あと数ヶ月で私はオリライダー小説初めて5周年でございます。
それではどうぞご覧ください。
「うぉぉぉぉらぁぁぁぁぁッッ!!!」
『ちょ、ちょっとどうしたの!?』
リラティブに変身したモヤシ。オドオドとしていた彼とは一変、まるで火山が噴火したが如く、性格が弾けて凶暴になっている。
この状態は明らかにまずいのだが、今はそんな事は言ってられない。氷は身動きが取れずとも、声くらいは掛けられる。
リラティブは勢いをつけながらエモーションにボディブローをかます。
その強烈な一撃で壁が壊れ、校外へと吹っ飛んだ。
『ちょちょちょ、何してるのよ!?』
「あぁ? あいつを倒す為にはこれくらいしないとだろ」
『でも壁を割っちゃうなんて……!!』
「うるせーなぁ…… お前はそこで見物でもしてな─── はっ!!」
そしてエモーションを追撃で殴る。殴る度に拳から非常に熱いマグマが迸る。
相手に打撃を与えながら、その身体を焼く。
「オラオラオラオラオラオラッ!!」
激しい拳でのオラオララッシュ。エモーションは全くと言っていいほど、抵抗する隙すら与えない。
圧倒的暴力。間近で見ている氷はその光景を良いとは思えなかった。
『……… ダメッ』
「は?」
『こんなのただの暴力じゃない』
「そうだが? 今更何を言ってやがる」
『だからってやり過ぎなのよ! もうエモーションは動けないのよ!』
「だが、こいつがもしまた暴れ始めたら処理できんのか? 今、ここで仕留めておくことが得策だと俺は思うんだがな」
『それは…… そうだけど』
そう言ったあと、リラティブが拳にマグマを溜め、その溜まったマグマとエネルギーを合わせて一撃で鎮めるつもりだ。
だが、一歩遅かった。少し躊躇していた間にエモーションは触手でリラティブを突き飛ばし、その場から逃げ去ってしまった。
「待ちやがれ…… ちっ! お前が俺を止めたからだ! 責任取りやがれ!」
『……… ごめんなさい』
「謝れば済むって問題じゃねーだろ。ちっ……」
リラティブドライバーのメダルを抜き取ると変身が解除される。それと同時に融合した2人は元の人間の姿に戻った。
すると、すぐにモヤシは氷に向けて頭を下げてきた。
「こ、氷さん!! すみません!! 僕、暴言を吐いていたみたいで……」
「へ〜、自覚はあるのね」
「なんだか僕も自分ではわからないんです。あの姿になった途端に感情が昂ったというか……」
「まぁどうやらこのメダル。さっき使ったやつがアングリー…… 『怒り』って事よね。それに作用してあなたの性格もあぁなっちゃたんじゃない?」
「面目ないです……」
本当に申し訳なさそうにするモヤシを、溜め息を吐きながら氷は言う。
「あなた、うち来る?」
「えっ、いや、それは……」
「どーせ行くところないんでしょ? ちょうど私の家、
「どうって言われてもなんか学生の家に、それも女性の家に行くのは記憶がないながらもダメだってことがわかってしまう……」
「とりあえず警察とか諸々に話しとくわ。言い訳をね。モヤシとそのドライバー…… 色々と話もしたいしね」
「はぁ……」
*****
かくして、モヤシは氷の家に居候することとなる。
学校は早々に閉鎖となり、暫くの間は監査が入るらしく、休みが続くらしい。
そしてモヤシの件は親戚ということで、ギリギリ何とかわかってくれた様だ。この氷という少女の口の回る様は目を見張る。
「ここが私の家。どうぞ入って」
「お、お世話になります……」
立派な家だ。一軒家で2階建、中は結構広く、数十人呼んで宴会なんてこともできそうな大部屋まである。
氷の部屋は2階にあり、モヤシは彼女後ろをついていく。
そして彼女の部屋に入ると、中は必要最低限のものしかない超シンプルな部屋であった。一応と言わんばかりの女の子要素として、ぬいぐるみが何個か置かれているだけだ。
「ジロジロ見ないでよ」
「ご、ごめんなさい」
「それでそのドライバーはどこから出てきたの?」
