それではどうぞご覧ください。
久しぶりの学校だと言うにも関わらず、氷フレンズたちは相変わらずであった。
心配していた仮面ライダーの正体については全く言う気配はなく、自然に、いつも通りに会話をしていた。
「─── って事があってね! ホント楽しかった!」
「へぇー良かったじゃん。私の方も色々とあったけど楽しくやってるわ」
愛ノ川高校はここら周辺ではかなり有名な高校であり、偏差値も高く、優秀な生徒を毎年輩出している。
氷もそのうちの1人で、その名前は高校中に広まっており、彼女の名を知らない人はいないであろう。
偶に別の学年からも彼女を求めてやってくる生徒もいるほどだ。
「氷せんぱーい!」
「ん? どうしたの?」
後輩からも好かれる彼女は、その頭の良さから勉強を教えることもしばしばある。
今もこうして彼女を求めて後輩たちがやってきた。
それから一通り教え終わると授業が始まるチャイムが鳴る。席に着いて準備してあった教科書を開き、ノートを取る。
「………」
『……… 氷さんってモテるんですね』
「………」
「急に何」と、ノートの端にそう書いた。
視覚は共有されている為、どちらが前に出ていたとしても状況を見る事が可能なのだ。
『なんか羨ましく思えて』
(モヤシも昔はモテてたかも)
『いつか断片的でも思い出したら真っ先に報告しますからね。と言っても、こうして言えるのは氷さんくらいなんですけど』
(あなたを襲ったエモーションが鍵)
『エモーションの見た目全部一緒なので、倒し続けるしかないのが現状ですね』
(そうね。それじゃあ集中したいから静かに)
『あぁ、そうでした! すみません!』
本当に不思議な気分だ。暫く1人だったからこんな近くで日常会話なんてするのは新鮮だ。
友達とは違う感覚。氷は少し微笑んだ。
「……? 氷さんどうしました?」
「…っ! あ、いえっ!」
教室中に笑い声が広がる。
そして授業が終わり、氷は体育の為、女子更衣室で着替えをする。
可奈たちは「先に行ってるね!」と言い、更衣室から誰もいなくなると、氷はため息を漏らし、もう大丈夫だということをモヤシに伝える。
「もういいわよ」
『…… 一応僕の方で目を閉じることは可能なんですよね』
「全くおかしなシステムよ。本当に面倒」
『すみません……』
「別にあなたが悪いわけじゃないし…… まぁでもこの状況、本当だったら大問題」
『警察だけはご勘弁を』
「その場合、私も一緒に捕まることになるけどね」
『ははっ、確かに』
氷は着替え終わり、更衣室から出ようとドアに手を掛ける。
その時、友人たちの悲鳴声が聞こえ、ドアを勢いよく開けて廊下へ飛び出した。
「これは可奈の声っ!?」
そして氷は急いで悲鳴がした方へ走っていくと、そこには友人たちが倒れた可奈の周りに集まり、彼女を揺さぶっていた。
「みんなどうしたの!?」
「い、今エモーションが……… 可奈を襲ってそれから……!!」
「…… わかった。とりあえず落ち着こう。そのエモーションって可奈の?」
「ううん…… 違うよ」
どうやら別の人物から出たエモーションの様だ。これは早々に倒さなければならない。
エモーションは倒す事によって、今まで食べてきた感情が持ち主の元へと戻る。
同様にエモーションを倒せば、可奈もきっと目を覚ます事だろう。
「エモーションはどこ行ったの?」
「あ、あっちだよ……」
「うん、ありがとう」
「……… 氷ッ!」
「ん?」
「気をつけてね」
「うん! 任せて!」
氷はそう言うとエモーションが行ったであろう方向に走り出す。
これ以上被害者を出してはいけない。それに知能を持っているとなるとこの上なく厄介である。
そして校舎の裏側まで行くと、そこには女子生徒を襲うエモーションの姿があった。
「やめなさい!」
エモーションに叫ぶ氷。だが、エモーションはゆっくりと食事を済ませ、その場にポイッと生徒を捨てる。
「……… お前、そうか。例の仮面ライダーか」
「へぇー、知能がある個体の様ね」
「今まで散々食ってきたからな。お陰で頭が回る」
このエモーションはかなりの人数を食べているらしく、前に倒したエモーションよりも饒舌な様だ。
「私の友達の感情。返してもらえる?」
