夜を日に継ぐ   作:百三十二

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引き続き短めですが第十三層編です。閑話自体は次回で終わります


閑話 竦む足

 

 

 第十三層で出会ったユナさんとノーチラスさんの二人とパーティーを組み、その辺に湧く敵を手当たり次第に狩っていくこと約1時間。私と日菜はサポート寄りの立ち回りに徹し、その間にそれぞれの戦闘スタイルと実力について概ね把握することが出来た。

 

 ユナさんは日菜と同じで短剣を武器とし、奇襲を得意とする戦い方をしていた。普段は最前線はおろか下層でも戦いに明け暮れている訳ではないとのことで、どうしてもレベルやステータス差は如何ともし難かったが、懸念の割には無難に立ち回れていた様に思う。

 

 これを見ていた日菜がユナさんに《隠蔽》スキルを活用する事で奇襲の頻度や手数を増やすことが出来るとアドバイスし、元々の立ち回りを純粋に強化するものだったのか最前線で活動する分には問題無いくらい動けると断言出来るくらいになった。

 

 

 そしてノーチラスさんの方だが、こちらはこちらで問題が無い所の話では無かった。

 

 純粋に強い。そう言い切れるだけの戦闘力を、彼は既に有していたのだ。武器はキリトさんと同じ盾無し片手直剣で、戦闘スタイルそのものは非常にオーソドックスで無難なものだと言える。

 

 しかし彼の強さを象徴していたのは、その無難の中に見え隠れするスムーズな動作だろう。とにかく動きが滑らかなのだ。次の動作へ移る際の無駄が無く、ソードスキルの発動と硬直両方を可能な限り削ぎ落している。無意識なのかどうかは不明だが、特別な才能とは違う理論上に近い動きを彼はずっと実行していた。

 

 客観的に見て彼は既に最前線はおろかフロアボス戦に参加しても十分に戦えてしまうだろう。それどころか経験さえ積めればトップランカーに名を連ねることさえ簡単な気がする。彼が望むかどうかは分からないが、いずれ肩を並べる未来が容易に想像出来てしまう。

 

 

 それくらいノーチラスさんは、一般的なプレイヤーとは一線を画していた。

 

 

「やっぱり強いね、ノーくん」

 

「そりゃあ、頑張ったから。ユナの方も……その、戦えるんだね」

 

「私だってノーくんの力になりたいから。それなりに練習したんだよ?」

 

「うん、見たら分かった。まだおっかないけど」

 

「あ、ひどーい。そんな意地悪なこと言うんだ」

 

 

 一通りは試せたので、頃合いを見計らって休憩を取った。その際に二人がやり取りしていたが、どちらも小さく笑っていたことから蟠りも多少は解けたのかもしれない。

 

 あと残っている懸念事項と言えば、ノーチラスさんが戦う度に顔を強張らせていたことくらいだが……慣れない恐怖を押し殺している様な雰囲気を感じた。もっと言えば、私と同じく自分に自信が無い様な、少しだけ弱腰な気配だ。

 

 こればっかりは経験を積んで慣れるしかない。この時の私はまだ、そんなことを考えていた。

 

 

「痴話喧嘩はその辺にしておいてください」

 

 

 言いたいことを言い合えたからか、気が抜けかけている二人を軽く茶化しつつ会話の気を引く。調子の良さそうなユナさんの返事と、今のやり取りを他者に見られていたことが恥ずかしかったのかそっぽを向いてしまうノーチラスさん。

 

 そんな二人に向けて私は、とある提案をしてみた。

 

 

「ここまで戦えるのでしたら、一つボス戦も経験してみますか?」

 

 

 私の提案とは、現状の最前線であるフロアに出現するボスと戦ってみないかというものだった。

 

 雑魚敵であれば何ら問題は無い。しかしボスともなれば、戦える機会は思いの外限られていると言っても過言ではない。だというのに攻略組、それもフロントランナーともなれば階層ごとのフロアボスと戦うことになるのは必然である。

 

 常に最前線を走って来たプレイヤーたちであれば、ボス戦における経験も相応に豊富だ。しかし後から上がって来て合流する後発組は、フィールドに出現する隠しボスやダンジョンの終点に湧く固定ボスぐらいしか機会がない。それにこの手のボスはフロアボスよりも小型だったり、そこまで理不尽なギミックを要求されなかったりと大きな差もある。こればっかりは1パーティー6人で戦えるボスと、8パーティー48人で戦うことが想定されているフロアボスとの違いとも言える。

 

