連続投稿です!
それではどうぞご覧ください。
半情とカナシミは互いに顔を合わせる。
天気が急変し、雨がパラパラと降り始めた。
静寂の中にただ一つ。地面に雨が落ちる音。静けさは暫し続いた。
「────半情。お前はエモーションをどう思う?」
先に静けさを破ったのはカナシミ。
その直球な質問に対し、半情は言葉が出てこない。
「…………」
「私は人とエモーションにおいて然程差はないと感じる」
「何故だ?」
「無機物は勿論、自身で思考可能な人工知能……AI。どちらも人の手で生み出した物だ。そして我々も人の手で産み出された……ただこれらと我々は同一なのであろうか?」
「違う。お前たちは生物として産み出された」
「ああ、その通りだ。ならば思考可能だとしてそこに感情はあると思うか?」
「いや、ないな。全ては人の手によって作られた"物"となる」
「だからこそだ、半情。感情を持つ我々と人間。どちらも楽しい時は笑い、悲しい時は泣き、嬉しい時は笑う……そして何かに怯え、怒りを覚えれば争いに発展するのだ。この様にな」
カナシミは後ろにある装置を視線を向けた。
その巨大な装置を見た半情は質問する。
「これはなんだ?」
「私1人が起こしたものがエモーショナリデミックとするなら、この装置は"テラ・エモーショナリデミック"を引き起こす事を可能としている」
「"テラ・エモーショナリデミック"……?」
「テラはどこかの言葉で"地球"を意味する。我々はこの地球をエモーションの星とする。エモーションがより住みやすく、人と同じ様に生きれる場所を創り出す。それが私の計画だ」
「バカな……」
半情は首を横に振り、真っ向から否定する。
「それをしたら君はもちろん!他のエモーションも滅ぶ事となる!哺乳類の様な動物に感情は存在するが、人間ほどの感情は持ち合わせてはいない!食糧難になるんだぞ!」
「わかっている。だからこそ私は実験を行ったのだよ。人間でね」
人間という言葉に半情はゾッとした。
だが、半情は言い返した所で何も言えなくなると判断し、カナシミが話しを聞き続ける。
「私は人間1人を媒体とし、そこから感情のエネルギーを半永久的に生み出せないかと模索した。が、それにはリラティブドライバーの様な道具が必要不可欠であった。私の実験は難航した……それから2年。私は自身の力とエモーションを利用すれば、この不可能な実験は成功するのではないかという結論に至る」
「お前の人を操る力……それをどうしよう言うんだ」
「私の後ろにある装置はテラ・エモーショナリデミックを引き起こす為に莫大なエネルギーを必要とする。そのエネルギーの代わりをエモーションの生命力で補うのだ」
「な、なにっ……!?」
エモーションの為と言っておきながら、エモーションの命を犠牲にする。
矛盾した話ではあるが、これについてカナシミは話し出す。
「全てのエモーションを犠牲に装置を起動。装置は人間の感情を増幅させる高周波を放ち新たなエモーションを生み出す。これによりテラ・エモーショナリデミックは完了する。そして再び装置を起動した後、エモーションは消えるが人間は元に戻る。装置を一旦停止させ1年経過した同時に再び起動。これを永遠に繰り返す事によりエモーションの数は徐々に減るが、数十年のサイクルは可能になる」
この一見無駄としか思えない行動に半情はハッとなる。
「数十年……つまり彼らの寿命を待つという事かッ!?」
「左様。人間には寿命が存在する。そして我々は感情があれば半永久的に生存できる。これにより時間を掛ければ必ずリラティブドライバーを手に入れられる」
「狂っている」
「共存が不可能だとリラティブドライバーを開発したのはどこの誰だ?」
「くっ……!」
「お前は人の為に、私はエモーションの為に。そこに何も違いはない。生と死……人間とエモーションの向かう先は果たしてどちらか。半情よ、お前はどうしたい?」
「………カナシミ、私の言葉を信じられないだろうが聞いてくれ。私はお前と家族になりたかった」
唐突な家族という言葉にカナシミは強い反応を示す。
たが、その表情は"悲しげ"であった。
「何を今更……」
「お前がリラティブドライバーを欲した最初の理由。それは私が死んだと思ったからなんだろう?形見……お前は私を最後まで信じてくれた。だから少しでも形として欲しかった。違うか?」
「……………」
「言い訳するつもりはない。リラティブドライバーは確かにお前を止める為に作られたものだ。エモーションという人間では太刀打ち不可能な生物を相手にするにはそうする他なかった………ただこれだけは聞いてほしい。当初の私の、お前に対する気持ちを──────」
