それではどうぞご覧下さい。
愛ノ川高校に向かう途中、氷は可奈達のことを思い出す。
あの事件後、エモーションによって疲弊していた可奈たちは病院に搬送された。
幸いな事に彼女たちの容態は徐々に回復しているようで、あと1、2日休めばまた学校へ通えるようになるらしい。
「慣れって怖いわね。あんな事があっても学校は休みにならない」
溜め息を吐きながら氷はそう言う。
本来ならば休校させるのが普通であるが、エモーションの事件が度々起きるのが現代社会。息を吐くようにいつも何処かで起きている現象。
危険であるのは百も承知だが、そればかりに対応していては国は回らない。
『学校休みたいんですか?』
「そうは言ってないわよ。ただ慣れって怖いなーって話」
『……今度は氷さんの友人たちまでエモーションの被害に遭ってしまいましたね」
「ホントね。まぁ無事でよかったわ……これ以上、大切な人たちが居なくなるのは嫌だもの」
『氷さん……』
「はい!この話はおしまいね。そろそろ学校に着くからあなたは静かにしてて」
暫くして愛ノ川高校に着いた氷。門の前にはいつもであれば先生がいるはずだ。
だが、今日は見知らぬ人物が門の前に立っていた。
生徒たちは皆、その不気味な人物を避けるようにして校内へと入っていく。
「こら、君。さっきから何をしているのだね?」
程なくして先生がやってきて、その人物の肩を力強く掴み、門の前から引き離そうとする。が、いくら力を込めようともぴくりとも動かない。
『氷さん』
「もしかしなくてもそうよね……」
やがてその人物は先生を軽く突き飛ばし、氷たちの元へとやってくる。
先生はすぐさま生徒に危害を加えられない様に、氷たちの前に立とうとしたが、次の瞬間には手を掴まれ、片手で木の枝を軽く投げる様に、先生は校内へと投げられてしまった。
「ちょっとあなた!!」
「はっはー!やっぱりマジでお前たちだよな!俺の目に狂いはなかった訳だ!」
そうしてみるみるうちに姿を変え、やはりと言っていいのか正体はエモーションではあったが、他のエモーションとは見た目が全然違うのだ。
顔には笑みを浮かべた仮面の様なものが付いており、エモーションの特徴的な気味の悪い触手はなく、人に近い身体つきをしている。
「俺の名はヨロコビ。そう言われてる」
「ヨロコビ?言われてるって誰に……」
「んな事はいいからさ!ここでマジでやっちまおうぜ!時間は有限だからな!」
「こんな住宅街でやれる訳ないでしょ!」
「お前が嫌でも俺はマジでやるんだなこれが!」
そう言うとヨロコビは愛ノ川高校に向けて光弾を飛ばし、壁を破壊する。
「なんて事を……!!」
「マジでやる気になった?」
「えぇ、お陰様でッ!!」
氷はリラティブドライバーを取り出して腰に装着し、メダルを装填してドライバー上部のボタンを押す。
「変身ッ!!」
《リラティブ!ウィズソロー!》
「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
仮面ライダーリラティブに変身した氷はヨロコビに飛び蹴りを放つ。
だが、ヨロコビはそれを片手で弾き、すかさず腹部へと強烈なパンチをお見舞いした。
そのまま校舎へと吹き飛ばされるリラティブ。すぐに体勢を立て直して構える。
「ん……?」
すると後方から悲鳴声と共に生徒たちが飛び出してきた。
先ほどのヨロコビの攻撃によって校舎内は大混乱。今、この状況で出てこられるのはまずい。
「皆んな落ち着いて!!」
氷リラティブは必死に声を掛けるが、パニックに陥った彼らには全くの無意味だ。
「マジで騒ぎ過ぎだなッ!はっはっはーーっ!」
そう言うとヨロコビは近くを通った生徒の1人を捕まえ、頭を鷲掴みすると、栄養補給だと言わんばかしに腕からドクドクと感情を吸い出したのだ。
感情を吸われた生徒は力無く地面に倒れ、そのままピクリとも動かなくなってしまった。
「あなた、これ以上生徒たちに危害を加えるなら容赦しないわよ!」
「容赦しない方が嬉しいからさ。もっともっとマジに楽しくやろうぜぇっ!!」
リラティブはヨロコビの足元に氷を放ち、地面を固めて身動きを取れなくする。
「あれ?」と、身体を動かすヨロコビ。
「変わるわよ!モヤシ!」
『い、今ですか!?』
「あなたの力で思いっっっっっきり叩き潰しちゃって!!」
その氷の言葉は力強く、絶対に倒したいという意思を感じた。
1つの身体にいるからだろうか、より強く、より共感できる。
