夜を日に継ぐ 作:百三十二
お久しぶりです。という訳で今回から第十層かつ新章突入となります
最初に語られてるエピソードは捏造ですのであしからず。原作にこんなシーンは2024.7/13現在ありません
在りし日の光景
──昔、あの誰にでも分け隔てなくて心優しいおねーちゃんが、たった一度だけ激怒したことがある。
もしかしたら本人は覚えていないかもしれないけど、それを見ていたあたしには二つの意味でどうしても忘れられない出来事だった。
小学生高学年の頃だったか、双子の姉妹はクラスを分けられ、授業の間だけでもおねーちゃんと離れ離れになるという感覚を知って久しい頃の話だ。当時のあたしは休み時間になるとおねーちゃんの所へよく出向いていて、クラスの子たちと話して時間を潰すということに意義を感じていなかった。
誰と話しても面白くないし、知らないことを教わっても興味を持てない。勉強の類で色々聞かれても、出来ないという感覚が分からなくて首を傾げる日々。そんなあたしの楽しみらしいことと言えば、おねーちゃんに引っ付いて真似をすることだった。
まだ小学生くらいの時の話だから、おねーちゃんに出来ることはあたしも出来ていたし、その逆であたしに出来たことはおねーちゃんにも出来ていた。あたしたちの間に差が無くて、性格くらいしか違いが無かった頃でもある。
そんなんだから、今使える言葉で例えるならば、あたしにとって同じレベルで物事を捉えられるのがおねーちゃんしかいなかった。おねーちゃんと同じことをこなしていくということはそれ即ち、何をするにしても最もレベルが高くて面白いと感じられる、あたし自身が満足出来るということだった。
おねーちゃんは優しいから、あたしがやって来るとお友だちを作った方が良いとは諭してくるけれど、決して拒むことはしなかった。そうしておねーちゃんを軸に行動していたら、いつしか同じクラスの子よりも隣のクラスの子とばかり仲良くなっていったのはちょっとした笑い話かもしれない。
「ひかわさんって
だからだろうか。クラスでグループ分けが行われても興味なさげにのらりくらりと躱していたある日、偶然同じ班に分けられた子からいきなりそんなことを言われて面食らったのは。
「へん?」
「へんだよ。いつもお姉さんにべったりだし」
「かぞくだよ。好きでおかしいの?」
「うちじゃなくて学校なんだから、クラスでなかよくしないと」
「別によくない? なかよくする理由がないし」
「いっしょに遊んだら楽しいとかないの?」
「おねーちゃんといる方が何倍も楽しい」
「そうなんだ……」
結局その時は、それ以上その子に問い質されることは無かった。あたしと仲良くなりたかったのか、客観的に見てもクラスで浮いていたあたしを気遣ったのかは分からないままだけど。とにかくその時はそういうやり取りをしたということを覚えてる。
「おいいもうとの方! お前、へんなんだってな!」
それからだ。クラスの子があたしに直接そういうことを言う様になったのは。
今にして思えば、クラスで浮いていたあたしという存在は、抜群の成績を残し続けていたこともあって高嶺の花みたいな風になっていたかもしれないと思い返せる。でも当時のあたしはそんなことにまで気が回らないから、こうして一々ちょっかいをかけてくる子たちのことを鬱陶しいとしか思っていなかった。
「どいてよ。通れないじゃん」
「へっ、大好きなおねーちゃんの所に行きたければおれたちをたおすんだな!」
その中でも一番記憶に残っているのは、廊下に出ようとすると教室の出入り口を複数の男子に塞がれたことだろうか。気になるあの子は意地悪してでも構いたくなるのが男子というお年頃、なんてのは知ったことじゃない。彩ちゃん辺りが聞いたら無駄に盛り上がりそうだけど、生憎とあたし自身に起きたとしても興味らしい興味は微塵も持てなかった。
「じゃあ、そうする」
同じクラスの子たちのはずなのに、邪魔をしてくるというだけでどうでもいい有象無象に思えてきたあたしは、売り言葉に買い言葉を現実にするべく実力行使に出た。男女の体格差が如実に表れる前だったから、素の身体能力に物言わせて男子たちを押しのけて教室を出ようとしたのだ。
