それではどうぞご覧ください。
仮面ライダーリラティブの新たな姿「ウィズレイジ」。
赤黒い見た目と吹き出す炎は"怒り"よりも"殺意"が目立つ。
「マジ強そうじゃん!」
「あぁ、マジで強いからな」
ヨロコビが笑いながら手を振るうと、エモーションたちが一斉にリラティブに向かった走り出す。
その1体が触手を伸ばして、リラティブの右腕に巻き付ける。
「なんだこれは?」
そう言うと右腕から炎が吹き出したかと思えば、一瞬にして触手は灰となり、更に触手は燃え続けて本体にまで至る。
本体のエモーションも断末魔を上げて消えるように灰と化した。
「ミョルルルルルルルルル」
続く2体のエモーション。触手を振り回してリラティブに飛び掛かる。
「ふんッ!」
両方の触手を引っ掴んで、まるで鎖卓球のように扱い、周りにいるエモーションを次々に片付けていく。
振り回されて弱ったエモーションは様子見とばかりに慈悲もなく燃やされる。
「仮面ライダーの力ってのは素晴らしいな。人間の頃には全く歯が立たなかったエモーションを跡も容易くぶち殺せる。カナシミには感謝しなくちゃならねーな」
「あはははっ!マジで強過ぎだろ!もっと飛び掛かっていけ!」
ヨロコビの指示を聞き、エモーションたちは波のように押し寄せる。
が、何十人と攻めてこようともリラティブは動じる事はない。寧ろそれを嬉々として受け入れ、殺意を込めた拳でエモーションたちを破壊していく。
頭を殴ればパンッという破裂する音が響き渡り、腹を殴ればボンッと鈍い音が響く。
エモーションは生物ではあるが身体の構造に関しては謎が多い。内臓があるわけでもない為、そこら中が血溜まりとなったりするわけではないが、この圧倒的なまでの暴力をみたらそうも言っていられない。
「はははははははははっ!!」
リラティブは笑っている。
仮面ライダーとしての性能や自信の力に愉悦を覚えているわけではない。
ただ純粋に楽しんでいるのだ。殺戮を。
「モヤシ……」
地面にへたり込んで動けずにいる氷。
ぽつりとその名を出すと、リラティブは振り向いてこう言った。
「俺は"燈"だ。そんなクソみたいな名前で呼ぶな」
すぐにリラティブは正面を向き、向かって来ていた1体の頭を鷲掴みにして空へ飛んだ。
「ほらよ」
それからエモーションを地面へと思いっきり叩きつけ、これを起点に亀裂の入った地面から炎を噴出して周りのエモーションたちも一気に殲滅した。
残されたのはヨロコビ。リラティブは視線を向ける。
「マジでえぐ過ぎぃ……………ははっ」
「どうした喜べよ。それがお前だろ"ヨロコビ"」
リラティブがそう言うと、依然として笑顔ではあるが目つきは鋭くなった。
互いに睨み合いが続く。
「………ッ!!」
先に動いたのはヨロコビ。
右腕を大木の様に肥大化させてリラティブに放つ。
「"あいつ"の記憶からお前の能力は把握済みだ」
それに対してリラティブは避ける事もなく拳で迎え撃つ。
鋼鉄の様に硬いはずのヨロコビの拳。
しかし、リラティブの放った拳はそれを凌駕する。相殺どころか逆にメリメリと音を立てながら埋まっていく。
「マジかッ!」
咄嗟にヨロコビは離れるが、そう簡単に逃すはずのないリラティブ。
後ろへと飛んだ同時にもう動いていた。
「オラオラオラッ!!」
硬く握りしめた炎を纏った拳のラッシュがヨロコビに炸裂。
こんなものを食らっては致命傷になるのは必然。
「……ぷっ」
「あ?」
「あははははははははははっ!!」
ヨロコビは殴られているにも関わらず大笑いして見せた。
先ほどから違和感を覚えていたリラティブはその理由にすぐ気づく。
「なるほどな。溶けて消えた理由はこれか」
「ははっ!マジでマジになるからな!マジで!」
リラティブが放っていた拳は、水の様に溶けたヨロコビを貫通していた─────。
*****
「カ、カナシミ。どうして彼は1人で変身しているの……?」
社長室。片面ガラス張りの部屋でカナシミはコーヒーを口に含む。
「本来のリラティブドライバーは1人で変身可能だ」
カナシミはリラティブドライバーについて話し始める。
「研究者たちは使用者の感情の起伏による振れ幅を山に見立て、ボルケーノとアイスバーグという基本となるメダルを創り出した。そこへ四大感情のうちボルケーノには怒りと喜び。アイスバーグには悲しみと恐怖を組み合わせる事した………私が産まれた後でな」
「え、え?」
「私は最初にこの世に産まれたエモーションだということは前に話しただろう?悲しみの感情を司る私だが、当時の私はその悲しみのみを持った生物でいつも何かに泣いていた。嬉しいから腹が立つから恐いから、そんなものはなくただ泣くのみ」
カナシミはコーヒーを啜る。
