仮面ライダーリラティブ   作:辰ノ命

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皆さんご無沙汰しております。
若干ホラー要素あるかもですのでご注意を……。
それではどうぞご覧ください。


第23話「相棒=最高」

 今、2人の仮面ライダーリラティブが並び立った。

 

「俺の身体を……返しやがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」

 

 イカリがノコギリの様に刃が連なった凶悪な触手を薙ぐ。

 それを2人はタイミング良く同時に飛び跳ねて回避。

 

「モヤシ!」

「はい!」

 

 合図と共に氷は手のひらを地面に向け、巨大な氷の柱を作り出す。

 モヤシは氷の柱を足場に利用し、イカリに向かって飛び跳ねると、氷の柱は途端に砕けた。

 

「イカリィィィィィィィッ!!」

「偽物がァァァァァァァッ!!」

 

 その速さはイカリの反応速度を凌駕した。

 真っ赤に燃えた正義の拳がイカリの顔面を撃ち抜く。

 

「グハッ……!?」

「僕は自分自身を許せないし、お前も絶対に許さないッ!!───────そしてッ!!」

 

 モヤシの"怒り"が自身の身体を燃え上がらせ、炎の拳をより激しく熱くさせる。

 

「氷さんを悲しませた事はッ!!絶ッッッッ────対にィッ!!許さないッッッ!!!」

「ウワァァァァァァァァッ……!!」

 

 それは圧倒的な暴力。

 十分過ぎる程の火力はもちろんモヤシは的確に人間で言うところの急所を狙い続ける。

 この異形に急所があるかどうかはわからない。が、イカリに対するダメージが増大するのであればそれで良い。

 

「偽物の分際でぇッ!!」

「偽物がなんだッ!!」

「なに!?」

「そんなの僕には関係ないッ!!」

 

 モヤシは否定する。

 

「確かに僕はお前から生まれた紛いものなのかもしれない……だけど!!僕を認めてくれる人がいる。僕を僕であると、愛してくれる人がいるんだッ!!」

「だが、お前は殺人鬼ッ!!俺とお前は一心同体!!その事実だけは変わらないッ!!」

 

 直後、イカリの触手が無数に襲い掛かる。

 

「お前はどう足掻いても"燈"なんだょぉぉぉぉぉぉぉッ!!」

「ああ、そうだ!!僕は"燈"だッ!!」

 

 モヤシの脚が激しく燃える。天に昇るほど燃え盛る。

 

「正真正銘の燈であり、僕は氷さんが信じる"モヤシ"ッ!!氷さんの!!最高の!!相棒なんだァァァァァァッッ!!」

 

 無数の触手に対して、モヤシは回し蹴りを決めると、途端に触手は焼け焦げ灰となる。

 

「殺す……殺してやるッ!!」

 

 片や怒りを超え、殺意に囚われ、自分自身の私欲の為に暴力を振るう者。

 片や怒りを純粋な感情、我が物とし、誰かの為に怒り、自身の力に変える者。

 どちらも怒りが原動力。ただしその本質は全く異なる。

 イカリの怒りが頂点を超える度、それをモヤシは上回る。

 

「おらぁぁあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

 イカリの顎にモヤシの渾身の一撃が叩き込まれる。

 その勢いで空中に飛ばされるイカリ。

 

「な、なんだこの力はッ……!!俺の怒りを上回っているというのか……ッ!!」

 

 すぐにイカリは空中で態勢を立て直し、モヤシを攻撃しようとした。

 だが、空中には既に1人向かっていた────。

 

「────あなたの相手はモヤシだけじゃない」

「……はっ!」

「私も忘れないでくれるッ!!」

 

 その瞬間、イカリの脳天に踵が振り落とされる。

 イカリの頭は漫画の様に潰れ、そのまま地面へ向けて急降下。

 そこに待ち受けているのは、既に両足に怒りのエネルギーを溜め切ったモヤシの姿。

 

「氷さんッ!!」

「モヤシッ!!」

 

 2人はリラティブドライバー上部のボタンを叩く。

 真横からモヤシによる炎を纏った両足蹴り、上空からは両脚の氷がドリル状に回転して飛来する氷。

 

「はぁッ!!」

「やぁッ!!」

《レイジ!バーストフィーリング!》

《グリーフ!ブレイクフィーリング!》

 

 炎と氷。怒りと悲しみ。

 2つの感情がイカリの身体に叩き込まれた。

 

「うぐわぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁッッッ!!!」

 

