仮面ライダーリラティブ   作:辰ノ命

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皆さんご無沙汰してます。
それではどうぞご覧下さい。


第27話「家族=心」

 雨が降る中、装置の駆動音が静かに空気を震わせた。

 テラ・エモーショナリデミックは刻一刻と迫る。

 

「「ハァッ!!」」

「ふんっ!」

 

 先に動き出したのはベストリラティブ。ベストリラティブレイドを召喚し、カナシミに斬り掛かった。

 カナシミもこの武器の危険性をすぐに察知。手を翳すとカナシミの手前で武器が止まる。

 

「な、なんだッ!?」

「まるで壁でもあるみたいッ……!」

 

 カナシミが謎のバリアに力を込めるとベストリラティブは空中に吹き飛んだ。

 が、ベストリラティブはそのままベストリラティブレイドにオウトツバイダーを装填。更に続けてテラーカンジョーメダルを差し込んで起動する。

 

《テラー!》

《シングルカンジョー!》

《シングルカンジョーアタック!》

「これをこうして……こう!!」

 

 恐怖の感情は水。水は雨。

 空中に漂う雨を利用し、ベストリラティブはそれを足場にしつつ、残りの雨をまるで弾丸の如くカナシミに向けて発射する。

 

「むぅッ……!」

 

 それらをカナシミは冷静に対処。

 無数のバリアを展開し、雨の弾丸を全て封じる。

 

「氷、僕もやります!」

「おっけー!」

「はっ!」

 

 モヤシはそう言ってオウトツバイダーに、アングリーとジョイカンジョーメダルを装填する。

 

《アングリー!》《ジョイ!》

《ダブルカンジョー!》

《ダブルカンジョーギリ!》

 

 ベストリラティブレイドの赤い刃を天高く掲げると、そこから一気に炎と光が溢れ出す。天を貫く程の高出力エネルギーをカナシミに向けて振るった。

 カナシミの背後にある装置ごと切り裂くつもりらしいが、カナシミはさせまいと先ほどよりも広範囲にバリアを展開。

 容易くとはいかないが見事にあの刃を受け止めきって見せた。

 

「流石、半情の創り出したリラティブドライバー……否、彼、彼女らの感情の大きさがこれを実現しているのか……?」

「カナシミッ!」

「来るか」

 

 今度はベストリラティブレイドに3枚のカンジョーメダルを装填。起動。

 スイッチを押し、ベストリラティブレイドを高速回転させる。

 

《テラー!》《ジョイ!》《ソロー!》

《トリプルカンジョー!》

「やぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁッッ!!」

《トリプルカンジョーブレイク!》

 

 まるで雷の如く発せられる無数の高密度のエネルギー。

 これらを全て防ぎ切るのは至難の業。だが、カナシミはそれら全てに対応しようと試みる。

 

「ぐうぅ………ッ!!」

 

 殆ど全てを防ぐカナシミ。その猛攻に気を取られた瞬間であった。

 真横に人影が現れる。それは───────。

 

「私よッ!!」

「いつの間にッ……!!」

 

 ベストリラティブの分離形態ウィズパートナー。

 氷は攻撃をモヤシに任せ、自分は不意をつく為に横からの攻撃を仕掛けた。

 それはカナシミを見事に出し抜いた。

 

「はぁっ!!」

「ぬぅッ!!」

 

 しかし、カナシミはモヤシの攻撃を押し返すと、すぐさま氷に向けてバリアを展開。それを回転させて投げつける。

 ただの防御だと思っていたそれを攻撃に転じた。

 

「氷ッ!!受け取って下さい!!」

「モヤシ、ナイスタイミングッ!!」

 

 オウトツバイダーには既に4枚のメダルが装填されていた。

 

《アングリー!》《ソロー!》《テラー!》《ジョイ!》

《クアトロカンジョー!》

 

 氷はベストリラティブレイドのスイッチを押す。

 

《クアトロカンジョーバクハツ!》

「えぇぇぇぇいッ!!」

 

 横に一閃。薙いだ場所から光が止まると同時、目の前で大爆発を引き起こす。

 カナシミはそれらを我が身にバリアを固め、衝撃に備えた──────が、その威力は桁違いであり、爆発が止むと思わず膝をついてしまう。

 

