仮面ライダーリラティブ   作:辰ノ命

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皆さんご無沙汰しております。悶絶小説調教師の辰ノ命と申します。

今回、調教する小説は「仮面ライダーリラティブ」

高校生女子、寒波氷。記憶を失った青年モヤシが織りなす2人で1人の仮面ライダー物語。
感情を食らうエモーションから彼らは人々を守れるのか。

皆さんは私の小説に耐えきる事ができるでしょうか?
新たなライダーが歴史にその名を刻む瞬間を、それではどうぞご覧ください。


2人で1人の仮面ライダー編
第1話「感情=気持ち」


「はぁ…… はぁ……!!」

 

 男は逃げた。逃げ続けていた。

 外はまだ明るいが、この道はどうにも暗い。光が差すことを拒んでいるかの様だ。

 

「俺はここで終わるわけには……!!」

「ミョルルルルルルルルル」

 

 来たな触手怪人。

 この全身に数本の触手が垂れている怪人は「エモーション」と呼ばれている。詳細な事が全くわかっていない。見た目からして気味が悪い。

 エモーションは人間の感情から生まれ、そして人間の感情を糧にする。

 要はまず最初に親(人間)を食す。ただ食べたいから食べるだけ、という動物的本能の具現化の様な存在だ。

 

「……… ちっ!」

 

 男が行き着いた先は行き止まり。壁をよじ登ろうにも、そう言った足場もないただのつるつるとした壁。

 終わったな、と心の中でそう呟く。

 

「ミョルルルルルルルルル」

「俺の何が食いてぇーんだ? あ? なら、食ってみやがれ!!」

「ミョルルルルルルルルル!!」

「うぐっ…… ち、力が強っ……… くっ!!!」

「ミョルルルルルルルルル」

 

 やがて男はエモーションの身体にある触手で、全身を巻き付かれ、身動きが取れなくなってしまう。

 そんな彼をエサだと認識しているエモーションは、口であろう長い突起物を伸ばし、それを男に突き刺した。

 

「ぁがっ……!!」

 

 エモーションは肉、血、内臓、そういうものには全く興味がない。

 興味があるのはただ1つだけ、それが感情だ。

 そしてエモーションに吸われた人間は廃人と化す。

 感情が失った事で抜けてしまった人間性。彼はもう立ち上がることすら不可能だ。

 その筈だった───────。

 

「ミョル?」

「……… こ、ここはどこだ…? 僕は誰だ……?」

「ミョルルルルルルルルル」

 

 エモーションは縛り損ねてしまったと思い、再び襲いかかるが、男はなんとかその場を掻い潜り、絶対絶命のピンチだったが、運良く逃げ切る事ができた。

 

「はぁ…… はぁ…… い、意識が……」

 

 男の身体は鉛にでもなったかの様に重くなり、次第に意識も朦朧としてきた。

 遂には力尽き、道の真ん中でばたりと倒れてしまう。

 そんな時、1人の少女が彼を見つけ、高校の保健室へと彼を運んだ─────。

 

 

 *****

 

 

 男がふと目覚めると、空からの光が強く、薄目をしながら辺りを見渡す。

 ここは空ではなく、どこかの病院だろうか。ベッドに寝かせれている様だ。

 

「─── 警察は呼んであるから安心して。それよりよく運んで来れたわね『氷』さん」

「ふふっ、流石に1人じゃ無理ですよ。ちょうど近くにいた空手部の田中さんに助けてもらったんですよ」

 

 氷という少女の声と多分保健室の先生であろう女性の声が聞こえる。

 ベッドの周りにはカーテンがされており、外の様子は見れない。

 男は少し身体を動かすと、ベッドが軋み、その音を聞いた氷がカーテンをバッ開けて中に入って来た。

 

「あ、目が覚めた?」

「…… えっと、ここは……?」

「ここは『愛ノ川高校』の保健室よ。あなたが道端で倒れていたから連れてきたの」

 

 道端で……。

 そうだ、僕はあの時、怪人に襲われて。

 

「うぅっ………」

「だ、大丈夫!?」

「えぇ、まぁ……」

「どうしてあそこで倒れてたの?」

「僕は──────」

 

 男は自分が触手が全身にある怪人に襲われた事を話した。同時に自分が誰なのかもわからないことも続けて話す。

 

「記憶喪失…… ってやつ? ていうかその怪人ってエモーションじゃない?」

「え、エモーション?」

 

 最近、巷で噂の怪人の呼び名らしい。

 由来はもちろん人の感情から生まれ、感情を食すことから付けられた様だ。いつ誰がどの様にして、またエモーションはどこからきたのか。研究者達によって色々と議論されている。