 イカリは2人の最大の一撃を叩き込まれ、後方は大きく吹き飛んだ。

 

「ああぁあぁぁぁぁ……ッッ!!」

 

 全身至る所が粉々となり見るも無惨な姿となる。

 これでまだ生存できているのはイカリの執念がそうさせるのだろう。

 

「諦めろイカリ。お前はもう僕たちには勝てない」

「勝てる勝てないじゃねーんだよ……どちらが先に殺されるか……これは殺し合いだッ!」

「止すんだ。イカリ」

「俺は終わらない……終わる訳がないッ!!」

 

 その時、イカリの身体が膨張を始める──────。

 

 

 *****

 

 

「おぎゃー!」

「産まれましたよ!」

 

 燈はこの日、生を授かった。

 両親は存命で、不妊で数年間も妊娠できず、ようやく1人だった事から彼は大層可愛がられた。

 このお陰で燈はすくすくと成長した。

 

「燈くんは将来何になりたいのかな?」

「……パン屋さん」

「いいじゃん!パン屋さん!」

 

 保育園で将来なりたい夢について彼はこう言ったらしい。

 決して目立つ様な子ではなく、寧ろ大人しくて気が利く子。誰に対しても優しくしてくれて同い年の中では一際大人びていたという。

 このパン屋さんは子供らしくも思えるが、実際彼は高校生になってもパン屋さんになろうとしていた様だ。

 そして次に小学生。ここで燈の命運が決まった。

 

「ねぇ燈くん!帰ったら一緒にゲームしようよ!」

「いいよ。デケモン?」

「明日学校休みだからさ。今日デケモンやって、明日は別のゲームしようぜ!」

 

 よく一緒に遊んでいた2人の男の子がいた。

 帰り道、いつもの様に3人はそんな会話をしていると、急に燈は1人立ち止まる。

 

「ん?どうしたの燈くん?」

「早く帰ろうぜー!」

「うん、ちょっと先に行ってて……」

 

 燈がそう言うと、2人は顔を見合わせ「早くこいよ」とだけ残して帰って行った。

 残された燈の視線の先には───────動物の死体があった。

 

「…………」

 

 保育園の頃は何も思わなかった。

 怖いとも気持ち悪いといった不快感はなかったし興味もなかった。

 

「…………」

 

 夥しい数の虫。腐敗して臭いがキツい。まるでゴミの様に脇道に置かれた死体。

 

「…………………………………」

 

 燈の中に何か蠢いた。

 数日後、燈は家にあった鋏を手に1人で出かけた。

 

「えいっ」

 

 そして燈は小さな動物に手を掛けた。

 最初は上手く殺せず、何度も何度も何度も何度も何度も刺した。

 先ほどまで生きていた命。こうも簡単に呆気なく死んでしまうのか、と。

 

「………………ふっ」

 

 鼻で笑う。

 おかしかったからではない。バカにする時に使う様な感覚だ。

 

 ─────それから時は経ち、高校生まで成長した彼はパン屋さんになる夢を諦めていなかった。

 この頃になると本格的なパンを作れる様になっており、両親も専門学校に入れることを視野に置いていた。彼も免許を取得する為にその話を出したのもある。

 

「パン屋さんって良いよね〜。もし燈がパン屋さんの経営始めたら私行こっかな〜」

「ああ、是非来てよ……いくら友達でも割引はしないけどね」

「何それ!!」

「ははっ!」

 

 高校生になっても彼は友達が多かったという。

 頭は良く、スポーツは然程得意ではなかったにしろ、大人びていて顔も整っていた事から女子にもモテた。

 彼女も友達とは言っているが、彼を好きになった1人だろう。

 また彼も彼女の事は気に入っていた。

 

「そうそう、今日も家でパンを焼くつもりなんだ。良かったら来ない?」

「いいの!?じゃあ行く!」

 

 彼女は放課後、燈の家に訪問した。

 両親は不在らしい。

 

「お邪魔しまーす!」

「僕の部屋は2階にあるからそこでちょっと待ってて。後から飲み物持って行くから」

「はーい!」

 

 彼女はドキドキしながら彼の部屋で待っていた。

 男子の家に行くのは初めてで"もしかしたら"を期待していた。

 ドアを叩く音が聞こえる。

 彼女はドアを開ける。

 

「ごめん、両手が塞がっててね」

「んーん、気にしないで!……ん?」

 