「それは…… 僕たちが見た時は互いの間に呼応する様に出現しました。そしてこれを使うと僕と氷さんは1つになって、仮面の戦士に変身する」
「…… 改めて聞いてみると、本当にどういうことなのって感じ。なんで私たち2人なのかな」
「絶体絶命だったから神様がくれたんですかね?」
「神様かー…… いたらいいね」
そう言って氷はキッチンへと向かった。
ちょうど夕方ごろなので、夕飯を作りに行ったのだろう。
「僕も何か手伝あることありますか?」
モヤシがそう言うと、作業をしながら振り向かずに氷は言う。
「じゃあそこの食器棚からお皿とか箸とか出して。なんでも使っていいから」
そう言われ、モヤシは適当に2人分の皿と箸を用意した。
暫くすると料理が運ばれてきたのだが、これがとてもいい香りで何も食べてなかった胃袋を刺激する。見た目も最高に美味そうだ。
「氷さん料理上手なんですね」
「まぁずっと1人だからこれくらいは……ね」
「…… 氷さん。さっきから気になってたんですけど、この家って……」
「そう、私だけ。私とあなた以外、ここには誰もいないわ」
そういえば下に降りた時、別の部屋のドアが少し開いていたので覗いてみたら、そこには仏壇が置いてあった。
写真は3つあり、顔はよく見えなかったが誰かが亡くなったのは明らかであった。
「私の家族はね─── 殺されたのよ」
「えっ」
モヤシは料理を口に運ぶ手前で止め、暫くの間は口を閉じる事も、話しかけることもできなかった。
「あの日、私の家族は───────」
*****
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ……!!!」
「………っっふふっ……ぅぐふぅ…… ははっ… あははははははははははははっっ!!!!!」
ビシャリと飛び散る血。流れ出る血。白い壁を真っ赤に染める。
部屋は赤く染まった。ペンキでもひっくり返したかの様に。
「あの世行きだッ!! 全員纏めてッ!!」
「助けてお姉ちゃ────!!」
弟の
「いや…… うそっ、冷!! いやぁっ!!」
「早く逃げるんだ氷ッ!!」
父も母も娘だけでもと、何度刺されても立ち上がり、2人かがりで殺人犯を止め、氷は外へと逃げることができた。
氷はそのまま一心不乱に走り続け、交番の前に辿り着き、事情を聞いた警察たちは彼女を保護した─────。
*****
「みんな死んじゃった。この家は私の形見なの。この家だけは……… 失いたくない」
幸い氷の親戚たちがこの家の金銭面などを養ってくれて今に至る。
周りもこれ以上彼女を苦しめたくないのだろう。
「その犯人は今だに逃走中。死亡説が出てるけどそれはない」
「なぜ…?」
「そいつは絶対に生きてる。そう信じてるの。だから、見つけたら必ず………」
その目には殺意が見えた。モヤシはそれを直感で察する。
しかし、そんな目はすぐに元に戻り、いつもの氷に戻った。
「さ、あったかいうちに食べるわよ! いただきます!」
「い、いただきます……」
2人は夕飯を食べ終わると、風呂に入り、明日の支度をして床に着く。
そして奇妙なことが起きた───────。
*****
「ふあぁぁ〜」
目が覚めた氷は洗面所まで足を運ぶ。
歯を磨いていると、頭の中で何か声が聞こえてくる。まだ寝ぼけているのかと、最初はそう思っていた。
が、その声の主がモヤシである事に気づく。
「え、あなたっ…… (グチュグチュ)… ぺっ! あなた私の頭の中でなんで話しての!?」
『いや、その、僕もよくわからなくて……』
「ていうか今モヤシはどこにいるの!?」
『氷さんの中です……』
「え……?」
『嘘かと疑うレベルなんですけど、どうやら僕は氷さんと1つになってしまったという訳で……』
「へぇ!? なんで!?」
『僕にも分かりませんよぉ…』
「……… ん? 待って? あなたもしかしてトイレ一緒についてきた…?」
『……………… 聞こえなかったからセーフです』
「モヤシィィィィィィィィィィいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!!」