 エモーションは感情を取り込み続けると、やがて人間の様な姿に化けられるという。更に知性を持っている為、一見して気づく事はまず不可能に近い。

 

「そうなんですか……」

「あなたよく逃げ切れたわね。もし捕まってたら廃人になる所だったのよ?」

「廃人?」

「感情を食べられる。それって人間のあるべき姿、心が食べられちゃうわけでしょ? 実際、食べられた人間は植物みたいになるって話。受け答えもできないそうだし……」

「僕はそんな奴に……」

「もしかしたら、そいつとあなたの記憶が関係あったりしてね──── ところで、あなたは名前もわからないのよね?」

「あぁ、はい…」

 

 名前も過去も全て忘れている。自分は一体何者なのだろう。

 氷という少女はそこで彼に名前を付けた。

 

「じゃあ、あなたは今日から『モヤシ』って事で!」

「え」

「ひょろひょろしてて頼りなさそうだからモヤシ。ダメ?」

 

 モヤシ……どこかで聞いたことがある様な名前だ。

 男はその名前を酷く嫌悪感を覚えた。なぜだろう。とても馬鹿にされている気がする。ていうか初対面でこんな事を言うのか。

 

「ダメじゃない…… です」

「じゃあ決まりね。でも、あなたこれから警察に届けられちゃうから結局どうなるんだろ」

「えぇ……」

 

 

 *****

 

 

 暫くして警察が到着した。

 モヤシが自分の事について話している間、氷は自分の教室に帰り、授業の準備をしていた。

 氷は2年生。17歳で来年3年生になる。

 

「もうこんな時期かぁ……」

 

 そう思っていると、彼女に話しかけてくる少女がいた。

 

「氷ィ〜! どうしたの? 元気ないじゃん?」

「可奈か。別に元気なくはないよ。どこをどう見たらそう見えたの?」

「んー…… 適当!」

「適当かい!」

 

 そして彼女の周りには男女問わず人が集まってきた。

 彼女は学級委員長を務めていたり、成績優秀、運動神経抜群。部活は事情によりやってはいないが多彩にこなせる為、色んな部活から引っ張りだこ。ルックスももちろんの如く悪くなく、男女両方からモテモテで憧れの存在。

 まさに隙のない氷であるが、彼女には誰にも言えない事があった。その事について彼女の周りにいる人たちは知っている。が、それを言おうとはしない。触れてはいけないのだ。

 

「ほら、みんな席に着いて。先生来るよ!」

 

 そう氷が言うと、みんな素直に席に着く。

 チャイムが鳴り響き、さて、授業開始だと言うところであった。

 しかし、今日はなぜか来るのが遅い。こういう事は偶にあるのだが、それにしたってどこの教室も静か過ぎる。

 クラス内もザワザワとし始めた。

 

「─── はいはい、私が見てくるから皆んなそのままね」

「いってら!」

「行ってくる。他のクラスの先生に怒られるから、会話するなら静かにね〜」

 

 氷は階段を下り、職員室へと向かう。

 やはりおかしい。静か過ぎる。

 

「……… ん?」

 

 職員室に近づいていくと、何かを啜る音が聞こえてきた。

 昼食の時間までまだまだ時間がある。早めのご飯か、それとも朝食べられなかったのかなと氷は思った。

 そして職員室の前に来てドアを開ける。

 

「えっ────」

 

 氷な声が出なくなった。

 ジュルルルと、先生の胸を貫く細長い口。全身から垂れ下がった触手。間違いないエモーションだ。

 

「あっ……」

「……… ミョル…?」

 

 ようやく声が出たと思ったら、それによってエモーションに気づかれた。

 氷は恐怖のあまり脚が動かない。

 

「い、いや……!!」

「ミョルルルルルルルルル」

 

 段々と近づいてくるエモーション。

 もうここまでかと思われたその時、発砲音が聞こえた。

 

「大丈夫かい!?」

 

 警察官が銃を構えている。

 モヤシへの事情聴取が終わったか、なんにせよ助かった。

 

「警察官さ────」

 

 安堵したのも束の間だった。

 エモーションは銃で撃たれているにも関わらず、全く怯む事なく警察官へと近づいていく。

 

「う、うわぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁッッッ!!!」

「ミョルルルルルルルルル」

 

 食われてしまった。吸われてしまった。

 たくさん食べたエモーション。だが、その食欲は止まる事はなく、次にターゲットしたのはやはり氷だった。

 

「逃げなきゃ………」

 

 脚がすくんで動けない氷。

 そんな彼女の手を取り、逃げ出した者が1人いた。

 

「モヤシ……!!」

「氷さんでしたっけ? 早く逃げましょう!!」

 

 エモーションから一心不乱に逃げ、彼女達は校舎裏まで来て撒くことに成功した。

 