 とは言ったものの、ボスはボスだ。当然ながら強めに設定されているし、小規模ながらギミックが用意されているパターンもある。いつかフロアボスと戦うにしても、格上の小型ボスと戦っておいて損は無いはず。

 

 そしてその手の機会を比較的安全に得ようと思ったら、私たちの様な攻略組が出向いている時がベターだ。

 

 本当は義勇軍の様な大規模ギルドに入って、2軍3軍といった形で下層から順番に経験を積めるのが理想ではある。だがノーチラスさんの性格的にその様な大規模な組織に一人で入るというのは合わない気がしたのと、現状のユナさんを置いていく様な真似は絶対にしないだろう。仮にノーチラスさんがいずれかのギルドに加入する際は、ユナさんも同様にという形になるはずだ。

 

 

 それまでに二人が何処かに所属しているという姿を、あまり想像出来なかった。

 

 

「このエリアを《遠望の荒野》と呼称するそうですが、いずれかの集落に近づくとランダムでクエストが発生するらしいんです。そのクエストを受注する事が出来れば、この荒野の東端に存在する《灼岩の洞穴》というダンジョンの奥地にてボスが湧く、とのことです」

 

 

 私が告げると、少しばかり驚いた表情を見せる二人。その内、ユナさんの方が不思議そうに訊ねてくる。

 

 

「そんな情報、いつの間に手に入れたの?」

 

 

 このフロアが解禁されてまだ二日目である。だと言うのに、ランダム発生のクエストの情報が出回っているという状況にびっくりしているのだろう。

 

 最前線に来たことが無い人たちにとっては、この辺りの攻略スピードは見慣れないものだということか。こういった部分で攻略組と呼ばれる人たちとそうでない人たちの差を実感する様になったし、前者に私と日菜が含まれているという現実に何とも言えない気分になる。

 

 もしかすると下層の人たちから見た自分たちは憧れの存在であると同時に、得体の知れない別の何かだとでも思われているのだろうか。それくらい、最前線の攻略度合いというものは異常であるらしい。

 

 

「ああ、いえ。非常に優秀な情報屋の方がいますので、そちらから情報を買っておいたんです」

 

「実際には押し付けられたんだけどね~」

 

「「?」」

 

 

 あっけらかんと言い放つ日菜の言葉に、二人は首を傾げるだけだった。

 

 それもそのはず、優秀だと説明した情報屋から情報を買うのではなく、むしろ情報屋の方から貰っとけと押し付けられたなどと伝えようが無い。

 

 未だに気にしているのか、優秀な情報屋ことアルゴさんは何かにつけて私たちに情報を丸投げしてくる。お代を払おうとしようものなら鼠さながらの俊敏さで去ってしまうため、話題にすること自体が悪手だ。

 

 対価は対価だからと言おうものなら、既にそれ以上の返しきれない対価を貰ってるんダヨ! とキレられたこともある。以来、私と日菜に限ってはアルゴさんに代金を支払ったことは無い。その分お手伝いをしてるので十分な対価になっているはずだが、その度に彼女の表情が苦しくなっていく様を日菜がケタケタと笑う光景が日常になりつつあった。

 

 

 と言うのはさておき、クエストについて少々説明する必要があるだろう。

 

 

「発端は集落の住人が外出した先でモンスターの襲撃に遭って負傷したところを私たちプレイヤーが偶然居合わせる、というものです。普通であれば襲撃されても撃退することは可能だとのことですが、とある事情から住人たちは外出する際にも大した武装をしていません」

 

「それもこれも、全てはダンジョンの奥に住まうボス、《火蜥蜴の勇士》のせいです。《火蜥蜴の勇士》は度々この《遠望の荒野》に足を運んでは、武装している人々を狙って襲撃するを繰り返していました。どうやら自身の力を誇示する行為だそうで、これの被害に遭いたくない人々は極力狙われない様に武装を控える様になっていったそうです」

 

「その結果が《火蜥蜴の勇士》よりも弱いモンスターたちに後れを取ってしまうという悪循環でした。かくしてクエストを受けたプレイヤーたちはこの状況を打破する為に、住民たちに代わって《火蜥蜴の勇士》を討伐しに行く……という流れですね」

 

 

 実際、このクエストに難しい点は無い。一度受注できてしまえば、後は任意のタイミングでダンジョンに赴き、ボスを討伐するだけである。お手軽に挑戦できる、良心的なクエストだった。

 

 ただし一つだけ問題をあげるとすれば、それはボスである《火蜥蜴の勇士》が第十三層相応の純粋な強敵であるということだろうか。既に攻略済みらしい義勇軍の方々の感触的には、理不尽は強いられないけれど普通に強いから、ローテーションを組めれば良い練習相手になるレベルなのだとか。

