それではどうぞご覧ください。
「オマエ、何者」
「ミョルルはどうしたのよ!」
知能のあるエモーションは会話が可能なようだ。
これはかなりの人数が犠牲になってきたと思われる。
「……っ! このっ!」
リラティブはエモーションを蹴り飛ばして壁へと追いやる。
腕と壁を使って首を絞め、エモーションの動きを制限してから問う。
「あなた…… 今まで何人食べてきたの?」
「聞きタイか? 教エてヤル。10人だ」
「10人……!?」
それを聞いたリラティブはエモーションに回し蹴りを浴びせる。
「私のせいだ……」
『氷さん?』
「私があの時、あなたを止めていなかったら被害は出てなかった……」
『でもあの時は仕方がないですよ! 僕、暴走して氷さん以外にも迷惑をッ!』
「どんな理由でも結果はこうよ。私がやらなきゃ!」
氷は自分の犯した罪が大きい事を理解した。だから焦ってしまった。
落ち着かせようとモヤシは何度も宥めるが、彼女もう聞く耳を持たない。
『氷さん!』
「はぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」
これを見たモヤシはリラティブドライバーには、感情を増幅させてしまう副作用があるのではないかと睨んだ。
そうだとするならば危険だ。だからと言って変身解除するのもこの場合は愚策。
ならばと氷の身体の制御を無理やり奪い、モヤシはリラティブドライバーからメダルを外し、赤色を表にして差し込む。
『ちょっと!』
「どうせ氷さんも僕も暴走するなら、同じ事でしょう!!」
《アングリー!》《ボルケーノ!》
《コネクト!》
そしてドライバーの上部を押し、火山が如きウィズアングリーへとフォームチェンジを行う。
《リラティブ!ウィズアングリー!》
「さぁ、燃えていくぜッ!!」
先程よりも大幅に上がった火力で、エモーションをパンチの一撃で校外へと吹っ飛ばした。
「はっ! こんなもんかよ!」
『私に変わってよ! あれは私がやらないと!』
「知ったこっちゃねーよ! 俺はただあいつをぶちのめしたいだけだ。邪魔すんな」
『あなたは自分が暴走していることに気づいてる!? 明らかにやり過ぎになるの!』
「それはお前も一緒だろうが」
『─── えっ』
そう言われた氷は気がついた。自分が暴走しているモヤシと同じ様に、聞く耳を持たず突っ走ろうとした所。
『ごめん……』
「何謝ってやがる?」
『……… とにかく、やり過ぎない様にやっちゃってよ』
「はっ! 言われなくてもこちとらわかってんだよ! おい、エモーション! 燃やし尽くしてやるッ!!!」
リラティブ=モヤシは外に出てエモーションに硬く握った拳で打ち抜く。
炎を纏い火力もスピードも増し、リラティブは凄まじいほどの連続パンチを喰らわせた。
「フィニッシュだ。燃えちまえッ!!!」
《アングリー!フィーリング!》
ドライバーの上部を押し、拳に爆炎を纏うとエモーションに向けて喰らわせた。
体が燃えてすぐに火山が如く大爆発し、敵は爆散した─── かに思えた。
「は?」
『えぇ!?』
エモーションは爆発をなんとか凌いだらしいが、あの一撃を喰らってフラフラとしている。
「まだやる気か!?」
『ううん、逃げるつもりよ! 追って!」
「ちっ!」
知能がある分、今の状況は部が悪いと思ったのだろう。
確かに得策ではあるが、モヤシリラティブがそんなことを許すはずもない。
「バイクとかあんのか?」
『持ってる訳ないでしょ』
「…… ったく、使えなやつだ」
『はぁぁぁぁぁぁぁ!!?」』
ブチギレの氷。そんな事はどうでも良いモヤシは、舌打ちしながらもとにかく走って追いかけた。
しかし、その距離はどんどん離れていく。
「ちぃッ…!! あいつ速すぎんだよ!!」
『じゃあ代わって! 私の方が速い!』
「はぁ? そんな根拠もねーこと言ってんじゃ────」
『はい、貸して』
『てめぇ…!!』
