終わりにしなければならない。

 

 

 自信が無くてラストアタックボーナスを取りに行った、弱い頃の自分とはお別れする必要がある。

 

 

 方々に頭を下げ、覚悟を示し、先頭に立つ。あの時に比べて、少しだけ心に余裕を持てた気がした。

 

 

 だからだろうか。ボス戦の最中、ギミックとトラップの板挟みに苦しむ状況にあって、自分でも分からないほど冷静で広い視野を持てていたからこそ、その存在に気が付けたということだろうか。

 

 

 無尽蔵に湧き続けるゴーレムたちの奥に、異様なオーラを放つレバーを見つけた時……自分の首に死神の鎌がかけられた気分になった。

 

 

 何と言うか、最早直感としか呼べない感覚だった。それを認識した時、同時に死を身近に感じた。理屈じゃなくて、ポツンと不自然に用意された物が死に直結する代物であると脳が理解した。

 

 

 だが死を悟ったおかげか、そのレバーがどういう現象を引き起こすかも把握出来た。なるほど、一人を犠牲にすることで他を救う、そういう意地の悪い手法なのか。こちらを見下してくるくらいには意地悪なフロアボスに相応しいギミックだろう。反吐が出る。

 

 

 とはいえ、ある意味では救済措置でもあるのだろう。この状況を打破する術そのものは用意されているのだから、まだギリギリ親切設計なのかもしれない。

 

 

 

(いや、それはないか)

 

 

 

 本当に親切なら、犠牲者を出すことなくクリアできる様にしてくれるだろう。そうじゃない時点で、SAOを作った茅場晶彦は性格が悪いと思う。もしかしたら、今後も似たような形でプレイヤーの犠牲を強いるギミックが存在するのだろうか。

 

 

 今回の役は、自分が引き受けられる。だが次はどうだろうか。誰がその立場に置かれてしまうのだろうか。

 

 

 勝手な話だが、出来る事ならあの双子ではあって欲しくない。あの二人を引き裂く様な事態には、なるべきではない。

 

 

 あの二人は、攻略組における光明だ。純粋な強さだけじゃない、誰かを奮い立たせる指標になりうる存在だ。

 

 

 現にオレはあの二人がいなければもっと早くに死んでいたし、生きていたとしても立ち上がろうとすることはなかっただろう。キリトさんたちも心なしか、年上で同等以上の強さを誇る彼女たちをアテにしている節があるし、情報屋を営んでいるアルゴさんも気心知れた仲ということもあってか、この世界において最も信を置いてる様に見える。

 

 

 二大ギルドとタメを張っている点も含めて、とにかくあの二人は攻略組や最前線の中心に立っている。今のところはゲームそのものに対する経験が不足しているせいで後れを取っている部分もあるが、それでも勝負強さに関しては群を抜いているとすら思える。

 

 

 そうでなきゃ、あのコボルトの王が振り下ろしてくる野太刀に対して空中で正確無比なパリィを行うなど、出来るとは思えない。

 

 

 きっとあの二人は、いわゆる()()()()()()なんだろう。であるならば、一度は失ったも同然のこの命、あの二人の為に使うのが道理のはずだ。

 

 

 この命でこの窮地を脱し、延いてはあの二人を救う。それこそが、この場にオレが立っている意味だと信じて。

 

 

 

「「ディアベル!!」」

 

 

 

 すまない、キリトさん、アルゴさん。オレに向かって叫んでくれるけど、もう出来ることは無いんだ。

 

 

 ああ、これで少しは礎になれただろうか。誰かの為に行動できる、強い人間になれただろうか。

 

 

 自信が欲しかった自分から、少しは脱却出来ただろうか。

 

 

 これで……未来に託せただろうか。

 

 

 皆が仲良くSAOから解放される姿を見れないことだけが、心残りかな。

 

 

 

(さようなら、皆。願わくは、向こう(あの世)で会わないことを祈るよ)

 

 

 

 死ぬのは怖く無いけど、これで本当に良かったんだよな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良い訳ないでしょう!」

 

「諦めるには、まだ早いよ!」

 

 

 

 

 

 








○フロアボスの部屋

道路標識の駐車禁止や駐停車禁止のマークを思い出してください。アレの斜線やバツ線を取り除くと、内側が青く塗りつぶされた円で、その外側が赤く塗りつぶされた部分が残りますよね。今回で当てはめると青い部分が内円で、赤い部分が外円に該当します。これで少しはイメージしやすいかと……

で、部屋の広さに関してですが詳細なサイズが調べても出てこなかったので、レイド人数48人が過不足なく動けるってどれくらいかなってのがパッと浮かばなかったのもあり、とりあえず内円半径25mにしました。直径にすると50mになるので、50m走で使ったトラックを回転させて出来た円のサイズになります。まあこれだけあればステータスで強化入ってるプレイヤーたちが動き回ってもぶつからないかなぁって