「ぬぐぅ……ッ!!」

「モヤシ!」

「はい!」

 

 氷の合図と共にベストリラブルズのボタンを押し、再びベストリラティブに戻ると、オウトツバイダーにボルケーノとアイスバーグのメダルを装填。起動し、スイッチを押し、カナシミ目掛けて投げつけた。

《ボルケーノ!》《アイスバーグ!》

《スーパーカンジョー!》

《スーパーカンジョーストライク!》

 

 炎と氷を纏った刃。その先端が無慈悲にもカナシミに向く。

 それをカナシミは全神経を研ぎ澄ませ、バリアを1点に集中させた。

 ベストリラティブレイドはバリアに突き刺さるが、間一髪でカナシミの目の前で止まる。

 それをカナシミはバリアを捻じ曲げて両剣をへし折って見せたのだ。

 

「全てはエモーションの未来の為ッ……!!」

 

 カナシミはバリアに自身の力を注ぎ込み、黒く澱んだ波動を放つ。

 その一撃は計り知れず、あまりの衝撃を受けたベストリラティブはビルから突き落とされた。

 

「はぁ……はぁ……………ッッッ!!」

 

 一時的な静寂が訪れる。

 カナシミは力を注ぎ込み過ぎた為に自身の力は限界に近いと悟り始める。

 

「カナシミ……」

 

 そんなカナシミに半情はゆっくりと近づく。

 それをカナシミは拒んだ。

 

「近づくな半情ッ!!」

「もうよすんだ……カナシミ!」

「私はもう止まることはできない……」

「まだやり直せるんだ。お前が全て間違っているとは思わないし、だからと言って正しいとも思えない。ただこれからやり方を変えて、模索する事だってできる筈だ」

「………」

「今度は私も共に歩んでみせる。だからッ……!!」

「………ッッッ!!」

 

 カナシミが半情に向けて衝撃波を放つ。

 半情は地面を転がりながらビルから転落─────しかけたが、すんでの所で端を掴んでなんとか耐え抜いた。

 

「カナシミーッ!!」

「……すまない、半情。私はお前を殺してでも前に進まねばならん」

「く、うぅ………ゴホッ……!!」

 

 ここに来て持病が再発。半情の手が離れた。

 高層ビルから地面に向けて落ちていく。

 

「半情…………」

 

 装置の準備が完了した。後はエモーションの生命を注ぐのみ。

 

「これでエモーションの未来が訪れる」

 

 カナシミは声を張り上げる。

 

「この世に住まうエモーション達よッ!!我が元に集い、その命を捧げよッ!!エモーションの未来の為にッ!!そしてこの地球の新たな生命体として君臨するのだッ!!」

 

 刹那、装置が鈍い音を立てた。

 何かが突き刺さった音。

 

「なっ……!!」

 

 装置に突き刺さっていたもの。それはベストリラティブレイド。

 それから装置の駆動音は段々と小さくなり、完全に停止する。

 

「──────カナシミ、お前の思い通りにはならない」

「何故なら私たちがいるからね」

 

 カナシミは振り返る。

 そこにいたのはベストリラティブ。そしてその腕には気を失った半情。

 

「あんな攻撃で私たちがやられると思った?」

「落ちた時点でどうするか考えていたら、半情さんも落ちてきたもので凄く焦りましたよ……」

「ま、何はともあれ……カナシミ。あなたの装置は破壊したわ。観念しなさい」

 

 装置は破壊され、自身の力も限界。

 カナシミは静かに涙を流して両手を地面についた。

 

「……………………まだだ」

 

 そしてカナシミは腹の底から叫ぶ。

 

「まだァッ!!終わってないのだァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」

 

 そうしてカナシミは思わぬ行動に出る。

 装置の中に自身の腕を突っ込んだ。

 

「な、なにをする気ッ!?」

「氷、止めないとまずい気がします!!」

「そうね!」

 

