それではどうぞご覧ください。
《ボルケーノ!》《アイスバーグ!》
《トゥワイス!コネクト!》
火山と氷山。2つの異なる力が交差し、辺りを熱気と冷気が包み込む。
そしてその間に立つ仮面ライダーリラティブの新たな姿────。
《リラティブ!ウィズボルケーノ&アイスバーグ!》
仮面ライダーリラティブ ウィズアイスボルケーノ。
「な、何だこれは……」
「何だこれはー……って、それはこっちのセリフよ!」
「はぁ!?俺の半身が言う事効かないだと!?」
「それを言うなら私もよ!」
右半身は燃え盛る炎の様に荒々しくなり、左半身は角張った透明な氷の様に大人しめな印象を与える装甲に変わった。
見た目通り、モヤシと氷は互いの意志が半身ずつに分けられた。しかも、最悪な事に感覚までが遮断されている様だ。
「おい、左脚動かせ!」
「だったらあなたもうちょっと身体捻ってよ!転ぶでしょ!」
「俺に命令すんなッ!」
「命令以前に半分動かないんだから仕方ないじゃない!」
2人が言い争っていると、突如、リラティブに巨大な足が降りかかる。
「ちっ……!」
そして思い出す。
今は巨大化したキョウフと戦っている事に。
「危ねーな!!」
「危ない!!」
その時、偶々ではあるが2人の息がぴったりに合い、キョウフの足を止めて見せた。
先ほどよりも重いとは感じない。2人はハッとする。
「モヤシ、あなたもわかってると思うけど……」
「みなまで言うんじゃねー。わかってんだよこっちは」
「なら───利害一致って事でいいわね!」
「このクソ野郎から話し聞けんならなぁッ!!」
そこから2人は互いに合図をしながら、動きがぎこちないながらもキョウフを押し上げた。
巨大な身体が倒れかけるキョウフ。
その後ろには民家がズラリと並び、今にも市民諸共潰される、という所で止まった。
「凍ってなさいよ。デカブツ」
「次は俺だッ!!合わせろッ!!」
「はいはいッ!」
すぐさま氷は地面を凍らせ、キョウフの頭まで続く道を作る。
その凍った地面を互いに息を合わせて高速で滑っていく。
「……今度は向こうに倒れろよ。デカいだけのビビり野郎がッ!!」
モヤシの側の拳が熱く燃える。
氷の地面にヒビを入れ、勢いよく拳を振り上げた。
その拳は見事にキョウフの後頭部に直撃すると、肉が焼けたような音を立て、今度は前方へと巨体が吹き飛んだ。
「痛い!熱い!痛いぃぃぃぃぃぃぃッッ!!」
「おい、氷ッ!!」
モヤシが叫ぶ。
直後、リラティブの身体は宙に浮かぶ。
右半身を熱く燃やし、地面を思いっきり蹴り抜いたからだ。
「あなたなら……こうしたいんでしょッ!!」
なんとなくだが言わなくてもわかる。
氷は左手を空に突き上げた。
すると、左腕がみるみるうちに巨大な氷の刃へと変貌する。
「わかってるじゃねーか!!」
モヤシはニヤリと笑う。
「そーれぇッ!!」
右半身をブースターの様にして更に加速。
その勢いのままキョウフの身体を横薙ぎする。
「ぎゃっ……!!?」
キョウフの悲鳴と共に、奴の身体が真っ二つに分かれた。
上半身と下半身に分かれたキョウフは、間もないうちに下半身だけが消え去り、それから巨大化した身体は元の大きさへと縮んでしまった。
元に戻ったキョウフは空中をクルクルと回転しながら落下していく。
「本当は必殺技お見舞いした所だけど」
「話を聞かせてもらうからなぁ」
「という事で、ただのキーーーック!!」
上空から両足を揃えてリラティブも落下する。
そのままキョウフの身体にのしかかると、勢い衰えず、寧ろより速度を増して地面に激突させた。
「あぎゃっ……!!」
「俺たちの『私たちの』……勝ちだ『勝ちよ』」
*****
数時間前。とあるビルの社長室。
外の景色を見ながらカナシミは頬に涙を伝わせる。
「あぁ、悲しきかな」
「また何マジ泣きしてんだ?マジカナシミよ?」
ヨロコビがニコニコしながらカナシミに尋ねた。
「ヨロコビよ。お前はイカリの正体を知ってどう思った?」
「……ぶはっ!急にマジ聞いてきたと思ったら……まぁマジ異例過ぎてマジでびっくりだ!」
「私も驚いた。『エモーショナリデミック』から2年。この期間にイカリが生まれたことは予想通りと言えよう────しかしだ。人間からエモーションが生まれれば、その人間は廃人と化す。我々を倒せる『リラティブ』を除き、それ以外の方法では未来永劫、感情を取り戻す事など不可能……の筈だった」
「だーけーど!マジでなぜかは知らんけど、マジで感情を失ったまま普通に生活しだすやつがマジでいるなんてな!」
この発言にカナシミは首を横に振った。
「違うぞ、ヨロコビ」
「え?」
「感情を失ったままではない。あれは明らかに
「……マジ?」
「そうではなければ、変身後のあの変わり様は不自然だ……不自然、だ」
カナシミの言葉が詰まると、突然頬に涙が伝う。
「マジどうした?」
「…………なるほど。イカリと
「マジカナシミ?
