仮面ライダーリラティブ   作:辰ノ命

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皆さんご無沙汰してます。
それではどうぞご覧ください。


第11話「ホット=コールド」

 そろそろ文化祭の時期が近づいている。

 ここ愛ノ川高校では、地域の人々との関わりを大切にしており、文化祭は一般公開され、誰でも参加できる形式をとっている。

 1年に1回訪れる大イベント。愛ノ川高校の1年生は出し物は許可されておらず、2年、3年のみ出し物をしても良い決まりとなっている。

 そしてこの校則通り、2年生の氷たちは今回初めて出し物をすることとなった。当初は皆が初めてだったということも相まって、色々な案が飛び交ったものだが、結局定番のお化け屋敷に落ち着いた。

 

「いやいやぁ〜、やっぱり氷は何着ても似合うよねぇ〜……げへへっ」

「可奈、凄まじく気持ち悪い」

「酷いよ!!」

 

 教室内はガヤガヤと騒がしい。文化祭前の事前準備だ。

 可奈を始めとした女子たちが、氷を取り囲み、着せ替えを楽しんでいる。

 今回、お化け役は誰がいいかと適任者が数名選ばれた。その中にクラス全員一致団結して選択されたのが氷であった。

 スタイル抜群で凄まじい美貌を誇る氷の仮装を、男女問わず見てみたいに決まっている。

 そういう裏の裏があり選ばれた事を彼女は知らない。

 

『氷さん。改めて言うんですけど、ていうか初めて言いますが綺麗ですね』

「う、うるさい!」

「どうしたの、氷!?」

 

 モヤシが不意に、いつもは言わないような事を言うものだから、氷は焦って声を出してしまった。

 周りがオロオロとする中、氷は「は、恥ずかしいからあんまり言わないでよ」というと、皆んな口角が上限いっぱいに上に引っ張られる。

 

「一旦お手洗い行かせて」

「ついてこうか?」

「大丈夫!」

 

 そう言って氷は早歩きで教室を出ていくと、トイレの鏡前で深呼吸を行う。

 

「急に話しかけてこないでよ」

『配慮が足りませんでした……』

「普段言わないような事言っちゃって……どこで覚えたんだか。記憶が少し戻った影響?」

『記憶と言っても本当に断片的なものなので。あ、でも、もしかしたら昔の僕のそういう一面が出てきちゃったりするかもしれませんし、いやでも……』

「真面目に答えなくていいから。全く、あなたはもう少しユーモアセンスを身につけた方がいいんじゃない?」

『頑張ってみます……』

 

 すると、「氷〜」と可奈が入り口から顔を出して声を掛けた。

 氷はビクッとしながら後ろを振り向く。

 

「誰と喋ってたの?あ、そういう事か!」

「ちょちょちょっと!!」

「むぐぐっ……!」

 

 可奈の口を手で塞ぎながら引き込むと、氷は焦りながら可奈を叱る。

 

「私の正体知ってるんだから、あんまり大きな声で言わないで!」

「ご、ごめんごめん。それにしても氷の中にもう1人いるって聞いた時は本当にびっくりしたよ。しかも男の人……って、待って。トイレの時とかどうしてるの?」

「………それは聞かないで」

「あ、うん……」

 

 氷たちの正体を知っているのは可奈と後2人の友人たちのみである。

 こういう風に可奈の性格上いつ口を滑らせるかわからないので、毎度目を光らせている。

 

「氷の中の人はなんて?」

「別になんでもいいでしょ。ほら、戻るわよ」

「はいはーい」

 

 そうして氷は、可奈の背中を押しつつ教室へと戻るのであった────。

 

 

 *****

 

 

 外はもうすっかり茜色なっており、定番のカラスもカーカーと鳴く。

 氷は友人たちと別れ、1人、否2人で家路つこうとしている。

 

『いやぁ今日は色んな氷さんが見れて新鮮でした』

「なに気持ち悪いこと言ってるのよ」

『すみません』

「別に謝らなくても……私も嫌ってわけじゃないし」

『え?』

「い、家に着くまで黙ってて」

 

 茜色の空の様に、少し頬が同じ色になる氷。

 モヤシからは見えてはいないが、今までなかった感情の変化を感じられた。

 この感情について氷に聞こうとすると───。

 

「ひ、ひぃ……やっぱりいた」

「……っ!?」

 

 彼女たちの目の前に"恐怖の表情を浮かべた仮面"をつけた不気味な人物が立っていた。

 明らかに人ではないそれを氷たちは見たことがある。

 

「あなたは"キョウフ"……!!」

「そ、そうだよ。覚えててくれた──」

「何しにきたの!!」

「ひぃ……!順を追って説明させてぇ……!!」

 

 キョウフが言うには目障りなリラティブを始末する、というカナシミからの指示であったらしい。

 そしてもう一つ気になる事を言った───。

 

「き、君の中にいる彼に用があって……」

「モヤシに?」

「う、うん……会って話がしたいなーって……」

 

 あまりにも怪しい話ではあるが、氷はモヤシに変わる様に告げると、一瞬のうちにその場から氷はいなくなり、モヤシの姿が現れる。

 

「ほ、本当にびっくりだ……1つの身体に2人分の感情……こ、怖い……!!」

「それで僕になんの様だ」

「あ、あぁ、そうだよね……き、君は以前エモーションに出会わなかったかな…?」

「以前……もしかしてあのカタコトのやつ?」

「そ、そうだよ」

 

 やはり例のエモーションの件だった。

 モヤシの記憶に関係する特殊なエモーション。それをカナシミが気にしているという事は、何かあるのは間違い無いだろう。

 