 飲み物を乗せたお盆の上にナイフが置かれていた。

 そのナイフはパンに使う様なギザギザとしたものではなく、包丁として使うにも小さいし、ぶっちゃけ用途がよくわからないものだった。

 ただ彼女はパンを切る為のものだろうと気にしなかった。

 目の前に───────殺人鬼があると知らず。

 

「えハッ……?」

 

 首に冷たいナイフが突き刺さる。

 落ちた飲み物が床を濡らし、それと同時に彼女の鮮血が混ざり合う。

 

「ゲッ…………えぇ………?」

「……俺さ。必死に勉強したんだ。人間はどこを刺されば致命傷なのか。効率的に殺すにはどうすればいいか……なんてな」

「あっ……あぁっ……!!」

 

 これが彼の初めての殺人であった。

 彼はタガが外れた様に身近な人を殺した。

 両親ですらその対象であった。

 

「ははっ、ははははははははははっ!」

 

 そして次第に彼の周りから人が消えていった。

 いや、自ら消していったのだ。己の欲を満たす為だけに──────。

 

 

 *****

 

 

 イカリの身体は再生した。

 再生、というよりも無理やり繋ぎ合わせた様なものだ。

 ツギハギだらけで見るに耐えない悍ましい姿。

 それはもう最早人間ではなく、かと言ってエモーションの表現するにはあまりにも醜い姿をしていた。

 

「アがッ……ギギギぎぎききャガあァァァァァァァァァァァァッ!!!」

「………イカリ」

 

 モヤシは氷を見つめた。

 仮面から薄ら見えるその表情を見た氷は静かに頷く。

 

「モヤシ、来て」

「はい」

 

 2人は拳を合わせると、氷の方にモヤシの身体は吸い込まれた。

 氷はオウトツバイダーを取り出すと、4つのカンジョーメダルを装填して上部のボタンを叩く。

 

《アングリー!》《ソロー!》《ジョイ!》《テラー》

《クワトロ!コネクト!》

《リラティブ!ウィズ!四大感情!キ・ド・アイ・キョウ!》

 

 仮面ライダーリラティブ ウィズキドアイキョウ。

 そして上部のボタンをもう一度叩く。

 

「イカリ、もう戦わなくていい」

「ナんだと……?」

「僕はお前の過去を知っている。同じ"燈"だからね……だから僕はお前をここで倒さなければならない」

「てメぇ……!!」

「これは僕の罪。そしてお前が清算しなければいけない過ち。決着をつけるぞ、イカリッ!!」

「あああああああああああああああああああああッッッ!!!」

 

 炎、光、氷、水。

 4つの属性が彼の触手を、攻撃手段を破壊していく。

 

「氷さん、行きましょう。2人でッ!」

「ええっ!」

 

 リラティブは上空に飛び跳ねた。

 

「これは家族の仇ッ!!」

「お前が殺してきた罪なき人の怒りと悲しみッ!!」

「その報いを全部ッ!!あなたに叩き込むッ!!」

「終わりだッ!!イカリィィィィィィィィィィィィィィッッ!!!」

 

 両脚から発せられる4つの感情。

 そして2つの感情によって増大したエネルギーが爆発する。

 

「「はあァァァァァァァァァァァァッッッ!!!」」

 

 最後の一撃がイカリに炸裂する。

 溢れ出したエネルギーは爆発寸前だった彼にとって甚大な被害を及ぼした。

 

「お、オレはァァァァ……──────────ッ!!?」

 

 その時、イカリの身体が何者かによって引っ張られた。

 

「こ、コレ、はッ……!!?」

 

 それはイカリがかつて私欲に殺した者たちの亡霊。

 もう彼は亡霊たちを"殺す"ことができない。

 今度は自らが殺される側である。

 

「ヤめろォ!!ヤメロォォォォォォォォォォォォォッッッ!!!」

 

 イカリは爆散した。

 後悔すらせず、ただ無駄な憎しみを持ったままに───────。

 

「……終わりました」

「うん」

 

 長きに渡る決着が今、静かに終わる───────。

 

 

 *****

 

 

 賑わいを見せる街中。

 その一際高いビルの屋上で2つの異形が見下ろしている。

 

「始めるとしよう、キョウフ」

「つ、遂にこの時が来たッ……!!」

 

 そして始まる。

 

「"エモーショナリデミック"を開始する」




モヤシと氷の蟠りが解けて一件落着……といきたい所ではありますが、最後の敵が残っております。
リラティブドライバーは使用しないの?というのは次回わかります。
そして最終章突入です。

次回、最終章:儚き愛編
第24話「悲劇=災難」

次回もよろしくお願いします!!
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