見かけは普通サイズの女子がそんな物理的な力押しに出るとは思わなかったのか、邪魔してきた男子たちの驚いていた表情は今でも忘れていない。でも幼かったあたしは、自分の思い通りになると思っていた事象がそうはならなかった時に起こりうる、いわゆる子供の癇癪というものについての認識が浅かった。
「このっ!」
パチンッ
男子たちの中でもあたしに話しかけてきたリーダーっぽい子が、顔を真っ赤にしてあたしに手を上げようとしてきたのだ。大人であれば面子がどうとかそういう話になるんだろうけど、小学生であれば所詮子供の癇癪でしかない。
でも事実としてあたしはその男子に頬を叩かれた。痛くはあったけど、泣く様なものでもなかった。
「……気はすんだ?」
「あ……え……」
「通るね」
おねーちゃんとの時間が少しでも減るのが惜しいと思っててさっさと通りたかったあたしよりも、殴ってしまった側の方が遥かに動揺していた。多分、女子に手を上げたこととか無かったんだと思う。それが感情のままにやってしまい、自分自身に驚くしかなかったんだろう。
そうして硬直するしかない男子を無視して、ちょうど空いたスペースを通り抜けていき隣のクラスに向かった。
「あ、ひなちゃ…‥どうしたのそれ!?」
「え? あっ……」
そんな出来事の後におねーちゃんと会ったんだけど、これが失敗だった。この時のあたしは、叩かれた頬をそのままにしていた。だからおねーちゃんに赤くなった頬を見られてしまったのだ。
「……だれにやられたの?」
あたしを心配してくれるおねーちゃんに嬉しくなったけど、それ以上におねーちゃんの様子が何処かおかしかった。
両肩を掴む様にしてあたしに詰め寄り、誰に何をやられたのか、そもそもいじめに遭ってないかを入念に問い質してきた。これだけならただ心配してるだけに思えるけど、明らかに表情が違っていた。
その時のおねーちゃんは、間違いなく怒っていた。言うまでも無くあたしに手をあげた男子に向けて、あたしが怖いと思うくらいに怒り狂っていたのだ。
あたしが何か拙いことをするとおねーちゃんに叱られるということはあった。でもこれはそれらの比では無いくらい、そんな次元では済まないくらいの感情の発露だった。
それからのおねーちゃんは、正直思い出したくない。
後になって普段は温厚な人がキレるとおっかないなんて話を聞いた時には、思いっきり納得してしまったこともある。とにかくこの時のおねーちゃんの様子に隣のクラスの子たちが怯えちゃっていたし、報復でもしにいくのかってくらいの態度であたしの方のクラスに向かっていったのを止めることが出来なかった。
怒髪天を衝くとは正にこの事か。音を立てるレベルで勢いよく扉を開けたおねーちゃんは、教室の様子からあたしに手をあげた男子を即行で特定して一言も発さずに詰め寄っていった。
「な、なんだよ……」
その男子はおねーちゃんに無言で睨まれて怯えつつも、何とか言葉を返してはいた。でもおねーちゃんは一切の反応を見せずにただ睨みつける──もしかしたら蔑んでいたのかもれない。とても同学年の子に向けるものではない視線をぶつけ続けて、あまりの恐怖に男子が尻もちをついて泣き始めても見下し続けていた。
「────」
その子に対しておねーちゃんが何か言葉を発することは無かった。ただただ無言の圧力を押し付けて、その態度だけで教室の中において圧倒的存在感を放っていた。泣きながらごめんなさいと言われても無視して、絶対に許すことは無いという意思表示し続けていた。
「お、おねーちゃん!」
流石におかしい。そう思ったあたしはおねーちゃんに抱き着き、宥めようとした。でも何処にそんな力があるのか、引っ付くあたしを無視して微動だにしなかった。多少強引に教室の外へ連れ出そうとしても、全然叶わなかった。
他の子たちはおねーちゃんに畏怖しちゃって、誰も関わろうとしなかった。でも遠巻きに見ることはしていて、おねーちゃんから視線を外そうとしなかった。いや、きっと外せなかったんだろう。
その時のおねーちゃんは、とにかく他人と一線を画す存在になっていた。何とかしようと躍起になったあたしが正面に回り込んで後ろへ押そうとした際に見たおねーちゃんの瞳は、安らぎを与える若草色じゃなくて、全てを飲み込む深淵の様な、形容しがたい色になっていた気がした。
実際に色が変わるなんてことはないはずだけど、あたしにはそう見えた。今にして思えば、アレは合図なんだと分かる。