「はぁ… はぁ…… な、なんでエモーションがこんな所に……!」

「わかりません。僕も気づいたらこんな事に………」

「……… あっ」

「どうしました?」

「あいつ… まだ校舎内にいるんでしょ? なら、可奈達が危ない!!」

「危ないのはわかりますけど、どうするんですか? あの武器も効かない奴なんですよ?」

「でも…… だからって見殺しにはできない! 放送室に行ってみんなに危険だって知らせに行く!」

「あ、ちょっと!!」

 

 氷は放送室を目指す────。

 

 

 *****

 

 

 幸いにも放送室に来るまでの間に誰もいなかった。

 氷は急いで校内に緊急で知らせる。

 

「皆さん聞こえますか!? 緊急連絡します!! 校内エモーションが出現しました!! 速やかに逃げてください!! 繰り返します────!!」

 

 これで大丈夫なはずだ。そう思った束の間だった。

 

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!」

 

 誰かの叫び声が聞こえてきた。

 氷が放送室から出ると、そこには今にも感情を吸われそうな可奈の姿があった。

 

「可奈!!」

「氷…!!」

 

 氷は放送室にあったパイプ椅子を持ち、エモーションをそれで殴った。

 けれど、エモーションは怯まない。ただし可奈から氷へとターゲットは切り替わる。

 

「可奈ッ!! 逃げて!!」

「で、でも……!!」

 

 彼女はきっと氷が気になって着いてきたのだろう。

 これ以上巻き込ませてはならない。

 

「早く行って!!」

「………っ!!」

 

 可奈は涙を流しながら、後ろを振り返らず全力で走り去った。

 氷が安堵すると、エモーションの触手で全身を拘束される。

 

「うぐぅ……!!」

 

 今にも食われそうな勢い。そのピンチを救ったのはやはり彼だった。

 

「このぉ!!」

 

 モヤシが勢いそのまま飛び蹴りをし、エモーションが吹っ飛んだ。

 

「大丈夫ですか!?」

「モヤシ……」

「早く逃げましょう!!」

「うん…… あっ…!!」

 

 逃げようとした矢先にエモーションがすぐ近くまで来ていた。

 もう逃げられないのか。氷はそう思ったが、モヤシは違った。

 

「こ、氷さんを傷つける事は許さない!!」

「あなた何やってるの!!」

「道端に倒れていた名もわからない僕を助けてくれました。これくらいのお礼はさせてください」

「だからってあなた…!!」

「僕も…… これくらいは!!」

 

 氷の悲しみ────。

 モヤシの怒り────。

 2つの相反する感情が今、爆発する────!!

 

「えっ───」

 

 2人の前に、1つドライバーが現れた。

【リラティブドライバー】。それがこのドライバーの名だ。

 

「……っ!!」

 

 モヤシはそれを手に取り、迷う事なく腰に装着する。

 リラティブドライバーは3つの丸があり、真ん中の上部にはボタン、そして両端2つにはメダルが差し込める形となっていた。

 

「これって……」

「いつの間にこんなものが……」

 

 2人の手にはそれぞれ1個ずつ、表が赤、裏が青のメダルが握られていた。

 氷はそれをモヤシに託すと、モヤシは赤の面を表にし、両端のメダル挿入部分に装填する。

 

《アングリー!》

《ボルケーノ!》

 

 2つとも装填すると《コネクト!》という音声の後に待機音が鳴り響いた。

 モヤシは初代仮面ライダーの様な構えを取り、左腕を回し、右手でリラティブドライバーの上部を押す。

 上部を押すと真ん中のメダル部分が回転し、赤色に変化する。これで横一列全て赤色に変化した。

 

「変身ッ!!」

《リラティブ!ウィズアングリー!》

 

 変身音と共に、モヤシの背後に現れた火山が噴火し、湧き出たマグマが彼を包み込む。

 冷えて固まったマグマを破壊して姿を現したのはモヤシではなく別の何か。

 それが【仮面ライダーリラティブ ウィズアングリー】。

 

「…………」

『──── えっ?』

 

 仮面ライダーリラティブに変身したモヤシであったが、その直後、氷の姿はその場から消えてなくなった。

 いや、厳密には消えたのではない。1つとなったのだ。

 

『え、え、え、えぇ〜っ!!?』

「──── さぁ、燃えていくぜッ!!」

『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっ誰ぇぇぇぇぇぇぇっっ!!?』

 

 仮面ライダーリラティブ──── 爆誕。




いかがでしたか?
私の小説では珍しく1話で全部やるのではなく、次回に回すという展開にしてみました。
この方が読みやすかったり……?
今尚やり方は模索中。今後とも宜しくお願いします!!

次回、第2話「炎=ボルケーノ」

次回もよろしくお願いします!!
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