 ベストリラティブは走り出すが間に合わなかった。

 空の雲が装置を中心に回転を始める。大雨が降る中、突如雷の音が響き渡る。

 カナシミは自身のエネルギーを装置に流し込む。吸い寄せられる様にカナシミと機械に向けて雷が降り注いだ。

 駆動音が鳴り響く。

 身体が崩壊を始める。

 それでもカナシミは腕を離さない。

 

「モヤシ、氷よ……合理的ではないにしろ私自身を犠牲にしないとは言っていないぞ。これが私の奥の手であるッ!!」

 

 凄まじい衝撃波と共にカナシミの身体は朽ち、存在する全てのエモーションを飲み込む。

 そして新たな生命を生み出した─────────。

 

 

 *****

 

 

 半情は眩い光で目が覚めた。

 ゆっくりと身体を起こし、その光の方に目を向けると、一瞬にして事態を理解した。

 

「こ、これは……カナシミ……?」

 

 カナシミは装置と一体化し、ビルの屋上を土台に天に着く勢いで巨大化を果たしていた。

 痛々しく無理やり繋がれたであろうコードが下半身を覆い、関節を無視した伸縮自在な腕と首。カナシミの仮面は崩壊し、絶望という言葉が相応しい表情が隙間から覗く。

 身体から生えた無数の触手が初期のエモーションを彷彿とさせる。

 この光景は遠めながら全国に中継されていた。

 世界の終わり─────そう評された。

 

「カナシミィィィィィィィッ!!!」

 

 半情の叫びと共にカナシミは雄叫びを上げる。

 それは既に自我すら持たない。

 ただの怪物と化していた。

 

「モヤシ……きっとこれが最後の戦いになる」

「はい、わかってます。氷」

「私たちが世界を救う。可奈たちもみんな……また笑顔で明日を迎えられる様にッ!!」

「全ての人々の感情は僕たちが守るッ!!」

「「燃やして、冷やして、ぶっ倒すッ!!!」」

 

 ベストリラティブは飛び出す。

 それに合わせてカナシミの身体から生えた触手が次々にベストリラティブを襲う。

 

「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッ!!」」

 

 ベストリラティブレイドを生成し、雪崩の様に襲い掛かる触手を切り裂く。

 触手は切っても切っても再生し、ベストリラティブを中々前に進ませない。

 直後、カナシミの顔からレーザーが射出。

 

「モヤシッ!!」

「はいッ!!」

 

 同時にベストリラブルズの両端のボタンを押し、ウィズパートナーに分離。

 氷はカナシミの顔面まで即座に足場を作り上げ、モヤシはその上を全力で駆け抜ける。

 

 オオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!

 

 カナシミの咆哮が空気を震わせる。

 雷が降り注ぎ、カナシミの頬に雨が伝う。

 

「カナシミ………」

 

 その叫び声は最早悲鳴にも聞こえる。

 モヤシは一定の距離まで近づくと、足場を蹴って両手から炎を噴出。

 一気に顔面まで近づいた。

 

「カナシミッ!!」

 

 そう叫ぶと、カナシミはバッとモヤシの方を向き、レーザーを放とうとエネルギーを溜め始める。

 モヤシはそれに合わせてベストリラブルズを押すと、氷と再融合し、ベストリラティブの状態へと戻った。

 その直後にレーザーが発射されるが、それを2人は炎と氷の壁を目の前に創り出して受け止める。

 

「「ぐうぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……ッッッ!!」」

 

 そしてベストリラティブは壁を少し横にずらす。

 その勢いでベストリラティブの身体は回転するものの、レーザーの軌道から大きく外れた。

 

「モヤシッ!!今ァッ!!」

「氷ッ!!行きますよッ!!」

 

 リラティブドライバー上部のボタンを叩く。

 両足にエネルギーを集中。

 赤、青、翡翠───紫、黄色。

 様々な感情が混合し、虹色に輝く─────ベストリラティブ最大の一撃。

 

「「これで決まりだァァァァァァァァァァァァッ!!!」」

《ベストリラティブ!メンタリング!》

 

 オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!!

