夜を日に継ぐ 作:百三十二
まさか前話から今話投稿までの間にSAOIF本編でディアベル復帰とか予想出来るはずないじゃないですかー。ま、まぁ、今作に影響は無いと思うので多分大丈夫です……
今回みたいな話って書いたこと無くてこれで良いのか微妙なんですが、第五層における本命的な話になります。この話をすることで、いよいよもってフェアリィダンス編の先とはおさらばになるかと
どの道、今作はSAO原作4巻までで終了予定です。特に9巻以降とかはキリトだからこその物語だと思いますので、クロスオーバーとしては4巻までで完結させます
「お? ……よく分かってねーんだガ、とりあえずは大丈夫だってことで良いんだよナ?」
「そーそー。しんどいのは変わらないけど、ちゃんと意識はあるよー」
あたしが目覚めたことに気がついたのかネズちゃんが近寄ってきたので、まだ鈍い頭で思考しつつも会話に興じていく。
「突然サヨがお前さんの名前を叫んだかと思えば、なりふり構わず抱きかかえていった挙げ句に戦線離脱の宣言だゾ? 傍から見てる分にはさっぱりなんだが、その様子を見るに相当ヤバかったんだナ……」
「あはは……現実世界の身体がどうなってるかとか、あまり知りたくないかも」
「冗談、じゃ無さそうだナ……。ま、無事ならそれでいいんだガ」
やっぱりネズちゃん、あの時からあたしたちのことをかなり気にかけてくれてるよね。戦力的な話もあるんだろうけど、βテスト時代からの付き合いってのもあって良い関係が築けてる様で嬉しいかな。
まぁでも、本当にやらなきゃいけないのはこの後のことなんだけどさ。
「日菜、いけそう?」
「何とかね。もう少しおねーちゃんの温もりを堪能出来たら頑張れる」
「そう……なら、やるわよ」
「りょーかい」
おお、いつにも増しておねーちゃんが優しい。この手の冗談を言うと照れ隠しされるか怒られるかなんだけど、あたしのことを気遣ってくれてるせいか膝の上からどかそうとしてこない。これはもしかしなくても役得という奴なのでは?
って言っても、どの道この態勢から動かない方がより効果的だってのがあるからなんだろうけど。あたしの状態を見て作戦の決行を宣言したおねーちゃんの言葉に頷き、程よく鍛え上げられているであろうしなやかな太ももに頭を預けたまま目を伏せる。
「そういう訳ですので。アルゴさん、皆さんを集めていただけますか?」
「何がどういう訳なのか分かんねーガ、それくらいならお安い御用だヨ」
おねーちゃんに頼まれたネズちゃんが歓喜に湧く皆に声をかけていき、何事かという表情を携えた他の8人が近寄ってくる。
皆から労りの言葉を受け取りつつ、動けないという体のあたしに代わっておねーちゃんが説明を始める。
「まだ何かあるのか?」
「はい。むしろ、ある意味ではこれからが本番ですよ……特にディアベルさん」
「オレが関係しているのか……」
全員の視線が、床に座り込むおねーちゃんへと集まる。アスナちゃんなんかはおねーちゃんが正座する姿勢の良さに感心している様だったけど、一先ずは代表してキリトくんが訊ねて来た。
それを受けておねーちゃんは神妙に頷いて、ディアベルさんを名指しする。
「《ギルドフラッグ》は手に入れました。ラストアタックは……どちらが?」
「俺だよ。ほら」
まずは肝心のアイテムが入手出来ていることを確認する。状況からしてキリトくんかアスナちゃんのどっちかだとは思ってたけど、流石のゲーマー魂なのか手に入れてたのはキリトくんの方だった。アスナちゃんが微妙に膨れっ面だから、ラストアタックの取り合いに競り負けて少し悔しかったんだろう。
提示されたアイテムがβテスト時代のものと相違ないことをネズちゃんやディアベルさんにも確認してもらい、確証を得る。これでディアベルさんがALSとDKBを統一するのに必要な手土産が揃った。
後は邪魔してくるであろう膿を取り除かなきゃならない。その為に必要なことを今からやる。
既に種は蒔いてある。向こうが尻尾を出す様に誘導して、捕まえる。
「これを理由にして、ディアベルさんには二大ギルドの統一を果たしてもらいます。その為に戦ったのですから、今更拒否なんてしませんよね?」
「ああ、勿論だ。二度も助けられた命、三度目の正直でもある。今度こそ、最後まで果たして見せるよ、絶対に」
宣誓みたいなその言葉に嘘はない。ディアベルさんが言った通り、今度こそ覚悟が決まったみたいだ。
だったら、躊躇う理由は無い。おねーちゃんの双眸の奥がキラリと光って、告げる。
「今回、私たちの最終目的は二大ギルドの統一です。その為の鍵は三つ。『ギルドフラッグ』と『ディアベルさんの意思』、そして……それを『妨害してくる者の排除』です」
「オイオイ……随分と穏やかじゃねぇな」
かなり棘のある言い方に皆がぎょっとする。おねーちゃんの口から堂々と『誰かを排除する』なんて言葉が出てくると思ってなかったんだろう。でもおねーちゃん、徹底する時は本当に強い口調になるから、実際はそんな珍しいことでも無いんだよね。
ただそれは、おねーちゃんのことをよく知ってるあたしだから分かる事。そうじゃない人たちからすれば、クラインさんの様なちょっと引き気味の態度にもなる。
「二大ギルドの中に対立を煽る不届き者が紛れ込んでいます。クラインさんが知らないのも無理はありませんが、過去にはこの者の手によって危機的な場面もありました。ですがその者が誰なのか、私たちは既に目星をつけています」
そこで初めて、皆の間に明確な動揺が走る。
そりゃそうだよ。今はっきりと、二大ギルドの中に悪者がいて、その人に当たりをつけているって言ったんだから。
「嬢ちゃんたち、そんなにアイツらのこと気にかけてたのかよ。オレぁてっきり、あんなことがあったんで見切りつけてる方だと思ってたくらいなんだが」
「あんなことがあったからですよ」
第一層の時を思い返してかエギルさんがそう言うので、おねーちゃんが断言する。
「あんな出来事、対象が私たちでなくても二度と御免です。その為にも……」
そう。皆で手を取り合って頑張らなきゃいけないのに、誰かを吊るし上げて糾弾するなんてことは絶対にあっちゃいけない。
あの時はあたしがブチ切れて、おねーちゃんも毅然として言い返せるだけの理由を持ち合わせていた。
でもそうじゃなくて、今度こそ退路を断たれる形で別の誰かが罠にかけられたら? その人をきっかけに、攻略組に亀裂が走って崩壊するきっかけにならないなんて保証は?