2人で1人の仮面ライダーは、私生活でも2人で1人となってしまったのであった─────。
*****
その日、氷は気分最悪なまま、友達の可奈と他2人、氷を含めた計4人で昼食を食べるつもりで外へ出た。
モヤシが中にいるという心の安らがない状態。別に黙れとは言ってないが、彼は気を利かせてずっと喋っていないが、それもそれでむず痒い。
「─── ちょっとモヤシ」
『はい?』
「はやっ。あなたずっと黙ってるけど、もしかして気を遣ってる感じ?」
『え? まぁそりゃ…… 今から友達に会うのに、1人でぶつぶつ会話するのも変な人に見られるじゃないですか』
「……… 確かに。じゃなくて別に用があるなら喋れば。わざとやったわけじゃないし……」
『じゃ、じゃあ…… エモーションってかなり前からいるんですか? あの光景ってもしかして日常茶飯事だったりします?』
「そうねー… エモーションが現れて、あれから2年くらい。最初は混乱してたけど、人って慣れるものだから今じゃ普通よ。自然現象。ほら、警察も銃持ってたでしょ? 自然なんてどうやっても止められないから、もう皆んなそれが起こらなければいいなぁって楽観的な考えた方になってるの」
『へー……』
エモーションは2年前、突如として出現した。
最初にエモーションが発生したのは本当に突然、一般的な会社員の男性からから怪人が飛び出して、その人を食ったという話が有名だ。
わかっていることは彼がその日、上司に叱られて感情的になっていたとの事だ。
感情から生まれる怪人、エモーション。
自分もあの日襲われてたら感情を食われていたのか。いや、そもそも記憶がないのはエモーションによるものなのか?と、モヤシは考えた。
「─── よっ! 乙っ!」
「みんな〜お待たせ。ごめんね、遅くなっちゃって」
モヤシが考え事をしていたら、ちょうどよく氷が友達と合流できたようだった。
「それじゃあ行こっか」
4人は約束していたカフェに到着し、そこで昼食を取る。
「何にしよっかなぁ〜。まぁこのデラックススペシャルパフェZは確定だよね!」
「前にカロリー気にしてるって言ってなかった?」
「今は別腹!!」
「都合いいな〜」
4人が楽しく他愛もない会話をしていると、その空気が一変することとなった。
店内がざわつき始め、後ろの席からうめき声が聞こえてきた。
「え? なになに?」
「───っ!!?」
後ろの席の女性の身体を裂くようにエモーションが飛び出してきた。
静寂に包まれていたカフェの中に一気に悲鳴が響き渡る。
「モヤシっ!!」
『氷さん!!』
その時、2人の心が共鳴し──────。
「えっ」
『えっ』
氷がいたはずの場所にはモヤシが立っていた。
氷の友達はいきなり現れた男に口をあんぐりと開けて驚き、エモーションもいる中なので感情の渋滞が発生していた。
「こ、氷さん!? い、今もしかして……!!?」
『今度は私がモヤシの中にいるって事っ!? ホントにどうなってるのよ!!』
モヤシが一人芝居の様な事をしていると、エモーションがこちらに気づき近づいてきていた。
「あ、あの……! 氷はどこですか……?」
「え、あ、えっと……… とりあえず皆さんは早く逃げてください!!」
そして可奈達に逃げる様に伝え、モヤシはリラティブドライバーを取り出して腰に装着し、赤い方を表にメダルを装填する。
《アングリー!》《ボルケーノ!》
《コネクト!》
「変身ッ!!」
《リラティブ!ウィズアングリー!》
ドライバーの上部を押すと、背後に火山が出現し、モヤシの身体がマグマに包み込まれ、岩の様に固まったマグマを壊し、中から仮面ライダーリラティブが現れる。
「さぁ、燃えていくぜッ!!」
『あーなんかまた色々まずいことになりそう…!!』
以上です。
ペース落とさない様に頑張ります。
次回、第3話「氷=アイスバーグ」
タイトルから察してください!!
次回もよろしくお願いします!!