理性という名の鎖を振り切ってしまった、おねーちゃんにとっての100%を引き出しかけていた時の──
☆
──第十層。
βテスト時の最終到達フロアにして、ここの階層ボス以降は完全初見の未知のエリアである。このフロアを攻略するということは即ち、プレイヤーたちにとって大きな意味を持っていると言える。
なお、このフロアのテーマは《和風》であり、小江戸という表現がよく似合う造りとなっている。主街区は城下町となっていて、初めて足を踏み入れた者ならここがゲームであることを一瞬疑ってしまう様な景色だった。
「……先程までと比べて、どうにも落差が激しい光景ね」
足を踏み入れた3人の中で唯一このことを知らなかった紗夜がそう独り言ちる。βテストの時にこうだったと知っていた日菜は、そんな姉を見て少々苦笑いをしていた。彼女がβテストの時に第十層について知った時、同じ様な感想を持ったからだ。
「よっ、一日遅れで来たナ」
「アルゴさん」
「ネズちゃん」
圧倒されるとはまた違った様子だが、転移門を超えた先で立ち止まっていると前方からアルゴがやって来る。何か用事でもあるのか、この3人が来るのを待ち伏せしていたらしい。
「初めてここに来た奴らはほとんどサヨみたいな反応をするんだヨ。ファンタジーだと思ってたらいきなりこれだから、気持ちは痛いほど分かるケド」
「偶にはこういうのも悪くないと思うが?」
「そりゃアンタくらい大人なら、こういう突拍子もない変化に対する感情の起伏も控えめになるだろうヨ」
「そういう訳では無いのだが……」
不評という程ではないが、ヒースクリフからしてみればどうにもウケが弱いことが気になるらしい。アルゴに袖にされたせいか、少しだけ気落ちした様に見える。
そんな三十路の男を放っておきつつ、未成年女子3人の話題はもちろん攻略についてだった。
「一日で何かありましたか?」
「普通なら情報の対価を要求するところだが、お前さんたち相手は特別サービスにしておくヨ」
お得意様だからという雰囲気を醸し出すアルゴだったが、日菜が横槍を入れてしまう。
「ネズちゃんの方が貸し借り多いもんね」
「分かってて言うんじゃないよヒナ! オレっちも気にしてるんだからサ!」
「気にしてたんだ……」
情報屋として活動するアルゴからしてみれば、売る情報よりも売られるそれの方が多いというのはどうにも落ち着かない状態である。そういう訳でもつもりも無かったとて、何となく負けた気分になるからだ。
非戦闘員である自分がごりっごりの戦闘員に情報負けするというのが情けないと感じる、彼女なりのプライドの問題である。それを笠に着る相手では無いからこそ、余計に良心が痛むのだろう。
悪名高くもあるあの『鼠のアルゴ』の良心に関わる相手なぞ、片手で数える程しかいないだろうに。そのある意味では貴重な相手に、あまつさえ貸し借りの分量で負けているというのが彼女にとって耳の痛い話なのだ。
「日菜、失礼よ」
「はーい」
返せる時に返しておくというアルゴの心情を日菜が無自覚に抉ってしまう。紗夜が嗜めるも既に遅く、ブツブツと小声で呟きながら落ち込む鼠の姿が誕生した。
「日菜がすみません」
「っと、こっちこそ悪ぃナ。ヒナ相手はペースが掴めなくて、どうにも話が逸れちまウ」
紗夜が謝罪することでこちらの世界に戻って来たアルゴは、気を取り直して咳払いを一つ入れた。それから質問に答えるべく、お友だちとしての態度のまま述べ始める。
「一応フロアボス以外のことに関する情報はベータの時からあるにはあるからナ。攻略が滞ってるとかそういうのは無いヨ。出遅れた分はさっさと取り返さないとおいて行かれちまうのは、今まで通りダナ」
「ではベータからの変更点については、何かありましたか?」
「フロアボス関連っぽいクエストで、城主の娘が鍵になってる点カナ。ベータの時は依頼されるくらいだったから、明確に踏み込んだ話になったみたいダヨ。その辺はキー坊たちに任せてたりもするナ」
「では私たちは見落としが無いか、それを補完する形で動けば良さそうですね」
アルゴからの情報を受けて紗夜がそう答えると、提供者側が意外そうな表情を浮かべた。
「何ダ、後追いでも攻略に参加するかと思ってたゾ」