「暫くすると徐々に私は別の感情を持つ様になる。研究者たちも最初こそ驚いてはいたが、段々と距離が埋まっていき次第に会話をする仲となった」
「そ、そうなんだ……」
「だが、彼らは恐れていたんだ」
その言葉を発してからカナシミの声色が少し変わる。
「何もない場所から産まれた未知の生物。その生物が急に意思疎通が可能となり、知恵をつけ始めたらどうだろう?人間たちは好奇心よりも恐怖が勝つのだ。だからこそ何かあってからでは遅いと考える様になる」
「そ、それで造られたのがリラティブドライバーって事になるんだ……」
「そうだ。我々を殺す為に造られたリラティブドライバー……私を解析した末に完成した物だ。当初は順調に事が進んでいると思った様だが、使用する際に欠陥が見つかった」
「け、欠陥……?」
「あぁ、変身者はメダルの使用により副作用で一時的に感情が膨れ上がる。それにより使用者は自身の感情を制御不可能となり、感情が爆発してしまう事になる。これにより起こる事は───」
キョウフがハッとなって叫ぶ。
「エモーションの、た、誕生……!!」
「この欠陥部分をどうにかしようと考えていた様だったが、誰もこのドライバーを使用できる者は存在せず、月日が流れ私はエモーショナリデミックを起こし、その隙をついたイカリはリラティブドライバーを持ち出して今に至るというわけだ」
「か、彼らが唯一適合者だったんだ……」
「しかし、皮肉なものだ。2人で1つだからこそ副作用が緩和しているというのに、イカリはそれを1人で成し遂げようとしている。流石と言うべきか、それとも危機として見るか……とにかく早急に奴から奪い返さねばなるまい」
そしてカナシミはキョウフに指示を出す。
「キョウフよ。お前に1つ頼みたいことがあるのだ」
「な、なに?こ、ここか恐いことは勘弁してよ……」
「氷くんを確保するんだ。殺してはならない。あくまで彼女は餌として使わせてもらおう───────」
*****
「マジどうした?攻撃が当たってないぜ!」
「…………」
ヨロコビと対峙するリラティブ。先ほどから攻撃が全て貫通される。
それはヨロコビの真の能力で自分の身体をスライムの様に変化させる事が可能ということ。ウィズジョイの攻撃が当たった理由はヨロコビと同じ喜びの力が働いたからであり、本気の場合はその能力を遺憾なく発揮して物理攻撃はおろか炎の様な特殊な攻撃すら通用しなくなる。
「ははははっ!!マジ意気消沈!!」
それからヨロコビは身体を引き伸ばしリラティブの周りを囲うと、身体中のあちこちから両腕を複数本生やし、それぞれを巨大な拳へと変化させる。
ヨロコビの作った影に埋もれて隠れるリラティブ。反撃の意を示さない。
「はははははははははっ!!これでマジ終了!!」
そう言ってヨロコビは巨大な拳による連打をリラティブに浴びせた。
ヨロコビは勝利を確信する。
「マジ呆気ねぇ!!」
再び笑い出すヨロコビ─────だが、次第にその笑いは薄れていく。
「……マジ?」
ヨロコビの拳は全て蒸発した。
一瞬に何が起こったか理解が追いつかないヨロコビ。
「は?」
何もわからないまま自身は地面に叩きつけられた。
混乱に混乱を招く事態。処理が追いつかない。
「あばよヨロコビ。俺に殺されるなら喜ばしいことだろう?」
「は?……マジ?」
「マジ」
《レイジ!フィーリング!》
リラティブはドライバーの上部を叩き、身体から凄まじい熱気と炎を大量に噴出させ、そのエネルギーを右腕に集約させる。
次の瞬間、爆発したかの様な音と共にヨロコビの頭が地面にめり込むと大爆発を引き起こした。
カラカラと破片が落ちる音。それを境にまるで世界は静止したかの様に静けさが訪れる。
「………モヤシ。ねぇ」
爆発に巻き込まれない様に壁裏に待機していた氷はゆっくりと姿を見せると、彼の名前を呼んだ。
「だから燈だって言ってんだろ……殺すぞ」
明確な殺意が氷のトラウマを呼び起こす。
氷は足に力が入らなくなり、その場に座り込んでしまった。
「いいか?もうお前が大好きなモヤシはこの世にはいねぇんだよ……そもそも俺は1人だ。俺以外に俺はいない」
「…………」
「別にいいだろう?お前の両親と弟を殺した野郎が居なくなったんだ。まぁ実際にはここにまだ生き残ってるんだがな。俺が」
「……違う」
「あ?」
氷は絞り出す様に震える声で、リラティブ────燈に対して言い放つ。
「あなたは、モヤシなんかじゃないッ」
「……はっ、そうか。だが、お前がなんと言おうが今から殺る運命は変わらない」
リラティブの拳が上がる。
「お前は1番知り過ぎた。一撃で終わらせる」
「……っ!!」
死の一撃が氷に迫る─────。
次回、第19話「彼≠彼女」
次回もよろしくお願いします!!