向こうはそのきっかけが欲しくて、虎視眈々とその機会を狙っているはず。でも二大ギルドの統一だってなれば、こっちの結束が強くなってそれも難しくなっていく一方だろう。
だとしたら、それを利用するまで。統一を阻止しようと馬脚を露した所で、相手にボロを出させる。
「皆さんには、一芝居打ってもらいます」
さぁ、反撃開始だよ。あたしたちは黙ってやられる程、お行儀なんて良くないんだよね。
☆
「「ディアベルはん(さん)!!」」
第五層フロアボスの部屋に、慌ただしい音がやって来る。激しい足音を隠そうともせずに階段を上って来るなり、ALSとDKBの攻略メンバーたちが続々と姿を現していった。
それぞれのギルドの先頭に立っていたキバオウとリンドの二人は、そこにいると思っていなかったかつてのリーダーの名を叫ぶ。入り口側に背中を向けてはいるものの、尊敬してやまない相手の姿を見間違えるはずもない。第一層の頃から二大ギルドに所属しており、一度でもディアベルの指揮下にいたことがあるプレイヤーたちが俄かに色めき立つ。
あの時、誰もが彼の苦悩を把握出来なかった。それでも再び目の前に出てきてくれたということは、もしかするのではないか。そう期待を抱く者が多数いるという事実が、彼の求心力を窺わせる。
「久しぶりだね、二人とも。あれから皆には迷惑をかけてしまったけど、またやり直そうと思ってね。その為の手土産まで用意したんだ」
振り返り、感慨深そうに宣う蒼髪の優男。その右手に握られ地面に突き立てられているものは、紛れもなくこの階層のフロアボスのラストアタックボーナスである《ギルドフラッグ》であり、二大ギルドが欲してやまなかった代物だった。
何故この場に彼が立っていて、それを有しているのか。これで察しがつかない程、二大ギルドの面々は愚かでは無い。
「ここにいる奴らが、手助けしてくれたん言うんです?」
信じられないものを見る様に、キバオウを始めとした面々がフロアを見渡す。
そこにあった光景は、リーダーを除いて僅か9名しか存在しないプレイヤーたちの、死屍累々とした姿だった。
二大ギルドが敵対心を向けているソロプレイヤーのキリトですら胡坐をかいて項垂れており、そこに元気は全くない。第一層の時に喝を入れられて以来苦手意識のある者もいるエギルに至っては、もう一人の男性プレイヤーと一緒になって大の字状態で床に寝転がっている。
極めつけは、いまいち頭の上がらない双子の姉妹だ。遠目に見る分には判別しにくいが、妹が力尽きた様にして頭を姉の膝に預けており、その上で動く気配が全くない。消滅していないことから生きていることは分かるが、果たして無事と言って良いのか判断に困る状況だった。
その他にもディアベル以外の面々は悉くが弱り切っており、この場で行われていた激戦の後を思わせるものだった。
「リーテン! お前なんでそこにおるんや!?」
「シヴァタもだ! 見ないと思ったらここにいたのか!」
この中にあって二人のリーダーが特に目を付けたのが、それぞれのギルドに所属しているはずのリーテンとシヴァタの姿だった。二人の問いかけに答える気力が無いのか、こちらも動く気配がない。
「オレが頼んだんだ。二人には色々と手伝ってもらったんだよ。君たちがこの《ギルドフラッグ》の件で抜け駆けを考えていたり、他の皆と足並みを揃えようとしなかったことも教えてもらっている」
「うっ……」
「それは……」
そんな二人を庇う様にしてディアベルが一歩前に出る。自分は知っているんだぞということをアピールしつつ、危うく勇み足を踏みそうになっていたキバオウとリンドは気まずそうな態度を取った。
それもそのはずである。二人がALS及びDKBを発足させたのは、ディアベルの意思を継ごうと思ってのことだ。しかしながら相手を出し抜こうとして無茶を強いるやり方を、当の彼が許可するはずがない。
つまり二人は彼の意思を継ぐと志しておきながら、彼に背いてしまったのだ。目の前の力を欲するあまり、見失ってはいけないものを忘れていたという本末転倒な有り様だったのだから。
「だからここにいる人たちに協力をお願いして、君たちよりも先に《ギルドフラッグ》を入手することを決意したんだ。君たちも分かっているんだろう? これが二大ギルドの均衡を崩してしまうものだって」
「せやかてディアベルはん。それがあまりにも強力過ぎるんわ分かっとるんでしょう?」
「それを有効活用しないという選択肢は、オレたちにはありません」
しかし攻略組を担うギルドの長として、二人は頑として譲らなかった。ここで簡単に曲げてしまう様では、一軍を率いる将として良くも悪くも器が小さいことになってしまう。だからここは形だけでも抗議するのが、比較的丸い。
それを理解しているディアベルは、自分がいなかった間にギルドを率いるリーダーとしての自覚が鍛え上げられている事実を嬉しく思った。それ故に頭ごなしに否定することもなく、意図を汲んだ上で語っていく。