「
「アハハハハハッ!もしかしてマジカナシミ解明しちゃったやつ!?」
「どうだろうな。ただ正解に限りなく近いとは思っている。そういう事であるならば──────
あぁ、悲しいかな。
カナシミはそう言って再び涙を流す。
悲しみの中に、微かな喜びを浮かべて─────。
*****
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃ!!ごめんなさい!!ごめんなさいぃ……!!」
ガタガタと震えて縮こまったキョウフ。
キョウフは溜め込んだ恐怖の感情をリラティブに破壊された。元の怯えた状態、それ以上に弱体化している様で、抵抗する様な素振りは一切見えない。
それどころか命乞いをしている。
「さぁ、僕とイカリの関係を話すんだ」
変身解除したモヤシと氷は、先ほど同様にモヤシを表にして会話を進める。
ジッと見据えるモヤシに、キョウフはガタガタと震えながら口を開けた。
「ぼ、ぼぼぼ僕も実は詳しく知らないんだッ……!!」
「そんな筈ないだろ!」
「ほほほほほ、ほん、本当なんだ!カ、カナシミがこう言えば、必ず彼は感情を剥き出してくるから、って………」
「それなら僕の感情を表に出す様に仕向けた事になる。それは何故なんだ?」
「えっと………」
あまりにもウジウジとしているキョウフに、痺れを切らした氷が突然飛び出して怒鳴る。
「いい加減にはっきり言いなさいよッ!!面倒臭いわねッッ!!!」
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっ!!!」
キョウフは勢いのままにこう告げる。
「彼は────このままだと消える」
「え?」
突拍子もない言葉に氷は固まる。
「ど、どういう事?モヤシが消えるって……」
「ぼ、僕も詳しくは知らないって……で、ででででも、これは聞いた。彼は『抜け殻』ではあるけど、ただ単純に表せるものでもないらしい……」
氷は眉を顰め、少し考える。
持ち前の頭の良さをフル活用し、それなりの仮説を立てた。
「ねぇ、モヤシ。もしかしてあなたはイカリの片割れなんじゃない?」
『イカリの片割れ……ですか?』
「『また食べられなかった』。あのエモーション、イカリはそう言って逃げていった。今の話を聞いて思ったんだけど、本来なら感情を取られた人間は廃人になる筈なのに、あなたは記憶をなくす代わりに五体満足で済んでいる。つまりこれって、モヤシが抜け殻って表現されているだけで、実際は残りのイカリ自身なんじゃないかって」
『ま、待ってください!それじゃあまるで僕が……僕が元々いない存在みたいじゃないですか!』
「そうは言ってないわよ!……ごめん、そう聞こえるか……ただ人間からエモーションが生まれる筈だから、イカリが本体なんて本来あり得ない。でも、消えるってなったらそうもいかないでしょ……?」
『………氷さん』
「ん?」
『もう一度イカリに会いましょう』
モヤシがそう言うと、氷は驚いた表情を見せたが、それもそうかとすぐに冷静になる。
「もう一度触れたら、記憶が戻るかもしれない」
『はい、僕の記憶がイカリのものなのか、僕のものなのか』
「あ……」
ふと、氷が気づく。
『どうしました?』
「あ、い、いや、キョウフがいなくなってたから……!」
『あっ!?いつの間に!?』
「私ったらつい話に夢中になっちゃって……ははっ」
『まぁしょうがないですよ。僕だってこんな事言われたら動揺なんて隠せませんし』
モヤシは気づいていない様だが、氷は気づいていた。
それは過去のモヤシの発言。記憶を取り戻した直後である。
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『……実は僕、あのエモーションと会った事があるんです。それも氷さんが僕を助けてくれる前の時です』
「あー……最初にあなたと会った時に話したやつでしょ?それならあなたから直接聞いたわよ」
『違うんです。そこじゃないんですよ』
「だから何言ってるの?勿体ぶらずに教えて!」
『それよりも前に、僕は……エモーション以外から逃げていました。これは何でしょうか……一体何から……うぅ……』
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エモーション以外から───。
2年前、エモーショナリデミックが起きたあの惨劇────。
「もしかしてモヤシ……」
この仮説は正しいのか、それともまた別の何かか────。
お待たせしました。ほんっっっっっっっとに申し訳ございません。
これから心というか身の回りを整理して、自分に余裕が持てる生活を致します。
さて、重い空気になって来た所で次回はほのぼのとした回が急に来ます。
次回、第13話「恋=愛」
次回もよろしくお願いします。