*****
あれはまだ冷たいガラスの檻にいた時のカナシミ。
この時、半情は既に妻も子供達も失い、絶望の淵に立たされていた。
しかしそんな彼が唯一家族と思えたのがカナシミであった。
「カナシミ、お前は本当に賢いな。もうその計算式を覚えたのか」
「ああ、覚える事はこの上なく楽しい。こうして勉強する事は私の性に合ってると言えよう」
「そうかそうか……ん?それは?」
カナシミはとある写真集を手に取っていた。
「これは文化遺産か?」
「そうだ。いつか私もここを出て見に行きたいものだ」
「………きっと行こう」
「その時はお前と共に行きたい」
「私と?ははっ、まさかこの歳でデートに誘われるとは」
「でーと?男女で行くものと書いてあったが……それなら私の性別はどちらだ?」
「冗談だ、カナシミ」
「そうか」
暫しの静寂が訪れる。
「……なぁ、カナシミ」
半情が口を開く。
「とうした?」
「お前に私の家族の話をした事はあったか?」
「ああ、もう死んでしまったと聞いた」
すると、カナシミは静かに涙を流す。
「カナシミ?」
「他人である筈のお前の家族。半情、私はお前を親しく思う。が、お前の家族に対しては会った事すらない。なのに、何故悲しいのだろうか」
その質問に半情は少し考えると、カナシミの肩を叩いてこう言った。
「お前が私の気持ちになってくれたからさ」
「お前の気持ちに……?」
「そうだ。友というのはな。互いの気持ちがなんとなくわかるんだ。その気持ちを自分に当て嵌めて考えてみると、その人の気持ちを理解できて自然と涙が出る。決して全てを理解した訳ではないけれど、共感するっていうのは時に人を救うんだ」
「………人間は難しいな」
「私もそう思う」
「ただ……」
「ん?」
「私は好きだ。人間という生物が────────」
程なくしてリラティブドライバーの制作が始まる。
「カナシミはそんな事はしないッ!!話し合えばきっとわかる筈だ!!」
半情は研究員に怒鳴った。
「リラティブドライバーを製作したのはカナシミに万が一があった場合だ。何故殺す事になった!!」
「その万が一が起きようとしているからだ!!お前もわかっているだろう?奴は感情を持ち、知恵も人間と大差なく……いや、今は俺たち以上の知恵をつけているんだぞ!!それに留まらず本当の自我を持ち始めた!!あまりに危険過ぎるッ!!」
言い合いはカナシミの耳にも入っていた。
半情は悲しい顔でカナシミをガラス越しに見つめる。
「半情……」
「すまない……」
彼はそう言い残し、上からの指示のままリラティブドライバーの完成を急いだ。
「すまない……すまない、カナシミッ……!!私はお前という家族を失いたくないッ……!!」
そして時が経ち、カナシミがエモーショナリデミックを開始する。
「ああ、これは私が始めた。お前の気が済むのなら私を殺してくれ……」
小声で半情は呟いた。
カナシミにはその声が届いていなかった。たが、カナシミは彼を生かした。
どういう理由であれ、自分の親に手を掛けることはできなかった──────。
*****
「カナシミ、私はあれから強い後悔に襲われていた。お前の気持ちを想うと今でも胸が締め付けられる……」
「半情……」
「テラ・エモーショナリデミックをやめてくれ。こんなのお互いの為にもならないじゃないか。きっとまだ道はある」
「……無理だ。半情。このまま我々と決着を付けねばどちらかの種が滅ぶ。私が、エモーションが、この世に誕生したその時から道は1つしか存在しないんだ」
「カナシミッ……!!」
その時、階段を駆け上がる音と声が聞こえる。
「ぜぇ……ぜぇ……どうして、変身を、解いたんですか、氷ッ……!」
「はぁ……はぁ……だって、半情さんならカナシミを説得できると思ってたから………あ、半情さん!」
氷が半情に向けて手を振る。
「氷ちゃん……すまない」
「え?」
すると突然、カナシミは装置のスイッチを押した
「───ッ!!?カナシミッ!!」
「もう止まれない。止まれる訳がない……モヤシ、氷。仮面ライダーリラティブよ。種の存続をかけた戦いを始めよう」
それを聞き、モヤシと氷は再び融合。
腰のリラティブドライバーにベストリラブルズを装填し、そこへカンジョーメダルを4枚装填。
上部を叩き仮面ライダーベストリラティブへと変身する。
《ワン・フォー・トゥー!トゥー・イン・ワン!》
《ベストリラティブ!アイラビュー!》
「ああ、決着をつけるぞ。カナシミッ!」
「私たちが全部守るッ!」
最後の戦いが始まる……!!
次回、第27話「家族=心」
次回もよろしくお願いします!!
最終回まで残り……1話。