「その言い分は尤もだよ。これを利用しないなんて、それこそ考えられない。でも効果を得られるのはどちらか一方のみ。そこに絶対的な格差が生まれることは必然だ」
「最悪の場合、第三者に預けておいて交互に使用するというのは?」
折衷案をリンドが述べるも、ディアベルはあまりいい顔をしなかった。
「短期的には悪くない案だよ。しかし長期的に見たら、問題を先延ばししただけだ。結局は爆弾を未来に預けるという、不透明で無責任な形になってしまう」
「せやったら、ディアベルはんに何かええ案でもあるんですかい?」
勿体ぶるディアベルに対して、遂にキバオウが核心をつく。
その言葉を待っていたと言わんばかりにディアベルはパンッと手を叩いて仕切り直し、改めて全員の注目を集める。
「二大ギルドを統一する。そうすれば、《ギルドフラッグ》の恩恵を最大限受けられる。それじゃ駄目かな?」
トールバーナでの攻略会議の時よりも決意に満ちた台詞は、二大ギルドの間に大きな反響を呼んだ。
良い案だと賛同する者、今更仲良くできるかと否定する者、いきなりの提案に理解が追い付かない者など様々だった。
「それはディアベルはんがリーダーやってくれるっちゅうことかいな?」
「仮にベストな判断だとしても、そう簡単には首を縦に振れない」
リーダーの二人としても、ここにきて毅然とした態度を取って対峙する。憧れの存在から、対話すべき相手として同じ土俵に上がったのだ。
かつて二人が姉妹に言った、攻略組としてのメンツやブランドというものは易々と傷つけられて良いものでは無い。大きく名を馳せるからこそ、それを拠り所にしている人たちが少なからずいるからだ。その人らを裏切らない為にも、張り続けるべき意地と、通すべき筋がある。
「分かってる。だから──」
無論ディアベルとてそれが分からない人間ではない。彼が今ここですべきなのは、意地を曲げさせるだけのメリットと、通さなけばならない筋だ。
前者は《ギルドフラッグ》である程度は納得させることが出来る。だが彼が通す必要のある筋とは、一つしかない。
「みんな……あの時逃げ出してすまなかった……!」
彼は、再起を誓った男は、旗槍を地面に伏せると共に床へ頭を擦り付けて土下座した。
「一度は投げ出した身。なのに、皆のことを忘れられなかった……見捨てられなかったんだ! 最前線のことなんて忘れて過ごせれば、どんなに楽だったことか! 惨めな自分なんかいない方が良い、そう思っていたんだ!」
心の底からの慟哭。あの時見た、自信を求めていた彼の姿よりも遥かに小さくて、情けない姿。
「でも無理だった! こんな世界で苦楽を共にした皆のことが忘れられなかった! 逃げ出さないだけの勇気がオレにあればと散々後悔もした! だからっ!」
恥も外聞も無い、悲痛な叫び。だがこうまで己を擲ち、全てを曝け出しているからこそ人々の心に響いていく。
あの人が、懺悔でもするかのごとく赤裸々に話している。裏も無く、自分たちに訴えかけている。
その事実が、どうしようもなく、彼らの心情を揺さぶっていく。
「許してくれとは言わない! だけどお願いだっ、もう一度オレにチャンスを与えて欲しい! 頼む……ッ!」
最初は、彼のその覚悟に押されて誰一人反応することが出来なかった。
そうして生まれた冷たい空気は、彼の言葉が届かなかったのかと思ってしまうくらいだった。
「顔あげてくれんか、ディアベルはん」
「あなたのそんな姿、似合っていませんよ」
だがキバオウとリンドの二人だけは、それを受け入れて見せる。
自分たちからも歩み寄る様にして踏み出していき、膝をついて視線を合わせていく。
「あん時、ディアベルはんが苦しんどったのを知らんかったワイらも悪かったんや」
「だからこそ、二度とあなたの様な人を出すまいと、それぞれの信条を掲げて立ち上がったんです」
「せやけどリーダーになって初めて、その苦悩が分かった。こりゃワイらには荷が重いねんってな」
「それもあって心の底では、あなたが復帰してくれることを願ってたんです。密かに期待していたから、二大ギルドは喧嘩しつつも致命的な敵対を避けてきた」
今度は二人が語りかけ、ディアベルのことを待望していたと言う。
更には彼と同じように膝をついて頭を下げ、土下座の形を取る。
「それに謝るんわ、ワイらの方もや。ディアベルはんに頼り切るんやなく、お互いに支え合うべきやったんや」
「すみません、ディアベルさん。やっぱりオレたちにはあなたが必要なんです。今度はオレたちも手伝いますから、またリーダーやってくれませんか?」
「キバオウ……リンド……」
「えらい情けない話やけど、これくらいがワイらにはちょうどええんかもな」
「腹を割って話し合うって、こんな感じなんだろうか?」
「いや……流石にここまではしないと思うよ……っ!」
おどけてみせる二人を見て、遂にディアベルの涙腺が決壊する。
受け入れて貰えるだけでなく、彼と同じように二人も彼のことを思っていてくれた。