 

 最前線をひた走るプレイヤーたちが良い練習相手になると言うのだから、中々に骨のある相手だとも言える。リザードマン系統の敵でもあるので人型に近く、色々な意味で練習になるだろう。

 

 

「何はともあれ物は試しです。無理そうであれば撤退すれば良いですし、早速ですが移動しましょう」

 

「はーい」

 

「……」

 

 

 私がそう締めると、ユナさんからは元気のいい返事が得られた。対するノーチラスさんは何処となく顔を強張らせているものの、何かを決意した様に首肯した。

 

 

 この時、何故彼が躊躇する姿勢を見せていたのか。問い質しておけば良かったと、後になって私は後悔することになる──

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 ──《灼岩の洞穴》。それは第十三層の東端に位置しているダンジョンであり、火山灰が積もった様な荒野とは打って変わって流れゆくマグマを身近に感じさせる空間となっている。このフロアに座している火山が非常に活発的であることを思い知らせてくれる、見た目上は非常に危険なエリアである。

 

 とはいえ、確保されている足場から極端に踏み外さなければマグマの海を泳ぐなどという羽目にはならない。熱された空気を肌で感じつつ、4人の進行は実にスムーズだった。

 

 登場する敵は溶岩で出来たゴーレム系かクラブ系、それから恐竜系である。ゴーレム系は表面が溶岩で覆われており、迂闊に接触攻撃をしようものなら火傷する勢いで熱さを感じてしまう事だろう。どういう原理かダメージそのものは普通に通るため、こちらは紗夜と日菜が遠距離攻撃で確実に仕留めていった。またクラブ系は要するに蟹であり、表面の硬い甲羅を狙わずに一度ひっくり返してから柔らかい胴体を攻撃することで撃破自体は容易である。明らかに発達している両手のハサミが危険とのことだが、紗夜が攻撃をガードして押し返すだけでひっくり返せるので問題は無かった。

 

 そしてボスの前哨戦とも言える恐竜系だが、こちらはリザードマンと言ってもディノサウルスを小さくした感じの敵であり、最早恐竜というよりは大型のトカゲみたいなものだった。ボスである《火蜥蜴の勇士》に比べて何か特筆すべき点があるということもなく、突進を躱して攻撃するだけで倒せてしまうという拍子抜けしがちなモンスターだった。

 

 

「開けた所に出ましたね……恐らくここにボスがいるはずですが」

 

 

 4人は順調な攻略でマグマに囲まれた地帯を抜けていき、そう時間をかけずに最奥の広間に辿り着く。

 

 相変わらずエリアの外側は灼熱しか見えないが、ボス戦用のエリアだけあって足場の余裕は十二分に用意されていた。余程大型の敵でも出てこない限りは、このエリアから突き出されてマグマに落ちるということは無さそうである。

 

 

「──来る」

 

 

 そんな算段を立てていると、不意に日菜が何かを感じ取る。それが敵の気配であると紗夜は悟り、身構えた姉妹を見てから遅れてユナとノーチラスも周囲を警戒し始める。

 

 

「上っ!」

 

「散開! お二人は隙を見て攻撃を狙ってください!」

 

 

 日菜の感覚は、ボスの接敵を一足早くかつ正しく察知する。洞窟の天井からすっ飛んでくる様にして、《火蜥蜴の勇士》が4人目がけて仕掛けてきたのだ。

 

 落下速度を乗せた急降下による一撃をまともに受けてはいけない。咄嗟に紗夜が散らばるように指示を飛ばし、彼女自身は強烈な衝撃と共に着地した《火蜥蜴の勇士》と正面から相対する。

 

 

 ──《Flame Lizard Warrior》と表示されたリザードマンは、両手にアルゴと同じ様なクロー系の装備をしており、軽快な動きを阻害しない程度に銀色の鎧を着こんでいた。背中には1対の翼が生えており、今しがた行われた急降下攻撃は初撃だけでなく、以降も仕掛けられることを示唆している。

 

 

「っ!」

 

 

 そんな有翼のリザードマンに対してヘイトを稼ぐべく紗夜が突撃する。鍵爪の様なクロー系の装備は目にしたことがあるので、そこまで初見という訳では無い。案の定《火蜥蜴の勇士》はクローでの近接格闘戦を得意としているのか、紗夜の仕掛けに対して簡単に乗って来た。

 

 

(腕試しの為に洞穴から出てくるという話だったから、好戦的かつ挑戦的な思考なのかしらね)