 

 カナシミの雄叫び。

 対処できない身体。

 もう何も遮られる事はなし。

 

「はぁぁぁぁ─────────────」

 

 ─────決まる。

 

「「はァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッ!!!!!」」

 

 その一撃はカナシミの身体を、貫いた。

 

 オオオオオオオオオオオ──────────────。

 

 咆哮がピタリと止み、訪れたのは静寂。

 そして雲の隙間から覗く太陽───────。

 

 

 *****

 

 

「やりましたね!氷ッ!」

「勝った……やった……私たちの勝ち」

「そうですよやりましたよ!!」

「うん……うん!!やったわよ!!」

 

 ベストリラティブのままピョンピョンと跳ね回るモヤシと氷。

 半情もそれを見て笑顔が溢れる。

 

「2人ともよくやってくれた」

「……半情さん」

「ありがとう。いいんだ。最後のあいつは本当に苦しそうだった。だからアレでいいんだ」

 

 少し悲しそうな顔をする半情にベストリラティブは動揺を見せる。

 

「何はともあれお疲れ様。これでエモーションの危機は去った。その事実は変わらない。君たちは英雄だよ」

 

 再び半情の顔に笑顔が戻る。

 

「いやぁ、一時はどうなることかと思いましたが雨降って地固まる?って奴ですね!」

「あれ?モヤシってそんな難しい言葉使えたんだ」

「これでも僕は燈時代めちゃくちゃ頭良かったらしいですからね!」

「今は?」

「………はい」

「ぷっ、なにそれ」

「あはははっ」

 

 3人はビルの屋上で笑い合う。

 これにて一件落着。誰もがそう思った───────次の瞬間。

 

「─────ッ!?2人とも!!」

 

 半情が大声をあげて指を刺す。

 ベストリラティブが振り返ると崩壊するカナシミの身体から黒い感情が漏れ出している。

 尋常ではない量。その漏れ出た感情は普通ではない。

 直後にビルが音を立てて傾き始めた。

 

「あの黒い感情……ビルを溶かしてるッ!?」

 

 と、モヤシは叫ぶ。

 

「このままじゃビルだけじゃない……地上の全てを飲み込む」

 

 半情の言葉を聞いた氷はすぐに考える。

 

「アレを止めるにはベストリラティブの力を使って……!!」

 

 すぐにベストリラティブレイドを召喚し、オウトツバイダーに4枚のメダルを装填。

 カナシミに向けて高エネルギーを帯びたそれを投げつけた────────が、一瞬にして飲み込まれ、溶けていく。

 

「う、嘘でしょ……?」

「氷、なんとかしないとッ!!」

「わかってる!!」

 

 2人に焦りが見え始める。

 するとその時、半情がとある方法を思いつく。

 

「氷ちゃん、モヤシくん……よく聞いてくれ。アレを止める方法を1つ思いついた」

「本当ですか!」

「カナシミはきっと絶望を感じている。奴はもう……自身でどうする事もできないんだろう。その絶望を緩和させる為にはリラティブドライバーが必要だ」

「リラティブドライバーをどうするんですか?」

 

 半情は次の言葉を躊躇った。

 しかし、この状況で躊躇ってなどいられない。

 重い口を開いた。

 

「君たちはそのままカナシミに触れてもらう。そして………っ………くっ………」

「半情さん………?」

「どちらかのリラティブドライバーを犠牲にし、敢えて感情を暴走させて内側からの崩壊を狙う………が………っこ、これを行う為には…………」

「う、嘘……ですよね?」

「君たち、2人の……どちらかが犠牲にならねばならない……」

 

 絞り出す様に放った結論。

 氷は即座に反論した。

 

「どちらかが犠牲なんてッ!!他に方法はないんですか!!?」

「……………」

「半情さんッ!!」

 

 氷が半情を感情ままに問いただそうとした。その時─────。

 

「えっ」

 

 ベストリラティブはカナシミに向けて歩み出す。

 

「え、えっ、何してるの?」

「………」

「やだやだやだやだッ!!」

「…………………」

「ふざけないでモヤシッ!!ねぇ聞いてるの!!ねぇってば!!」

「…………………………」

 

 モヤシは黙ったままカナシミの前まで辿り着く。

 ベストリラティブは本来モヤシと氷が操る戦士。お互いのどちらかが否定すれば止まる様になっている。

 だが、その時はモヤシの意思が大きく優った。リラティブドライバーがそれに呼応する様に────。

 