彼にはまだ、帰るべき場所が残されていたのだ。それを二人が守り続けていてくれた。
「ありがとう……オレ、頑張るよ……二人も協力、して欲しい……っ」
「勿論や」
「当然です」
「本当に……ありがとう……っ!」
「「っ!」」
自分を慕ってくれる人がいる。その事実を改めて目の当たりにし、ディアベルはかつてない程に温かい気持ちになった。
そして念願のリーダーが帰還を果たし、自分たちを頼りにしてくれるという言葉を胸に刻み、釣られて涙を流すキバオウとリンド。肩の荷が少しだけ下りて、今度はそれを分かち合うことになる。
道は長く険しく、残りは九十五層も存在している。
それでも、ここで流した涙は無駄にならない。今度こそディアベルが二人を助け、二人がディアベルを助ける。
三人のやり取りと、その会話に込められた想いに感化されたプレイヤーたちは困惑から感動へと表情を変えていった。そして二大ギルドの統一という一大事件に対して前向きに考える者が多数を占めていった。
肯定派は元より、否定派と中立派も彼らの心境に触れたことで、敵対心や対抗心よりもお互いに協力し合って分かち合っていくべきだという方向性に固まりつつあった。ディアベルのことを知らない者でさえ、ここまでリーダーとして率いてきたキバオウとリンドのことを想えば、実に肯定的である。
この場にいない二大ギルドに所属している他のプレイヤーたちに関しては、後で説得していくことになるだろう。自分たちがいがみ合ってる場合ではなく、手を取り合わなければならないのだと伝えていかなければならない。
きっとそれは、三人が誠意を込めて一人一人回っていくことになるだろう。しばらくは攻略ペースが落ちるだろうが、それでも自分たちで説明していく必要がある。既に三人はそうする決意を固めていた。
これにて二大ギルドの統一も果たされ、《ギルドフラッグ》の恩恵を最大限活かすこと出来て、プレイヤーの間に亀裂が走ることも無くなる。全てが上手く行き、これからも良くなっていく。誰もがそう信じていた。
──それを快く思わない、それでは困る一人のプレイヤーを除いて
「おかしいっすよ……おかしいですよキバさん!」
話がまとまりつつあった場に、抗議の声が上がる。
「ジョー……おまえ……」
「なんでそんな簡単に受け入れてるんですか!? 今更DKBの連中と仲良くしろって言われても、はいそうですかって納得できるはずありませんよ! そもそも、向こうと競う様に煽って来たのはキバさんじゃないすか!」
ジョーと呼ばれた男の言葉に覚えがあるのか、バツが悪そうに視線を逸らすキバオウだった。
それを見て勢いづいたのか、ジョーの演説はヒートアップしていく。
「自分たちには自分たちのやり方があって、それに共感したからALSに加入したやつだって大勢いるんすよ!? それをキバさんたちの判断で全部無かったことにしちゃうんですか!? それこそ、そこの人を知らないやつの方が多いまでありますよ! 大体──」
彼の視線は、未だに惨状と化しているディアベルの協力者たちへと向けられている。
「自分の為に、あっちの人たちを使い潰してるんですよ!? 何から何まで自分勝手過ぎるじゃないですか! それなのにどうしてそんなっ」
「ジョー! それ以上は……っ」
「いいえ黙りませんよ。今回ばかりは納得できません! お前らもそうだろ!? そんな簡単に迎合しちまって良いのかよ!」
悲しそうに下を向くキバオウの制止を振り切り、なおも言い募ろうとするジョー。
そのあまりにも堂々とした物言いは、場の空気に流されがちなプレイヤーたちの耳にするりと入っていく。
彼らの表情が少しずつ懐疑的なものになっていき、中にはそうだと怒りをみせる者まで現れかけた。
自分の言ってることは正しいと、そう思わせることが出来つつある。形成は覆せる、二大ギルドの統一などさせるものか。
上手くやれる。これであの人に褒めて貰える。ジョーという男は、腹の中でほくそ笑んだ。
「はーい、そこまでだヨ。大人しくしろってナ」
──それこそが罠であるとも知らず、彼は既に飛んで火にいる夏の虫と化していたというのに。
☆
ジョーと呼ばれた男の演説が最高潮を迎えるかという頃合い。そこに水を差す形で彼の背後から声が上がり、その身体に何処かで見たような《浮き輪》を被せていった。
「……は? なんだよこれ!?」
さっきまで自分のペースに持っていける流れだったにも拘らず、突如として謎の浮き輪を装着させられたジョーは驚愕の声をあげる。この不可解な出来事を為した張本人と言えば、分かりやすく彼を煽る様にして姿をくらましてしまう。
「間抜けは見つかったってことだヨ。お前さんという間抜けが、ナ」
いつの間にジョーの背後を取っていたのか、そもそもどうやって二大ギルドの中に紛れ込んでいたのか。それらを思案するよりも先に、少しだけ我にかえった彼は浮き輪を外そうと輪っかに手をかける。アルゴの挑発のせいで数秒だけ思考を割かれたが、外すだけなら数秒もかからないだろうというのもあった。