 

 

 自身の誘いに応じた《火蜥蜴の勇士》に対してちょっとした考察をする紗夜だったが、互いの間合いに入ったので戦いに集中していく。

 

 クローによる一撃ずつは大した威力ではなく、攻撃パターンを知らない紗夜でも盾で捌き切ることは出来た。しかしながらボスである以上は相応のステータスが設定されているという例に漏れず、この《火蜥蜴の勇士》に関して言えば息をつかせない連続攻撃を得意としている様で、防ぐことは出来ても反撃する余地が残されていなかった。

 

 そして時折混ぜられる両手による同時攻撃には強めのノックバック判定が存在しているのか、上手いこと立ち回らないとフィールドの端まで追いやられてしまいそうな気配を感じる。早々に優先順位を決めた紗夜は一切の反撃を諦め、ちょくちょく立ち位置を変えつつ防戦に徹していった。

 

 これが一対一の勝負であれば不味いかもしれないが、今は他に3人も仲間がいる。自身でダメージを稼ぐ必要が無いと即座に判断した紗夜の牙城が崩されることは、まず無いと言えた。

 

 

「おねーちゃんが引き受けてる間に、あたしたちは背中から攻撃するよ。ユナちゃん、さっき教えた通り《隠蔽》スキルを使って近づけば、攻撃を当てるまでは気が付かれないはずだよ。後は一撃離脱を心掛けて後退するの繰り返し!」

 

「うん、やってみる!」

 

 

 これはあくまでも二人に対する特訓である。その認識から日菜はユナにアドバイスを送り、攻撃の算段を伝授していた。日菜の指示を受けたユナは《火蜥蜴の勇士》の背後に回り込んで紗夜とは挟み撃ちの形を取り、《隠蔽》スキルを発動してから駆けていく。

 

 

「えいっ!」

 

 

 紗夜にばかり集中していた《火蜥蜴の勇士》は、突如として背中の翼を斬りつけられたことで驚愕の悲鳴をあげる。自慢の翼を傷つけられたことで怒り、下手人であるユナに目をつけようとするが

 

 

「そこっ!」

 

 

 紗夜がこの隙を逃すはずもなく、鎧の間を精密に通されてしまい明確なダメージを受けてしまう。

 

 つい反応してしまったのはユナによる奇襲だが、致命傷になりうる一撃を与えてきたのは紗夜の方である。よって《火蜥蜴の勇士》のヘイトが紗夜から逸れることは無く、きちんと離脱を心掛けていたユナは再び距離を取ることに成功した。

 

 

「ユナちゃんはこれを続けてね。こっちにヘイトが向きそうな気がしたらあたしが何とかするから、それまで好きなだけやってていいよ」

 

「私、良い感じに戦えてる!」

 

 

 きちんとした手順さえ踏めば格上相手でも立ち回る事が出来るというのを実感しているユナの表情は明るい。ボス戦に対する緊張よりも、自身が成長していることへの興奮が勝っている様だった。

 

 

「それじゃあノーチラス君の方は──ん?」

 

 

 ユナの方は大丈夫そうであると判断した日菜は、不意にもう一人の方へと視線を向けた。

 

 だが向けた先に佇むノーチラスの様子が何処となくおかしいことを一瞬で察し、何事かと駆け寄っていく。

 

 

「どうかしたの?」

 

「…………ぁ」

 

 

 日菜が声をかけてみるも、返って来た反応は微かなものである。かろうじて声は出るようだが、思う様に動けそうにないのは傍から見ても明白だった。

 

 恐怖で足が竦んでいるにしては彼の表情に怯えは見えない。むしろ焦りを感じる様な、尋常では無い彼の状態を如実に表しているくらいに青褪めていた。《火蜥蜴の勇士》のヘイトはこちらに向いていないと言うのに、蛇に睨まれた蛙並みの硬直具合だった。

 

 

(何かがおかしい!)

 

 

 理由は分からない。しかし異常ではあると認識した日菜の対応は迅速である。

 

 

「おねーちゃん作戦中止! 出来るだけ奥に追いやって!」

 

「っ!」

 

 

 まず《火蜥蜴の勇士》の攻撃を一手に引き受けている姉に緊急事態であることを報せ、その上で極力ノーチラスから引きはがして欲しいと要請する。妹の切羽詰まった声を聞いた紗夜は瞬時に作戦を切り替え、特訓よりもボスの討伐を優先する方針へと移行していく。

 

 

「ユナちゃんちょっとこっち来て!」

 

「ノーくん!?」

 

 