「そのエモーションがどうしたっていうんだ?」

「僕たちもずっと探していたんだ。他のエモーション達とは違う特別な力を持ったエモーション……そ、それが『イカリ』だよ」

「イカリ……」

 

 イカリ──とは、今までの流れからして"怒り"のエモーションであるには違いない。

 そこで氷はハッと気づいた。

 

『モヤシ、あなたの使っているメダルって確か怒りに反応してたでしょ?』

「はい、そうですね」

『偶然じゃないでしょこんなの。イカリと怒り。そしてあなたの記憶の一部を復活させて、カナシミも気にする様な存在』

「……じゃあ僕ってもしかして……」

 

 キョウフはそれに対して───。

 

「そ、そう。君は─────"抜け殻"なんだ」

「……っ!!」

「あのイカリは君から生まれた。つまり君はエモーションの抜け殻」

「……なら、僕はなぜ立っているんだ?エモーションが生まれた瞬間、感情が欠如して植物の様になるって聞いたし、僕はそれを氷さんと見たことがある。僕は、僕は一体……」

「ふふふ、ふひっ」

 

 普段オドオドした姿勢から一変。キョウフは不気味に笑い始める。

 そう、モヤシは"恐怖"を覚えたからだ。恐怖の感情の具現化の様な存在であるキョウフは、それを見て感じ取ったのだろう。

 

『モヤシ!考えるのは後。今はあいつを倒しましょ!』

「あ、はい!」

《アングリー!》《ボルケーノ!》

《コネクト!》

 

 モヤシは変身の構えを取り、「変身ッ!!」の掛け声の後、リラティブドライバー上部のボタンを押して仮面ライダーリラティブ(ウィズアングリー)へと姿を変える。

 

《リラティブ! ウィズアングリー!》

「ふざけてんじゃねーぞコラァ!!!」

 

 リラティブは炎の拳を思いっきりキョウフの顔面にめり込ませ、そのまま近くの公園に吹き飛ばす。

 そしてキョウフの首を鷲掴み、答えを求める。

 

「教えろ!!なぜ俺はこうして動ける!?あぁッ!?」

「ふひへっ、へへひっ……恐怖だぁ……恐怖を感じるゥゥゥゥゥゥゥゥ……」

「気色の悪い笑い方しやがってッ!!」

『モヤシ落ち着いて!」』

「黙れェ!!」

 

 拳を空高く掲げ、顔面を殴る。また殴る。

 人の感情は1つが先立って前に出るが、その裏にはもちろん他の感情も同時に露わとなる。

 モヤシの制御しきれない怒りの中に、恐怖の感情が見え隠れする。

 "恐怖"という感情は怒りの次に来るものである。今、それをモヤシの中では同時に爆発していると言っても過言ではない状態。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ───」

 

 愉悦に満ちた表情を浮かべたキョウフ。

 次の瞬間────キョウフの身体がみるみるうちに巨大化していく。

 

「なっ……!!」

「怖い、怖いよぉ……!!」

 

 小さな公園はキョウフによって踏み潰される。

 そしてその巨体から影が作られ、違和感を覚えた住民たちが外へと出てきた。

 

「な、なんだあれは!?」

「きゃぁぁぁぁぁぁぁッッ!!」

 

 住宅街に悲鳴が響き渡り、それが伝染して一帯はパニックに陥った。

 集団による恐怖がエネルギーへと変換され、キョウフの肉体を更に強化していく。

 

「ひぃぃぃぃぃぃっ!!」

「うおっ…!!」

 

 その巨大な足を上げ、リラティブを踏み潰そうとする。

 それに対してなんとか受け止めてみせたリラティブであったが、たった1人の怒りのエネルギーではどうすることも出来ず、無惨にも踏み潰されてしまった。

 キョウフが再び足を上げると、リラティブは地面にめり込んでおり、苦しそうな声を出す。

 

『モヤシッ!!』

「黙っとけ……くっ」

『黙っとけじゃないわよ!全く元のモヤシの方が素直だし良かった!』

「んだと、この野郎!!」

『野郎じゃないし!』

 

 この状況で言い合いを続けられるわけもなく、キョウフの足がまた降りかかる。

 次は両手から炎を噴出させ、緊急回避を行ったがそれも時間の問題。またキョウフが足を上げた。

 そして先ほどから地震のように周囲が揺れており、このまま続ければ一帯の建物が崩れてしまう可能性がある。

 

『また来るッ!!このままじゃ……』

 

 氷は最悪な想像をし、悲しむ。

 

「ぐぅぅぅっ……!!」

 

 モヤシは己の弱さに、怒る。

 両者の相反する感情が爆発する時────。

 

「これは……!!」

 

 リラティブの手に握られていたのは、凹凸が組み合わさってできた新たなアイテムであった。

 それをリラティブはすかさず分離させ、リラティブドライバーのカンジョーメダルを入れる部分に装填する。

 

《ボルケーノ!》《アイスバーグ!》

《トゥワイス!コネクト!》

 

 全く違う2枚のカンジョーメダルを適当に装填し、上部のボタンを強く叩いた。

 そして間も無く、巨大な足に踏み潰された────かに思えた。

 片や火山、片や氷山が地面から突き出し、辺りが熱気と冷気に包まれる。

 

「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」」

 

 キョウフの巨大な身体が空中に舞い上がる。

 その真下に、新たな姿となったリラティブが立っていた───。

 

「え?」

「あ?」

「「なんか違和感が……」」

 

 2人は1人となる───!!




遅くなりました申し訳ない……。いつもの。

では次回、第12話「誕生=抜け殻」

次回もよろしくお願いします!!
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