しかしこれこそが、抵抗されたくないから両手を使わせたかったという思惑に、まんまとハマる形になるとも知らずに。
「今ッ!」
ジョーが浮き輪に手をかける瞬間、この光景を見ていた紗夜が合図を叫ぶ。
すると彼女の膝枕の上でぐったりとしていたはずの日菜が飛び起き、何事かと反応が遅れる面々の視界から消えるレベルの速度で駆け出していき、背後からジョーの首筋に短剣をかざした。
「なっ!?」
自身の首に刃物が付きつけられ、反射的に身構えてしまうジョー。背後の日菜に気を取られている間に、後から駆け付けた紗夜の片手直剣をへその辺りに突きつけられてしまう。
前門の姉、後門の妹。ジョーの動きを制限する様にして刃物を向ける姉妹に、何も知らない者たちが言葉を失っていく。
「チェックメイトですよ、扇動者さん」
「大人しくしてよね。少しでも逃げる素振りを見せたら痛い目にあってもらうから」
ともすれば人を殺しかねない、正真正銘の殺気を滾らせる姉妹に対してジョーは戦慄してしまう。
だが自分が何をしたと言うのか、それを前面に押し出して抗議を試みようとするも
「ではお二方、事前にお渡ししたロープで拘束をお願いします」
「おう。しっかしくたびれた演技ってのも案外きちいもんだな」
「任せな。オレなんてじっとしてるのが苦手で欠伸出そうになってたぜ……」
紗夜が機先を制して声をかけ、演技が辛かったとこぼすエギルとクラインの二人が何事も無かったかの様にして立ち上がり、インベントリからロープを取り出しつつ近寄ってくる。
この瞬間、ジョーは逃げられないことを悟った。あのロープで拘束されてしまえば、残るは口論で勝つしかない。
こんなところでお縄になるのは不味い。絶対に避けてみせる。そう意気込む彼とは裏腹に両手は背中側で拘束され、足首も縛られて床に転がされた上で屈強な男性二人に押さえつけられてしまう。
「一体何だって言うんすかっ!」
「残念や、ジョー。あんさんがそうやとは、思いたく無かったんやけどな」
「キバ……さん……?」
せめて口論にもって行こうとするジョーを制する様にして言葉をかけたのは、他でもない彼が所属しているALSのリーダーであるキバオウだった。
そこで初めてジョーは周囲を見渡してみる。自分と同じヒラでしかないプレイヤーたちは何が何やらという雰囲気だったが、最初からこの場にいたディアベルとその協力者たち、そしてキバオウとリンドたちからの視線は実に冷ややかだった。
「実はワイとリンドはんはな、ここに来るん前にディアベルはんからメールで教わってたんよ。もしその通りになったらそうだと認めて欲しいってな」
「君は最初から目をつけられていたんだよ。そして今、君が二大ギルドを煽動して亀裂を入れようとしていた主犯であることも証明されたんだ」
最後まで信じたかったのか、キバオウの口調はやるせないものだった。事実ジョーが声を荒げた時、キバオウは信じたくないものを見てしまったと言わんばかりに落胆していたのだ。
こうして予め告げられていた通りになってしまった以上は、一人の律すべき立場の人間としてジョーを捕縛しなければならない。渋々賛成していたキバオウは、この事実を前にして決心した。
リンドから決定的な一言が告げられ、事態の推移に置いて行かれ気味だったプレイヤーたちの理解が少しずつ追いついていく。そうして把握した時、例外なく驚きを以て拘束されているジョーから距離を取っていった。
「目をつけられていたって、どういうっ」
「だからさ、『三度目は無い』って言ったよね?」
冷たく、鋭く、絶対に許さないという意志が込められた言葉の刃が閃く。
第一層フロアボス攻略後に見せた怒りを、被告人を見下しながら日菜が再び発露させた。
「一回目。第一層でボスを倒した後に、ディアベルさんを助けたおねーちゃんが何故か糾弾される流れになった時。最初に聞こえてきたのは、キミの声だった」
握った拳を前に突き出し、分かりやすい様に人差し指を突き立てる。
「二回目。第三層の迷宮区前であたしたちとそこのリーダーさんたちが形だけでも和解しとこうって時に、冗談じゃ無いって食って掛かろうとしてあたしに制されたのもキミだった。その時に次は無いって忠告したんだけど、気が付かなかったみたいだね」
中指を立て、どうしようもないものを見るかのごとく視線が細くなっていく。
「そしてついさっき、三回目。せっかく話がまとまりそうだったのに、態々二大ギルドの統一を阻止しようとして声を上げる。今回に至っては邪魔しようとしたのはキミだけ。しかも現行犯」
薬指が立てられ、罪状が揃う。
「もう逃がさないよ。二大ギルドを内部から崩壊させようと暗躍していたんだろうけど、これからって時にキミは不穏分子過ぎるからね。何かにつけて邪魔してくるであろうキミは、ここでサヨナラだよ」
「お前に何の権利があるって言うんだ!」