「嘘でしょッ!!?やめてッ!!」

「………氷、よく聞いて下さい」

「聞けない、聞きたくないッ!!」

「氷ッ!!!」

「………ッ!!」

 

 突然のモヤシの怒鳴り声に氷は思わず口を噤む。

 

「………すみません。怒鳴ってしまって……でも、聞いて下さい」

「モヤシ……」

「僕は氷と出会えて本当に幸せでした。僕の知らない事を沢山教えてくれて、色んな友人たちとも出会えて……だから僕はそんな幸せと大切な人たちを守りたい。なにより氷の笑顔が見たいんです」

「私はあなたが居なきゃ笑顔にならないッ……!!だから……!!」

「僕は元々存在しない人間です」

「存在してるッ!!今だって、ここに!!あなたがいなくなるくらいなら私が犠牲になるッ!!」

「それはダメですよ。氷はご両親や弟さんの分まで生きなきゃいけません。それとも氷は彼らを裏切るんですか?」

「そんな訳………でもっ!!」

「……僕が言っても説得力に欠けますね。これは僕の贖罪です。燈が残した最後の裁き。僕はこの身に受けようと思います」

「だめ……やだ……やだよぉ………」

「……ぅ……ッ」

 

 お互いの頬に涙が伝う。

 このまま進めば二度と会えなくなる。

 

「モヤシ……私を1人にしないでよぉ…………」

「────なら、約束させて下さい」

「え?」

「僕は"犠牲"になるんじゃありません。あくまで"止めにいく"だけです。だからきっと、もう一度、僕は氷の元に戻ります」

「できるの……?」

「やってみせます。あなたが────氷が僕を想い続けてくれるなら」

「…………」

 

 氷は暫し沈黙する。

 だが、彼女はモヤシの言葉を信じた。

 何故ならモヤシは彼女にとって大切な、大好きな、愛する人だから。

 

「うん、約束だから」

「はい、約束です」

 

 そうしてベストリラティブはカナシミに触れる──────。

 果ての見えない暗闇。

 そこに2つの光が存在する。

 

「……では、少しの間ですが……」

「…………」

 

 深淵に向かおうとするモヤシに抱きつく氷。

 2人は静かに抱きしめ合った。

 

「絶対帰ってきて」

「はい、必ずあなたの元に帰ります」

「……モヤシ」

「はい」

「愛してる」

「僕もです、氷」

 

 2人は抱擁を交わし、そっと唇を重ねる。

 そして互いに引き剥がされる様に離れていく。

 

「モヤシッ!!」

 

 氷は叫ぶ。

 

「私は何年経とうと待ってるからッ!!……ずっと、ずっとずっとずっと!!あなたが帰るその日までッ!!」

 

 モヤシは笑顔で頷いた。

 その直後、視界が白く光り出す─────────。

 

 ─────目覚めた氷。

 近くには半情がいた。

 

「半情さん……?」

「終わったよ……全て」

 

 ビルは崩壊し、そこには瓦礫の山があった。

 いつの間にか地上へ降りていた。

 

「不思議なことに氷ちゃんと私は謎の光に包まれてね。こうしてビルの崩壊から免れて地上に降り立つことができたんだ」

「謎の光……モヤシッ!!」

 

 氷は周囲を見渡す。

 だが、そこには半情と氷以外の人間はいなかった。

 

「氷ちゃん……彼は……」

「わかってます」

 

 そう言うと氷は立ち上がり、背伸びをする。

 

「ちょっとあいつは旅に出ただけです。すぐに帰ってきますから」

「氷ちゃん……」

「約束したんです。必ず帰ってくる様にって……だから私は待つ事にします」

 

 それから氷は半情に笑顔を向けてこう言った。

 

「私の愛した人は、私を悲しませる様な事……しませんから」

 

 雲は消え、眩いばかりの太陽の光が燦々と降り注ぐ。

 全てが終わったと言う様に、彼女を熱く照らす。




次回、最終話「私=僕」

最後の仮面ライダーリラティブ、是非ご覧ください。
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