『任せてくださいッ!!』
《リラティブ!ウィズアングリー!》
「10倍にして返してやるよ。さぁ燃やすぜ!!」
モヤシリラティブはヨロコビに飛び掛かり、炎の拳で撃ち抜く。
攻撃を喰らったヨロコビはニヤリと微笑む。
先ほどとは火力が違う。パワーが違う。ヨロコビの戦いに対する"喜び"が高まる。
「いいねぇ!これぐらいやってくれないとなッ!」
殴る。殴る。殴る。殴る。
互いに避けようともしない純粋な殴り合いに移行した。
ウィズアングリーは怒りの感情を力に変換するが、彼の今の感情は怒りではない。怒りよりも強くなる感情。
そう、喜びが─────。
「はっ!!」
「マジでうおっと……!?」
リラティブはヨロコビを突き放す。
すると、腰に装着していた"テラーカンジョーメダル"が黄色い光を放つ。
「はっ、こいつはいい。やってやろうじゃねーか」
《ジョイ!》《ボルケーノ!》
《コネクト!》
そしてリラティブはアングリーカンジョーメダルを引き抜くと、新たな力である"ジョイカンジョーメダルを差し込む。
それから上部を押すと、真ん中のメダルが回転し、黄色い光を放つと、リラティブに新たな装甲を纏わせる。
黄色い装甲は、さながらカウボーイの様な見た目をしており、両手に固定式の短銃が追加される。
これが「仮面ライダーリラティブ ウィズジョイ」である。
《リラティブ!ウィズジョイ!》
「マジ?黄色?」
「今からお前の血で真っ赤に染まるけどな」
「マジ面白いじゃん!!」
ヨロコビは自身の足元に光弾を放ち、氷を破壊して脱出。
その勢いのままに前に出て、右腕に力を込めると、みるみるうちに大木の様な太い腕が完成する。
殴られればひとたまりもない質量に、リラティブは全く動じず、冷静に両腕の短銃を構えた。
「的がデカくなって当てやすいなッ!!」
リラティブはその太くなった腕目掛けて銃弾を放つ。
しかし、その腕は鋼鉄の様に固く、弾が通らずに地面にパラパラと落ちる。
「当ててもマジ意味ないんだなこれが!」
「お前は油断してんじゃねーよ!!」
「は?」
そう言って迫る来る腕に対して、身体を捩ってヒラリとかわし、そのまま銃口をヨロコビの頭に突き立てた。
「あっ─────」
「あばよ」
この至近距離で避ける事などできるはずもなく、ヨロコビの頭を弾が貫通する。
そしてヨロコビは撃たれた衝撃に身体を任せ、地面を転がった。
「トドメだ」
《ジョイ!フィーリング!》
リラティブドライバー上部のスイッチを押し、倒れたヨロコビに向けて銃口を向けると、先端に電気エネルギーが溜まっていく。
「死ね」
『ちょっと待ちなさいバカッ!!』
「ぬぉっ……!!」
その瞬間、氷がモヤシの身体を操り、電気弾を空に向けて発射させる。
当然これには理解できないモヤシは、彼女を責める。
「お前……前にも逃した事があったよな?またそれをやる気か!?あぁっ!?」
『違うわよ!今回に至っては頭を貫通させたのよ!?これで生きている生物なんているわけないでしょ!』
「だから五体満足で済ませますってか?相手は他のエモーションとは違うんだぞ?生きている可能性も考慮しやがれ!」
『そ、それはそうだけど……これ以上やるのはやっぱり違うわよ!』
「ちっ、これだからバカは困るんだ。こいつでトドメを………あ?」
それからモヤシは再び銃口をヨロコビに向けようとするが、ヨロコビが倒れていたはずの地面には何も残っていなかった。
「てめぇ……!!」
『おかしい』
「は?」
『多分ヨロコビは溶けたわ。地面が変に湿っぽい。もし逃げたのならどこからしら力が加わった痕跡があるはずよ』
その後、変身を解除し、氷が表に出てくるとヨロコビが倒れていた場所を調べ始める。
「やっぱり。他のエモーションとは違う………なんなのこれ」
『氷さん?』
氷は少し考える。ただ氷は別のことを考えていた。
「ねぇモヤシ」
『はい?』
「私の判断って間違ってたよね」
『…………どうでしょう。正しくはありましたけど……』
「だよね……」
それから氷はハッとなり、学校の方へ走り出す。
生徒や先生たちは無事であるか。それを確認しなければならない。
*****
「─────ヨロコビよ。会ったか」
そうして"悲しみ"は涙を溢す。
ご無沙汰してます(2回目
時間なさ過ぎぃ!!!!!という事で言い訳せずにまた7月から頑張って投稿していきますのでよろしくお願いします。
次回、第8話「科学=怪人」
次回もよろしくお願いします!!