「一度食ったものを吐き出せと? そんな勿体無いことはできないなぁ……」
「なら、力ずくで奪い返すまでよ!」
《ソロー!》《アイスバーグ!》
《コネクト!》
リラティブドライバーを取り出し、装着してメダルをセットし、ドライバーの上部を押す。
氷は氷の装甲を纏い、「仮面ライダーリラティブ ウィズソロー」へと変身する。
《リラティブ! ウィズソロー!》
「さぁ、冷やすわ!」
氷リラティブの柔軟で素早い攻撃。手始めに胸部へパンチを繰り出す。
「さっさと返せ!」
「返せと言われて返すものか!」
エモーションは腕を振り払い、攻撃を躱し、リラティブにラリアットを仕掛ける。
それに対してリラティブは身体をのけぞらせ、ラリアットを躱してすぐに反撃のキックを浴びせた。
「ぐぬぅ……!」
優雅に舞う様にリラティブは蹴りを叩き込む。
反撃の隙も与えないほどの連続攻撃。可奈を救いたいという彼女の想いが込められたそれは、力に変換されることはない。
何故なら、このウィズソローは悲しみを力に変えるからである。今は寧ろ怒り。モヤシの方へ変身した方がいいまである。
「調子に…… 乗るな!!」
「きゃっ!」
エモーションからの強烈なキックに吹き飛ばされるリラティブ。
その隙をついてエモーションは自身の身体に生えた触手を伸ばし、それをリラティブの身体に巻きつけて動きを制限する。
「くっ…!!」
『氷さん! 代わってください!』
「で、でも……!!」
『僕が何とかします! 氷さんはその後僕を…… 何とか止めてください!!』
「なによそれ…… でも、任せたわよ!」
《アングリー!》《ボルケーノ!》
《コネクト!》
《リラティブ! ウィズボルケーノ!》
「オラァッ!」という叫び声と共に触手を引きちぎる。
リラティブはウィズアングリーへとフォームチェンジし、燃える拳をエモーションに喰らわせる。
「がはっ!」
「そんなに食いたきゃ、俺の拳でも食ってやがれ!!」
「あちぃっ!」
拳の連打がエモーションに叩き込まれる。
よろけたエモーションの肩を掴み、もう片手でドライバーの上部を押し、その手に炎のエネルギーを溜め始める。
「さぁ、燃え尽きろ」
《アングリー! フィーリング!》
「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッ!!」
そしてリラティブは火炎を纏った拳でエモーションの顔面を抉る様に殴り抜いた。
火山の噴火の如きその勢いにエモーションは耐えられる筈もなく、吹き飛ばされたまま爆発して消え去った。
「まだまだこんなもんじゃ終わらせ…… って、てめぇ!!」
『はいはい、もう終わったから変身解除ね』
「この野郎!! 俺に指図すんじゃ──── すみません」
変身を解くと、紐でも切れたかの様に一瞬で元のモヤシへと戻る。
しかし、モヤシのままで可奈たちの元へ戻れば騒がせてしまうので、パッと姿を氷へと戻した。
「それじゃあ可奈たちの所に戻るわよ」
『本当にすみません……』
「もう慣れたかも」
そう言って可奈の様子を見に戻ると、彼女は目を覚ましていた。が、ガチガチと歯を鳴らし、身体が小刻みに震えている。
どうしたのか友人たちに聞くと、爆発音が聞こえた後、急に起き上がりこうなってしまった様だ。
「という事はエモーションを倒した後……? ねぇ、可奈? もう倒したよ? 大丈夫?」
「も、もう……!!」
「もう?」
「いや、だ。いやぁ……!!」
「可奈、どうしたの!?」
明らかに様子がおかしい可奈。
心配して肩に手をかけた途端、彼女の身体からエモーションが殻を破る様に飛び出してきたのだ。
「えっ─────」
「ミョルルルルルルルルル」
再び可奈はバタリと倒れてしまい、それを見た友人たちは悲鳴を上げて尻餅をつき、足をガタガタさせて動けなくなってしまう。
更に「恐怖」は伝染し、連鎖の様に友人たちからもエモーションが生まれる。
「う、嘘でしょ」
合計4体のエモーションを前に氷は再びリラティブドライバーを取り出した────。
5000文字くらいが僕的には○です。が、リラティブは3000文字を基準に書いてます。
今回はテンポよくを目指してみます。多分いいです。多分。
次回、第6話「恐怖=氷山」
次回もよろしくお願いします!!