ジョーの抵抗に、更に呆れ果てていく日菜。
「まだ気づかないの? このことはディアベルさんを始め、既にキバオウさんとリンドさんに許可を貰ってるんだよ? そこにみすみす飛び込んできたのはキミの方なんだって。そんなことも分からないの?」
「なんだとっ!?」
「あたしたちだけが把握していたところで、キミを排除するにはちゃんと確認を取らなきゃ駄目だったからね。態々二度も芝居を打った甲斐はあったけどさ」
「二度も……? 一度目は……」
「和解しようって時に、一々茶々入れる程お子様じゃないんだけどなぁ。ああいう態度を取れば釣れるかなって思ったけど、期待通りだったね」
お前が馬鹿で助かった。言外にそう込められた日菜の嘲りにジョーの表情が赤く染まっていき、怒りと羞恥で暴れようとするも筋力値で負けている相手二人から抑え込まれてしまい、為す術なく消沈していく。
エギルは元より、暗躍の為か戦闘よりも行動力を重視して敏捷値に割いているジョーではクラインにすら筋力値で劣っている。自分は安全なところから眺めているのを楽しむつもりだったのか、いざ対峙した時のことを甘く見ていた節があったということだ。
実際、暗躍を通り越して奇襲や暗殺を徹底すれば、その性格とステータス振りが活かされることもあっただろう。だが何もかもが未だ未熟な段階でそれを実行することも、その為のバックも万全ではない。
黒ポンチョの男に心酔し、攻略組の内部情報を探ると共に混乱をプレゼントする。慎重な行動を心掛けていれば違ったのだろうが、細かいところは上手く行っても大事な場面で阻止されてしまう。
このままではヘッドに見放されてしまう。その焦りが生んだ結末を、ジョーは受け入れようとはしない。
何故なら、仮にここで捕縛されたとしても、その後をどうするのかが不透明だからだ。
もし彼の拘束を維持するために人員を割くというのであれば、それはそれで僅かながら攻略組に面倒を与えることが出来る。それを嫌って始末しようとすれば、正義の為に殺人を犯したという一生残る傷跡を刻むことになる。
「ククク……ハハハハハハハ!」
完全に失敗した訳では無い。どちらに転んでも得するのは自分であり、向こうに正解は無い。ダメージの大小が違うだけで、最低限は役目を果たせる。
そう考えているジョーは高らかに笑い、本性を表す。
「はー、マジでこうなっちまうとはねェ。でも良いのかなァ? オレを捕まえたところで何処に監禁するんですかァ? まさか永遠に見張ってる訳にもいかねーよなァ!?」
圧倒的不利な状況にあって気丈に振舞う姿に、不気味なものを見る視線が集まる。
この余裕は何処から来ているんだ。何か策でもあるのか。それに彼の言う通り、誰がその役割を押し付けられるのか。
拘束して、それでどうする? 攻略という方向性に舵を切っているプレイヤーたちからすれば、何ら良い案が浮かぶはずも無い。
どうなっても自分は勝利者だ。そう信じてやまない悪者に、憐れみの視線を向け続ける日菜。
いや、彼女だけでなく、事情を知る者たち全員から同様の視線が向けられている。
「あー? 何なんですかぁその目はァ!?」
この世界に警察などという便利な存在は用意されていない。ましてや罪人を捉えて裁判する場所も確認されていない。
「ないよ! 牢屋ないよォ!! ここは現実じゃないんだよォ! そんな都合の良いモンがある訳──」
「──ある、と言ったらどうかね?」
しかし、その台詞が最後まで紡がれることは無い。
ここまで静観を決め込んでいたヒースクリフがジョーの声に被せる形で、彼にとって致命的な事実を告げにかかる。
「あァ……?」
「君を囚えておくことの出来る牢屋がある、と言った」
「ハァ? んなもん聞いたことないんですけどォ」
「《黒鉄宮》──名前くらいは聞いたことあるだろう。その奥、プレイヤーたちの名前が刻まれている石碑が鎮座する、更にその奥に牢屋がある」
「奥だァ? そんなもん最初っから無かったはずだろォ!」
「追加されたんだヨ。プレイヤーたちの攻略段階に応じて、《黒鉄宮》の奥は段階的に解放されル。そういうシステムになってるみたいなんダ」
ヒースクリフの話に、アルゴが付け加える。情報屋として名が通っている彼女が牢屋の存在を肯定したということは、この話の信憑性が大いに増したということに他ならない。
二の句が告げなくなったジョーの表情が、少しずつ青ざめていく。なおも追い打ちをかける様にして、ヒースクリフは語り続ける。
「私が攻略組に参加する様になったのは第三層からになる。それまでは一人さすらう様にして、第一層を練り歩いていてね。その時に《黒鉄宮》の拡張に気が付いたし、こんなものまで見つけることが出来た」
そう言って彼はインベントリを開き、一つのアイテムを取り出す。
そのアイテムが彼の手に顕現した時、正体を知る者たちから驚きの声が漏れていく。
「《
βテスト出身者であれば、彼が持つ青く四角い立方体を見ただけで興奮してしまうことだろう。