 次いで日菜はユナを呼び出し、簡潔に事情聴取を行う。姉が引き受けてくれているとはいえ、万が一が起こらないとは限らない。早く姉の援護に回りたい気持ちを抑えつつ、ノーチラスの状態に驚愕しているユナへと言葉を投げかけていく。

 

 

「固まっちゃってるんだけど何か知らない!?」

 

「全然! こんなノーくん初めて見るよ!」

 

「病気とかそういうの無いよね!?」

 

「そんな話聞いたことない!」

 

「じゃあとにかく移動! そっち持って!」

 

「う、うん!」

 

 

 矢継ぎ早に質問していき、結果何も分からなかった日菜はユナに指示を出してノーチラスを移動させようとした。二人がかりで何とか移動させることは出来たが、その際も彼の身体は完全に硬直してしまっており、マネキンでも運んでいる様な感覚に陥りかける二人だった。

 

 

「ユナちゃんはノーチラス君の傍に居てあげて。あたしはアレ倒してくるから」

 

「気をつけてね……?」

 

「大丈夫。あたしとおねーちゃんが負けるはずないよ」

 

 

 何とかノーチラスをフィールドの端まで寄せることが出来たことで、彼をユナに任せて戦線復帰していく日菜。その背中を見送るユナは、目の焦点が合ってなさそうなノーチラスを心配そうに支えていた。

 

 

「どうしちゃったの? ノーくん……」

 

 

 大切な幼馴染の身に何が起きているのか。突然の事態にユナは、ただ見守る事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 






〇ユナとノーチラスの戦闘能力

ユナは日菜と似た様なスタイルで、ノーチラスはとにかく基本を煮詰めた様なスタイル。ソードスキルは発動する際に位置と角度がある程度決まっており、そこに近ければ近いほど発生を早めることが出来る。つまり一連の動作の繋げ方を工夫すれば、ソードスキルに伴う硬直等の制約を多少なりとも軽減することが可能である

ユナはゴリゴリの戦闘員という訳ではないから最前線で戦えれば十分くらいのイメージだが、ノーチラスは後で《血盟騎士団》に戦闘要員として加入するくらい力量を持っている。突出した才能がある訳では無いが、とにかく純粋に強いという感じ


〇第十三層のクエスト

モンスターに襲われているNPCを救出してからスタート。原因になっているボスを倒せば完遂となる。最初がランダム扱いなのは独自設定です

SAOIFではALSとDKBの抗争のせいでこのクエストの情報が出回っていない。IF主人公たちはDKBのプレイヤーをちょっとつついて情報を入手してからスタートになっている。本作では抗争が終結してるために意地悪なことは起きていない

ただし裏でアルゴが姉妹に対して頭を抱えている。どうせまた売った情報以上の何かを持ち帰って来るんだろうなと言う、変な信頼である


〇《火蜥蜴の勇士》

第十三層ダンジョン《灼岩の洞穴》の最奥に生息するボス。一応個体名は《Flame Lizard Warrior》らしいというのをIF内で確認済み。まんまである

剣闘士ならぬ拳闘士で、背中に翼が生えている為に飛行が可能。これを活かして空中に逃げたり、落下攻撃で急襲してきたりするフィジカル特化の敵。その代わりギミックらしいギミックが無いので人数やステータスさえ用意出来れば討伐自体は簡単

仮に上空へと飛ばれても、逃走と言う選択肢が無いAIなのでその内プレイヤーたちに向かって突っ込んできて着地するため、難点は時間がかかるというだけ。もし飛ばれたくなければ、タンク役にヘイトが向いてる隙に背後から攻撃して両翼を傷つければ良い。義勇軍の面々が特訓に通う際は毎回この手法を取ってからにしている、という設定

碌な見せ場も無い上に、どうせ飛ばれても紗夜と日菜なら撃ち落とす手段すら持っているので普通に戦ったら相手にならない。なので戦闘自体はここで打ち切り、次回は討伐後から始まります


〇ノーチラスの症状

彼自身が少しでも怖さを覚える敵との対決になると身体が硬直してしまう。雑魚敵相手なら心境的に余裕があるので問題無いが、何らかの不安を抱えている状態だと兆候みたいなものは本人も感じ取っていた。それ故の焦りであり、ユナの前で同じことが起きたら悔やんでも悔やみきれないので過保護になっていた

実際、オーディナルスケールではこの症状が原因でユナを守り切れずに後悔している。何なら自殺しようと思っても出来なかったというレベルなので、かなり深刻な問題である

なお、この原因についてはヒースクリフというか茅場晶彦が知ってるので、次回はそういう話になります
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