氷は無理やりモヤシの主導権を奪い取ると、メダルを反転させてウィズアイズハーグへとフォームチェンジを行う。
この形態は俊敏である為、ウィズボルケーノよりも速く移動できる。
その証拠にみるみるうちにエモーションの距離を縮める。
「モヤシ! 私がギリギリまで近づくから、タイミングよくチェンジして!」
『えぇ!? や、やってみます!』
氷リラティブは全速力で走り、遂には距離を一気に縮めエモーションと並んだ。
その瞬間、メダルを再度反転させてウィズボルケーノにチェンジすると、モヤシリラティブはドライバーの上部を押して拳に炎のエネルギーを集約させる。
「終いだ」
リラティブの炎の拳がエモーションの背中を捉え、触れた箇所から全身に燃え移り大炎上した。
そしてエモーションは何か言いたげに、リラティブを見つめ、爆散してしまう。
「はっ、こんなもんかよ」
『私の作戦のおかげね』
「黙れ」
『あんたホントに腹立つ…!!』
これで一件落着。氷達は帰路に着く。
その後ろを見つめる黒い影に気づかずに────。
*****
知能がある。知恵がある。知識がある。
我々はこの2年の間で成長を遂げ、これらを身に付け、人間社会へと溶け込んでいった。
だが、これではまだ足りない。
人間を糧にしなければならない。
「我々が生きる為には人間の感情が必要なのだ」
その人物は人ならざるものだ。
見た目は誰がどう見ても人。言葉も日本語を話す。
スーツもパリッと着こなし、自分の会社まで持っているときた。
「エモーション…… 感情。それが我々の名。彼らに与えられた名前だ」
彼は人ではなくエモーション。
そんな彼の周りには2人。同士であろうエモーション達が各々感情を表に喋りだす。
「マジでやっべー! 1人同士がやられたらしいぜ! はっはーーーっ!マージでやばくね!?」
「こ、怖いなぁ…… そんな怖い奴らがいるなんて……ひぃぃ………」
仲間の死を楽観的に受け入れ、喜びの感情を溢れ出させるエモーション。
仲間の死に震え、怯え、恐怖を露わにするエモーション。
そして頰に涙を伝わせ、悲しみを表に出すエモーション。
「そういえば我々の同士のもう1人はどこへ?」
「ははっ! また無差別に感情でも食いまくってんじゃないの? 新人くんは食欲旺盛でいいこったマジで!」
悲しみのエモーションはビルから下を見下ろす。
そう、ここが彼の社長室。部屋の中はあまりあるほど広く、喜びと恐怖がいたとしても余裕がある。
「残念なことに我々と人は一生分かり合える事はない。世間は知らないのだ。
「ど、どうするの……? これから大変だと、お、思うよ」
「今はあのリラティブという謎のライダーを倒すことが先決だ。我々エモーションが生きていく為に────」
*****
「今日からまた学校よ。大人しくしてて」
『僕、騒いでることありましたっけ?』
暫くして学校も落ち着きを取り戻し、氷はようやく元の生活に戻ることができた。今こうして学校へと向かっている。
2人で1つになってからの生活には未だ馴染めはしないが慣れた。
「さて、私たちがアレになってから、可奈達はどういう反応してくるか」
『そういえば正体バレてましたね』
「えぇ、周りにバラさない事はわかってるんだけど、可奈は口滑らせちゃいそうで怪しいの」
『まぁまぁバレてしまったら仕方ないという事で……』
「あなたねぇ…… バレたら今度は国が出てくることになって、普通の生活送れなくなるわよ? 自由もないだろうし」
『えぇ!? そうなんですか!?』
記憶もないのだから無理もないと思う氷。
これから先、正体を隠すよりも辛いことが待ち受けている。
「─── ん?」
何かが後ろを通った気がする。
『氷さん?』
「……… いや、なんでもないわ。早く行きましょ」
その影は氷達の後をついていく。
目指すはそう、愛ノ川高校────。
以上です。
エモーションを倒した後の被害者達が、その後どうなっているのかは次回わかります。
次回、第5話「友人=影」
次回もよろしくお願いします!!