一番乗りにはならずとも、先行してるプレイヤーたちに追いつく勢いで攻略に乗り出すと思っていたアルゴがそう溢した。対する紗夜や聞き手に専念していた日菜に焦った様子はおろか、後追いする気すら感じられない。
どうやらこの第十層に関して姉妹はマイペースでのんびりと活動する気でいるらしい。それを悟ったアルゴは肩を竦めると、前のフロアまでの活躍ぶりからして姉妹に頼り切りなのも攻略組としては名折れだしなと納得する姿勢を見せた。
事実エルフクエスト絡みに関しては、主に紗夜が色々とかっさらっていったことで攻略組の大半を占める義勇軍の活躍を根こそぎ奪った形になる。自身が活躍したいという願望を持たない紗夜たちからしてみれば、ここらで一つ活躍を譲るという選択を取るのも悪くなかった。
実際、アルゴから姉妹が攻略を一日遅らせると聞かされた義勇軍に所属する者たちはこぞってチャンスだと意気込み、キリトとアスナでさえも負けず嫌いを発揮してハイペースな攻略をしている。これが未開拓フロアならともかく、ギリギリβテストでの到達域であることも相まって勇み足とまではならないで済んでいるというのも一助していた。特に変わりなくマイペースを貫いているのは、残りの面子だとエギルのパーティーくらいである。
姉妹にそのつもりはないが、利益や名声を独占してしまうのはよろしくない。あけすけな物言いになるが、最前線をひた走る者たちにとって名誉という頑張るだけの餌を定期的に与える必要があった。誰も言葉にはしないが、ラストアタック絡みも薄氷の上での取り決めと考えれば、これくらいの調整は気にかけるべきだろう。
後は攻略組におけるトップギルドの《アインクラッド義勇軍》に対して、ある程度の幅を利かせることが出来る小規模ギルドがもう少し誕生してくれれば完璧だろう。エギルの《ツーハンデッド・ビルダーズ》のみならず、将来的にはクラインの《風林火山》が台頭する可能性も十分あるが、それだけでは少し弱いと言わざるを得なかった。
ワンパーティー小規模ギルドではなく、義勇軍までとは行かずとも中規模以上の攻略ギルドが欲しい。これはディアベルらも懸念している事態である。
尤も、改善が為される前に崩壊してしまっては元も子もない。一先ずは今を頑張る者たちのモチベーションを維持する方が優先されるべきだろう。故に姉妹は、必要以上に攻略を焦るつもりが無かった。
自分たちだけで攻略出来る訳では無い。事は姉妹だけの問題では無いのだから、各所との人間関係を疎かにする訳にはいかない。アルゴの思っているよりも、主に紗夜はその辺のバランス感覚を気にかけていた。
「じゃあついでに、クエスト以外の事に関する情報も教えてやるヨ。お前さんたちにとっちゃ必要じゃないと思うけどナ」
「何かあったんですか?」
「あー、もしかしてネズちゃん」
「当然ヒナは知ってるよナ。まあサヨも知っておいて損は無いだろうヨ」
「?」
またしても蚊帳の外になる紗夜は、日菜とアルゴのやり取りからβテスト時に起因する何かだと当たりをつける。βテストプレイヤーかどうかは不明だが、この手の事にやたらと詳しいヒースクリフに視線を向けても目を伏せられるだけで、ちょっとした疎外感を覚えていた。
ただそんなことで拗ねても仕方が無いので、紗夜は大人しく受け入れることにした。
「第一層のフロアボスが武器を持ち替えたのは覚えてるよナ?」
「ええ。キリトさんが叫んでいましたが、確か《カタナ》と」
彼女が思い起こすのは、SAOにおける最初のフロアボス戦。体力ゲージ移行に伴う行動パターンの変化の際、βテスト時とは違う挙動をしてくるという強烈な印象を残したあの戦いについてだった。その際の違和感を真っ先に口にしたキリトが確かに言葉にしていた。カタナのソードスキルが来るぞ、と。
それの意味するところは、このSAOにおける武器カテゴリに《カタナ》が存在していることに他ならない。しかしこれまでのSAOのシステムにその様なカテゴリは発見されていない。
であれば、アルゴが伝えようとしているのは
「──何らかの条件を満たして《カタナ》カテゴリが解禁されたプレイヤーがいる」
「ご明察。話が早くて助かる様な、説明のしがいが無いようナ。まァ、そういうこっタ」
紗夜の推察に、正解だとアルゴが拍手する。
「ではその条件について探りを?」
「いんや? ベータの時もそうだったから一つ目の条件はハッキリしてるんダ。ここ第十層に到達するってだけなんだガ」