余談ですが、50m走で早い人は5〜6秒台とか叩き出すわけですけど、SAOIFのゲーム内で第五層ボス戦の部屋を端から端まで実際に移動してみたら大体5〜6秒になったのでこれ幸いと採用したんですよね。IFの操作キャラって基本モーションからして走ってるので、偶然の一致もあってこうしました。もし広すぎたら後で調整します……


○外円部の存在

普通はないし、IFにもない。ただIFにおいてディアベルが命懸けでゴーレムたちを道連れにする際、フロアボスの部屋に別の小部屋が用意されてた上に、そこまで誘導しといて脱出できない位置や構造ってのがよく分からなかったので改変しました

二重丸◎の二つの円に囲まれた部分(ドーナツの可食部)にゴーレムが無限湧きした上で、内側の円に逃げ込んだプレイヤーたちに威力はともかく大量の石を投げまくって模様回避の邪魔をしてくるという形にし、それをどうにかしたければ犠牲者を一人払いなさいというトラップのために増設しました

なお、このトラップに関しては「一定時間、内円部にプレイヤーが存在しない」かつ「フロアボスの体力ゲージが○本目に移行する」という条件で発動する様になるというペナルティみたいな設定だと想定してます。遠距離攻撃を持ってるとヌルゲーになりかねないための措置ということになります。そう簡単に楽させてはもらえないということで


○落下ダメージ

高い所から落ちる際、距離や速度に応じてダメージを受ける仕様。自分から降りてきちんと着地出来れば平気ではある

SAOサービス開始直後、デスゲームだと判明するよりも先に、第一層の端っこから飛び降りたプレイヤーがいたとか。残念ながらその人は無限に落下していき、最終的にはシステムの壁と激突した際の落下ダメージでお亡くなりなった、なんて話があった気がする。少し違うかもしれないが。

この落下ダメージという仕様自体はずっと存在しているが、プレイヤーのステータスが上がるごとに着地が容易になっていったせいで出番が減っていく


○ターゲットサークル

もう一つSAOでの仕様の話。主にボスが特殊な攻撃をする際に特定のプレイヤーに狙いをつけると、つけられた側に出現する赤い模様。目玉にも見えるとのことだが、これが出てると攻撃対象になってしまってるので冷や汗ものである。多分だがピンポイント攻撃に対する救済措置みたいなものか、ゲームっぽいという理由の仕様か、そんなところ

IFをそのまま参照するなら、この赤いサークルは徐々に閉じていって、やがて青いサークルに変化する。この赤から青へ変化した瞬間にステップを踏むと回避判定になるものの、タイミングを間違ったりして回避に失敗すると確定で被弾してしまう

回避云々がどうなってるのか分かりづらいので、本作では「お前狙われてるぞ」って知らせてくれるもの程度の認識でオーケーです


〇諦めないで──

SAOIFでシナリオを読んでると、そこそこの頻度でコハルが「諦めない!」ってセリフを言ってくれるんですよね。やけに耳に残ってたので、日菜に似たようなことを言わせてみようとは最初から考えてたりしてました。演技の感じも近いので脳内再生が余裕というやつです

ディアベルに関しては第一層での件があるもんで、ちょっと自罰的で死にたがりな側面が強いんですよねぇ。それもあってIFだとここで退場してしまう彼ですが……


○ここまでの流れ

フロアボスの部屋に入るも薄暗く、よく分からないので固まって待機

侵入者を検知したフロアボスが内円部の模様を起動。一瞬だけ光が通り、ギミックが一度だけ起動。嫌な予感がした紗夜を筆頭に3名は回避、1名だけ反応が遅れてしまい攻撃を受ける羽目に

空中に放り出されたシヴァタをキャッチ。腕に捕まると落下ダメージを警戒させられる事態に

フロアボスが顔を覗かせる。キリトがβテストの時と名前が違うことを確認

模様を踏むと腕と足が出現するというギミックを理解する

模様が内円にしか無い事に気がついた一行は外円部に退避。ここからフロアボスに対して、紗夜の弓矢と日菜の投擲スキルという遠距離攻撃による一方的な展開が起きる

弱点ばかり攻撃されるのを嫌ったボスが顔を部屋の何処かに移動させるが、部屋全体に迸る電気信号の乱れから日菜が位置を特定し、先回りしつつ攻勢が続行。フロアボスの体力ゲージが一本無くなる

ボスが咆哮して防御ダウンデバフを付与。同時にトラップが発動し、ディアベルを除くプレイヤーたちは内円部に追いやられる

足下の不規則に動く模様と、飛んでくる岩石とに挟まれてしまう。これを打破するために、外円部のギミックを解除するべくディアベルが犠牲になろうとする←今ココ


○サブタイトルについて

ガルパ内イベントにおいて、さよひな回の際にカバー楽曲として実装されたという経緯があります。この楽曲元の作品も双子がテーマになってましたから、そういう繋がりだったのでしょう。歌詞の内容もさよひなに該当してる部分がありますし、実にナイスなタイミングだった訳です

気になる方は『ふたつ星のアンサンブル』で検索してみてください。このイベストが5年ちょっと前とか信じられないんですけど……



後編は明日投稿です


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