何故なら今しがた《結晶》と呼ばれたアイテムは、その用途によって前後するものの非常にレアで高価な存在だからだ。
回復は勿論のこと、記録や転移といったものまで存在している。宣言と共に結晶を割れば即座に効果が発揮される為、その希少性から緊急時での使用が主となっている。
βテスト時でさえ、これらの発見はテスト期間の終盤もいいところ。エルフクエスト関連での報酬にあるかどうかと言った程度であった。
当然、現段階においてお目にかかれる代物ではない。可能性としてはベータの時には存在しなかった隠しボスのドロップか、迷宮区の宝箱からの獲得では無いかと囁かれていたくらいだ。
それを、その非常に希少なアイテムの存在が確実なものになったという事実が、これから先のことを考慮すれば計り知れない価値を持っていることが分からない者はいない。
「皆が何やら揉めている間にだが、第二層の迷宮区にて宝箱から入手した物になる」
「第二層……強化詐欺の一件でわちゃわちゃしてたから、探索が甘くなっていたのか」
何処で入手したのかを開示すると、当時起きていた事件のせいで探索しきれていない部分があった可能性を憂慮するキリト。何となく嘘をついているかどうかが分かる日菜でさえ反応しないのだから、ヒースクリフの証言がより真実味を帯びていく。
「その結晶がなんだってんだよ!」
「一口に《結晶》って言ってもいくつか種類が存在していてナ、用途も違ければ価値と値段も当然変化スル。その中で現状、最も希少だと言われてるのガ……ヒースクリフが持っている《
ただでさえ《結晶》というだけでもレアなのに、ここに来て確認されている中では最もヤバい代物であると紹介され、プレイヤーたちの間には最早悲鳴すら上がっていた。
「コイツの使い方だけどナ? 転移したい場所を先に記録しておいて、それから任意の場所で『コリドーオープン』って宣言すれば良イ。そうすれば《結晶》が使える限り、好きな場所から記録した場所へと転移出来るって寸法ダ。別に存在してる《転移結晶》との違いは、任意の場所を転移先に指定できることだヨ」
「そして今、この《回廊結晶》には《黒鉄宮》の牢屋の中を指定してある。つまりはこれを割ることで、君を護送する必要も無く直接牢屋に閉じ込めることが出来るのだよ」
「そ、そんな訳がっ!」
「我々の言ってることが事実かどうかは、ご自分の目で確かめて貰うとしよう──コリドーオープン」
淡々としたヒースクリフの物言いを受けて、徐々に自身が置かれている状況を把握していくジョー。《結晶》というアイテム一つで彼の優位性が全て失われてしまい、ようやく焦りが見え始める。
だが時すでに遅しという奴であり、喚き散らす彼のことを壮年の男性は全くもって意に介すことなく、むしろゴミでも見るかの様な冷たい視線を向けたまま《回廊結晶》の使用を宣言する。
すると青く四角い立方体が眩い光を放ち、プレイヤーたちの前に空間が歪んだ場所が発生する。ゲーム好きであればこの歪みを『ポータル』と呼ぶことだろう。
「や、やめろ! オレをつれていくなァ!!」
抵抗らしい抵抗も出来ず、エギルとクラインの二人によってポータルの前まで強制連行されるジョー。
事情を知っている者たちは最初からこうなる未来が分かっていた為、言い募る彼に対して憐憫の眼差しを向けていたのだ。
そして予想通り、牢屋行きを悟った悪者が醜く叫ぶあまりにも無様な姿が視界に映し出されている。
悪事を働く者の末路など見るに堪えないものだろう。しかし各々はこの光景から目を逸らすことなく、最後まで見届けていく。
ある種、これは反面教師として一つの教訓となるからだ。そして同じ様なことをした場合、ポータルの前で滑稽な姿を晒している人間が自分になる。その上で皆から侮蔑の眼差しを向けられ、牢屋の中で一人無為な時間を過ごすことに。
自分はああはなるまい、なってはならない。そして自分たちの手で疑似的な断罪を行った責任からも逃げない。ジョーという人間を吊るし上げるきっかけを作った姉妹を筆頭に、今回の件を知る者たちは皆そう誓った。
「うわあああああああああああああ!!」
最終的にはエギルに背中をどつかれ、断末魔の悲鳴と共にポータルへと吸い込まれていくジョー。そして彼が転移したのが確定するとポータルが閉じて空間の歪みが直り、役目を終えた《結晶》が砕け散っていった。
「……終わったわね」
一人の人間を炙り出し、牢屋へと叩き込む。出来る事なら起きて欲しくはなかった事態が収まり、無言の空気が漂っていく。
その空気を破る様に紗夜が言葉を発したことで、高まっていた緊張が一気に弛緩していく。
「じゃ、次の階層に行こっか、おねーちゃん」
さっきまでの態度など何処へやら。いつも通りの雰囲気を取り戻した日菜が無邪気に姉を誘う。
「では、私たちは先に失礼します」
そして第一層の時と同じように、後のことは大人たちに任せて第六層に向けて歩き出す姉妹。