「だけでは無いのでしょう? 現に私は解禁されていませんので」
そう言いつつ自身のステータス画面から武器カテゴリ欄を閲覧していた紗夜は、アルゴにその続きを促す。
本当に話が早いなと半ば呆れつつ、情報屋としての彼女が本題を告げる。
「曲刀カテゴリの武器熟練度。それが一定値を超える、だと思ウ。シミター使いのリンドって覚えてるよナ?」
「ええ。元DKBのリーダー、でしたか」
「そいつも解禁されていたらしイ。尤も、リンドの奴はカタナに乗り換えるつもりは無さそうだったけどナ」
「大体どれくらい必要か、見当はついていて?」
「話を聞き回った感じだと最低でも500、つまりは上限値の半分ダ。もしかしたら600かもしれないケド、その辺りはまだ調査中だヨ」
腕を組んだまま紗夜を見上げるアルゴはそこまで話してからニヤリと笑い、だからと前置きした。
「ちょうどいい人材がいてナ。暇ならお前さんたちにはソイツの護衛を頼みたいんダ。もうすぐ武器熟練度が400に到達しそうな、都合の良い奴がナ」
「護衛が必要な方なんですか?」
「普段は最前線にいない奴だからナ。本人はやる気満々だケド、仲間を捨てる訳にもいかないから時間はかかるって話をしてたヨ」
アルゴの言い草に、会話をしていた紗夜のみならず傍観に徹していた日菜でさえもピンと来るものがあった。
鼠からの依頼として紹介されそうな人物に、心当たりがあったからだ。
「もしかして、その方は」
ある程度の確証をもって、紗夜はアルゴに訊ねた。
悪戯っ子の様に口角をあげている姿は、年相応以上の貫禄が板についている様に見えた。
「野武士面のアイツが、カタナと聞いて黙っていられなかったみたいダゼ」
姉妹の脳裏に浮かぶのは、第五層の時に出会った赤いバンダナをつけた年上の男性。
要するに、鼠の依頼は知人からのお願いだった。
〇小学生頃の姉妹
前書きでも述べましたが捏造です。原作ガルパに存在する幼い頃のエピソードはイベント『プリズマティックデュオ』周りで語られていたもののみであり、それこそ高校生になるまでの氷川姉妹の交友関係は中学生時期も含めて一切明かされていません
ここでは姉妹に決定的な亀裂が入る前の、まだ紗夜が日菜との差をそこまで重く捉えてない頃のイメージです。別に日菜は不愛想という訳ではありませんが、どうしてもおねーちゃんを優先してしまうので、クラスが分かれてすぐの頃は浮いてそうだなって思います
というよりこの捏造で重要なのは、幼い頃から日菜がどうしてか紗夜に執着しているという点です。それについては遠くない内に触れる予定です
〇第十層突入
モチーフは和風、小江戸で、日本の城と城下町が存在しているらしい。何をもって洋風の世界観に和風をぶち込んだのかは茅場晶彦にしか分からないが、ゲームというよりオタク的には「こういうの好きでしょう?」といった感覚なのかもしれない
出てくる敵は落ち武者や狛犬など、ちゃんと和風に沿っている。落ち武者に関しては恐らくだが後述する《カタナ》のソードスキルを使ってくるものと思われる、前の層までのエルフらに次ぐ人型の敵。もしかしたらゾンビ扱いだったりするかも
〇《カタナ》
分類上は《体術》や《瞑想》と同じく、特定の条件を満たすと発現、入手できる《エクストラスキル》の一種。まだこの時点では《カタナ》が《エクストラスキル》の仲間なのかどうか断言しきれないのでそうとは語られていないが、後に分類されるという体
条件は《曲刀》カテゴリの武器熟練度が一定値を超えることと、第十層に到達する事の二つ。この熟練度が幾つ必要なのかは媒体次第なところがあって詳細不明、今作では捏造するとだけ宣言しておきます
余談だが、SAOIFにはそもそも《曲刀》カテゴリが存在せず《片手直剣》に統一されている模様なので、その延長線でもある《カタナ》カテゴリを選択することは出来ない。設定上は存在してもプレイヤーが遊べないというだけの話で済むかと思いきや、これのせいで仲間NPCとして動く時のクラインは両手槍(恐らくは薙刀代わり)を装備しており、《カタナ》を装備出来ていなかったりする
なお、ちゃんとしたコンシューマーゲームであれば《カタナ》カテゴリは用意されているし、なんなら作品によっては最強なこともあったとか