ただしあの時と違うのは、任せた大人たちへの信頼度が違うということだろう。何せ涙を流してまで和解したのだから、二大ギルドが睨みあいを利かせるという事態も終わるはずだ。
後は当事者たちの話し合いと、事情を知らない人たちの理解を得るための説得が始まる。攻略ペースは少し落ちるだろうが、未来への投資と考えれば悪くない停滞と言える。
──12月31日。あと幾ばくも無く新年を迎えるという頃合い。
デスゲーム開始からおよそ二ヶ月が経過した、攻略序盤における大きな節目の出来事だった。
という訳でよく見かける様になった断罪イベントでした。ちゃんと出来てるか不安ですが、とりあえずこれでいきます
あと前話ラストにて紗夜が良い感じの雰囲気出してましたが、何も悩みや問題が解決した訳ではなくて、日菜の死を身近に感じたことで「命あっての物種、生きているからこそ喧嘩も出来るし悩みもする」という結論に至ったという、ある意味では悟りを開いた様な状態です。という補足を入れるのを忘れてました申し訳ありません……
では、以下いつもの
〇三人のリーダーの和解
キバオウとリンドがディアベルのことを悪く思っていたことは無いが、リーダーとしての苦労を味わったからこその歩み寄りである。これ以降、攻略組に一つの大きなギルドが誕生し、一人のリーダーと二人のサブリーダーによって導かれていくことになる。腹を割って話し合うことの大事さを痛感したプレイヤーたちでもある
なお、統一された後のギルドの名称が思いついていない。何処からか持ってこれたら良いのだろうけど、無難に『アインクラッド義勇軍』とかになりそう
〇ジョーこと後の『ジョニー・ブラック』、捕縛
アニメで声優さんの熱演が話題になった人物でもある、原作において黒ポンチョの男の片腕を務めていた暗殺向きのプレイヤー。ちゃんと公式でキリトがビーター呼ばわりされる様になった元凶にして、今作では姉妹(特に日菜)によって色々と阻止されてきた不穏分子
かなり早期の段階で牢屋行きとなったことでキルスコアも無いが、これによって現実世界でキリトが彼の毒にやられるという事態に発展しなくなった。よってアリシゼーション編以降とは完全に分岐したことになります
〇ブチ切れ過ぎて冷ややかな日菜
姉を糾弾しようとした元凶が相手なので、完膚なきまでに潰す気満々だったりする。終わった後の無邪気な姿は、ちゃんと制裁を与えられたことですっきりしているから
〇黒鉄宮の奥、牢屋解禁
もっと奥にダンジョンがあったりと、攻略度合いに応じて新しい要素が解禁されていくシステムになっている。独自設定で牢屋もこの中に混ぜることにした
こういう、進行具合によって前のマップや施設に新要素が追加されるというのはゲームあるあるなのだが、ジョーを含めたオレンジプレイヤーたちのほとんどはゲーマーに該当しないので、前の層に戻って探索するという行為をする訳もなく。当然、この手の追加要素を知ってる訳もない
後日、ちゃんと収容されていることをアルゴが確認しにいった
〇《結晶》
超レアアイテム。危険区域の宝箱やレアモンスター、隠しボスのドロップ及び特定のクエストの報酬でしか手に入らない高級品。今回登場したのは《回廊結晶》だが、他にも特定の街に帰還する《転移結晶》やポーションと違って即時回復される《回復結晶》等、色々存在している
《回復結晶》でさえもそれなりに貴重なものであり、普段はポーションで済ませて緊急時にこれを使用するという方向性になっていく。あと《転移結晶》は一つにつき一人しか効果を得られないが、《回廊結晶》はポータルが開いている間であれば複数人が移動できるという違いもある。当然、その分だけ値段は高い。ちなみに転移と回廊は青く、回復は赤い色をしている。解毒といった状態異常に効くのもあるらしいが、実物が分からない……
ヒースクリフはこういった時の為にちゃんと自分で入手してきているという、彼なりのルールに則った律儀な側面を見せている
〇一つの因縁の終わり
姉妹から黒ポンチョの男に向けた事実上の宣戦布告である。尤も、これで黒ポンチョの男が出向くかと言われれば……彼の狡猾さは、そんな並大抵のものでは無い
後のことは大人たちに任せて姉妹はさっさと去る。この場に居合わせ続けても新しく発足するであろうギルドに幅利かせるつもりなんてないし、そうさせるつもりもないのでギルド運用に関しては完全にノータッチという態度を取る
実はジョーを断罪する際にキリト、アスナ、リーテン、シヴァタの出番が無かったのは、推定で子供だと分かっている面々に極力罪悪感を持たせない為の大人たちによる措置です。姉妹は当事者ですし、アルゴはオネーサンなのでがっつり関わってます
最後は駆け足でしたが、これにて第五層は終了となります。何かおかしいってなったら後で直していくとことになるかと。閑話を投稿し、時間をいただいた後にエルフクエストの最後でもある第九層へと移ります